私という名の変奏曲 の商品レビュー
古い本なので「家の留守番電話にテープで吹き込む」とか古めかしい話もあったものの(ナンバーディスプレイすらない時代だろうか)、ラストの展開は予想外でおもしろかった。 読み進めながら、前提が覆されていくのは快感です。 私という名の変奏曲って、ずいぶんナルシストなタイトルだなと思った...
古い本なので「家の留守番電話にテープで吹き込む」とか古めかしい話もあったものの(ナンバーディスプレイすらない時代だろうか)、ラストの展開は予想外でおもしろかった。 読み進めながら、前提が覆されていくのは快感です。 私という名の変奏曲って、ずいぶんナルシストなタイトルだなと思ったけど、ラストの共犯者語りはそれ以上のナルシズムでしたな。 「私」とは、美織レイ子のことなのか、それとも…。 この本の単行本が発売されたのは1984年。40年前ですか(今は2024年)。 美容整形についての考え方も、今と当時では全く違う。整形特有の不自然さ…とか今はほぼないよね。技術も進化してるし、芸能人も一般人もみんな綺麗だし、なんと!あのモデルは美容整形していたのか!みたいな驚きも皆無。昔は、鼻を整形すると暗闇で鼻筋が光るとかデマもあったらしいからな。 携帯電話やインターネットもない時代と現代では、ミステリのトリックが全く違ってくる。 当時の人達の生活、文化を知るという意味でも、結構楽しく読めた。 作者が横溝正史や松本清張と同じ時代の人だったなら、今でもドラマ化されたりしててもおかしくなかったのではなかろうか。それくらい古い時代設定の話だと、無理に現代化しないでも「昔の話」として割り切れるけど、40年前だと当時を生々しく知っている人が多いために「微妙な古さ」になってしまって、刺さらないんだよね。
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自分を殺したいと思ってる男女7人に、自分を殺させるという聞いたことのないストーリー。すべての登場人物の人物描写が事細かで、最近のミステリ作品に慣れてしまうと、少ししつこく感じてしまった。
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最序盤にて、犯行の方法も、動機も、被害者の隠していた過去も明かすという思い切った作品。なんならば、加害者の犯行そのものが、被害者により誘導されたものであるという、謎解きの目玉にもなりうる事実を惜しげもなく本人の語りで開陳していくスタイルでまず引き込まれる。 なぜ7人が同時に1人を殺せたのか?犯人たちに迫る謎の影は誰か?というところでミステリを展開していて読ませる文章。 如何せんすぐに謎が読めてしまうのと、レイ子が例の6人に対し逆恨みが過ぎるのではないかと思ってしまう点が引っかかるものの、最後まで楽しめた。
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「レイ子を殺したのは自分だ」と信じる7人の男女。 謎は大きいが、トリック自体は意外と単純。 だが、7人それぞれの視点から自分が殺した理由などを語っていくという中弛みしそうな構成ながら、ここまで読者を惹きつける文章力はさすが。 連城さんの文章の美しさの欠片がようやく理解できたかも...
「レイ子を殺したのは自分だ」と信じる7人の男女。 謎は大きいが、トリック自体は意外と単純。 だが、7人それぞれの視点から自分が殺した理由などを語っていくという中弛みしそうな構成ながら、ここまで読者を惹きつける文章力はさすが。 連城さんの文章の美しさの欠片がようやく理解できたかもしれない。
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「私という名の変奏曲」 犯人は誰だ? 人気と美貌を持つ23歳。愛くるしい笑顔に可憐な美声を持ち、世界的なファッションモデルに駆け上がった美織レイ子。一方で、傲慢でわがままで二重人格。悪魔に人間らしさ全てを売り払ったような娘。カメラマン、女性デザイナー、新進デザイナー、若社長、...
「私という名の変奏曲」 犯人は誰だ? 人気と美貌を持つ23歳。愛くるしい笑顔に可憐な美声を持ち、世界的なファッションモデルに駆け上がった美織レイ子。一方で、傲慢でわがままで二重人格。悪魔に人間らしさ全てを売り払ったような娘。カメラマン、女性デザイナー、新進デザイナー、若社長、ファッションモデル、ディレクター。彼らはレイ子を殺したいほど憎んでいると彼女自身が名指しした。しかし、残り1名はまだ名前を明かせないと言う。そんな意味深なメッセージを発した後、レイ子が死んでしまう。 とすると、犯人は誰だ?となる訳だが、捜査線上に浮かんだ7人皆が自分がレイ子を殺したと思い込んでいる。犯人は誰が?から、どうやって7人が同じ人間を殺せるのか?、に変わっていく。作者のことばにはこうある。 他の多くのミステリーと同じように、この物語でも殺人事件が起こります。しかし、普通のミステリーでは最後まで隠しておいた方が良いことが、この作品では第1章で明かされています。事件は他殺と自殺が同時に起こっていて、加害者と被害者の二重奏とも言うべきものかもしれません。その重要な真相の一部が最初から読者に提示されています。 もう一つ、この物語には、確かに女主人を死に至らしめた犯人と言える人物が存在していますが、それが登場人物のうちの誰なのか、作者自身が知らずにいます。従って、この作品には犯人の章がありません。2つのルールを破って、それでも謎があり、解決があるミステリーを書くことが可能か。それに挑んでみたかったのです。 ミステリファンであれば惹きつけ力間違いなしな設定であり、どうやって7人が同じ人間を殺せるのか?の謎が解決されていく。ここが普通のミステリーとは毛色が違う。 一方でレイ子の動機には腹落ちしない部分がある。自らを落とし込めた相手に復讐する計画であるが、一部に関しては、自らが傲慢わがままを振りかざして好き勝手やっているように思える。 例えば、歌を歌いたくなかった(それ相応の理由がある)のに歌手デビューさせられたとあるが、レイ子自身はたまにはノリノリだったのだ。気分屋色があったからしょうがないのかも知れないが、それまで自分を貶めたと言うのは無理があるだろう(後半に判明する事実からするともしかしたら〇〇がやっていたから、とも思うが、だとしたら、別の復讐の理由が必要になるな)。 84年に既にこのようなタイプのミステリーが創作されていたとは!となるミステリー。
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レイ子に翻弄される人々を描いたミステリ。読者である私も翻弄され、真相に驚き、楽しめました。 かつて整形手術を受けさせられ、トップモデルに駆けあがり、殺されたレイ子。そんな中で、彼女の元夫が自殺をし、遺書でレイ子を殺したと自白していたのです。しかしレイ子に関わっていた他の六人、それ...
レイ子に翻弄される人々を描いたミステリ。読者である私も翻弄され、真相に驚き、楽しめました。 かつて整形手術を受けさせられ、トップモデルに駆けあがり、殺されたレイ子。そんな中で、彼女の元夫が自殺をし、遺書でレイ子を殺したと自白していたのです。しかしレイ子に関わっていた他の六人、それぞれにレイ子を殺した記憶があるのです。 七人の章に分かれ、それぞれのレイ子殺しのシーンが描かれます。繰り返される凄惨なシーンと疑問が膨れ上がる中で、レイ子の人間関係が浮かび上がり、真相の衝撃といった緩急が気持ちよい作品です。
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ドラマを観てなかなか良かったので読んでみる。 7人が美織レイ子を殺したと言っている。でもそんなはずはなく、一人一人の告白によって真相が明らかになっていく。 結局、結末は知ってるのでハラハラすることはなかったけど、レイ子が使ったトリックは文章だけだと分かりづらいのでドラマ観てて良かったと思った。コンセプトやら構成やらは面白いと思ったんだけど、なぜかなかなか読み進められず、てこづった。
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ごく最近,天海祐希主演でドラマ化された作品。もともとは,なんと1984年の作品。連城三紀彦の作品は古びれないということか。 世界的なファッションモデルとして活躍している美織レイ子を殺す動機を持っている7人の男女。この7人の男女は,全員が「美織レイ子を殺したのは自分だ」と信じている。 連城三紀彦がこの作品を紹介したことばとして,解説に以下のように書かれている。 「事件は,他殺と自殺が同時に起こっていて,加害者と被害者の二重奏ともいうべきものかもしれません。その重要な真相の一部が,最初から読者に提示されています。」,「この物語には,確かに女主人を死にいたらしめた犯人と言える人物が存在していますが,それが登場人物のうち誰なのか,作者自身がしらずにいます。従って,この作品には”犯人”の章がありません」,「二つのルールを破って,それでも,謎があり,解決があるミステリーを書くことが可能か。-それに挑んでみたかったのです。」 この紹介文を見ただけで,読みたくなってしまう秀逸な紹介文でが,ここに書かれている内容は全て真実。実際に,美織レイ子に毒を飲ませた人物が7人のうち誰かは分からない。犯行シーンと美織レイ子が仕掛けた罠については最初から書かれている。それでも,もう一つの罠,共犯者である笠原信雄の存在が隠されているので,「18章 共犯者」の章で笠原信雄の存在と,美織レイ子の代わりに死体役を務めた「石上美子」の存在が隠されているので,「謎」と「驚愕の真相」が浮かび上がってくる。 プロットが実に見事な作品であり,叙述トリックも非常に見事に使われているとても「よくできた作品」だと思う。よって,玄人筋,ミステリー作家の評価はとても高い。 個人的な好みとしては,そこまで印象に残らなかったし,登場人物にもそれほど魅力を感じることができず,そこまで「驚愕な真相」とも思えなかった。連城三紀彦の作品は,どれも評価が高く,よくできた作品だと思うが,個人的には好みから少しずれている。この作品の個人的な評価は★3。連城三紀彦の作品は,もっと時間が経ち,もっと歳をとってから読めば,また,評価も変わるかもしれない。
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なんとも奇妙で、読めば読むほどぐるぐるしてしまうミステリ。でも真相が分かってみると、謎はすっきり解けました。そして端麗で凄絶な雰囲気が印象的な一冊です。 七人の人間がそれぞれ自分が犯人だと自覚しているにもかかわらず、殺されたのは一人、というなんとも不可思議な状況。そして七人に自分...
なんとも奇妙で、読めば読むほどぐるぐるしてしまうミステリ。でも真相が分かってみると、謎はすっきり解けました。そして端麗で凄絶な雰囲気が印象的な一冊です。 七人の人間がそれぞれ自分が犯人だと自覚しているにもかかわらず、殺されたのは一人、というなんとも不可思議な状況。そして七人に自分を殺すよう仕向けていた魔性の美女。分かってみるとこの「復讐」はあまりにも悲しく凄まじく。それでもとても魅力的だなあ。
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「私は7人の男女に7回殺される」という書店の紹介に惹かれ、目次を見た時に「誰か」というタイトルが並んでいることに惹かれ即決で買った本。 読み進めて行くうちに登場人物達が巻き起こしていく事件の世界に夢中になれた。 また、タイトルが「誰か」となっているためにすぐに名前は出てこず、これ...
「私は7人の男女に7回殺される」という書店の紹介に惹かれ、目次を見た時に「誰か」というタイトルが並んでいることに惹かれ即決で買った本。 読み進めて行くうちに登場人物達が巻き起こしていく事件の世界に夢中になれた。 また、タイトルが「誰か」となっているためにすぐに名前は出てこず、これは一体7人のうちの誰なのか考え、読み進め、わかった時の驚きはとても爽快であった。 だが…欲を言うなれば、トリックはわかったものの、全てが終わっていない。これまで完璧に奏でていた奏者がいきなり曲の途中でステージを降りたような虚しい驚愕が残ったまま。私はまさに、どよめきが残る会場に取り残された客の一人となってしまった。 作者にはこの変奏曲の終幕をしっかりとおろして欲しかったと思う。
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