ターミナルタウン の商品レビュー
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
現実とずれた世界のファンタジー。 三崎さんらしい、三崎ワールド全開の長編でうれしいです。 ネタバレまではしませんが、「道守」が出てきたときに、これまでの三崎ワールドと完全にリンクできたみたいでうれしかったです。 本作のポイントの職業は「影無き者」と「隧道士」です。 三崎ワールド用語の意味を想像して理解するのも面白さの一つだと思います。
Posted by
かつて鉄道路線のハブとして栄えた”ターミナルタウン”静原町の再生物語。 町に関わる7人の視点で綴っていくという形式。 冒頭は”影を失った者”として静原町に赴任し、存在しないタワーの管理会社で働く響一が主人公である。 彼のパートは現実と空想がうまく交じり合い、かつ不条理感溢れる三...
かつて鉄道路線のハブとして栄えた”ターミナルタウン”静原町の再生物語。 町に関わる7人の視点で綴っていくという形式。 冒頭は”影を失った者”として静原町に赴任し、存在しないタワーの管理会社で働く響一が主人公である。 彼のパートは現実と空想がうまく交じり合い、かつ不条理感溢れる三崎亜記の世界の色が存分に出ていて引き込まれたのだが、その後は一転して物語が軽くなる。 ある目的をもって町に住み着いた牧人、父が倒れ町に呼び戻された理沙の章はライトノベルのように薄くて軽い展開である。 たぶん20代なかばの年齢設定だと思うが高校生かと思うくらい幼い。 展開も軽く都合がよすぎて、なんだか上滑りしている感。 一般的にはバッドエンドなんだけどそれもひとつの選択だ、という重さがあったのにこの話にはなかった。 その割に長い。 話の中枢にはトンネルのように鉄道の管となる隧道という仕組みがあるが、その説明がかなり冗長でまどろっこしかった。 過去の作品は現実にない設定のよくわからないものを、ややこしい説明なしにわからせる押しの強さのようなものがあったのに、これは説明しすぎ。なのにわかりにくい。 なんだか期待値より下回ってしまった感が強い。 最近の著作は軒並みそうだ。残念。 どうしようもない大きな力に流される人間の切なさや不条理さが味だったけれどどうも大衆的な雰囲気になってきてしまった。 歩行技師、象の滑り台、消えた列車など、ふんだんにつめ込まれていて過去の作品を読み返したくなった。
Posted by
リアルなえすえふ(少し不思議)物語。 淡々とした日常パートが好きー。隧道がいじらしく健気で、それを育み導く隧道士との繋がりも堪らんー。
Posted by
巷間に流布するオカルトや都市伝説。人は説明できないこと、ありえないことを心のどこかに望んでいる。ターミナルタウンは摩訶不思議な世界。ありとあらゆるところに奇想天外があり驚かされる。そんな中人間的魅力に満ち溢れているのが丸川。町の変化の点と点を結びつけ町民の乗った列車の行き先を操作...
巷間に流布するオカルトや都市伝説。人は説明できないこと、ありえないことを心のどこかに望んでいる。ターミナルタウンは摩訶不思議な世界。ありとあらゆるところに奇想天外があり驚かされる。そんな中人間的魅力に満ち溢れているのが丸川。町の変化の点と点を結びつけ町民の乗った列車の行き先を操作する。フィクサーとしての働きにすっかり魅せられた。非現実の仮想空間ではあるが愛憎があり確執があり利権抗争がある。商店街地域活性化事業に対するアイロニーはなかなか強烈だ。厄介な存在に対して煙たがり接触を拒んでばかりでは何の進展もない。一時しのぎはあくまでも一時的な安定。決して抜本的な解決にはならない。困難にまっすぐに立ち向かう勇気を授けてもらった。
Posted by
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
三崎亜記さんらしいちょっと不思議な世界観。帝都、州、見えないタワー、影無し人、隧道(ずいどう)(トンネルに代わる穴をあける何か。)。闇に飲み込まれた鉄道の幽霊(?)。各州の対立と自治体の思惑。 いろいろ詰まっているけど、ちょっと詰め込みすぎ? すべてが中途半端になってしまっているようで、なかなか感情移入が出来なかった。
Posted by
まさに三崎ワールドの集大成と呼ぶにふさわしい傑作。過去作品のエピソードがちらちらと顔を覗かせるのもファンにはたまりません。
Posted by
影なき者、隧道、見えないタワー、作者の得意としている架空の世界が広がる「町の再生」物語。設定がしっかりしているので面白いのだが、いつもきれいにまとまっている感がしてしまう。もっとはみ出した感じの迫力がほしい気もするが、これが作者の色のような気もするので難しいところだ。
Posted by
+++ 「影」を失った男。闇を浴びて育つ「隧道」。見えないけれど「ある」ことにされているタワー。五百人以上を乗せて、姿を消した「下り451列車」。町興しを手掛ける「接続会社」の思惑。様々な問題を抱え込んだまま、静原町に大きなうねりがやってくる。誰よりも緻密に「架空」を描く著者によ...
+++ 「影」を失った男。闇を浴びて育つ「隧道」。見えないけれど「ある」ことにされているタワー。五百人以上を乗せて、姿を消した「下り451列車」。町興しを手掛ける「接続会社」の思惑。様々な問題を抱え込んだまま、静原町に大きなうねりがやってくる。誰よりも緻密に「架空」を描く著者による、待望の長編小説!! +++ 影なき男・響一、寂れた和菓子屋の娘・理沙、不穏な企みを抱えて旧都からホーム伝いにやってきた牧人、関南市に吸収された静原町の元町長、駅に捨てられていた丸川、町長の女婿・修介、静ヶ原駅の駅長、という七人の目線で、静原町が巻き込まれ翻弄され息を吹き返す一部始終が語られた一冊である。どこにでもありそうな出来事に、ほんの少し斜めから光を当て、微妙に捻りを加えて時空を超えた不思議な物語に帰る著者の技が相変わらず光っている。453ページというボリュームを感じさせない一冊である。
Posted by
#読了。かつてターミナル駅として発展した「静ケ原」だが、路線廃止などに伴い街も廃れていく。目に見えないタワーの存在、トンネルならぬ隧道士が種から造る隧道。街を復興させようと企むものも・・・ファンタジーというのか、読むのに時間がかかり過ぎたせいもあるが、間延びしてしまった。
Posted by
三崎亜記さんらしい世界観で、大好きです。 歩行技師や隧道士、、、相変わらず独創的な職業も出てきて、今までの作品を読んでいる人にはスッとこの世界に入り込めるのではないでしょうか。
Posted by