長女たち の商品レビュー
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※このレビューにはネタバレを含みます
ウマイ、コワイと思いました。 みっつの短編集。 それぞれ、考えさせられまして。 ミッションが、重かった‼︎ 死生観の差。 死こそが生からの解放と。 医療の放棄へと。 アタシにも身近なものと、なってきた。 老いと、介護。 病気と、長女(家族)をウマク構成したお話。 リアルで、コワカッタ‼︎
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長女の宿命を描いた作品 3話。 「家守娘」――年老いた、痴ほう症の母を、出戻りの娘が、世話をする。 勉強もせずに、高校を卒業して、若くに嫁いだ妹は、母のまだら惚けた姿や、幻覚症状を知らない。 放火迄起こした母と同居しながら、膨大な維持費のかかる家屋敷に、どう対処すれば、、、と、...
長女の宿命を描いた作品 3話。 「家守娘」――年老いた、痴ほう症の母を、出戻りの娘が、世話をする。 勉強もせずに、高校を卒業して、若くに嫁いだ妹は、母のまだら惚けた姿や、幻覚症状を知らない。 放火迄起こした母と同居しながら、膨大な維持費のかかる家屋敷に、どう対処すれば、、、と、思い悩む。 「ミッション」――母の死から、何も出来ない父は、長女をたよりにしてしまう。 娘は、仕事で、連絡の取れなかった父を、胸騒ぎをして見に行くと、そこには、風化したようなを父の遺体を発見する。 その後、ヒマラヤ山麓の無医村に、医師として、恩師の後を継いで、活動しようとするが、、、迷信だけでなく、ここでの生活で、薬草医から、突然死こそが、一番望ましい事なのだ!と、聞かされる。 周りの物の負担にならず、一気に詩に向けて旅立つ事を良しとする。 生産性の無い土地、それに対応したライフスタイルで、短命と突然死を肯定する考えと、、父の死の在り方に、巡礼に向かう老齢の男と、重ね合わせる。 「ファーストレディ」――糖尿病の母の食事に、気を病む長女。 母の代わり、医師の父と、同行する役目をする娘は、母の病状の悪化で、自分の腎臓を提供しようと、考える。 母の愚痴ばかり聞かされていたが、自分も、母から、助けてもらった事もあると、思うのだが、、、母に提供の話をしたら、意外な話に、おののくのである。 どの話も、重たい! こんな親でも捨てられない、逃れられない――長女の宿命か。 以前、私が、入院した時に、同室の老夫人が、通帳と印鑑を、娘に預けようと思って、病室に呼んでいた。 息子の嫁は、よくしてくれるけれど、やはり、金銭面の事は、娘に預けるのが一番と言う。 日本長寿の国。 何が何でも、延命治療を、、、、しかし、本人もつらいし、世話する側もつらい、そして、つらさと時間とお金だけが消費して行く。 ヒマラヤ山麓地方の突然死の話も、一理あるかもしれない。 のほほんと、毎年、1年が短いと思いつつ、年を重ねているが、残る者のお荷物にならないように、1年を大事に過ごさなくてはいけないと思った作品であった。
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2016.31-13 家守娘〜妹との認識の乖離を感じつつ、認知症の母を看る出戻りの直美。 ミッション〜亡くなった恩師の遺志を継ぎ後進国で呪術や迷信に振り回されつつ、自然に沿う安らかな老いと死に直面する頼子。 ファーストレディ〜食事制限もせず我儘放題で恨みつらみばかり吐く母に父や弟...
2016.31-13 家守娘〜妹との認識の乖離を感じつつ、認知症の母を看る出戻りの直美。 ミッション〜亡くなった恩師の遺志を継ぎ後進国で呪術や迷信に振り回されつつ、自然に沿う安らかな老いと死に直面する頼子。 ファーストレディ〜食事制限もせず我儘放題で恨みつらみばかり吐く母に父や弟に反対されつつも腎臓を提供しようと考えた挙句母の反応に愕然とするけいこ。 実にリアルな3作品。
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「家守娘」 認知症が進む母親に手を焼く出戻りの長女。 忙しい家に嫁いだ妹は、ウェットな感情で母への愛を訴え、姉に説教するだけで、全く実情を分かっていない。 「ミッション」 いまだに呪術と迷信に支配される、世界の屋根あたりのとある無医村に赴いた女医。 バターと塩の大量摂取という生...
「家守娘」 認知症が進む母親に手を焼く出戻りの長女。 忙しい家に嫁いだ妹は、ウェットな感情で母への愛を訴え、姉に説教するだけで、全く実情を分かっていない。 「ミッション」 いまだに呪術と迷信に支配される、世界の屋根あたりのとある無医村に赴いた女医。 バターと塩の大量摂取という生活習慣から、住民は高血圧短命、日本で言う生活習慣病の塊で、多くは突然死する。 尊敬する先輩医師の後を継いで、ヒロインは、村の住民に健康と長寿を与えようと張り切るが… ひどい認知症の話を読んだ後にこれを読むと、ただ数字上だけの長命は、本人も家族も苦しむだけなのではないかと考えさせられる。 「ファーストレディ」 糖尿病や腎臓病が進み、命の危険に直面しながらも、食事制限も受け入れず、わがまま放題の母親に手を焼く長女。 彼女は、医師であり地元の名士でもある父の名代で“上流社会”のお付き合いもこなし、“ファーストレディ”と呼ばれている。 母親が一切、その役割をつとめたがらないゆえ、その代役でもある。 弟もいるのだが、ここでも母親は長女のみにのしかかる。 母親が、息子は愛を注ぐべき対象、娘は自分の一部と思ってやまないところが恐ろしい。 背負ったら絶対に離れずどんどん重くなっていくという妖怪、子泣きじじいのようだ。 3作とも小説だからフィクションではあるのだが、リアルだ。
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「家守娘」「ミッション」「ファーストレディ」の3編を収録。 あるあるな感じの母子・姉妹関係を描きつつ、クライムノベルやオカルト要素もうまく使って何捻りもした「家守娘」が面白かった。 「ミッション」思い込みと勘違いの恐ろしさ・滑稽さを描いて、平均余命だけでは測りきれないQOLって...
「家守娘」「ミッション」「ファーストレディ」の3編を収録。 あるあるな感じの母子・姉妹関係を描きつつ、クライムノベルやオカルト要素もうまく使って何捻りもした「家守娘」が面白かった。 「ミッション」思い込みと勘違いの恐ろしさ・滑稽さを描いて、平均余命だけでは測りきれないQOLって何だろう、と考えさせる。 「ファーストレディ」母なるものの恐ろしさ。 みんな出口が見えてよかったね、というエンディング。
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大好きな作家さん。3作とも、とても良かった。「ミッション」は考えさせられた。東京にポックリ地蔵?か何かあると聞く。無理矢理長生きなんかしたくない。「家守娘」と「ファーストレディ」は真逆な話し。
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いやぁ、今まで読んだ小説の中で一番怖いホラーだ。おそろしい、おそろしい・・・。小説だから、なんて楽観的に気持ちを切り替えられない。抑圧された女性たちが牙を向く者。それは自身が操り人形として育てた長女。私は幸いにも次女なので母からは程よい距離感で愛されている。しかし長女の姉はいつも...
いやぁ、今まで読んだ小説の中で一番怖いホラーだ。おそろしい、おそろしい・・・。小説だから、なんて楽観的に気持ちを切り替えられない。抑圧された女性たちが牙を向く者。それは自身が操り人形として育てた長女。私は幸いにも次女なので母からは程よい距離感で愛されている。しかし長女の姉はいつも母を憎み反発しているが、母への思慕は私以上だ。高齢化社会が進む中、決して他人事では済まされない内容だった。
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長女というフィルターを通して書いた、老い、人生の終焉の話。親子の関係もそこにはあって、その時どう向き合うのか、試されてるようで、でも実は、その時にはもう結果が出されただけなのかもしれない。
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2015年8月28日 うちの母がこんな母でなくて良かった。 人にぶらさがって迷惑かけたくないし、かけられたくない。だんだん普通の感覚が無くなっていくさまはおそろしい。 ユキちゃんの真実がびっくりする結末だった。ちょっと救われた。
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「その負うべき荷の重さ 」 離婚して戻った実家で待っていたのは認知症となった母と二人きりの生活、母娘がもてあます広さの家とともに直美にのしかかってくる「家守娘」。がんで逝った母の主治医の志を継ぐべくヒマラヤの小村で医師として赴任した頼子。だがそこには高度の医療を超える人生観が根...
「その負うべき荷の重さ 」 離婚して戻った実家で待っていたのは認知症となった母と二人きりの生活、母娘がもてあます広さの家とともに直美にのしかかってくる「家守娘」。がんで逝った母の主治医の志を継ぐべくヒマラヤの小村で医師として赴任した頼子。だがそこには高度の医療を超える人生観が根付いていた「ミッション」。長年の疎外感から糖尿病を抱え甘いものに依存する母に代わり独身のまま、著名な医師である父のファーストレディを勤めてきた慧子。だが母の孤独の内に長女である自分への払拭しがたい執着を見たとき、慧子の胸によぎった思いとは…「ファーストレディ」。「長女」と名のつく三人の女性たちの負った荷の重さを描く中篇3編。 認知症の母に向き合う事を余儀なくされたバツ一の長女、母亡き後父の孤独死を目の当たりにした長女、「初めての女の子」である長女という生きものへの母たる人の愛情を超えた執着、篠田先生の現代社会の陰を見逃さない斬り込みに感服する。そのリアルさに読めば身につまされるのもいつものことなのだが。 リアルの最たる話は「家守娘」だ。今の世の中同じような現実を抱えている人は長女にかかわらず少なくないに違いない。認知症の母がその思い込みから放火に走る場面は、「この母は本当に認知症なのか?」とふと思わせるのだが、読者のその疑問を最後はふわりと哀感をないまぜたホラーにくるむところは篠田先生ならでは。 「ミッション」はヒマラヤの小村で村民に医療を施し生活習慣の改善をはかるため、因習に立ち向かう女性医師が描かれる。村の生死を司る怪しげな薬草医との対決の場面はミステリアスな緊迫感を呼ぶ。ヒマラヤの山道で棄民となった老人に荒れ放題となった古い家で孤独死していた父の姿を重ねる場面は印象的だが、「長女」というくくりを超えてその土地に生きる人にとって「何が本当の幸せなのか」を深く考えさせられる一編だ。 救いがたい長女の宿命を思わせるのは最後の「ファーストレディ」だろう。よく母親が「自分にできなかったことをぜひ娘に」という話はきかれるが、これはその比ではない。愛情を突き抜けて屈折した先にあった「長女は私の身体の一部」という母の執着は、長女が生まれながらにして負った最も重い荷であるかもしれない。
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