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代償 の商品レビュー

3.5

50件のお客様レビュー

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2014/08/08

この社会に悪人はいる。そして、そいつは、自分の行っていることが、悪だと認識すらしていないかもしれない。 平凡なひとりの小学生が、そいつに狙われた。そして、子供時代をめちゃめちゃに破壊された。 大人になってそいつに再会し、また人生をめちゃめちゃに破壊されかけたが、ぎりぎりのところ...

この社会に悪人はいる。そして、そいつは、自分の行っていることが、悪だと認識すらしていないかもしれない。 平凡なひとりの小学生が、そいつに狙われた。そして、子供時代をめちゃめちゃに破壊された。 大人になってそいつに再会し、また人生をめちゃめちゃに破壊されかけたが、ぎりぎりのところで踏みとどまって戦った話。 日本の社会にも犯罪者はいる。 報道されている事件をみるだけでも、とても多くの人間を殺めて、のうのうと暮らし、そして最後に自殺したりする異常な(?)犯罪者。それは、ひとりだけ、一回きりではなく、何度もそんな報道が繰り返されていく。 一部の平和主義者は言う。すべての武器を捨てて、相手の善意を信じるべきだと。 私は、そうは思わない。悪人はいる。そして、彼は自分が悪をなしていることすら認識していないかもしれないから。 悪が自分に向けられない限りそれを悪と認識しないから、善意のまま悪を行うものがいる。 そんなことを思いながら、本書を読んだ。

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2014/06/22

ごく平凡で幸せな生活を送っていたはずの主人公。だが親戚の少年・達也との出会いから、彼の人生は転落してしまう。その前半のストーリーはあまりに過酷で、読むのがつらいほど。だけど続きが気になって、どんどん読み進んでしまいます。 そして後半。苦境を脱して弁護士になった主人公に弁護依頼をし...

ごく平凡で幸せな生活を送っていたはずの主人公。だが親戚の少年・達也との出会いから、彼の人生は転落してしまう。その前半のストーリーはあまりに過酷で、読むのがつらいほど。だけど続きが気になって、どんどん読み進んでしまいます。 そして後半。苦境を脱して弁護士になった主人公に弁護依頼をしたのは、達也。とある事情から依頼を断れない主人公と、彼を弄ぶような態度をとる達也。事件の真相、そして達也の目的はなんなのか。圧倒的なリーダビリティで一気読みでした。 主人公の頑張る姿と彼を支える友人の姿が素敵で、応援したくなるのですが。達也の悪辣っぷりもこれはこれでまた魅力的かも。圧倒的な「悪」であるがゆえに、タイトルでもある「代償」がどう絡んでくるのか、読みどころです。

Posted byブクログ

2014/06/22
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

前半の主人公の不幸と、全編にわたる犯人の狡猾さが酷すぎて、 読んでいて不快で途中でやめようかと思いました。 後半、ぐんぐん「すかっ」とする展開になるかと思いきや、 最後の最後にやっと、という感じで、 私はこの手の小説は苦手だなーというのが、読み終わったところでの感想です。 小説としての面白さは★4かもしれないのですが。

Posted byブクログ

2014/06/13

井岡さんの新作。両親の死により代理人になった母親の従姉妹とその義理の息子により、虐げられた生活を送っていた主人公。虐待によって思考を停止させていた主人公は、唯一の楽しみの読書をきっかけに親友をえる。親友の助けにより、高校卒業とともに、代理人から逃れ弁護士になった主人公に、再び親子...

井岡さんの新作。両親の死により代理人になった母親の従姉妹とその義理の息子により、虐げられた生活を送っていた主人公。虐待によって思考を停止させていた主人公は、唯一の楽しみの読書をきっかけに親友をえる。親友の助けにより、高校卒業とともに、代理人から逃れ弁護士になった主人公に、再び親子が理不尽な要求で接近する。卑劣な手段で相手を蹂躙することを楽しむ性格。最近の嫌な事件でもこんなモンスターがあらわれるけど、どうしてそんな人間が作られるのか? 前半はあんまりにも主人公がかわいそうで、理不尽さに気が滅入るけど、後半は同じ弁護士事務所の美人先輩弁護士さんとの関係や、親友と共に親子を追い詰めて行く展開にどんどん引き込まれていった。

Posted byブクログ

2014/05/27

おもしろいってなんだ?と最近少し話題に出て、嫌な気分になるけど面白い小説とか映画とかあるよなーと。 まさにこれだわ。 良心を持たない人は割とたくさんいる。こわ。

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2014/05/13

+++ 平凡な家庭の小学生・圭輔は、ある事故をきっかけに遠縁の同級生・達也と暮らすことになり、一転、不幸な境遇に陥る。寿人という友人を得て苦境を脱し、長じて弁護士となった圭輔に、収監された達也から弁護依頼が舞い込んだ“私は無実の罪で逮捕されました。どうか、お願いです。かつての友情...

+++ 平凡な家庭の小学生・圭輔は、ある事故をきっかけに遠縁の同級生・達也と暮らすことになり、一転、不幸な境遇に陥る。寿人という友人を得て苦境を脱し、長じて弁護士となった圭輔に、収監された達也から弁護依頼が舞い込んだ“私は無実の罪で逮捕されました。どうか、お願いです。かつての友情に免じて、私の弁護をしていただけないでしょうか”。裁判を弄ぶ達也、追いつめられた圭輔。事件を調べ始めた寿人は、証言の意外な綻びを見つけ、巧妙に仕組まれた罠をときほどいてゆくが―。『教室に雨は降らない』の気鋭による、クライムサスペンス! +++ 圭輔の子ども時代の物語である第一部と、長じて弁護士になってからの第二部からなる物語である。 平凡だが幸せな家庭で育った圭輔だが、遠縁だという道子と達也という親子がときどき訪ねてくるのが何となく厭な気分だった。だが次第に親子は圭輔の家庭に入り込み、ある日取り返しのつかないことが起こってしまう。火事で両親を失った圭輔は道子の家で暮らすことになり、みじめな日々が始まるのである。そんな日々のなかで、達也の常識では考えられない性向が嫌でも目に付くようになるが、逃れられないでいる圭輔だった。そんな中唯一救いだったのは、同級生の寿人であり、救い出してくれたのは、彼のおじさん夫妻だった。 弁護士になった圭輔に達也が名指しで弁護を依頼してくるまでが、圭輔にとっていちばんしあわせだったのではないだろうか。達也と再会してから、また厭な思いばかりするようになる圭輔が可哀想になってくる。だが、寿人と協力し合い、狡猾な達也のやり口を暴いたときは、胸のすく思いだったが、このままで終わらせるような達也だろうか、と不安にもなる。まったくこの世にこんなに厭な奴がいるのだろうかと思わせるほどの達也の存在が、これ以上圭輔を苦しめることがなければいいと祈るような一冊である。

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2014/05/06

悪の怪物。気分が悪くなる話し。こんなのがいたら嫌だな… 2014.5.6

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2014/04/14

気持ち悪い、嫌だ、吐き気がする。こんなことを思いながら読んだ本は初めてかも。最悪。でも、最高だった。こんな薄さなのにこんなにも厚みのある内容。感服。

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2014/03/29

読んでいる間、憎悪の炎で焼き尽くされそうだった、自分の心から吹き出す憎しみの炎に。 自分がこんなにも人を憎いと思うなんて… 可哀想とか、なんとかしてあげたいとか、そんな表面上の思いはすぐに消えてしまう、自分の心を必死でコントロールしながら読み続ける、苦しくて苦しくて苦しくて。なぜ...

読んでいる間、憎悪の炎で焼き尽くされそうだった、自分の心から吹き出す憎しみの炎に。 自分がこんなにも人を憎いと思うなんて… 可哀想とか、なんとかしてあげたいとか、そんな表面上の思いはすぐに消えてしまう、自分の心を必死でコントロールしながら読み続ける、苦しくて苦しくて苦しくて。なぜ、こんな目に遭わされねばならないのだ、なぜ、なぜ。 「正義は必ず勝つ」なんて思うほど若くはないのだけど、それでも心のどこかで信じたいと思う、このまま終わるわけがない、終わらせたくない、終わらないでくれ、正義はどこにある!と叫びながら。 この世には、ヒトの形をした悪魔がいるのだ、これは本の中の話だけではない、とふと背筋が寒くなった。 憎悪に憎悪で対するのではなく、ヒトとしての道を守ることで戦い続ける主人公にひれ伏しそうになりました。 勇気を与えてくれる一冊

Posted byブクログ

2014/03/27

読みながらどうしようもなく胸がふさがり、息が苦しくなった。目の前が暗くなり、気持ちが暗くなった。どうして、どうしてこうなってしまうのだ、と読み進めるのが辛くなる。 主人公にかろうじて平穏な日々が訪れたと思ったら、それもまた木っ端微塵に打ち砕かれてしまう。 虐待などの理不尽な暴力...

読みながらどうしようもなく胸がふさがり、息が苦しくなった。目の前が暗くなり、気持ちが暗くなった。どうして、どうしてこうなってしまうのだ、と読み進めるのが辛くなる。 主人公にかろうじて平穏な日々が訪れたと思ったら、それもまた木っ端微塵に打ち砕かれてしまう。 虐待などの理不尽な暴力にさらされ続けると、人は無気力を学ぶ。圭輔の目線で描かれているからこそ、そうなってしまう過程もまるで我が事のように心に染み入ってくるが、外部からそれを理解することは難しいだろうということもまたよくわかる。 実際、この「達也」という人物は決して自分の手を汚さない。言った言わないは常に水掛け論となるし、場の空気をある特定の方向に仕向けることなど、あとから検証することなど不可能なのだから。 もっとも恐ろしいことは、達也や道子のような人間が突然現れるわけではない、ということだ。そもそもの素質もあるだろうが、それだけで怪物のような人間になるわけではない。 ラストでわずかに読者の溜飲を下げるかのような出来事が起きるが、それですべて解決というほど簡単なものでもないことも同時に示されていて、改めて「人間の本質」について考えさせられる。 本当に重苦しく辛い物語であるが、それでも読後には一筋の希望の光が見えてほっとする。

Posted byブクログ