マザーズ の商品レビュー
160408読了。 久々の金原ひとみ。私にとって彼女の小説の登場人物はいつも同じ女の人で、蛇にピアスの“ルイ”に始まり、ハイドラ、オートフィクション、憂鬱たち、ぜんぶその一人の女性の成長過程に見える。 今回のマザーズは全員同じ保育所にこどもを預ける母親で、虐待しそうな専業主婦、不...
160408読了。 久々の金原ひとみ。私にとって彼女の小説の登場人物はいつも同じ女の人で、蛇にピアスの“ルイ”に始まり、ハイドラ、オートフィクション、憂鬱たち、ぜんぶその一人の女性の成長過程に見える。 今回のマザーズは全員同じ保育所にこどもを預ける母親で、虐待しそうな専業主婦、不倫相手とこどもを作ってしまうモデル、旦那と別居してドラッグをやめられない小説家というなんともマッドな登場人物たちで構成されている。 育児に疲れ、傷つき、冷めたり鬼のように怒ったりする彼女たちを見て、なぜだか少し安心してしまう。 手のかからないこどもなんていない。完璧な母親なんていない。 なんだかんだ幸福なこの3人を、最後は「この人、幸せになれるかな…」というじんわりとした慰めの目で見てしまうのがなんとも言えない。 けっこう長編で、最初は途方にくれるけど、読んでいるうちにどんどん加速していく。 登場人物といっしょにわーっとなって読み飛ばしてしまったところも、最後に戻ってこられた。 一読の価値あり。
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各登場人物の抱えているそれぞれの問題が重くて、読むのにすごくエネルギーが要った。特に涼子の描写とユカの描写が金原ひとみらしく重厚で疲れた。 それぞれ共感できるところもあるし、自分もそうなったらどうするかなと考えてしまうシーンがたくさんあった。
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幼い子供を持つ3人の女、皆どこか少し壊れてると感じたけれど、自分自身子育てを経験してきたということもあり3人それぞれの孤独感や寂しさがとても共感できた。作り物の話だけれど、会話や登場人物の思いや考えに気取りがなく、感情が凄くリアルでストレートなところが良かった。
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息子を虐待し、施設に預ける羽目になった母親が、息子に暴言を吐く父親に電車内で会ったシーンになんとも言えない寂しさと切なさを感じた。
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もちろんこんなふうなんじゃあないけど、登場する3人の母親全員の気持ちが理解できる。たぶん、完璧に。だからこそ途中で本を閉じたくなった。すごい筆力。
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私の子育ても孤独との戦いだったし、夫婦の関係も色々あった。だからかな、感情移入しながら読み進めた作品。私にとっての金原ひとみデビュー作。
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沢山の不幸が詰まった一冊。その中のいくつかは、程度の差はあれ、多くの女性が体験し、私も通過してきた。だから分かる、けれど、少し大袈裟すぎて、その世界に酔い過ぎて、なんだか自己満足の塊にも感じる。 わかりやすい不幸を集めたけど、現実の方がもっと地味でその割りには乗り越えられない憂鬱...
沢山の不幸が詰まった一冊。その中のいくつかは、程度の差はあれ、多くの女性が体験し、私も通過してきた。だから分かる、けれど、少し大袈裟すぎて、その世界に酔い過ぎて、なんだか自己満足の塊にも感じる。 わかりやすい不幸を集めたけど、現実の方がもっと地味でその割りには乗り越えられない憂鬱が溢れていて、作者の言葉で言えば、絶望に満ちているよ。
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蛇にピアス以来。 初めの2ページで、蛇にピアスの閉塞感を思い出して読み進められなくなった。 10何年も前なのに。 好きではないけど、凄い作家さんなんだろうな。 いつか読めるかな。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
読み終わった瞬間産声が聴こえた気がした。凄まじい小説。改めて私は金原ひとみが大好きだと思った。弥生が死んだシーンは頭を殴られたようなショックを受け、自分から湧き出てきたわが子を失った気持ちに圧倒された。終盤に連れてユカや涼子、五月がそれぞれに、妻や母親として安定した状態に為っていくことに心から安堵した。 女であるということは、大体の場合妻として、母親として誰かを愛し、産み育てるということであり、自分の躰に他者を取り入れ、吐きだし、いずれは一部でなくなってゆくことを、哀しみ、苦しむことも含まれている。濃厚な愛が子供を失わせ、生存を危うくさせ、狂わせてゆくことがあり、それは決して稀なことではないのだと思う。女という性がまとう生々しく詩的な、切実で破裂しそうな危うさが、理屈ではなく私自身の胎内へと肉薄し、自分が女であることを、改めてどんなことなのか、その一端を見ることができた。読んで良かった。女が母に為ることは、ひどく業が深く、それ故に物語的で、文学的で、畏ろしいことなのだと感じたし、そんなことを思わせてくれた金原ひとみに感謝したい。
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思ったよりは陳腐なストーリーだったし悪趣味だったけど、育児の辛さを訴えるのには大成功している。母親に会いたくなった。
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