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国家はなぜ衰退するのか(上) の商品レビュー

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36件のお客様レビュー

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2014/04/27

2014年25冊目。 わずか一枚のフェンスで区切られた「ノガレス」の北と南で大きな経済的格差が生じるのはなぜか。 地理・気候・民族が同じ北朝鮮と韓国でこれだけ貧富が違うのはなぜか。 国家の貧富を左右するのは「地理」「病気」「文化」ではなく、 “収奪的”ではなく“包括的”な経済...

2014年25冊目。 わずか一枚のフェンスで区切られた「ノガレス」の北と南で大きな経済的格差が生じるのはなぜか。 地理・気候・民族が同じ北朝鮮と韓国でこれだけ貧富が違うのはなぜか。 国家の貧富を左右するのは「地理」「病気」「文化」ではなく、 “収奪的”ではなく“包括的”な経済「制度」とそれを構築する政治「制度」が有るか否かだというのが、本書の主張である。 ■「収奪的制度」:絶対主義、一部のエリートによる支配、新技術導入への渋りや妨害、商業の独占・・・etc ■「包括的制度」:多元的政治体制、議会の機能、イノベーション(創造的破壊)への寛容性や促進、認められた財産権・・・etc これらの制度の違いによって(たとえ小さな相違でも)、決定的帰路(たとえば、「新大陸の発見」や「産業革命」)が訪れた際に、その恩恵を享受して継続的な発展を手にできるかどうかが決まるという。 収奪的制度の元でも、一定の発展は見受けられる。 しかし、包括的制度の元での発展と違うのは、そこに「持続性」が認められないこと。 これらの主張を、原始時代、ローマ帝国、コンゴ民主共和国、ロシア、産業革命前後のイギリス・・・非常に広範な歴史を紐解いて論じている。 ■巻末に出展と解説が多少あるものの、脚注がないため、やや信憑性に欠ける部分がある ■全ページが塗りつぶしたように文字ばかりで、箇条書きでのまとめなどがないため、読み辛さを感じる時がある などの点は気になったが、「全ては制度」という明快な主張を通していて、一読の価値はとても高いと思う。 下巻では明治維新に至る日本の事例も出るそうなので楽しみ。

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2014/03/29

上巻では国家が繁栄するには多元的な政治システム、経済システムが必要だと豊富な事例により説明されている。主張自体は理解できる(というかなんとなく先進国では以前から共有されていると思われる)が、全体的にアネクドータルで冗長な印象を受ける。著者の一人が経済学者なのだから、この著書の中で...

上巻では国家が繁栄するには多元的な政治システム、経済システムが必要だと豊富な事例により説明されている。主張自体は理解できる(というかなんとなく先進国では以前から共有されていると思われる)が、全体的にアネクドータルで冗長な印象を受ける。著者の一人が経済学者なのだから、この著書の中でモデルを呈示するべきとまでは言わないが、グラフ等で相関関係が納得できる記述にしてもらいたかった。

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2014/03/26

☆チャーリーおすすめの一冊! 非常に難しい内容ではありますが、とてもためになります。活用できる部分も多く、自分に取ってはバイブルとなる1冊です。

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2014/01/19

包括的な政治制度と包括的な経済制度が国家の繁栄をもたらし、逆に収奪的政治制度と収奪的な経済制度が国家を衰退させるという新しい視点がとても納得できた。しかし言ってることがそれだけで、ほとんどがその繰り返しである。豊富な例を挙げていると言えばその通りだが、私にはしつこく感じられた。

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2014/01/12

ちょっと内容が私の趣向とは違ってました。経済の発展とその国の政策制度で変わって来るというのは理解できますが、いかにも欧米的な理論でちょっと辟易してしまいました。

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2014/08/24

第1章 こんなに近いのに、こんなに違う 第2章 役に立たない理論 第3章 繁栄と貧困の形成過程 第4章 小さな相違と決定的な岐路―歴史の重み 第5章 「私は未来を見た。うまくいっている未来を」―収奪的制度のもとでの成長 第6章 乖離 第7章 転換点 第8章 領域外―発展の障壁

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2013/12/30

地理的要因と家畜化および農耕化可能な野生生物種の存在を文明発祥の起源としての条件を提示したジャレット・ダイヤモンドの名著『銃・病原菌・鉄』に対して、その統治形態によって、国家の趨勢が決まるというのが本書の要点だ。 しかし、『銃・病原菌・鉄』のスコープと本書はスコープと論点が異なっ...

地理的要因と家畜化および農耕化可能な野生生物種の存在を文明発祥の起源としての条件を提示したジャレット・ダイヤモンドの名著『銃・病原菌・鉄』に対して、その統治形態によって、国家の趨勢が決まるというのが本書の要点だ。 しかし、『銃・病原菌・鉄』のスコープと本書はスコープと論点が異なっており、明らかに互いに排他的な議論をしているわけではない。名が通ったものを恣意的な解釈のもとにアンチとして定義し、それ対して自らを対置することで正当性を主張する手のように見え、あまりいい印象を持つことができない。 著者の主張をまとめると、ごくシンプルで、統治形態が収奪的である場合は経済的繁栄は持続しないし、包括的制度である場合は繁栄する、というのが主張である。その事例としてスペインとイングランドの植民地政策の違いを歴史的に考察し、南北アメリカの違いを説明する。 スペインとイギリスの植民地政策の違いは、マクルーハンにも取り上げられて、決して新しい視点ではない。また、収奪的システムが経済的自立を阻害するのは、社会主義国家の失敗やアフリカの多くの独立後の国家の状況、さらには南北朝鮮の明白な違いを見れば明らかだ。 本書のテーマに対応する本としては『銃...』よりも、ウィリアム・バーンスタインの『「豊かさ」の誕生』を挙げる方が適当だろう。参考文献には挙げられていないので、著者が読んだかどうかは分からないが、そのスコープや着眼点は重なっている。成功した国家としてイギリスやオランダ、明治維新以降の日本を挙げている点も同じだ。『「豊かさ」...』では、「豊かさ」の発展の必要条件として「私有財産制度」、「科学的合理主義」、「資本市場の形成」、「輸送技術と通信技術」の4つを挙げている。本書では、おそらくはそれらに先立ち統治形態がより根源的な支配条件だと主張していると考えることができる。特に、「私有財産制度」と「資本市場の形成」は、包括的制度の必然の要素である。どちらの本に説得力があったかと言われると『「豊かさ」...』の方に自分とした軍配を挙げる。機会があれば合わせて読むとよいだろう。 また売れている本では、マット・リドレーの『繁栄』も対比できる本だが、『繁栄』では、人間が獲得した「交換」の能力が繁栄を約束したという。その要因をより根源的なものに焦点を当てているが、国家間で繁栄の差があることについては、あまり気に掛けていないように思われる。その意味で、両者は互いに補完するような関係にあると見ることもできるだろう。個人的には、『繁栄』の方が視点に意外性がありかつ根源的な問いかけがされていて面白い。 いずれにせよ上下巻に渡る大著である。もう少し短くできたかとも思うが、かなりの史料をベースにした真面目な本である。

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2013/12/07

国が豊かかどうかを規定する因子を考察している。つまり、国民にインセンティブを持たせることができるか、どうか。それは、経済制度であり、政治制度が、どのような形をとっているのか。アメリカとメキシコの国境の街ノガレスを例に挙げ物語が始まる。 創造的破壊を拒絶するような絶対主義のもとで...

国が豊かかどうかを規定する因子を考察している。つまり、国民にインセンティブを持たせることができるか、どうか。それは、経済制度であり、政治制度が、どのような形をとっているのか。アメリカとメキシコの国境の街ノガレスを例に挙げ物語が始まる。 創造的破壊を拒絶するような絶対主義のもとでは、インセンティブは育たない。もちろん、創造的破壊によって、統治者やエリートは多くのものを失いうる。抜本的なイノベーションを導入するためには、常に新規参入者を必要とする。多元的なものを許容できる政治制度、つまり変化し続けることが生き残るための秘策なのだろう。 私のような基盤を未だ持たない者にとっては、本著はきわめて刺激的な内容に富んでいた。

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2013/10/20
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

マックスウェーバーは国家の本質を『合法的な暴力の独占』と定義した。中央集権していない国家は政情不安を招き、混沌となる。そしてその盛衰は文化や地理的気候が決めるのではなく、国家の政治・経済制度が決める。収奪的制度(≒共産主義?)を採る国は一部のエリートが富を得ることで、それ以外の人々との内紛や政情不安を必ず引き起こす。エリートは情報を操作し、自由な発想や創造的なものを破壊してしまうからだという。 つまり十分に中央主権された強力な国家と多元的価値観を認める政治・経済制度の共存が、繁栄できる条件なのだ。 植民地時代においても王に集権していたスペインと多元的なイギリスとの差がその後の繁栄を分けた。 更に植民地にされた国(特に資源が見込まれる国)は搾取を容易にするため、収奪的な政治・経済制度を強要され、繁栄を妨げられた。 人間の欲望が人間を支配する起源であることがよく分かる。 資源も少なく、タイミングよく明治維新が成功した日本は、こうした世界の潮流に飲み込まれなかったのかのように思えたが、やはり集権的な時代には数度の戦争に突入した。 集権・多元を繰り返すことが今後も国家の宿命なのだろうか。 まだまだ集権的な中国やロシアといった大国は、今後どのような方向に進むのか。 宗教で集権化されている国々はどうなっていくのか。 読んでいて根本的な問いが生まれるのは良書の証拠なのだと思う。

Posted byブクログ

2013/10/07

批判も賛同も多く出ているので、すでにそれに付け加えることもないのでしょうが、還元主義的というか説明のための歴史や制度の恣意的な採用をして書いているのではという違和感はありました それでも経済学のブロゴスフィア的にはあまり扱われない国々についての詳しい説明があったのはおもしろかった...

批判も賛同も多く出ているので、すでにそれに付け加えることもないのでしょうが、還元主義的というか説明のための歴史や制度の恣意的な採用をして書いているのではという違和感はありました それでも経済学のブロゴスフィア的にはあまり扱われない国々についての詳しい説明があったのはおもしろかったのですが

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