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蔦屋 の商品レビュー

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29件のお客様レビュー

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2024/10/18
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

本屋さんをぶらぶらしていて見つけたこちらの本。 円地文子さん訳の「源氏物語」が好きだった私は、今年の大河ドラマ「光る君へ」も楽しく視聴していますが、来年の「べらぼう」もとても楽しみ! 今から歴史に弱い私は蔦重関連の本やドラマで予習中。 本著は特に原作という訳ではないけれど、登場人物が多くなくてわかりやすかったし、話しも面白かった。 大河のキャスト通り蔦重は横浜流星さん、歌麿は染谷将太さんを読みながらイメージしてしまいましたが、この物語の中では本当にぴったりだった。(特に蔦重が喪服である白の長襦袢・黒の着物を着るシーンは想像したら似合う〜と思ってしまいました笑) 喜三二は尾美としのりさんではなくなぜか浅香航大さんが出てきてしまいましたが…。すみません、尾美さん。 蔦重、蔦屋重三郎は実在した人だけれど、この本を読むとただただ優しく愛おしく、やり手だ。そして愛妻家。 実際はもっと豪快な人物だったようだが、とても繊細に描かれていたように思う。 私は常々、手に職を持った人や音楽や絵画など芸術に優れた人に憧れてしまうが(自分があまりに凡人過ぎて)、彼はどうだっただろうか。自分の才能はプロデュースだと自覚していたのだろうか。 吉原の内と外をなくしたいという強い気持ちが、その才を更に高みへと、そして人との繋がりが成功へと導いていった。 戯曲を書かなくても絵筆を持たなくても、人が好きで人に好かれて幸せだっただろうと思う内容だった。 でも、ただただ江戸の商人の明るいエンタメだけという訳ではなく、それに幕府も関わってくると、松平定信の辺りは特に現実にあったことなんだと改めて思ってしまう。 恋川春町の史実は悲しく切なく、重い。 歴史に疎い私はもちろん知らなかったから。 最後の、歌麿が過去を回想していく章も良かった。 なぜ小兵衛の店にやってきたのか、なぜ吉原の株を手放してでも日本橋の店を続けたかったのか。 なぜ…を紐解けば、若き重三郎が大切に抱えて吉原に帰ってくる本は…。当時から質の良い物と質の良い仕事を見分けるセンスはあったのだろう。 きっと彼は絵師にも戯曲書きにも憧れてはいなかった。 憧れはもう既にいたのだから。 そんな人とひとつ屋根の下、一緒に地本問屋として一生を過ごせたのは、吉原のお座敷遊びよりも贅沢な時間だったろうと思う。幸せの本質がわかる人は強い、カッコ良い。粋だ。 現世の薄っぺらな世の中に喝を入れて欲しくなる。 11/8に谷津矢車さんの「憧れ写楽」という新作も出るようなので、楽しみに待ちたいと思う。 光る君へも終わって欲しくないが、べらぼうもとても楽しみになった作品でした。

Posted byブクログ

2024/09/19

天狼院書店さんの開帳されている秘本、3冊目。 これが一番読みたかった。 ちょうど大河のタイミングもあったし。 多少なりとも時代小説を読んでいたので、現代語で喋る登場人物たちに、逆に最初は違和感があった。 ここは、以前米澤穂信さんも、黒牢城で言及していたところだけど… 思ったよ...

天狼院書店さんの開帳されている秘本、3冊目。 これが一番読みたかった。 ちょうど大河のタイミングもあったし。 多少なりとも時代小説を読んでいたので、現代語で喋る登場人物たちに、逆に最初は違和感があった。 ここは、以前米澤穂信さんも、黒牢城で言及していたところだけど… 思ったよりはサラサラ読めた作品。

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2023/06/03

豊仙堂(ほうせんどう)丸屋小兵衛(まるや こへえ)が経営の傾いた日本橋の地本問屋を畳もうとした時、一人の若者が店を買わせてくれ、とやって来た。 そして、あんたをまだ隠居させるつもりはない。本当は本屋をやめたくないのでしょう?一緒にやりましょう、と言った。 それが、蔦屋重三郎(つた...

豊仙堂(ほうせんどう)丸屋小兵衛(まるや こへえ)が経営の傾いた日本橋の地本問屋を畳もうとした時、一人の若者が店を買わせてくれ、とやって来た。 そして、あんたをまだ隠居させるつもりはない。本当は本屋をやめたくないのでしょう?一緒にやりましょう、と言った。 それが、蔦屋重三郎(つたや じゅうざぶろう)。 この時から、丸屋小兵衛の、蔦屋重三郎に振り回される日々が始まった。 重三郎の発想が常に新しい。 まず、小兵衛の日本橋の店を買うのに、まだ金が無いから分割で、年間二十両あなたが死ぬまで払い続けますよ、と言う。 小兵衛が何年生きるかによって、支払う金額が変わってしまうがそれでいいと言うのだ。 それはあなたへの給金です、と言って、店主ごと買い取ってしまう。 こんな発想、誰がするだろうか。 重三郎がこの店と店主に並々ならぬ思い入れがあったことは後に分かるが・・・ 重三郎はビジネスの仔細を小兵衛には明かさず、常にサプライズとして公表する。 「なんで隠していたんだ!」となじる小兵衛に「だってその方が面白いでしょう?」と笑う重三郎。 後から思い返すと、重三郎、どんだけ小兵衛さんが好きなんだ!?って。 しかし順調な日々は長くは続かず、老中松平定信の政策により厳しい出版統制が始まり、戯作者が、絵師が、本屋が、次々と折れていった。 終わり良ければすべて良しのエピローグだった。 重三郎と小兵衛、そして歌麿の物語は、極彩色の夢を見ているようだった。

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2023/05/18

我が推しが主演する2025年の大河ドラマ 「べらぼう~蔦重栄華乃夢噺(つたじゅうえいがのゆめばなし)~」で取り上げられる蔦屋重三郎の予習として読んでみた 吉原で成功するまでは省略されていて、日本橋以降のお話、こんな人達がいたから今の本やエンタメやいろいろがあるのかなと思いながら...

我が推しが主演する2025年の大河ドラマ 「べらぼう~蔦重栄華乃夢噺(つたじゅうえいがのゆめばなし)~」で取り上げられる蔦屋重三郎の予習として読んでみた 吉原で成功するまでは省略されていて、日本橋以降のお話、こんな人達がいたから今の本やエンタメやいろいろがあるのかなと思いながら読みました 本の出版に政治の力が働く言論統制のところはなんか熱かった(心の中で図書館戦争なんかを思い出したりしながら) 蔦重とその周りの作家、絵師達との関係や出来事なんかは割とさらり描かれているところも多いので妄想キャスティング出来る程の情報量は得られなかったけど、話の流れはわかったので予習第一弾としてはまずまずかなw

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2021/10/22

今勢いのある若手時代小説家ということで、谷津矢車さんに手を出してみました。 本書は江戸時代における綺羅星のような戯作者・絵師達を世に送り出した、敏腕出版プロデューサー・蔦谷重三郎が題材ということもあって、これは鉄板でしょ。と、かなりハードルを上げて読み始めました。 日本橋にある...

今勢いのある若手時代小説家ということで、谷津矢車さんに手を出してみました。 本書は江戸時代における綺羅星のような戯作者・絵師達を世に送り出した、敏腕出版プロデューサー・蔦谷重三郎が題材ということもあって、これは鉄板でしょ。と、かなりハードルを上げて読み始めました。 日本橋にある、経営難の地本問屋の主人・小兵衛と、小兵衛の店を買い取りにきた重三郎の出会いから始まり、話は小兵衛目線で進んでいきます。 若かりし喜多川歌麿(優助)はじめ、山東京伝、太田南畝、そして恋川春町らとの交流は興味深く、老中・松平定信の質素倹約令による締め付けで、前述の作家達が次々と心折れていく様は胸が痛みました。特に春町さんのくだりは切なかったです。 そんな“お上”からの弾圧に負けじと、“江戸の民が楽しいと思える出版物を出したい”という姿勢をつらぬく重三郎。昔馴染みの歌麿とも疎遠になってしまい、ピンチの時に見出したのが、東洲斎写楽でした。 この写楽のくだりは、重三郎が起死回生をはかる山場的な部分なのに、割とあっさりしていて拍子抜けでした。 実は終盤まで、「設定はいいのに、展開が淡泊だなー・・期待しすぎたかなぁ」と思いながら読んでいたのですが、第六章後半部分、そう、歌麿視点の語りになってから、急にキャラが生き生きしだした印象で、ここからエピローグまでは面白かったです。「遅いよ!」という感じですが、ま、終わり良ければ総て良しということですかねー。

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2021/03/17

何かしらのエンターテイメントを愛する人なら、蔦屋重三郎の夢と意地にきっと感じ入るものがあるはず。 何かあればすぐ表現規制が叫ばれる今、すごくリアリティを感じる展開だった(作り話じゃなくて、江戸時代に実際いた人たちの話なのにね) 「何かを為したい・残したい」という気持ちは昔も今も変...

何かしらのエンターテイメントを愛する人なら、蔦屋重三郎の夢と意地にきっと感じ入るものがあるはず。 何かあればすぐ表現規制が叫ばれる今、すごくリアリティを感じる展開だった(作り話じゃなくて、江戸時代に実際いた人たちの話なのにね) 「何かを為したい・残したい」という気持ちは昔も今も変わらないもの。視点人物の小兵衛が現代人でも共感できる人物だからこそ、突飛で行動力のある重三郎も活きる。 自分も後の誰かの記憶に残る仕事を為したいな……なんて気持ちになれる読後感でした。

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2018/11/15

蔦屋の名前の由来ともなっている、蔦屋重三郎の人生を、丸屋小兵衛という第三者の目で語ったている。 彼の考えを肌で感じられるような、ぐいぐい読ませる文章です。 最後の盛り上がりが(# ̄З ̄)ひとつほしかったけど、現状でも十分に、★5です。 普段時代物は読みませんが、お店のおすすめで気...

蔦屋の名前の由来ともなっている、蔦屋重三郎の人生を、丸屋小兵衛という第三者の目で語ったている。 彼の考えを肌で感じられるような、ぐいぐい読ませる文章です。 最後の盛り上がりが(# ̄З ̄)ひとつほしかったけど、現状でも十分に、★5です。 普段時代物は読みませんが、お店のおすすめで気になって手に取りました。 たまには、全くちがうジャンルのものにも手を出すべきですね☺️ 読んでよかったです!

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2018/09/25

某有名書店にてタイトルが隠されて販売されていたオススメ本。 前回読んだ「橋を渡る」が正直イマイチだったので、もう一冊だけと思い購入。 今度は「一番のヤツを」と選んでもらった作品。 時代物だが、文章は現代語で読みやすい。 舞台が「江戸・吉原」となっている、通常の小説という印象。 ...

某有名書店にてタイトルが隠されて販売されていたオススメ本。 前回読んだ「橋を渡る」が正直イマイチだったので、もう一冊だけと思い購入。 今度は「一番のヤツを」と選んでもらった作品。 時代物だが、文章は現代語で読みやすい。 舞台が「江戸・吉原」となっている、通常の小説という印象。 うーん、確かに面白い作品ではあったけど… どうしても枕言葉に「これを読まないと人生損する」があるので、そこまで言われると…という感覚。 ちょっとあれだな、店員さんがハードル上げ過ぎな気がする(笑) 小兵衛の悩み「自分は何か残せたか?」にはとても共感できた。 今もずっとその疑問を抱きながら生きているし、きっとこれからもそうなんだろうなと。 仕事、家族、友人…自分にもその答えが見つかる日が来るのかな? <印象に残った言葉> ・人はそう変わらない。人間は色を好む。そしてそれと同じくらい、金を好み絵空事の物語や絵を好む。このどうしようもない世の中から逃げ出したい人々が物語や絵を見やって溜飲を下げるのは摂理のようなものだ。それを否定するなんて誰にもできはしない。(P253 小兵衛) ・絵師や戯作者たちは、目を輝かせながら何かを作っている。そして、そうして作られたものは、その作者が死んでもなお江戸中に出回る。そんな連中と一緒に仕事をする版元だからこそ、何かを残すことのできる絵師や戯作者たちが眩しい。いや、眩しいというよりは、自分の影の昏さに気づかされてしまう。俺は、何を残したのだろう。これまで生きてきた俺は、何か意味のあることを為したんだろうか。そんな思いが、小波のように押し寄せてくる。(P310 小兵衛) ・俺の版元としての人生は、無駄じゃあなかったか。何も作ってこなかった。そうかもしらない。だが、小兵衛の仕事は重三郎との縁を作った。そして、重三郎が江戸の戯作を、街の色を塗り替えていった。もちろん、それはあくまでも重三郎の功績であって小兵衛の仕事ではない。でも、小兵衛にとってはそれで十分だった。墓碑銘に彫れるような功績は何もない。だが、あの世に持って行って閻魔様に自慢できるだけのものをようやく見つけた、そんな気分だった。(P349) <内容(「Amazon」より)> 新しいものを作りたい。吉原から江戸を驚かせたい! 吉原に生まれ育ち、吉原ガイド本を当てた蔦屋重三郎。若き野心家の版元は、喜多川歌麿、東洲斎写楽らを売り出し、アイデアと人脈で江戸の出版界に旋風を巻き起こす。だが、寛政の改革による幕府の出版規制が始まり、盟友の作家が自害に追い込まれてしまう。幕府に屈して言論・出版を控えるのか、出版の灯を守るのか……。蔦屋重三郎の新たな戦いが始まる! 歌麿・写楽を世に出した、江戸の敏腕プロデューサー・蔦屋重三郎の型破りな半生を、デビュー作『洛中洛外画狂伝 狩野永徳』で各方面より高い評価を得た期待の新鋭が描いた長編歴史小説。

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2018/08/09

これは拾いものだった。 蔦重は、ずっと気になっていた人物。 脇役では、顔を出すこともあったけれど、彼を主人公にしている作品は初めて。 とても面白かった。 歴史小説とまでは言えないけれど、ただの時代物とも違う。 日本の出版文化の黎明期。 だからこそ、そこにかける人々の思いは熱いし、...

これは拾いものだった。 蔦重は、ずっと気になっていた人物。 脇役では、顔を出すこともあったけれど、彼を主人公にしている作品は初めて。 とても面白かった。 歴史小説とまでは言えないけれど、ただの時代物とも違う。 日本の出版文化の黎明期。 だからこそ、そこにかける人々の思いは熱いし、出版の持つ純粋な力を感じることもできる。 物事が発展していく時の清濁入り交じった上昇感。いいなあ。 同業者であり、先輩であり、雇い人でもある小兵衛の視点で描いていくというところも良かった。

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2018/05/30

江戸って本当に情熱的で、人間的! この時代の本屋さんが頑張ってくれたから、今の本屋さんがあるんだなぁ。と、しみじみでした。 実際にいた人物だから、余計に心に残った。 小兵衛さん、みんなのお父さんみたいで、素敵な存在でした!

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