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直観を磨くもの の商品レビュー

3.6

19件のお客様レビュー

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2024/08/12

気心知る人との会話では、話があっちこっちに逸れる一方、異分野の人に対しては、これでもかと食い下がり理解しようとする 話の中身は分からないことだらけだったが、この小林秀雄の姿勢が彼が彼たる所以に感じた

Posted byブクログ

2024/04/27

数学教員をしている友達が、数学的な気づきは、思いの外「論理的」じゃないという話をしていた流れで読むことになった本。数学というと「論理的な思考」をしていると世間的には思われがちだが、証明に向けた出発点、最初の気づきのようなものは、とても直感的なものだという話だ。 この対談集では、画...

数学教員をしている友達が、数学的な気づきは、思いの外「論理的」じゃないという話をしていた流れで読むことになった本。数学というと「論理的な思考」をしていると世間的には思われがちだが、証明に向けた出発点、最初の気づきのようなものは、とても直感的なものだという話だ。 この対談集では、画家、音楽家、作家、批評家、物理学者といった人たちが使っている、普段、言語化されることの少ない「直観」的なものを、小林秀雄が聞き取ろうとする。 個人的に一番印象に残ったのは、一番最初の三木清との対談「実験的精神」と、五味康祐との対談「音楽談義」だった。 実験的精神では、研究が進むにつれて、その分野について知っておくべき「教養」が生まれることによって、その「教養」を得ることと、その「教養」について考えることが研究になってしまったことを批判する。ある意味、福沢諭吉などの最初に何かをし始めた人たちというのは、先行論がない。だからこそ、目の前で起きたこと、目の前にある物自体を見て、思考した。そういう「実験的精神」が今の知識人にはないという。 たしかに、何かしらの困難にぶつかったとき、考えるよりも解決法を調べたがるという精神は、今の人間にも同じことが言えるように思う。本当は、調べるのではなく、目の前で起きていることなんであるのかを分析して、ただ、その困難が解決するようにすればよいだけである。そういう物を見る精神に関する批判は、すごくささるものがあった。 「音楽談義」が面白かったのは、より音質のよい音響機器を考えようとする五味に対して、小林秀雄が徹底的に批判的だったところだ。小林秀雄に言わせれば、音質をよくしようという考えは、「音」を聞こうとする人間の発想であって、「音楽」を聞いている人間の発想ではないのだそうだ。 モーツァルトの曲をCDで流したとしたとき、雑音を全て取り去って、「生の音」に近づけたとして、それは、モーツァルトの音楽に近づいたことになるのか、と小林は言う。そして、それは逆も同じで、モーツァルトを目の前で生演奏したからといって、聴衆は、本当にモーツァルトの音楽を聞いていると言えるのかとも言う。 音楽を聞く経験は、あくまで聞き手の経験であって、雑音のあるなし、生かそうでないかの違いではない。たとえ、雑音が混じっていたとしても、人はモーツァルトの音楽に感動できる。その経験の方が大切なのだと考えているのだろうと読んだ。 単純に、音楽を聞く経験について、面白い発想だと思った。 どの対談にも言えることだが、やりとり全体に漂う内輪感に、ものすごく時代を感じる対談だなとも思った。特に、後半の大岡や今といった人たちとの対話は、ほとんど友人の会話だった。それは、対談の中に出てくるたくさんの作品や作家、本、お互いの論文といった固有名詞に表れていると思う。その中には、今の僕たちでも、名前くらいは知っているものが多くある一方で、同じ時代に生きていた人にしか通じないようなもの多い。 現代にも、知識人のこういった対談がないわけじゃないけれども、同じ教養や知識、論じるべき共通の作品をを持った人たち。そういった人たちの世界が狭いがゆえに、同じ問題意識を全く異なる分野の人同士でも共有できた時代の匂いを感じる。湯川秀樹と小林秀雄のような、全く異なる世界に見える二人も科学的な新しい発見という共通の話題で、つながることができたのではないかというような気がする。 最後にある石原千秋による解説「「わかる」ことと「わからないこと」のはざまで」が、とても印象的だった。間違っていることを知りながら、それを訂正するのではなくて、「そうか」と言って受け入れる教師。自分がわからないことをわかるまで「わからない」と言い続ける小林秀雄の姿勢。 わからないながらも、対話するなかで、ちょっと分かるようになる。そんな、人との話し方のヒントに溢れた本だと思う。

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2024/01/28

抽象的な言葉が多く、そちらの世界での対談になっているところは体験していない者にとっては難しい。文学、音楽、演劇、絵画など趣味の世界を超越したレベルでの対談になっている。対象を調査しようとして得た知識をもとに対談しているのではなく、堪能しようとして辿り着いたところをもとに話している...

抽象的な言葉が多く、そちらの世界での対談になっているところは体験していない者にとっては難しい。文学、音楽、演劇、絵画など趣味の世界を超越したレベルでの対談になっている。対象を調査しようとして得た知識をもとに対談しているのではなく、堪能しようとして辿り着いたところをもとに話している。小林秀雄が巨人だということが何となく分かるような気がする。12ある対談の中では湯川秀樹、今日出海、との対談が面白かった。

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2022/01/03

学問にしろ文芸にしろ、「手」の修練から生まれる個々人ならではの到達点を是とし、「頭」から入った平板な一般解は認めない峻厳な審美眼。背筋が伸びる。

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2021/02/06

小林秀雄氏と十二人の対談。文学だけでなく科学,絵画,音楽,…さまざまな領域で第一線の人と語らう。ただ知っているとか好きだ嫌いだというのではなく,自分なりの直観?を持ち,それを言語化できる(しようとする)ことに驚く。関心のないことにここまで豊かな知識を持たないけれど,その関心の広が...

小林秀雄氏と十二人の対談。文学だけでなく科学,絵画,音楽,…さまざまな領域で第一線の人と語らう。ただ知っているとか好きだ嫌いだというのではなく,自分なりの直観?を持ち,それを言語化できる(しようとする)ことに驚く。関心のないことにここまで豊かな知識を持たないけれど,その関心の広がりは知識が知識を呼ぶようなものではないだろうか。自分自身が求めることに全てが関連付いている。私もそうなのだろう。広さと深さは比べるようなものではないけど。

Posted byブクログ

2019/04/03

昔の人は、やっぱり偉い…‼️ この教養の深さ、広さ… 本当に頭が上がらないッ(@ ̄□ ̄@;)!! しかも、意見が辛辣ッ‼️ 言いたいコト言える時代は幸せだったよねぇf(^ー^; 小林秀雄ファンは一度は読むべし✨

Posted byブクログ

2017/12/18

小林秀雄といろいろな人との対話。博学で賢い人なので誰と対話していてもスリリングで面白い。刺激的な対話なので退屈しない。

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2017/01/10

小林秀雄と、湯川秀樹や折口信夫など各界の知性ともいうべき方々との対談。歴史、哲学、音楽、絵画など、様々な分野に造詣が深く、また本質を捉えようとする意欲の結晶が表されていて、やはり学ぶこと、良いものに触れること、考えることは、非常に重要であると再確認。タイトルにある「直観」は、一般...

小林秀雄と、湯川秀樹や折口信夫など各界の知性ともいうべき方々との対談。歴史、哲学、音楽、絵画など、様々な分野に造詣が深く、また本質を捉えようとする意欲の結晶が表されていて、やはり学ぶこと、良いものに触れること、考えることは、非常に重要であると再確認。タイトルにある「直観」は、一般的にいう「直感=勘」とは異なり、知識の持ち主が熟知している知の領域で持つ、推論など論理操作を差し挾まない直接的かつ即時的な認識の形式。直観を前提として具体的な問題を正しく説明したり解決に導くためには、多くの経験と知識、理解が必要であり、これこそが必要なのだと思った。

Posted byブクログ

2016/04/14

対談で話題にしている音楽や絵画、本などを知らないのでつまらなかった。湯川さんと小林さんとの対談が、2人の専門分野が違うからか話が全然噛み合ってなくて、読みづらかった。

Posted byブクログ

2016/03/12

独特の語り口が魅力的だ.湯川秀樹との対談は,わかりにくかったが,その向かう姿勢のようなものは面白く感じた.あと,友人関係にある今日出海と河上徹太郎との いろんな方向へ飛んでいく対話が自然で面白かった.

Posted byブクログ