アキレウスの歌 の商品レビュー

マデリン・ミラー(著者),川副智子(訳者)

2024/03/06

春の若葉のような緑の目が僕の目をとらえた。"パトロクロス。彼らには充分譲歩した。このことで譲るつもりはない"

"君の髪は絶対にここがぺたんこにならないんだね"彼はぼくの頭にさわった。耳のすぐうしろに。"それがすごく好きだってことをまだ一度も言っていない気がする"

"わたしが死んだら彼の灰とまぜて一緒に埋めるように"

"思い出は湧き水のようにこんこんと、ぼくが押し戻せない速さで湧く。言葉ではなく夢のように現れ、雨で湿った大地の香りのように立ちのぼる"

"I could recognize him by touch alone, by smell; I would know him blind, by the way his breaths came and his feet struck the earth. I would know him in death, at the end of the world."

アガメムノンを怒らせたアキレウス、戦利品のブリセウスを譲るのは戦士としての屈辱のはずだが、アキレウスの物であるブリセウスをぞんざいに扱うなら結局非難されるのはアガメムノンであるとパトロクロスは警告する。戦線に復帰しないアキレウスに代わって戦いに挑み命を落とすパトロクロス。どうか同じ墓標にと願いながら命果てるアキレウス。

2019/08/26

名前は知っている程度の知識しかない神話ベースの物語。なのでいきなり荒唐無稽なファンタジーが挿入されるので、文章は一人称「ぼく」の視点で噛み砕いて易しいのに理解が及ばないことも…。
ブロマンス期待して読んだらガチだった。しかしスッキリしない終わりかた。結局「ぼく」は二人とも愛してしまったんでしょうね。

2019/01/29

これ隠れた傑作でしょう（米ではベストセラー）！ギリシャ神話をよく知っている人からは賞賛を受け、特にギリシャ神話好きでもない私みたいな人（アキレス腱やトロイの木馬くらいしか知らなかった）はハラハラしながら楽しく読めてしまう。これも著者の知識量と整理力、そして何よりストーリーテリング能力のなせる技かと。パトロクロス目線の文体は、激しい感情を内包しながら抑制が効いていて、ひたすら物哀しくて美しい。元の「イーリアス」をちゃんと読みたくなったし、この著者の次の作品「Circe(キルケ）」 もすでに購入した。

2016/09/08

流石は長年にわたり読み継がれてきたイリアスです。ストーリー構成が見事です。読んだ後にわだかまりが残ることもありません。主人公達が友情を超えた深い愛情で結ばれていますが、そこは女性作家ならではです。心情が丁寧に描かれていますので違和感なく読むことができました。真っ直ぐな主人公達が導かれる運命に惹かれて最後まで読む手が止まりませんでした。
私はとても好きな本です。

2014/04/20

びっくりした。腐向けとは思わんかった・・・(好むか？）

とはいえ、イリアスとか読んだ後だったらいい感じかも。