資本主義の終焉と歴史の危機 の商品レビュー
[ 内容 ] 資本主義の最終局面にいち早く立つ日本。 世界史上、極めて稀な長期にわたるゼロ金利が示すものは、資本を投資しても利潤の出ない資本主義の「死」だ。 他の先進国でも日本化は進み、近代を支えてきた資本主義というシステムが音を立てて崩れようとしている。 一六世紀以来、世界を規...
[ 内容 ] 資本主義の最終局面にいち早く立つ日本。 世界史上、極めて稀な長期にわたるゼロ金利が示すものは、資本を投資しても利潤の出ない資本主義の「死」だ。 他の先進国でも日本化は進み、近代を支えてきた資本主義というシステムが音を立てて崩れようとしている。 一六世紀以来、世界を規定してきた資本主義というシステムがついに終焉に向かい、混沌をきわめていく「歴史の危機」。 世界経済だけでなく、国民国家をも解体させる大転換期に我々は立っている。 五〇〇年ぶりのこの大転換期に日本がなすべきことは? 異常な利子率の低下という「負の条件」をプラスに転換し、新たなシステムを構築するための画期的な書! [ 目次 ] 第1章 資本主義の延命策でかえって苦しむアメリカ(経済成長という信仰;利子率の低下は資本主義の死の兆候 ほか) 第2章 新興国の近代化がもたらすパラドックス(先進国の利潤率低下が新興国に何をもたらしたのか;先進国の過剰マネーと新興国の過剰設備 ほか) 第3章 日本の未来をつくる脱成長モデル(先の見えない転換期;資本主義の矛盾をもっとも体現する日本 ほか) 第4章 西欧の終焉(欧州危機が告げる本当の危機とは?;英米「資本」帝国と独仏「領土」帝国 ほか) 第5章 資本主義はいかにして終わるのか(資本主義の終焉;近代の定員一五%ルール ほか) [ 問題提起 ] [ 結論 ] [ コメント ] [ 読了した日 ]
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新書の中に盛り込むには、盛りだくさんな内容を凝縮した著者の渾身の一冊。 著者のこれ迄の著作の主張が一本の鎖で繋がった読み応のある議論が展されている。惜しむらくは結言にあるこういう主張が成長論者の戯言に書き消されて日本がどんどん間違った方向に舵を取りつつある現状をどう変えて行けば良...
新書の中に盛り込むには、盛りだくさんな内容を凝縮した著者の渾身の一冊。 著者のこれ迄の著作の主張が一本の鎖で繋がった読み応のある議論が展されている。惜しむらくは結言にあるこういう主張が成長論者の戯言に書き消されて日本がどんどん間違った方向に舵を取りつつある現状をどう変えて行けば良いか?が見えない事であろう。
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資本主義がいま終焉を迎えているという歴史的な考察と、 その中で日本が如何にしてソフトランディングするかという政策提言からなる。 西欧で金利が認められるようになった12世紀に資本主義の起源を求め、今日の世界がゼロ金利(=利潤率ゼロ)になって来たことをもって資本主義が歴史的な終焉...
資本主義がいま終焉を迎えているという歴史的な考察と、 その中で日本が如何にしてソフトランディングするかという政策提言からなる。 西欧で金利が認められるようになった12世紀に資本主義の起源を求め、今日の世界がゼロ金利(=利潤率ゼロ)になって来たことをもって資本主義が歴史的な終焉を迎えている根拠とする。 資本それ自体の自己増殖を目的とする資本主義は、中心が周辺から富を吸い上げることにより成り立って来た。新大陸の発見や帝国主義による領土の拡張などの地理的・物的拡大による周辺の開拓が行き詰まると、IT・金融革命により仮想空間の中に新たな周辺を開拓して来た。それがすでに限界に達しているというのである。 このような状況で従来どおりの財政金融政策(アベノミクスに見る 異次元の金融緩和と公共事業など)を行っても、余剰資金がバブルを発生させて将来世代に大きなツケを払わせることになるばかりではなく、過剰な設備投資がかえって人件費を低減させ中間層の没落を生むという。グローバルな資本主義は民主主義の危機をもたらすというのである。 資本主義崩壊後の新たシステムがどのようなものになるのかは著者自身いまだ不明だという。成長至上主義が限界だというのであれば、次の時代は分配をより重視したシステムが中心になるのであろうか?また、技術革新が新たなフロンティアを拓くことにより、資本主義がしぶとく生き残るというシナリオは考えられないのだろうか?
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資本主義というシステムが限界に来つつあるということを、中世までに遡る経済界の史実を中心に著者の膨大な知識によって解説されていくスリリングな本。 基本は『資本主義とは「中心」と「周辺」から構成され、「周辺」=フロンティアを広げることで「中心」が利潤率を高めて自己資本の増殖を推進す...
資本主義というシステムが限界に来つつあるということを、中世までに遡る経済界の史実を中心に著者の膨大な知識によって解説されていくスリリングな本。 基本は『資本主義とは「中心」と「周辺」から構成され、「周辺」=フロンティアを広げることで「中心」が利潤率を高めて自己資本の増殖を推進する』システムという考えのもと、その投資先の「周辺」が既に1970年代よりもう無くなってきて、システム自体に限界が来ており、今はそのシステムを延命してるに過ぎないという主張が終始展開される。 その主張は納得で、いわゆる最後のフロンティアとされるアフリカ大陸が発展したのち、果たして何があるのかと個人的にも思っていたし、やがてガタが来るのは間違いないと思う。 個人的には最後のこの限界に来ている状況をどうソフトランディングさせていくか、というところに期待していたが、なんとなくあっさり書かれていてちょっと拍子抜けした。資本主義に変わるシステムのアイデアも、まだ考えられないとのことだし。また、『脱成長』というワードが出てたが、これは2014年の都知事戦で細川候補が唱えてたワードでもあり、個人的には興味深いが、細川氏の演説でも、また本書においてもまだ具体的な話にはなっていないような思った。 とはいえ成長しないのもダメなわけで、これまでとは違う成長をしなければならない。そんなこんなで色々資本主義ヤバイから、さぁ皆で考えよう!という感じの本なのかと。笑 勿論、大いに勉強にはなります。 個人的には、参考文献からの引用ではあるが、「富者と銀行には国家社会主義で挑むが、中間層と貧者には新自由主義で挑む」(ウルリッヒ•ベック『ユーロ消滅?』の言葉にハッとさせられた。
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資本主義というのは、常に拡大するマーケットを必要としてきた。ヨーロッパで発達した資本主義は、大陸が飽和状態になると、海洋に進出し、東インド会社、新大陸へと拡張してきた。 さらに、新興国へと拡張を続けてきたが、物理的に新たな市場を獲得することができなくなった資本主義は、電子・金融空...
資本主義というのは、常に拡大するマーケットを必要としてきた。ヨーロッパで発達した資本主義は、大陸が飽和状態になると、海洋に進出し、東インド会社、新大陸へと拡張してきた。 さらに、新興国へと拡張を続けてきたが、物理的に新たな市場を獲得することができなくなった資本主義は、電子・金融空間へと市場を広げてきた。 そして、電子・金融空間を獲得した時に、資本主義は国家の支配下には収まらなくなってしまった。 したがって、電子・金融に端を発した不況下において、単独の国家が景気を回復させるために景気刺激策を行っても、国家を超えた資本に対しては決定的な対策とはならない。 このような作者の主張は、優れた歴史の解釈であると思われ、その理論にうなずかざるを得ない。 この資本主義の終末期に、他国に先駆けて追い込まれている日本は、まだ資本主義が力を保っている間に、資本が他のなによりも優先される資本主義から、国民が優先される生存戦略へ舵をきるべきであるという提言。 専門家が書いた本ではあるが、新書としてわかりやすく書いてあり、面白くかつ将来に不安を覚える本であった。
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2014年8月に日本の10年国債は0.5%割れとなった。筆者いわく、利潤率=金利が限りなくゼロに近づいているこの状況は資本主義の死を示しているという。資本主義の死とはどういうことか。本書では、これまでの歴史を振り返り、世界各国の現状を概観しながら、資本主義の本質に迫る。16世紀イ...
2014年8月に日本の10年国債は0.5%割れとなった。筆者いわく、利潤率=金利が限りなくゼロに近づいているこの状況は資本主義の死を示しているという。資本主義の死とはどういうことか。本書では、これまでの歴史を振り返り、世界各国の現状を概観しながら、資本主義の本質に迫る。16世紀イタリアの低金利時代と現代の共通点など、非常に興味深かった。また、筆者は資本主義に代わるシステムがどうなるかわからないとしながらも、資本主義の行き過ぎを防ぐ、ソフトランディングに向けた取り組みが必要であると現状の打開策まで提示している。新書でコンパクトな内容ながら、考えさせられる内容であった。
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中身は皆さんが書いてくださってるから置いといて、 今年の新書は豊作ですがその中でも確実にBest3には入ると思います。 もう一冊候補を挙げるなら 『一神教と国家』 をあげます。
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2014/9/13読了。 テーマは、「世界中で同時に起こる低金利、低成長、金融緩和の行きつくところは、資本主義の終焉である。」という主張。 ・500年前にイタリアのジェノバで起こった金利の低下と、現在の世界情勢は酷似。 ・資本主義は中心と周辺で構成され、中心が周辺から富を吸い上...
2014/9/13読了。 テーマは、「世界中で同時に起こる低金利、低成長、金融緩和の行きつくところは、資本主義の終焉である。」という主張。 ・500年前にイタリアのジェノバで起こった金利の低下と、現在の世界情勢は酷似。 ・資本主義は中心と周辺で構成され、中心が周辺から富を吸い上げる構図。 ・空間的な拡大と交易条件の改善による成長が限界を迎え、次に金融・ICによる成長を企図するも、それも限界に。 ・資本主義はこれまでの中心は先進国、周辺は発展途上国であったが、今後は各国の富裕層と貧困層の構図に。 ・日本は資本主義の問題点が最も顕在化しており、その分だけ資本主義の次のシステムに移行する可能性を秘めている。 資本主義の限界がきているという点は説得力があるも、どのように着地するか、又どのようなパラダイムシフトが発生するかについては分析・議論の余地がありそうだ。
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そんなに付き合いが深くない高校時代の友人から、いきなりショートメールが来る。「モヤモヤが解消、一読を薦めます」とある。私の信頼している論客内田樹、佐藤優も推薦者に名を連ねている。早速、書店に直行して棚にあるのを見つけて購入し、一気に読了。 友人の薦めてくれた気持ちがよく分かる...
そんなに付き合いが深くない高校時代の友人から、いきなりショートメールが来る。「モヤモヤが解消、一読を薦めます」とある。私の信頼している論客内田樹、佐藤優も推薦者に名を連ねている。早速、書店に直行して棚にあるのを見つけて購入し、一気に読了。 友人の薦めてくれた気持ちがよく分かる。「目から鱗」というような程度の衝撃ではない。世界が違って見えてくる。自分が変わったことが分かる。新聞を読んでも、テレビのニュースを見ても、「あっ、ここにも、資本主義の終焉のシグナルが現れている!」と見えてしまう。 著者は、利子率の低下に着目する。利子率の低下は、資本の利潤率を反映しており、この兆候が現れる時、資本主義は終焉を迎えるという。16世紀末から17世紀初頭のイタリアでも現在と同様の金利の低下が起こっていたことを指摘し、現在の金利低下はそれ以来500年ぶりの歴史の転換点にあるとして、比較分析を行っている。 1973年のオイル・ショックで、原油価格が高騰し、利潤率(=利子率)が低下した。この時、先進国は<地理的・物的空間>(=実物経済)で利潤を得ることができなくなって、中世イタリアの領主や貴族と同じ事態に直面したというのだ。この危機に対してアメリカは、金融自由化を推し進め「電子・金融空間」(=グローバリゼーション)を新たに創出することで、資本主義の延命を図ったが、これも2008年のリーマンショックを招く。 資本主義が、グロバリぜーションによって新興国の近代化を図っても、資源価格の高騰によりあ世界中に貧富の差を生み出すだけだという構造も見えてくる。 EUにおける西欧危機が、根本には資本主義の内包する<蒐集>という西洋文明の危機の象徴に過ぎないことも浮き彫りになってくる。 この他、「資本に国家が従属する時代の到来によって民主主義が崩壊する」、「1870年以降、高所得国の世界人口に占める割合が15%という事実から、グローバル資本主義が、国家内での社会の均質性を消滅させ、<中心・周辺>を必然的に生み出す」など、資本主義の行き着く先を予言している。 では、こうした事態にどう対処すればいいのだろうか。著者は繰り返し「その明確な解答を私は持ちあわせていません」と吐露している。だとすれば、わたしたちは、「資本主義の矛盾をもっとも体現する日本」であることを逆手にとって、地球が空間的に有限であることを認識し、資本主義が地理的・空間的のみならず、時間的には未来からも蒐集・収奪しようとする貪欲な構造を持つことをを見据えながら、<成長>という言葉を尻目に、資本主義の終わる日を夢見ることにしよう。
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資本主義が終わろうとしてるのかどうかは深遠すぎて僕なんかの理解の及ぶところではない。けど、「資本主義にとってのフロンティアが消失しつつあるので、金利のディスカウント=資産バブルの創出で無理矢理にでも擬似フロンティアを捻出せざるを得ない」という本書の指摘は僕の日常の実感と整合してい...
資本主義が終わろうとしてるのかどうかは深遠すぎて僕なんかの理解の及ぶところではない。けど、「資本主義にとってのフロンティアが消失しつつあるので、金利のディスカウント=資産バブルの創出で無理矢理にでも擬似フロンティアを捻出せざるを得ない」という本書の指摘は僕の日常の実感と整合している。逆に言えば、僕の実感を見事に言語化してくれてはいるものの新たな驚きは得られずじまい。新書とはいえ同内容の繰り返しが多過ぎるのも難。
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