ここは退屈迎えに来て の商品レビュー
夕方のバイパス、ロードサイドに立ち並ぶチェーン店の看板たち。こういう景色を「ファスト風土」と呼ぶらしい。 廃れた地方の街で、いつか自分も何者かになれると漠然と思っている女の子たち。 地元のモテ男、椎名を巡って繋がる短編集。 田舎の息の詰まるような空気の描写がリアル。 「君がど...
夕方のバイパス、ロードサイドに立ち並ぶチェーン店の看板たち。こういう景色を「ファスト風土」と呼ぶらしい。 廃れた地方の街で、いつか自分も何者かになれると漠然と思っている女の子たち。 地元のモテ男、椎名を巡って繋がる短編集。 田舎の息の詰まるような空気の描写がリアル。 「君がどこにも行けないのは車持ってないから」のファミレスの描写が秀逸だったな。 “フロアの通路を歩くときは毎回、品定めするような尖った視線を浴びる。知ってる奴じゃないかチェックしてるのだ。みんな誰かに会いたくて、何かが起こるのを期待してるんだと思う。あたしだってそう。” あと「東京、二十歳。」の、上京して渋谷のミニシアターに映画を観に行くシーン。 自分だけが特別なアンテナを持っていると思って観にいった映画は満員御礼で、次の回のチケットしか取れなかった。 各話に共通して登場する、地元のモテ男、椎名。一番初めのお話で、椎名の現在が描かれていたのが逆によかったな。 あの時あんなにキラキラしていた椎名は、ちゃんとお父さんになっていて、なんにもこじらせてない普通のひとだった。
Posted by
山内マリコさん作品記録6 椎名くんと女子たちの8つの話。 一言でまとめるとこうなのに、 なんでこんなにも センチメンタルな気持ちになるのだろうか…。 登場する女子と 同じような経験をした訳でもないし、 椎名くんみたいな男子もいたような気もするし いなかったような気もするのに ...
山内マリコさん作品記録6 椎名くんと女子たちの8つの話。 一言でまとめるとこうなのに、 なんでこんなにも センチメンタルな気持ちになるのだろうか…。 登場する女子と 同じような経験をした訳でもないし、 椎名くんみたいな男子もいたような気もするし いなかったような気もするのに どうしてか分からないけれど 自分の日記を読み返しているような どこか切ない気持ちになる。 やはり山内マリコさんは無敵。
Posted by
現代こそSNSや通販などの発展で田舎でも都会で暮らす人々と遜色ない生活ができるようになっているけど、ひと昔前はそうではなかった 自分がリアルタイムでそんな時代を生きていないからそんな世界観のストーリーに新鮮味を感じられたけど、現代においても田舎特有の退屈感、息苦しさを感じることも...
現代こそSNSや通販などの発展で田舎でも都会で暮らす人々と遜色ない生活ができるようになっているけど、ひと昔前はそうではなかった 自分がリアルタイムでそんな時代を生きていないからそんな世界観のストーリーに新鮮味を感じられたけど、現代においても田舎特有の退屈感、息苦しさを感じることもあるから少し共感もあった。
Posted by
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
それぞれ語り手が変わっていくけど、それぞれの物語に必ず椎名が登場する。 最初のスタートが30間近の椎名だが、すでに魅力が衰えていっている。椎名はけして主人公のようには描かれていないが、語り手が変わるたびに彼はどうなっているんだろうと気になる。 どの女の子の話も面白かった。 最初の物語で1番面白かったのはラーメン屋さんとの最後、ポエム?の返し。思わず笑った。 女子は若ければ性に敏感で どんどん歳をとるにつれて、結婚に執着を変える。 よくある物語のようだけど 読んでいて飽きないし、年齢がどんどん下がっていく感じが斬新で面白かった。
Posted by
10代から20代にかけての都会への憧れや若い時の無敵なエネルギー。恋人がいない退屈な時期。同性の友達とばっかつるんで無駄な時間を費やしつつも感じる将来への漠然とした焦り。 でもいずれは自分も周りも結婚してそれなりに暮らしていく… 主人公は女性ですが、男の自分でも彼女たちの気持ちや...
10代から20代にかけての都会への憧れや若い時の無敵なエネルギー。恋人がいない退屈な時期。同性の友達とばっかつるんで無駄な時間を費やしつつも感じる将来への漠然とした焦り。 でもいずれは自分も周りも結婚してそれなりに暮らしていく… 主人公は女性ですが、男の自分でも彼女たちの気持ちや痛みが伝わってくる小説です。
Posted by
地方都市に暮らすことのモヤモヤ。 あぁ、なんてよく分かる。 東京からUターンした若者、東京へ憧れる女子たち、地元に馴染めないニート。 地元大好きでもなく、かと言って都会派にも成りきれない。B系、マイルドヤンキーじゃない人々。 そんなニッチな人々に焦点を当てた短編集。 テーマが新鮮...
地方都市に暮らすことのモヤモヤ。 あぁ、なんてよく分かる。 東京からUターンした若者、東京へ憧れる女子たち、地元に馴染めないニート。 地元大好きでもなく、かと言って都会派にも成りきれない。B系、マイルドヤンキーじゃない人々。 そんなニッチな人々に焦点を当てた短編集。 テーマが新鮮だった。 特に前半3編はよい。 後半になるに従い尻すぼみ感は感じるが、それでも独特の感性が光っているように思える。
Posted by
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
解説やレビューを読むと、田舎(といっても郊外)から誰かに連れ出してもらうことを夢見る女性や少女達の物語、と書かれています。 確かに、それが主軸だと思いますが、私は椎名の物語だと思いました。 どの話にも必ず彼が登場する。話が進むごとに年齢が下がり、輪郭も曖昧になっていく。どの時代も、人を惹きつけてやまない人物のようです。 爽やかなスポーツマン時代は納得ですが、結構嫌なやつ、頭の悪いやつ、としても描かれているので、その時代もなの?とは思います。でも、訳もなく人を魅了する人はいますよね。 後ろの話から読んで、彼の変化を追っていくのも面白いだろうなと思いました。 結婚して、娘までいるなんて。南さんとの娘だから日南多ちゃん。グッときます。 「私たちがすごかった栄光の話」疎遠になっていた友達との再会。椎名は教習所の教官に。駐車場の練習。ラーメン屋、名言(迷言)とラップ。 「やがて哀しき女の子」カリスマモデルのその後、婚活。椎名、南と出会う。 「地方都市のタラ・リピンスキー」ゲーセンでの再会。ゆうこと名乗る雄大。椎名に教習所を勧める。 「君がどこにも行けないのは車持ってないから」椎名とつるんでいた遠藤を便利屋と扱ううちに、自分も椎名にとってそんな存在だったと気づく。免許とって車乗り回そう。ロシア人。 「アメリカ人とリセエンヌ」留学生との交友。日本人は恥じらうもの。別れが悲しいのか、妄想が素晴らしすぎるのか。 「東京、二十歳。」椎名の実家はなかなかみすぼらしかった。家庭教師のお姉さんの生活に憧れて上京した妹。それなりに楽しくやれるけど、誰かとじゃないと出かけられない。でも、頑張ってみせる。 「ローファー娘は体なんか売らない」援助交際(?)。脂ぎった男性を慈しむ真面目な女の子。椎名くんがこの惨めな思いから救ってくれる、そんなはずはないと知っている。 「十六歳はセックスの齢」初体験は16歳で。そう夢見る少女と、口ではそう言いながら恐怖を感じる少女と。眠り続けて16歳を無いものにしてしまえば、乗り越えられる。椎名くんは初恋のまま。
Posted by
椎名くんみたいな人って本当にいるんだよな、、、 誰から見ても輝いてて人気者で憧れの対象なんだけど、なんとなく人間味がなくて実際なに考えてるのか1番分からなくて危うくてすこし怖い感じがすごいうまーく表現されてた そういう人って奥の奥が分からないから、この物語にも椎名くん目線のストー...
椎名くんみたいな人って本当にいるんだよな、、、 誰から見ても輝いてて人気者で憧れの対象なんだけど、なんとなく人間味がなくて実際なに考えてるのか1番分からなくて危うくてすこし怖い感じがすごいうまーく表現されてた そういう人って奥の奥が分からないから、この物語にも椎名くん目線のストーリーが無くて納得した とか言いつつ、生まれ変わったら椎名くんみたいな分類の男の子になって小中高で無双したい
Posted by
地方で楽しんでる人は、いつもクラスの真ん中に陣取り、リア充だったひと。友達にも恋人にも恵まれ、地元に満足しているひとにとっては、東京は観光地でしかない。あとがきが、ぶっ刺さったな。 私は間違いなく、リア充ではないし、ここではないどこか、に一生憧れてて、常にふらふらしちゃってるの...
地方で楽しんでる人は、いつもクラスの真ん中に陣取り、リア充だったひと。友達にも恋人にも恵まれ、地元に満足しているひとにとっては、東京は観光地でしかない。あとがきが、ぶっ刺さったな。 私は間違いなく、リア充ではないし、ここではないどこか、に一生憧れてて、常にふらふらしちゃってるので、そうか生まれた環境が退屈でない人もいるのねと思った。 4話目の「君がどこにも行けないのは車持ってないから」っていうフレーズよかったな。わたしも、車を持ったり、家具を買い揃えてひとりぐらしたりしよう。誰にも頼らずに、迎えも待たずに、自分の行きたいとこに軽やかに行こ。
Posted by
12. 山内マリコさんの小説 アラサー独身女にぶっ刺さる わかるしかなくて痛い 読んだ後すぐに映画も観た 原作が良すぎた 「君がどこにも行けないのは車持ってないから」 っていうフレーズ、かなりくる ----メモ---- P35 ウータン・クランはちょっとファンタジーの世界...
12. 山内マリコさんの小説 アラサー独身女にぶっ刺さる わかるしかなくて痛い 読んだ後すぐに映画も観た 原作が良すぎた 「君がどこにも行けないのは車持ってないから」 っていうフレーズ、かなりくる ----メモ---- P35 ウータン・クランはちょっとファンタジーの世界に生きてんだよね。仲間内で今日からここは少林寺なって設定作って、勝手にいい感じの世界に転換して生きてんの。本当の日常はクソなのに、自分たちはその脳内設定で世界を見てるから、どれだけ最悪でも耐えられるっていう。 P194 母性のわくチャーミングな欠点
Posted by