抱擁、あるいはライスには塩を(下) の商品レビュー
桐叔父が亡くなって以降、どんどん寂しさを感じるようになってくる。 あの天真爛漫さが、大家族をいかに明るく保っていたか。 絹さんの物語は、老いるとはこういうことかと哀しくなった。 けれど死ぬことは怖くないのかも、と思えた。 あの賑やかだった柳島家からどんどん子供たちが巣立って行って...
桐叔父が亡くなって以降、どんどん寂しさを感じるようになってくる。 あの天真爛漫さが、大家族をいかに明るく保っていたか。 絹さんの物語は、老いるとはこういうことかと哀しくなった。 けれど死ぬことは怖くないのかも、と思えた。 あの賑やかだった柳島家からどんどん子供たちが巣立って行って、最後は3人きりになってしまうのが堪らなく寂しかった。 けれど人生ってこういうものだなあ。 常に淋しさに備える心構えが必要かもしれない。 菊乃は好きになれない、という意見が多いようだけれど、最終的に夫に去られる菊乃に同情した。 因果応報ということかなあ。
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寂しい終わり方だけど、心地良さは残る感じと言うのでしょうか。 江國香織さんの小説を余り読んだことはないのですが、普通だったらとてもセンシティブな事がさらりと書いてあり、安心して拝読しています。
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2014/02/18 風変わりな家族のお話。 秘密が打ち明けられたり、少し悲しかったりする下巻。 時間軸がバラバラなのだけれど、その語り方が絶妙だった。
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上巻とはやや異なり、語り手を変えながら物語はほぼ時系列で進む。 子供たちそれぞれに人生の転機が訪れ、住人は徐々に減ってゆく。 短い最終章が非常に美しい。
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江國香織の集大成的な…。若草物語とか細雪とかみたいなかんじなのかな(どっちも読んだことないけど)。 スケールの大きい物語だけど、読んでるあいだじゅうずっと心地よかった。内容はいつもの江國節で、ちょっと常識外れの奇妙な親子関係と仲の良すぎる兄弟姉妹たち、奔放な恋愛、外の世界の不可解...
江國香織の集大成的な…。若草物語とか細雪とかみたいなかんじなのかな(どっちも読んだことないけど)。 スケールの大きい物語だけど、読んでるあいだじゅうずっと心地よかった。内容はいつもの江國節で、ちょっと常識外れの奇妙な親子関係と仲の良すぎる兄弟姉妹たち、奔放な恋愛、外の世界の不可解さ、美学に満ちた暮らしぶりが描かれる。 長いファンとしてはほんとうに、そのすべてが「うん、他の小説でも書いてたね」って思うけど、でもいいんだな。なんかこの作品ではすべてがプラスに活きていた。登場人物たちのことばや生き方、生活のささいなことやそれぞれの人生哲学。何もかもがほんとうの意味で上品で、美しく、世界に浸れる。 江國文学のスタンダードとしてまだ読んだことのない人におすすめしたい一冊。ただ、普通の人がこのノリに耐えられるのかが身内のような気持ちで心配になる(笑)10ページくらい読んでダメだと思ったらなるべく早くやめたほうがいいかもね…
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※このレビューにはネタバレを含みます
前半に引き続き、短編が続きます。が、少しづつ隠されていたカードがめくられていくように、柳島家の謎が解き明かされていきます。下巻はロシア人の絹おばあちゃんと4人の孫が大きくなっての話が中心となります。 絹は本当は豊彦の父親を愛していたという衝撃の事実から、菊子と豊彦の離婚で話は終わります。 桐之輔が癌で亡くなることをきっかけに、柳島の家が崩れていき、最終的に残るのは菊子・百合子・睦子の3人。 なんだか寂しい感じで終わるのですが、そこが江國さん流。暗くはないんです。 不思議だけれども、魅力があっていつの間にか丸ごと受け止めてしまう柳島家の人々でした。
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面白かった!すごく強い人達。世間体や世間で普通ということよりも、自分達にとって大切な事が優先。素敵。 家族や周りの人の関係も、とても居心地よいだろうなと思う。 幸せでいられるように生きること、自分にとって重要なことを大切にすることの価値を思い出させてくれる。 豊さんの行動の理由...
面白かった!すごく強い人達。世間体や世間で普通ということよりも、自分達にとって大切な事が優先。素敵。 家族や周りの人の関係も、とても居心地よいだろうなと思う。 幸せでいられるように生きること、自分にとって重要なことを大切にすることの価値を思い出させてくれる。 豊さんの行動の理由を考え中…。
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※このレビューにはネタバレを含みます
すっかり登場人物たちが好きになってしまっていたので、 結末に向かうにつれ、少しずつ寂しく思った。 完全なるようで危うい均衡の上になりたっていた、 それが故の美しい世界がどんどん剥がれていって 最後には悲しさだけが漂って、切ない。
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三世代が親密に暮らす柳島家。美しく幸福な家族に 見える彼らにはしかし、果敢に「世間」に挑んで敗北 してきた歴史があった。母の菊乃には婚約者がいなが ら家出し、妊娠して実家へ戻った過去が。叔母の百合 には嫁ぎ先で病気になり、離縁した経験がある。そし て、健やかに成長する...
三世代が親密に暮らす柳島家。美しく幸福な家族に 見える彼らにはしかし、果敢に「世間」に挑んで敗北 してきた歴史があった。母の菊乃には婚約者がいなが ら家出し、妊娠して実家へ戻った過去が。叔母の百合 には嫁ぎ先で病気になり、離縁した経験がある。そし て、健やかに成長する子供たちにもまた、変化がおと ずれーーー。家族それぞれに流れる時間を細やかに豊 かに描いた、三世代百年にわたる愛の物語。
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変わった金持ち家族の話。 時代がバラバラで語り手も代わるから 章が新しくなるごとに確認しなきゃだったですよ。 出てくる誰もが自由なのか不自由なのかわからないけど それを決めるのはその人自身ってことでいいのかな。
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