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青木昌彦の経済学入門 の商品レビュー

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12件のお客様レビュー

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2024/05/31

筆者は制度経済学の分野の高名な経済学者。 本書は、「経済学入門」という題名であるが、「制度論」を中心テーマとした本。制度とは「人々が混乱なく社会生活が営めるのは、慣習、慣例、法といった社会規範に従って行為しているからである。このような社会諸規範が複合化し大系化したものを「制度」と...

筆者は制度経済学の分野の高名な経済学者。 本書は、「経済学入門」という題名であるが、「制度論」を中心テーマとした本。制度とは「人々が混乱なく社会生活が営めるのは、慣習、慣例、法といった社会規範に従って行為しているからである。このような社会諸規範が複合化し大系化したものを「制度」と言うとネットで調べると出ている。本書の中では、筆者は「人々が""世の中はこういう具合に動いている""と共通に認識しているような、社会のゲームのあり方を制度と呼ぶ」と定義しており、例えばとして、「終身雇用ということが、かつて制度体系の中核にあった」と述べている。 すなわち、終身雇用というものが制度として存在し、それが機能していると世の中の人たちが共通に認識していた場合、人々は、その存在を前提に就職し、働き、家族を持ち、生活を営んでいたと理解した。逆に言えば、そういう制度の存在が危ういとの共通理解を皆が持てば、例えば転職市場は活発化し、皆はその企業でしか通用しない能力ではなく、転職に有利と思われる能力を身につけようとするはずである。また、男性が働き女性は専業主婦となるようなモデルは成り立たないと皆が思い(既にそうなっているが)、税制や年金制度にも影響を及ぼすはずであるし(日本ではなかなか変わらないが)、また、転職に有利と思われるような汎用的な能力が大事となれば、もしかしたら教育システムにも影響が及ぶかもしれない。 私が「制度経済学」について理解したとは思わないが、でも、上記のようなことを検討するのが「制度経済学」という学問ではないかとは理解した。 世の中が変わっていく、とはどういうことなのかということに興味があり、それを考える一助として制度経済学を勉強するのは有益だと思って手に取った。有益だと思うが、上記の通り、理解したとは全く言えないので、更に他の制度経済学の本を手に取ってみるつもりだ。

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2020/11/21

比較制度分析の第一人者として知られる著者のエッセイや対談などをまとめた本です。 「はしがき」によると、本書は青木昌彦の『経済学入門』ではなく、『青木昌彦の経済学』入門とされています。とくに岡崎哲二や山形浩生による著者へのインタヴューは、制度論的な立場にたどり着くまでの著者の歩み...

比較制度分析の第一人者として知られる著者のエッセイや対談などをまとめた本です。 「はしがき」によると、本書は青木昌彦の『経済学入門』ではなく、『青木昌彦の経済学』入門とされています。とくに岡崎哲二や山形浩生による著者へのインタヴューは、制度論的な立場にたどり着くまでの著者の歩みや、制度論の基本的な考え方などが語られており、本書のタイトルとなっている「青木昌彦の経済学」への入門としての役割を果たしているように感じます。ただ、制度論についての包括的な解説ではなく、さまざまなテーマにかんして制度論的アプローチにもとづく著者の考えが比較的わかりやすいことばで語られているという印象です。制度論について本格的に学びたいという読者は、肩すかしの印象を受けてしまうかもしれません。 そのほかにも、中国経済についての呉敬璉との対談や、現代経済学のありかたと日本経済の現状についてのミルトン・フリードマンとの対談なども収められており、興味深く読みました。

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2020/04/03

流石にこの本一冊で、青木氏の理論を学ぼうというのは無謀であった。。。 ただ、何となく読んでおいたら、今後役に立つかも。

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2019/08/28

制度経済学の日本における第一人者。けれど「日本における」ってのは語弊があって、この方、活動の拠点はほとんどスタンフォードなどアメリカだったし、書き物も英語でやっている。その思想も明らかにアングロサクソン風味である。 この本は、わりと最近の論文や対談を集めたもので、多少の重複など...

制度経済学の日本における第一人者。けれど「日本における」ってのは語弊があって、この方、活動の拠点はほとんどスタンフォードなどアメリカだったし、書き物も英語でやっている。その思想も明らかにアングロサクソン風味である。 この本は、わりと最近の論文や対談を集めたもので、多少の重複などあるが、難しくなりすぎずに、まさに入門らしい仕上がり。ただ、こう読んでいてかゆい所に手が届かない感覚が残った。理解力不足か。 ・制度論は経済学の中では盛り上がってきている分野らしい。ゲーム理論がバックボーンになっている。→たしかに制度抜きで経済を語れないし ・制度をルールとしてではなく、より広く、均衡として考える。 ・歴史的経緯があるから複数均衡、すなわち複数の制度がある。→そのとおりなんだろうが。。。個別論まで踏み込まないとso whatな感じ。 ・これまで西欧中心の制度経済学が多かったが、東アジアの諸制度にも焦点を当てた研究を。→本書唯一の具体論の箇所なのだが、こちらの知識不足のせいか日中の類似を論じている箇所なのか、差異を論じている箇所なのかもつかめなかったり。 ・ゲーム理論では、ナッシュ均衡が成立するためにプレイヤー間の共同知識(それぞれのプレイヤーが他のプレイヤーが何を知っているかを知っていて、そのことを他のプレイヤーも知っていて、さらにそのことを各プレイヤーも・・・)が必要なことがわかっている。この共同知識を制度として外出しすることで、無限循環みたいなことにならなくするのが、制度論のミソのひとつのようである。たぶん。 ・電力論やオリンピック論でちと萎えた。 山形浩夫との対談は悪くない感じで噛みあっている。

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2018/10/24

経済学の専門家による経済制度論。講話や対談を中心に制度論やゲーム理論について述べているが、あまり理解できなかった。意義についても理解できていない。 「(ソ連について)国家による資本の所有と運用は、多くの人が予想していたように非効率的でした。その理由は単純です。人はだれも、他人の...

経済学の専門家による経済制度論。講話や対談を中心に制度論やゲーム理論について述べているが、あまり理解できなかった。意義についても理解できていない。 「(ソ連について)国家による資本の所有と運用は、多くの人が予想していたように非効率的でした。その理由は単純です。人はだれも、他人のお金を自分のお金を使うように注意深く使わない。それが重要な命題です(フリードマン)」p217 「今後、中国は自由な市場が生み出す民間セクターの圧力と、中央集権の政治システムに伴う圧力との摩擦が大きくなるでしょう(フリードマン)」p224

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2014/09/16

久しぶりに知的刺激を感じた本。粗製乱造の新書とは一線を画するもの。長らく「比較制度分析に向けて」を途中で放棄したままになっているが、もう一度チェレンジしたくなった。

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2014/07/07

個別の話はまだ理解できるんだけど、全体としてでは制度比較分析とは?とか言われるとなんなんだ?という感じ。一ページ程度で要約された内容と、実際の論文の間がすごく広い印象。しかし論文まで追いかけるとか厳しいでよ。いやはや。

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2014/04/02

 研究に経済学の視点を導入できるようになりたかった。また、「制度」という概念であり視角についての理解を深めたかった。そうした背景の下で読んだ本書。入門書として特に前半部分は勉強になった。制度が自分の研究の視点として基調となるだろうという思いは間違っていないような気がする。これから...

 研究に経済学の視点を導入できるようになりたかった。また、「制度」という概念であり視角についての理解を深めたかった。そうした背景の下で読んだ本書。入門書として特に前半部分は勉強になった。制度が自分の研究の視点として基調となるだろうという思いは間違っていないような気がする。これからさらにその枠組みを育てていく。そのための第一歩として、本書は最適だったように思う。制度経済学の初学者向けです。

Posted byブクログ

2014/03/31

経済学入門と銘打たれているが、内容は多岐に渡っており平易な書き方で読みやすい 新書で出される経済学関連の書籍は酷いものが多いが、この本は数少ないまっとうなものの一冊

Posted byブクログ

2014/04/30
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

20140325~0427 制度論の大家である著者の自分史的制度論?対談や学会での挨拶、その他寄稿文等いろいろ。

Posted byブクログ