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国家はなぜ衰退するのか(上) の商品レビュー

3.9

35件のお客様レビュー

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2024/08/24

国家の衰退、貧富の差が出来るのは国のトップの考え、経済制度、収奪的制度が強く影響していることがよく分かった。無知が貧困を招く、経済制度、共産主義、創造的破壊、奴隷制度、包括的制度、イデオロギー、計画経済を基に過去の歴史を紐解いており、世界史を考えるきっかけになったという意味で良書...

国家の衰退、貧富の差が出来るのは国のトップの考え、経済制度、収奪的制度が強く影響していることがよく分かった。無知が貧困を招く、経済制度、共産主義、創造的破壊、奴隷制度、包括的制度、イデオロギー、計画経済を基に過去の歴史を紐解いており、世界史を考えるきっかけになったという意味で良書だと思う。

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2022/08/24

世界には豊かな国(地域)と貧しい国(地域)があるが、それらを隔てる境界線が「包括的な政治・経済制度」か「収奪的」かの違いにある、という主張。「包括的」という言葉の意味するところは、自由主義や民主主義、多元主義といったイデオロギーを重視する政治であり、私有財産や市場経済を重視する経...

世界には豊かな国(地域)と貧しい国(地域)があるが、それらを隔てる境界線が「包括的な政治・経済制度」か「収奪的」かの違いにある、という主張。「包括的」という言葉の意味するところは、自由主義や民主主義、多元主義といったイデオロギーを重視する政治であり、私有財産や市場経済を重視する経済制度を指す。 別に目新しくはない。日本の歴史教科書にはこの手のメッセージがすでに散りばめられている。啓蒙思想、西洋史観と言って良いかもしれない。実際に本書には「収奪的な政治・経済制度から包括的なものにうまく変革できた成功例」として明治維新が紹介されているが、深みは学校で学ぶ程度のものだった。でも本書には範囲の広さがある。世界各国の「豊かな国」「貧しい国」の紹介事例の多さだ。 少し残念なのは、各章のタイトルから「いつの時代の、どの国(地域)の、どのような統治制度」について解説してるのか?が判別つかず、また章末に「まとめ」もないので再読し辛いことだ。

Posted byブクログ

2022/03/01

2022年3月「眼横鼻直」 https://www.komazawa-u.ac.jp/facilities/library/plan-special-feature/gannoubichoku/2022/0301-11308.html

Posted byブクログ

2021/05/29
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

「国家の衰退は制度がもたらす」「地理は関係ない」という主張に、思考が非常に刺激された。包括的制度(自由?)の重要姓を主張するので、人によっては自由主義野押し売りと感じるかもしれない。

Posted byブクログ

2018/10/13

長期的な経済発展の成否を左右する要因は、政治経済制度の違いである。 経済発展には、inclusive=包括的な政治制度(民主政治)と包括的な経済制度(開放的で公平な市場経済)との相互依存というメカニズムが存在する。 また、良いスパイラルとは逆の、独裁政治と収奪的な経済制度との悪循...

長期的な経済発展の成否を左右する要因は、政治経済制度の違いである。 経済発展には、inclusive=包括的な政治制度(民主政治)と包括的な経済制度(開放的で公平な市場経済)との相互依存というメカニズムが存在する。 また、良いスパイラルとは逆の、独裁政治と収奪的な経済制度との悪循環も同時に存在する。

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2018/10/21

180504 中央図書館 とりあえず、世界各地のドキュメンタリを見ている気分にはなれる。読みやすいとはいえない。

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2018/10/31

世界に裕福な国と貧しい国が生まれた理由を歴史的に解き明かす。緯度や気候などの地理的条件、宗教や民族ごとの価値観などの文化的側面は、世界的な不平等の説明にはならず、経済と政治の制度が重要であると説く。 ヨーロッパの植民地としての歴史を持つ南北アメリカ大陸に相違が生まれた理由がおも...

世界に裕福な国と貧しい国が生まれた理由を歴史的に解き明かす。緯度や気候などの地理的条件、宗教や民族ごとの価値観などの文化的側面は、世界的な不平等の説明にはならず、経済と政治の制度が重要であると説く。 ヨーロッパの植民地としての歴史を持つ南北アメリカ大陸に相違が生まれた理由がおもしろい。スペインが支配するアメリカ大陸の植民地では、金銀の略奪段階が過ぎると、労働力としての先住民を分け与える制度であるエンコミエンダなどの制度を導入し、土地を奪い、労働を強制し、低い賃金と重税、高い商品を売りつけた。コンキスタドールとその子孫は大金持ちになり、先住民の生活水準は最低となる不平等な社会となった。スペインは、1808年にナポレオンが率いるフランス軍に侵攻され、王が退位させられると、評議会が結成されてコルテスと呼ばれる議会を組織してカディス憲法を生み出したが、南米のエリートは、労働力としての先住民を分け与える制度であるエンコミエンダ、強制労働、絶対的権力による制度を守り、独立していった。 イングランドはアメリカ大陸の征服に遅れたため、先住民がたくさんいて鉱山のある場所はすでに占領されており、北米しか残っていなかった。入植者たちは先住民を支配することができなかったため、入植の支援をしたヴァージニア会社は人頭権制度を導入して土地と家を与え、1619年には議会が設立されて法と制度の決定権が与えられた。メリーランドでは荘園社会がつくられたが、議会が創設されると荘園領主の特権は剥奪された。1720年までに、アメリカ合衆国となる13の植民地のすべてに知事がいて、選挙に基づく議会があった。 ヨーロッパでは、14世紀のペスト流行による人口減少が、地域ごとに異なる結果を生んだ。イングランドでは労働力不足の結果、農民は強制労働と多くの義務から解放された。しかし、封建君主が組織化されていた東欧では、もともと広かった小作地はさらに拡大され、労働者の自由は奪われた。1500年以降は、西欧が東欧の農産物を輸入し始めたため、地主による労働者の支配は強くなり、無給労働が増えた(再版農奴制)。 政治制度の違いも重要な影響を与えた。16世紀末のイングランド、フランス、スペインは、いずれも絶対君主に支配されていたが、イングランドとスペインの議会は課税権を手に入れていた。スペイン国王はアメリカ大陸からの金銀から膨大な利益を得ていたが、イングランドの女王は税金を上げる見返りに、独占企業を創設する権利が奪われていった。イングランドでは、大西洋貿易と植民地化によって、国王とつながりのない裕福な商人が大勢現れ、政治制度の変化と国王の特権の制限を要求して、名誉革命において決定的な役割を演じた。名誉革命によって、所有権が強化・正当化され、金融市場が改善され、海外貿易における国家承認専売制度が弱められ、産業拡大の障壁が取り除かれた。包括的経済制度の下で、ジェームズ・ワットをはじめとする人々が機会とインセンティブを与えられて、産業革命が始まった。

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2016/07/10

国家の繁栄と衰退について、大きな要因としてテクノロジーがあると思われるが、それについては説明されていない。すべて制度に起因ささている。また、例えば日本についての例など、より歴史的知識のある日本人からすると、「オイオイ、よく知らないんじゃないの?」と突っ込みたくなる単純化が多いと感...

国家の繁栄と衰退について、大きな要因としてテクノロジーがあると思われるが、それについては説明されていない。すべて制度に起因ささている。また、例えば日本についての例など、より歴史的知識のある日本人からすると、「オイオイ、よく知らないんじゃないの?」と突っ込みたくなる単純化が多いと感じるだろう。冒頭にそうそうたるメンツの賛辞を掲載しているが、それほどの本ではないような気がする。

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2016/07/12

タイトル通りではあるが、なぜ繁栄している国家と貧困にあえぐ国家があり、後者は貧困を脱することができないのかがクリアになる。やはり自由、信頼、イノベーションは必須で、行き過ぎた統制、独裁は進歩を妨げるのだ。ジャレド・ダイアモンドの説より腹落ちする内容で、国家だけでなく組織に当てはま...

タイトル通りではあるが、なぜ繁栄している国家と貧困にあえぐ国家があり、後者は貧困を脱することができないのかがクリアになる。やはり自由、信頼、イノベーションは必須で、行き過ぎた統制、独裁は進歩を妨げるのだ。ジャレド・ダイアモンドの説より腹落ちする内容で、国家だけでなく組織に当てはまることで学びが多い。読み応え十分。

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2015/10/12

イングランド人が北米を選んだのは、そこが魅力的だったからではなく、そこしか手に入らなかったからだ。アメリカ大陸の好ましい部分、つまり搾取すべき先住民がたくさんいて金山や銀山がある場所は、すでに占領されていた。 スペインによる征服当時のアメリカ大陸各地の人口密度 合衆国の人口密度...

イングランド人が北米を選んだのは、そこが魅力的だったからではなく、そこしか手に入らなかったからだ。アメリカ大陸の好ましい部分、つまり搾取すべき先住民がたくさんいて金山や銀山がある場所は、すでに占領されていた。 スペインによる征服当時のアメリカ大陸各地の人口密度 合衆国の人口密度は一部の地域を除き、一平方メートルあたりせいぜい4分の3人だった。メキシコ中央部やペルーのアンデス地方では、400人にも達しており、合衆国の500倍を超えている。 19世紀の合衆国ほど、政治に関して民主的な国が当時の世界にはほとんどなかったのと同じように、イノベーションに関してもこれほど民主的な国はまずなかった。 合衆国では政治的権力が幅広く分配されていたおかげで、特にメキシコと比べて、貸付や融資の平等な利用が保証されていた。 ある国が貧しいか裕福かを決めるのに重要な役割を果たすのは経済制度だが、国がどんな経済制度を持つかを決めるのは政治と政治制度だということだ。 熱帯における大いなる繁栄がまた目に入ってくる。偉大な全近代文明のいくつか、たとえばカンボジアのアンコール、南インドのヴィジャヤナガル、エチオピアのアクスムなどが、熱帯地方で繁栄を謳歌した。パキスタンのモヘンジョダロ、ハラッパーのインダス文明も同様。・・・熱帯という場所と経済的成功のあいだに単純なつながりがないことは、ほとんど疑いないのだ。 マックス・ウェーバー 国家の本質とは、合法的な暴力の独占 ソ連をはじめ、収奪的制度のもとで成長を成し遂げたほかの大半の事例とは異なり、韓国は1980年代に収奪的な政治制度から包括的な政治制度へと移行した。 エリザベス1世とその後継者はアメリカとの貿易を独占できなかった。ヨーロッパのほかの君主はそれができた。したrがってイングランドでは、大西洋貿易と植民地化を通じて、国王とほとんどつながりのない裕福な商品が大勢現れ始めたが、スペインやフランスではそうはならなかった。 世界には、イングランドに非常に近い制度をかなり異なるルートで発展させた地域があった。それがとくに当てはまるのが、ヨーロッパ人の定住植民地、つまりオーストラリア、カナダ、合衆国といった国々である。 共産党支配下の中国は、収奪的制度のもとで成長を経験している社会のもう一つの例であり、根本的な政治改革を経て包括的な政治制度へと向かわないかぎり、持続的な成長を生み出す可能性は同じように低いのである。 地理説や文化説から予想される事態とは対照的に、17世紀に包括的制度への決定的なステップを踏んだイングランドは、中東の新石器革命に続く数千年のみならず、西ローマ帝国崩壊後の中世初頭においても、発展の遅れた地域だったのだ。

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