増補 エロマンガ・スタディーズ の商品レビュー
漫画評論家&編集者である著者が 真面目に業界&界隈を俯瞰した通史&解説書 大量の出版&作品の解説があり、知っている作品が見つかる事間違いなし。 自分の性癖を深掘りするのもヨシ!新しい扉を開くのもヨシ!(╹◡╹)
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手塚治虫から氏賀Y太まで、エロマンガ通史及び分析。「米沢嘉博 / 戦後エロマンガ史」の90年代以降を任されたとあとがきにある通り(米沢氏の前掲書も凄まじい濃密さだった)、ディズニー・手塚治虫からスタートしつつも80年代〜90年代〜00年代のエロマンガを濃密に収めた一冊。通史として...
手塚治虫から氏賀Y太まで、エロマンガ通史及び分析。「米沢嘉博 / 戦後エロマンガ史」の90年代以降を任されたとあとがきにある通り(米沢氏の前掲書も凄まじい濃密さだった)、ディズニー・手塚治虫からスタートしつつも80年代〜90年代〜00年代のエロマンガを濃密に収めた一冊。通史としての読み物としてもかなり面白い上に、「乳首を**のように描いたのは**が最初」というようなトリビア的な羅列ではなく、エロマンガの題材から読者は何を読み取っているのかが(約2年間のロリコン漫画全盛期を経ていきなり巨乳ブームが来たとして、日本人がみな幼児性愛者から巨乳崇拝に変わったなんていうはずがない。一体読者は何を誰目線でどのように受け取っているのか?)かなり掘り下げられていてそこもとても面白かった。
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社会哲学者・作家・経営者の東浩紀氏の本から知った本. 「エロ漫画」の歴史とその歴史を通じて生まれた様々な表現・趣味趣向の列挙と解説をしている. エロ漫画を”人間の欲求と前衛的表現の限界に挑戦するメディア”と捉ええると知的好奇心が刺激される分析対象になりうることを本著は示している...
社会哲学者・作家・経営者の東浩紀氏の本から知った本. 「エロ漫画」の歴史とその歴史を通じて生まれた様々な表現・趣味趣向の列挙と解説をしている. エロ漫画を”人間の欲求と前衛的表現の限界に挑戦するメディア”と捉ええると知的好奇心が刺激される分析対象になりうることを本著は示している.常識と禁忌,表現の自由と規制(ポリコレ),性と愛,身体と精神,商業と趣味(同人誌)...エロ漫画を通じて問われる価値観や社会の変化は非常に深遠. 歴史については1950年ごろから2010年くらいに至るまでの「エロ漫画」の変遷や特徴をリチャードドーキンスの”ミーム”の言葉を借りて分析,評論 本書で述べられている通り,エロではない漫画やアイドルといったあらゆる萌え系メディアがエロ漫画のミームを継承しているし,最近よく見かけるご都合主的・タイトルを読んだだけでお腹いっぱいになる作品(石鹸系?なろう系?異世界なんちゃら系?)やVTuberといったやや新興(2021年ではもはや古い類だろうが)もこの系譜に並ぶものだろう. 本書自体は一般的には卑猥とされる単語がこれでもかと並び,エロ漫画のカットーも豊富に盛り込まれている.読み込むにはそれなりのタフネスが問われる. ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー フェティシズムの元々の意味は、「自然物や人口物に神秘的な力があると信じ、信仰や儀式の対象にすること」である。日本語では「呪物崇拝」あるいは「物神崇拝」とも訳される。 うる星やつら →女ドラえもんと呼ばれるように、男性読者にとって極めて都合の良いファンタジーだが、浮気者の主人公と彼を愛する異界からきたヒロインという基本パターンさえ押さえておけばあとは互いのライバルを次々投入するだけで話は転がっていく "現在では同人誌と言う言葉は形骸化し、むしろ自主制作書籍と呼んだ方が正しいだろう" 同人誌におけるエロやパロディ "若い描き手にとって、タブー侵犯や権威への茶々いれは快楽であり、他人の作ったキャラクターを好きなようにカスタマイズし、エロチック化し、ギャグ化する楽しみはオリジナル作品制作とはまた違った喜びをもたらしたのだ。" →創る楽しさここにあり 萌え→かわいい のオタク的動詞化 萌えは瞬く浸透し、あるキャラクターは装飾、言動、身分、身体的特徴といった「萌えのパーツ」の組み合わせで換喩可能に。 →キャラクター=イコン(図像\)とイデア(概念集合)=記号の集合体 →東浩紀氏・データベース型消費 物語や描写のデオドラント化 →臭い物に蓋 "後な「萌え」と呼ばれることになる「可愛い趣向」は性交や制作器の描写を必ずしも必要としない。性的な要素は「可愛いミーム」の中に巧妙に隠されていのる。逆説的に言えば、隠蔽され、抑圧されているからこそエロチックなのだ" →萌えコンテンツは読者の想像力・それを享受したときの反応を見越した創造物 全てを最初から描写してしまっては読み手に解釈の余白がなく、つまらないということか。ミステリー小説やドラマ等等にも当てはまる "美少女系エロ漫画は「萌え」と「抜き」の絶妙な補完関係の上に成り立ってきたと見ることもできるだろう" 創作物の読み取り方: 第三者視点・神の視点・鳥瞰 当事者視点・登場人物・自己投影 “我々も大脳新皮質を一枚向けば,そこには爬虫類の脳があり,食欲と性欲と生存欲求というシンプルなプログラムが無限ループしている” ”ルサンチマンの強い読者が現実に社会から拒否されているか否かはどうでもいい.本人の脳内で「セカイから拒絶されている」というファンタジーが生起することをルサンチマンと呼ぶのである” ”愛を煽り、愛を収奪するアイドル産業と、愛に飢え、愛を商品として消費するファン” ”「ヒロインに愛される」という作品世界最強の異能” ”ヴィクトリア女王(在位1837-1910)治下の大英帝国最盛期.ピューリタン的に過剰な道徳を要求する社会だったために逆に地下ではポルノの黄金時代が築かれていた” なろう系,石鹸系?ー>メタ化の極み. 想像力と前提知識 日常系漫画を読む楽しさ→"この漫画を読む楽しさは、勝手に遊ぶ小動物を眺める気分に近い"
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面白かったし勉強になる。 所詮は低俗なものとして扱われがちなエロマンガに焦点を当てて、文化史を紐解く。 日本のサブカルチャーと密接な関係にあるようだった。 これのエロゲー版もあったら面白そうだけどそういう本ないのかな。 氏賀Y太『毒どく猟奇図鑑』が出てきて、あっと思った。
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エロマンガのストーリーは実にタブーが無い。ありとあらゆるエロのシチュエーションが考案されており、流石にこれ以上の異なるジャンルが出てくるとは、個人的には考えられない。最近はかなり停滞しているのではないだろうか。 是非新たなムーブメントのジャンルを開発してもらいたいものだ。 松本零...
エロマンガのストーリーは実にタブーが無い。ありとあらゆるエロのシチュエーションが考案されており、流石にこれ以上の異なるジャンルが出てくるとは、個人的には考えられない。最近はかなり停滞しているのではないだろうか。 是非新たなムーブメントのジャンルを開発してもらいたいものだ。 松本零士、高橋留美子、吾妻ひでおの描く女性に萌え、伊駒、山本などの作品に刺激を受けた身として、世の中の弾圧に負けずに頑張って欲しいものである。 それにしても韓国のこの手の本に対する弾圧の凄さには驚く。未成年と見える絵が扇情的であるだけで、成人女性への強姦より重い罪が課せられる法律。これにより数千人の逮捕者が出ているとの事。日本では殆ど報じられていないことが恐ろしいし、その様な誰でも逮捕出来そうな社会では、政府や世間の空気に同調せざるを得ない。この辺りが表面上の対日感情にも発現しているような気がする。
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2006年に書かれたエロマンガの通史・解説書の文庫版。エロマンガというジャンルが豊穣で、それが日本のマンガの豊かさと密接に絡み合っていることがよくわかる。 読者の同一化の対象が、登場人物の男性ではなく、時に女性であるという指摘から、今でいう「男の娘」的なジェンダーの混乱に議論を...
2006年に書かれたエロマンガの通史・解説書の文庫版。エロマンガというジャンルが豊穣で、それが日本のマンガの豊かさと密接に絡み合っていることがよくわかる。 読者の同一化の対象が、登場人物の男性ではなく、時に女性であるという指摘から、今でいう「男の娘」的なジェンダーの混乱に議論を接続していくのは興味深かった。原本が出た2006年と文庫版の2014年の社会的に大きな違いである「ポリティカル・コレクトネスの浸透」についての議論を捕捉する巻末の解説もよい。個人的には、文中に登場するエロマンガ家の作品を、自分がかなり読んでいた事におどろいたな……。 類書が少なく、マンガという表現ジャンルを理解しようとするときに、とても重要な一冊といえる。マンガは好きだけど、エロマンガに興味がないという人にもぜひ読んでほしい。
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文芸評論スタイルのエロマンガ史 年代、嗜好の縦串横串の視点からエロマンガ史を俯瞰。 80年代〜00年代のダイナミックな動きは、私自身も注目していた時期でもあり興味深い。 ロリコンマンガ(前衛的でエロが主目的ではない)→「抜き系」の巻き返し→「萌え」への大連合といった流れ。 そ...
文芸評論スタイルのエロマンガ史 年代、嗜好の縦串横串の視点からエロマンガ史を俯瞰。 80年代〜00年代のダイナミックな動きは、私自身も注目していた時期でもあり興味深い。 ロリコンマンガ(前衛的でエロが主目的ではない)→「抜き系」の巻き返し→「萌え」への大連合といった流れ。 そして、当局の取り締まりとの闘い(ほぼ一方的なのだが)も常に並行して続いていた。 著者は終始「エロマンガ」というワードを使用しているが、「成年コミック」という表記は規制反対側の人間からすれば進んでは使用したくない言葉なのであろう。 なお、規制反対派側の立場で、創作物に対する評論もやや奔放に(過激に)展開する傾向がある。 一ファンとしても、若干ハラハラする記述もみられる(LO系を絶賛するところなど)。 また、一般作品「ガンスリンガーガール」で論を終えているのは、随分とおとなし過ぎるなと感じた。
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漫画評論家 永山薫が2006年に発表した「エロマンガ・スタディーズ」の文庫版。オリジナル発表後の状況も追加。エロマンガが内包するミーム等を手がかりに手塚治虫から昨今の美少女コミック、萌えコミックまで当時の風俗や一般コミックと絡めながら作家や歴史を考察します。日本海溝よりも深いと思...
漫画評論家 永山薫が2006年に発表した「エロマンガ・スタディーズ」の文庫版。オリジナル発表後の状況も追加。エロマンガが内包するミーム等を手がかりに手塚治虫から昨今の美少女コミック、萌えコミックまで当時の風俗や一般コミックと絡めながら作家や歴史を考察します。日本海溝よりも深いと思われるエロマンガの割れ目に果敢に挑んで生還した作者がもたらす凄まじい情報量に脱帽です。アレやコレが足りないという向きもありますが、あくまで男性向けのエロマンガをテーマに絞っており教養として知っておくと人生が豊かになると思いました。
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第1部「エロマンガ全史」は、手塚治虫の記号絵に孕まれたエロティシズムを解読することから始まり、1970年代の「三流劇画」ないし「エロ劇画」と呼ばれるジャンルの隆盛と、80年代以降のロリコン・ブーム、そして遊人の『ANGEL』や上村純子の『あぶない! ルナ先生』が被った「有害図書問...
第1部「エロマンガ全史」は、手塚治虫の記号絵に孕まれたエロティシズムを解読することから始まり、1970年代の「三流劇画」ないし「エロ劇画」と呼ばれるジャンルの隆盛と、80年代以降のロリコン・ブーム、そして遊人の『ANGEL』や上村純子の『あぶない! ルナ先生』が被った「有害図書問題」と90年代以降の「抜き」と「萌え」における新しい展開などが、簡潔ながら手際よくまとめられています。 第2部「愛と性のさまざまなカタチ」は、ジャンル別の考察です。「ロリコン漫画」「巨乳漫画」「妹系と近親相姦」「陵辱と調教」「愛をめぐる物語」「SMと性的マイノリティ」「ジェンダーの混乱」の7つのテーマについて、過去から現代までのさまざまな作品を紹介しながら論じられます。 また文庫化に際して増補された「二十一世紀のエロマンガ」と題された章では、いわゆる「非実在青少年」に関する表現規制をめぐっての攻防について解説されています。 容易にその全貌を見通すことのできないエロマンガという領域の歴史をたどることのできる名著です。著者はところどころでセクシュアリティをめぐる文化的・政治的問題の所在についても言及していますが、そうしたテーマを考察の中心に置くことはなく、性描写さえ含まれていれば何でもありとでも言うべきエロマンガにおける性的嗜好の多様化と細分化を叙述することに努力を傾注しています。「あとがき」で著者自身が「不可視の王国の年代記と地図を、たとえ大雑把な代物としても書けるのは自分しかいないという自負があった」と語っていますが、まさにこの著者にして初めて可能だった作品ではないかと思います。
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「エロマンガ」の歴史と現在を詳細に分析した労作。第1部は戦後から現在に至るまでのエロマンガの歴史を描出する。源流としての手塚治虫、直接的な創始者たる石井隆、エロマンガの表現の幅を広げた山本直樹……エロマンガのの周辺も含めて多くの作家が紹介される。第2部は、そうして発展したエロマン...
「エロマンガ」の歴史と現在を詳細に分析した労作。第1部は戦後から現在に至るまでのエロマンガの歴史を描出する。源流としての手塚治虫、直接的な創始者たる石井隆、エロマンガの表現の幅を広げた山本直樹……エロマンガのの周辺も含めて多くの作家が紹介される。第2部は、そうして発展したエロマンガの現状をジャンル別に分析。ニーズに応じて細分化されたジャンルのそれぞれを見ていくことで、エロマンガの見取り図が立ち現れる。 「エロマンガ」っていうのは文化的には傍流中の傍流もいいとこのジャンルで、もっぱらオナニーの用具として「低俗」で「有害」で文化的には圧倒的な「低位」として取り扱われる。でも「実用」重視であるがゆえに、時代の空気や意識がダイレクトに反映されるし、そこには多くの表現の冒険がある。 考えてみれば、実用の具である以上、そこには欲望の表出がダイレクトに行われるし、セックスというものが必然的に2者以上の人間(場合によっては人間以外も)の関係性そのものでもある。あるいは、性愛表現は不可避的にジェンダーにかかる問題へも踏み込まざるをえない。 だから、そこに深い洞察と高度な表現が生まれてもなんら不思議なことはない。そこのところを鑑みるなら、エロマンガだからこそ描けるなにものかがある。
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