ターミナルタウン の商品レビュー
私はいつも著者の作品を、心のどの部分で受け止めているんだろう。読み流せば"訳の分からない小説"で括ってしまう奇妙な創り。非常に捉え所が難しい。今回も種石からヒュルル~っと蔓が伸び、それを育ててトンネルを作るという話なんだから。レールを走る電車の前後(時系列に置...
私はいつも著者の作品を、心のどの部分で受け止めているんだろう。読み流せば"訳の分からない小説"で括ってしまう奇妙な創り。非常に捉え所が難しい。今回も種石からヒュルル~っと蔓が伸び、それを育ててトンネルを作るという話なんだから。レールを走る電車の前後(時系列に置き換え過去未来)、電車があるその場(現在)を思い浮かべた時にハタと気がついた。著者の作品は『失と得』を描いているんだと。このターミナルタウンを基点に、これまでの作品も存在しているように思えてならない。"銀河鉄道的"役割が本作には与えられている。
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たぶん面白いんだろうけど…この作風に入っていけなかった。 2014.2.26
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乗り換え路線の廃止により、ターミナル駅から通過駅に成り下がった「静ケ原」駅。荒廃した町に、人を呼び戻す方法はあるのか? さまざまな人の思惑が交錯する、新しい「町興し」小説。 途中まで読んで「隧道(ずいどう)」と「トンネル」の違いをネットで調べようとしたのは私だけではないはず。町...
乗り換え路線の廃止により、ターミナル駅から通過駅に成り下がった「静ケ原」駅。荒廃した町に、人を呼び戻す方法はあるのか? さまざまな人の思惑が交錯する、新しい「町興し」小説。 途中まで読んで「隧道(ずいどう)」と「トンネル」の違いをネットで調べようとしたのは私だけではないはず。町民すべてが実は無いものを在るものとして扱う…。三崎亜記らしい風刺と暗喩に溢れた作品だが、度が過ぎて私にはよくわからないところもあったのは残念。 (C)
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かつてはターミナルタウンとして栄えた小さな町が、通過駅になったことで落ち目に…。 ここで商店街の人たちが力を合わせて町おこし!……と、テンプレ通りにいかないのが三崎ワールド(笑) 影を失った人、ないのに「ある」ことになっているタワー、隧道士という謎の職業。 突飛なフィクションが織...
かつてはターミナルタウンとして栄えた小さな町が、通過駅になったことで落ち目に…。 ここで商店街の人たちが力を合わせて町おこし!……と、テンプレ通りにいかないのが三崎ワールド(笑) 影を失った人、ないのに「ある」ことになっているタワー、隧道士という謎の職業。 突飛なフィクションが織り混ぜられていますが、これらの謎モチーフには、実在する地方都市の問題への皮肉が込められていました。 特に、「誰から見ても『ない』ことが自明なのに『ある』という暗黙の了解がある」というタワーなんて、ホント三崎さんは性格悪いなぁと思ってしまいました(笑)「町崩し」は名言。 好き嫌いがハッキリ別れる作家さんだと思いますが、私はここ数年すっかり虜になっています。 下手したら読者おいてけぼりにしてでもわが道を突っ走る感じが気持ちいいです。 丸川くんの暗躍ぶりも、いい性格していて良かったです。
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内容(「BOOK」データベースより) 「影」を失った男。闇を浴びて育つ「隧道」。見えないけれど「ある」ことにされているタワー。五百人以上を乗せて、姿を消した「下り451列車」。町興しを手掛ける「接続会社」の思惑。様々な問題を抱え込んだまま、静原町に大きなうねりがやってくる。誰より...
内容(「BOOK」データベースより) 「影」を失った男。闇を浴びて育つ「隧道」。見えないけれど「ある」ことにされているタワー。五百人以上を乗せて、姿を消した「下り451列車」。町興しを手掛ける「接続会社」の思惑。様々な問題を抱え込んだまま、静原町に大きなうねりがやってくる。誰よりも緻密に「架空」を描く著者による、待望の長編小説!!
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
とても良かったです。大満足。 三崎さんの描く世界には本当に惹き付けられます。 この発想力は一体どこから来るのか。 物語のそこここに三崎作品に共通するキーワードが散りばめられていて、宝物を見つけたような嬉しさを感じる。 今回の物語で象徴的に描かれる隧道と隧道士がこれまた魅力的です。 鉄道と共に繁栄と衰退を経てきた町の人々の胸に宿る諦観と空虚感、喪失感。 そして奥底に眠る再生の光を呼び覚ます力強さ。 こういった部分の描き方が本当にお上手ですよね。 451列車の残光を導くあのくだりがとても良かったです。
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