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国家はなぜ衰退するのか(上) の商品レビュー

3.9

38件のお客様レビュー

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2013/10/20
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

マックスウェーバーは国家の本質を『合法的な暴力の独占』と定義した。中央集権していない国家は政情不安を招き、混沌となる。そしてその盛衰は文化や地理的気候が決めるのではなく、国家の政治・経済制度が決める。収奪的制度(≒共産主義?)を採る国は一部のエリートが富を得ることで、それ以外の人々との内紛や政情不安を必ず引き起こす。エリートは情報を操作し、自由な発想や創造的なものを破壊してしまうからだという。 つまり十分に中央主権された強力な国家と多元的価値観を認める政治・経済制度の共存が、繁栄できる条件なのだ。 植民地時代においても王に集権していたスペインと多元的なイギリスとの差がその後の繁栄を分けた。 更に植民地にされた国(特に資源が見込まれる国)は搾取を容易にするため、収奪的な政治・経済制度を強要され、繁栄を妨げられた。 人間の欲望が人間を支配する起源であることがよく分かる。 資源も少なく、タイミングよく明治維新が成功した日本は、こうした世界の潮流に飲み込まれなかったのかのように思えたが、やはり集権的な時代には数度の戦争に突入した。 集権・多元を繰り返すことが今後も国家の宿命なのだろうか。 まだまだ集権的な中国やロシアといった大国は、今後どのような方向に進むのか。 宗教で集権化されている国々はどうなっていくのか。 読んでいて根本的な問いが生まれるのは良書の証拠なのだと思う。

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2013/10/07

批判も賛同も多く出ているので、すでにそれに付け加えることもないのでしょうが、還元主義的というか説明のための歴史や制度の恣意的な採用をして書いているのではという違和感はありました それでも経済学のブロゴスフィア的にはあまり扱われない国々についての詳しい説明があったのはおもしろかった...

批判も賛同も多く出ているので、すでにそれに付け加えることもないのでしょうが、還元主義的というか説明のための歴史や制度の恣意的な採用をして書いているのではという違和感はありました それでも経済学のブロゴスフィア的にはあまり扱われない国々についての詳しい説明があったのはおもしろかったのですが

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2013/09/26

とりあえず上巻読了。経済制度が「包括的」か「収奪的」かで国の豊かさが決まるんだって。しかし、「包括的」の定義について直接的な記述が発見できないけど、安全な私有財産、公平な法体系、公共サービスの提供が必要条件らしい。

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2013/09/05

国家のあるべき「カタチ」を考える指針を提示してくれる。 読みにくいけど。 長期的な発展に必要なのは政治経済制度の違い、と言い切る。地理や環境的条件、文化の違いも関係ないのだと。 包括的な経済制度と収奪的な経済制度、政治制度においても包括的(多元的でもある)と収奪的(独裁的)なも...

国家のあるべき「カタチ」を考える指針を提示してくれる。 読みにくいけど。 長期的な発展に必要なのは政治経済制度の違い、と言い切る。地理や環境的条件、文化の違いも関係ないのだと。 包括的な経済制度と収奪的な経済制度、政治制度においても包括的(多元的でもある)と収奪的(独裁的)なものの掛け合わせで4つの組み合わせができあがる。歴史的にこれら4つがどう変遷していくのかを説明する。 経済制度を決めるのは政治だ。だからこそ包括的な政治のもとでなければ経済の長期的発展は考えにくいともいう。共産国家の計画経済の限界をこう説明するわけだ。 中国も政治制度が変わらない限り、継続的な発展は見込めないだろうと言いきる。 そうかな。 多元的な政治制度はどのように誕生するのか? はうまく理解できなかった。ここには地理的な要因、文化の違い、そして何より偶然性があると思うのだけれど。 競争的な市場を継続するために、アメリカが市場の活性化のためにMicrosoftを独禁法に問うたことを思い出した。かの国はボーランドもたたいたし、鉄鋼、石油産業ではカルテルを解体した。そのフィロソフィーはすごいな。 それにしても名誉革命ってやっぱりすごいことだったのですね。

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2013/08/30

イングランド人が北米の植民地化を始めたのは偶然ではなかった。そこを選んだのは、魅力的だったのではなくそこしか手に入らなかったから。アメリカ大陸の好ましい部分、つまり搾取擦べき先住民が沢山すんでいて、金山銀山がある場所はすでに占領されていた。イングランド人は残り物をとったのだ。

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2013/08/25

国家が経済的な繁栄を得られるか否かは、経済活動(特に技術革新)に対するインセンティブが担保されていること『のみ』が重要であり、その他の地理的・文化的要因は一切関係ないと断言する。 また、このインセンティブを維持するためには、政府が集権的で強固なパワーを持ちながらも、権力が特定の...

国家が経済的な繁栄を得られるか否かは、経済活動(特に技術革新)に対するインセンティブが担保されていること『のみ』が重要であり、その他の地理的・文化的要因は一切関係ないと断言する。 また、このインセンティブを維持するためには、政府が集権的で強固なパワーを持ちながらも、権力が特定の個人ではなく、広く分散していることが必須であるとも付け加えている。 話を纏めればこれだけなんだが、延々と同じ様な話が繰り返されており、正直飽きる。良い本だけど、もう少しコンパクトに纏まったんじゃないか・・・?って思う。

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2013/08/14

 読みにくい本である。  内容のせいか翻訳のせいなのか、本書は全米ベストセラーだそうだから、内容はそれなりに充実していると思われるのだが・・・。  アメリカとメキシコの国境をへだてた対照的な都市の描写をはじめとして、アメリカ大陸への植民の歴史的考察などは、それなりに興味深いが、長...

 読みにくい本である。  内容のせいか翻訳のせいなのか、本書は全米ベストセラーだそうだから、内容はそれなりに充実していると思われるのだが・・・。  アメリカとメキシコの国境をへだてた対照的な都市の描写をはじめとして、アメリカ大陸への植民の歴史的考察などは、それなりに興味深いが、長いセンテンスの読みにくい著述は、読む気さえ失わせる。  本書は、訳者を変更してもう一度出版すべきではないか。本書は上下巻があるが、下巻を読む気をまったく失ってしまった。  本書は、残念な本であると思う。

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2013/06/29

本書は気鋭の経済学者・ダロン・アセモグル(と、ジェームズ・ロビンソン)の経済成長に関する歴史実証の本である。普通、経済成長論と言えば、資本、労働、技術進歩などで決まってくると言うのが教科書的な説明であるが、本書ではそれらとは別に、政府の「制度」が経済成長を決めると主張する。すなわ...

本書は気鋭の経済学者・ダロン・アセモグル(と、ジェームズ・ロビンソン)の経済成長に関する歴史実証の本である。普通、経済成長論と言えば、資本、労働、技術進歩などで決まってくると言うのが教科書的な説明であるが、本書ではそれらとは別に、政府の「制度」が経済成長を決めると主張する。すなわち、国民がより参加している政治における政治制度から生み出される経済制度こそが、経済成長に寄与すると言う物である。このロジッックは、より多くの国民が関わっている政治制度の方が、一部のエリートで構成される政治制度よりも国民の繁栄に対して積極的であり、また人々のインセンティブにも反応するような制度を作らせる傾向にあるため、経済成長を促進する、というものである。 第一章から第四章までは事例を交えながらの理論展開、第五章から第八章までは紹介した理論の様々な事例紹介という位置づけである。 経済成長には制度が重要である、そしてその制度と言うのは全員参加型の政治制度から形成される、という主張は、著者の知的貢献であるのは間違いない。しかしながら、その根本のロジックとなるのは、人はインセンティブに反応するという経済学の基本原理に他ならない。つまり、経済学の基礎にぶれない形で、その叡智を応用していると言いかえることもできる。 個人的には、この1年間で読んだ本の中でベスト5に入るくらい面白い本だった。もう少し経済成長論を復習した上で、それらと比較しながら読めば良かったと思うので、下巻は経済成長論を復習した上で読みたい。

Posted byブクログ