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蔦屋 の商品レビュー

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27件のお客様レビュー

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2023/06/03

豊仙堂(ほうせんどう)丸屋小兵衛(まるや こへえ)が経営の傾いた日本橋の地本問屋を畳もうとした時、一人の若者が店を買わせてくれ、とやって来た。 そして、あんたをまだ隠居させるつもりはない。本当は本屋をやめたくないのでしょう?一緒にやりましょう、と言った。 それが、蔦屋重三郎(つた...

豊仙堂(ほうせんどう)丸屋小兵衛(まるや こへえ)が経営の傾いた日本橋の地本問屋を畳もうとした時、一人の若者が店を買わせてくれ、とやって来た。 そして、あんたをまだ隠居させるつもりはない。本当は本屋をやめたくないのでしょう?一緒にやりましょう、と言った。 それが、蔦屋重三郎(つたや じゅうざぶろう)。 この時から、丸屋小兵衛の、蔦屋重三郎に振り回される日々が始まった。 重三郎の発想が常に新しい。 まず、小兵衛の日本橋の店を買うのに、まだ金が無いから分割で、年間二十両あなたが死ぬまで払い続けますよ、と言う。 小兵衛が何年生きるかによって、支払う金額が変わってしまうがそれでいいと言うのだ。 それはあなたへの給金です、と言って、店主ごと買い取ってしまう。 こんな発想、誰がするだろうか。 重三郎がこの店と店主に並々ならぬ思い入れがあったことは後に分かるが・・・ 重三郎はビジネスの仔細を小兵衛には明かさず、常にサプライズとして公表する。 「なんで隠していたんだ!」となじる小兵衛に「だってその方が面白いでしょう?」と笑う重三郎。 後から思い返すと、重三郎、どんだけ小兵衛さんが好きなんだ!?って。 しかし順調な日々は長くは続かず、老中松平定信の政策により厳しい出版統制が始まり、戯作者が、絵師が、本屋が、次々と折れていった。 終わり良ければすべて良しのエピローグだった。 重三郎と小兵衛、そして歌麿の物語は、極彩色の夢を見ているようだった。

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2023/05/18

我が推しが主演する2025年の大河ドラマ 「べらぼう~蔦重栄華乃夢噺(つたじゅうえいがのゆめばなし)~」で取り上げられる蔦屋重三郎の予習として読んでみた 吉原で成功するまでは省略されていて、日本橋以降のお話、こんな人達がいたから今の本やエンタメやいろいろがあるのかなと思いながら...

我が推しが主演する2025年の大河ドラマ 「べらぼう~蔦重栄華乃夢噺(つたじゅうえいがのゆめばなし)~」で取り上げられる蔦屋重三郎の予習として読んでみた 吉原で成功するまでは省略されていて、日本橋以降のお話、こんな人達がいたから今の本やエンタメやいろいろがあるのかなと思いながら読みました 本の出版に政治の力が働く言論統制のところはなんか熱かった(心の中で図書館戦争なんかを思い出したりしながら) 蔦重とその周りの作家、絵師達との関係や出来事なんかは割とさらり描かれているところも多いので妄想キャスティング出来る程の情報量は得られなかったけど、話の流れはわかったので予習第一弾としてはまずまずかなw

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2021/10/22

今勢いのある若手時代小説家ということで、谷津矢車さんに手を出してみました。 本書は江戸時代における綺羅星のような戯作者・絵師達を世に送り出した、敏腕出版プロデューサー・蔦谷重三郎が題材ということもあって、これは鉄板でしょ。と、かなりハードルを上げて読み始めました。 日本橋にある...

今勢いのある若手時代小説家ということで、谷津矢車さんに手を出してみました。 本書は江戸時代における綺羅星のような戯作者・絵師達を世に送り出した、敏腕出版プロデューサー・蔦谷重三郎が題材ということもあって、これは鉄板でしょ。と、かなりハードルを上げて読み始めました。 日本橋にある、経営難の地本問屋の主人・小兵衛と、小兵衛の店を買い取りにきた重三郎の出会いから始まり、話は小兵衛目線で進んでいきます。 若かりし喜多川歌麿(優助)はじめ、山東京伝、太田南畝、そして恋川春町らとの交流は興味深く、老中・松平定信の質素倹約令による締め付けで、前述の作家達が次々と心折れていく様は胸が痛みました。特に春町さんのくだりは切なかったです。 そんな“お上”からの弾圧に負けじと、“江戸の民が楽しいと思える出版物を出したい”という姿勢をつらぬく重三郎。昔馴染みの歌麿とも疎遠になってしまい、ピンチの時に見出したのが、東洲斎写楽でした。 この写楽のくだりは、重三郎が起死回生をはかる山場的な部分なのに、割とあっさりしていて拍子抜けでした。 実は終盤まで、「設定はいいのに、展開が淡泊だなー・・期待しすぎたかなぁ」と思いながら読んでいたのですが、第六章後半部分、そう、歌麿視点の語りになってから、急にキャラが生き生きしだした印象で、ここからエピローグまでは面白かったです。「遅いよ!」という感じですが、ま、終わり良ければ総て良しということですかねー。

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2021/03/17

何かしらのエンターテイメントを愛する人なら、蔦屋重三郎の夢と意地にきっと感じ入るものがあるはず。 何かあればすぐ表現規制が叫ばれる今、すごくリアリティを感じる展開だった(作り話じゃなくて、江戸時代に実際いた人たちの話なのにね) 「何かを為したい・残したい」という気持ちは昔も今も変...

何かしらのエンターテイメントを愛する人なら、蔦屋重三郎の夢と意地にきっと感じ入るものがあるはず。 何かあればすぐ表現規制が叫ばれる今、すごくリアリティを感じる展開だった(作り話じゃなくて、江戸時代に実際いた人たちの話なのにね) 「何かを為したい・残したい」という気持ちは昔も今も変わらないもの。視点人物の小兵衛が現代人でも共感できる人物だからこそ、突飛で行動力のある重三郎も活きる。 自分も後の誰かの記憶に残る仕事を為したいな……なんて気持ちになれる読後感でした。

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2018/11/15

蔦屋の名前の由来ともなっている、蔦屋重三郎の人生を、丸屋小兵衛という第三者の目で語ったている。 彼の考えを肌で感じられるような、ぐいぐい読ませる文章です。 最後の盛り上がりが(# ̄З ̄)ひとつほしかったけど、現状でも十分に、★5です。 普段時代物は読みませんが、お店のおすすめで気...

蔦屋の名前の由来ともなっている、蔦屋重三郎の人生を、丸屋小兵衛という第三者の目で語ったている。 彼の考えを肌で感じられるような、ぐいぐい読ませる文章です。 最後の盛り上がりが(# ̄З ̄)ひとつほしかったけど、現状でも十分に、★5です。 普段時代物は読みませんが、お店のおすすめで気になって手に取りました。 たまには、全くちがうジャンルのものにも手を出すべきですね☺️ 読んでよかったです!

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2018/09/25

某有名書店にてタイトルが隠されて販売されていたオススメ本。 前回読んだ「橋を渡る」が正直イマイチだったので、もう一冊だけと思い購入。 今度は「一番のヤツを」と選んでもらった作品。 時代物だが、文章は現代語で読みやすい。 舞台が「江戸・吉原」となっている、通常の小説という印象。 ...

某有名書店にてタイトルが隠されて販売されていたオススメ本。 前回読んだ「橋を渡る」が正直イマイチだったので、もう一冊だけと思い購入。 今度は「一番のヤツを」と選んでもらった作品。 時代物だが、文章は現代語で読みやすい。 舞台が「江戸・吉原」となっている、通常の小説という印象。 うーん、確かに面白い作品ではあったけど… どうしても枕言葉に「これを読まないと人生損する」があるので、そこまで言われると…という感覚。 ちょっとあれだな、店員さんがハードル上げ過ぎな気がする(笑) 小兵衛の悩み「自分は何か残せたか?」にはとても共感できた。 今もずっとその疑問を抱きながら生きているし、きっとこれからもそうなんだろうなと。 仕事、家族、友人…自分にもその答えが見つかる日が来るのかな? <印象に残った言葉> ・人はそう変わらない。人間は色を好む。そしてそれと同じくらい、金を好み絵空事の物語や絵を好む。このどうしようもない世の中から逃げ出したい人々が物語や絵を見やって溜飲を下げるのは摂理のようなものだ。それを否定するなんて誰にもできはしない。(P253 小兵衛) ・絵師や戯作者たちは、目を輝かせながら何かを作っている。そして、そうして作られたものは、その作者が死んでもなお江戸中に出回る。そんな連中と一緒に仕事をする版元だからこそ、何かを残すことのできる絵師や戯作者たちが眩しい。いや、眩しいというよりは、自分の影の昏さに気づかされてしまう。俺は、何を残したのだろう。これまで生きてきた俺は、何か意味のあることを為したんだろうか。そんな思いが、小波のように押し寄せてくる。(P310 小兵衛) ・俺の版元としての人生は、無駄じゃあなかったか。何も作ってこなかった。そうかもしらない。だが、小兵衛の仕事は重三郎との縁を作った。そして、重三郎が江戸の戯作を、街の色を塗り替えていった。もちろん、それはあくまでも重三郎の功績であって小兵衛の仕事ではない。でも、小兵衛にとってはそれで十分だった。墓碑銘に彫れるような功績は何もない。だが、あの世に持って行って閻魔様に自慢できるだけのものをようやく見つけた、そんな気分だった。(P349) <内容(「Amazon」より)> 新しいものを作りたい。吉原から江戸を驚かせたい! 吉原に生まれ育ち、吉原ガイド本を当てた蔦屋重三郎。若き野心家の版元は、喜多川歌麿、東洲斎写楽らを売り出し、アイデアと人脈で江戸の出版界に旋風を巻き起こす。だが、寛政の改革による幕府の出版規制が始まり、盟友の作家が自害に追い込まれてしまう。幕府に屈して言論・出版を控えるのか、出版の灯を守るのか……。蔦屋重三郎の新たな戦いが始まる! 歌麿・写楽を世に出した、江戸の敏腕プロデューサー・蔦屋重三郎の型破りな半生を、デビュー作『洛中洛外画狂伝 狩野永徳』で各方面より高い評価を得た期待の新鋭が描いた長編歴史小説。

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2018/08/09

これは拾いものだった。 蔦重は、ずっと気になっていた人物。 脇役では、顔を出すこともあったけれど、彼を主人公にしている作品は初めて。 とても面白かった。 歴史小説とまでは言えないけれど、ただの時代物とも違う。 日本の出版文化の黎明期。 だからこそ、そこにかける人々の思いは熱いし、...

これは拾いものだった。 蔦重は、ずっと気になっていた人物。 脇役では、顔を出すこともあったけれど、彼を主人公にしている作品は初めて。 とても面白かった。 歴史小説とまでは言えないけれど、ただの時代物とも違う。 日本の出版文化の黎明期。 だからこそ、そこにかける人々の思いは熱いし、出版の持つ純粋な力を感じることもできる。 物事が発展していく時の清濁入り交じった上昇感。いいなあ。 同業者であり、先輩であり、雇い人でもある小兵衛の視点で描いていくというところも良かった。

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2018/05/30

江戸って本当に情熱的で、人間的! この時代の本屋さんが頑張ってくれたから、今の本屋さんがあるんだなぁ。と、しみじみでした。 実際にいた人物だから、余計に心に残った。 小兵衛さん、みんなのお父さんみたいで、素敵な存在でした!

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2017/07/26

歌麿の「画本虫えらみ」を、たまたま電子書籍で見つけたときは衝撃でした。虫だけでなく、草花や野菜が精緻にいきいきと描かれていて、歌麿の観察眼と写実性に驚きました。ツユクサのおしべまで描いてるし(しかも,これ版画なんだよね)。奥付けは彼の蔦重!という訳で、作中にこの本が出版(板)され...

歌麿の「画本虫えらみ」を、たまたま電子書籍で見つけたときは衝撃でした。虫だけでなく、草花や野菜が精緻にいきいきと描かれていて、歌麿の観察眼と写実性に驚きました。ツユクサのおしべまで描いてるし(しかも,これ版画なんだよね)。奥付けは彼の蔦重!という訳で、作中にこの本が出版(板)される経緯が出てきたときは、ゾクリとしました。虫好き少年のような歌麿,わっかるなあ。(狂歌はさっぱり読めなかったけど,その気で見直したら,作者名が四方赤良…とか読めるのがあった) 江戸の出版界に一代旋風を巻き起こした蔦屋重三郎の半生を、雇われ店主小兵衛(地本問屋豊仙堂の元店主)の目から描いた物語。 寛政の改革の影響は他の本でちょっと知っていたので、途中で先を読むのがつらくなりましたが、納得して読み終えました。 カバーイラストは,葛飾応為の「吉原格子先之図」を3Dにしたみたいな雰囲気

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2017/03/18

日本橋の本屋主人、小兵衛と吉原の本屋主人、重三郎による「本屋改革」の話。 蔦重の読めない言動に翻弄されつつ、時には本屋としての情熱を真っ直ぐに表現する小兵衛のやり取りとそれを取り巻く歌麿、京伝をはじめとする江戸を席巻した絵師達のやり取りが面白かった。 ストーリーに引き込まれるうち...

日本橋の本屋主人、小兵衛と吉原の本屋主人、重三郎による「本屋改革」の話。 蔦重の読めない言動に翻弄されつつ、時には本屋としての情熱を真っ直ぐに表現する小兵衛のやり取りとそれを取り巻く歌麿、京伝をはじめとする江戸を席巻した絵師達のやり取りが面白かった。 ストーリーに引き込まれるうちに、松平定信の治世における社会状況、吉原の特別な立ち位置など自然と理解することができた。 これほどまで魅力的な人々が登場人物として出て来る話はなかなかない。

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