暗い越流 の商品レビュー
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「暗い越流」ってタイトルの通り、なんとも暗いやるせないお話5編を収録した短編集。最初と最後に葉室晶が出てきます。そういう構成の工夫や時々出てくるユーモア表現にクスッとするものの、それらは言わばぜんざいについてくる塩昆布みたいなもんで、ダークな雰囲気を一層盛り立てる小道具にすぎず… っていっても、露骨な表現等表面的に眉を潜めるような描写はなく、もっと現代人として生きてる俺たちの根底をグラグラ揺さぶるような暗さが怖い。 基本性善説で生きてる俺だけど、こういう本を読むと人間の本質には悪の要素は少なからずあることを思い出さされる。この短編集がオモロいということは、俺の心にも「暗い越流」があるってことやからねぇ。 とは言え、読み終わってもそうそうやるせなさを感じさせず、むしろ「あぁ暗かったひどかった」とかえって元気に現実に戻れる感じの妙味。さすが若竹七海上手いわ!
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若竹七海らしい後味悪さがたまらん短編集。懐かしい葉村晶ものも2編あり、無事に(?)年を重ねているのがわかったよかった。一番胸糞悪いのは、「狂酔」の<聖母の庭>のシスターかな(主人公の父親も同じくらいか)。
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5つの短編集。 「蝿男」以外はどれも、ラストに少しぞくっとさせられた。 とくにほかの話とはちょっと進行の違う「狂酔」 ・・・これってつまりはアレですよね。なんて寒くなった。 「道楽者の金庫」は、実家や祖母の家にあったこけしを思い出して、なるほど~なんて納得。ミステリーとしても楽...
5つの短編集。 「蝿男」以外はどれも、ラストに少しぞくっとさせられた。 とくにほかの話とはちょっと進行の違う「狂酔」 ・・・これってつまりはアレですよね。なんて寒くなった。 「道楽者の金庫」は、実家や祖母の家にあったこけしを思い出して、なるほど~なんて納得。ミステリーとしても楽しめた。
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短編集だがどの短編にもどこか薄暗さがあり毒があった。色々と手を変え品を変え、どんでん返しありで飽きることなく読むことができた。
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ラストの古本屋ものに出て来る海外の古典ミステリのタイトルに萌え〜!東北育ちの私にとって、どこの家にもこけしがあるのは当たり前だが、今はそうでもないのかな?家族というのは一番恐ろしい存在かも。葉村晶シリーズは続きますように。
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ずっと「潮流」って読んでた……。潮じゃなかった……。 短編集。最初に葉村さんが出てきたのでそのシリーズか! って喜んだけど、彼女が出てきたのは最初と最後だけでした。や、それでも十分、全然、全力で楽しめましたけれども。 文句なしに面白かった。久しぶりに「堪んねぇな!」って呟いたくらい。やっぱり短編を落とす技法はこのひとが一番うまいと思うわ。歌野や麻耶くんもうまいけどさ。 文体も読みやすいし、ところどころくすっと笑えるセンテンスが光ってるのも好きです。感性が同じ方向なのかもしれない。嫌味がない。そのかわりなのか、ここぞ、っていう一文はあんまりないかな。 五編とも最後のオチが素晴らしかったんだけど、これは……! って思ったのはやっぱり「狂酔」かなぁ。もうね、堪らんね、こういうオチ。大好き。 ガチの本格じゃなくてちょっとしたオチのあるミステリが読みたい人へおすすめ。 くすっと笑った抜粋。「道楽者の金庫」より。 トシをとるということは、疲労回復用の精力剤と、入浴剤と、湿布への出費が増大する、ということだ。 分かる。
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最低の死刑囚・磯崎にファンレターが届いた。その差出人の素性を調べるよう依頼された「私」は、彼女の行方が知れないことをつきとめ…。表題作含む全5編を収録。 この作家を読むのは初めてだが、英国の作家サキのように最後にグサリというのがあったり、庭には二羽にわとりがいたとサラリと書いた...
最低の死刑囚・磯崎にファンレターが届いた。その差出人の素性を調べるよう依頼された「私」は、彼女の行方が知れないことをつきとめ…。表題作含む全5編を収録。 この作家を読むのは初めてだが、英国の作家サキのように最後にグサリというのがあったり、庭には二羽にわとりがいたとサラリと書いたり、どの作品にも味があった。機会があれば長編も読んでみようと思った。 (B)
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日本推理作家協会賞を受賞した表題作を含む短編集。どの短編も予想の斜め上を行く解決の後ブラックに落としてくれます。 表題作は確かによく出来ていると思いますが、個人的には【幸せの家】と【狂酔】の方が好きです。【幸せの家】はフーダニットの謎解きとブラックなオチが巧く融合した一番著者らし...
日本推理作家協会賞を受賞した表題作を含む短編集。どの短編も予想の斜め上を行く解決の後ブラックに落としてくれます。 表題作は確かによく出来ていると思いますが、個人的には【幸せの家】と【狂酔】の方が好きです。【幸せの家】はフーダニットの謎解きとブラックなオチが巧く融合した一番著者らしい作品だと思います。 【狂酔】は掴みどころがない話がとても不気味ですし、オチの衝撃が随一。イヤミスとしてはナンバーワンだと思います。
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人間の心の闇というのか、なんともいえない読了感。ちょっとした毒が盛られた短編集だけど、後には引かないので読みやすくはある。
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葉山晶が探偵を辞めたのには驚いた。。 えええーーーー。 まあ、場所をかえて続けそうな感じではありますが。。 あんまり最近若竹さんの作品を見ないのでさびしいっす。
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