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フード左翼とフード右翼 の商品レビュー

3.5

62件のお客様レビュー

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2013/12/22

ちょっとキワモノ的なタイトルですが、なかなかどうして。現代日本の食に対する思想のあり方が見事に分析されています。タイトルからはかなり政治色が強い印層を受けますが、実際には思想的背景のほうに焦点を当てています。日本の場合はアメリカとちがい、それほど食生活と政治思想は強く結びついてい...

ちょっとキワモノ的なタイトルですが、なかなかどうして。現代日本の食に対する思想のあり方が見事に分析されています。タイトルからはかなり政治色が強い印層を受けますが、実際には思想的背景のほうに焦点を当てています。日本の場合はアメリカとちがい、それほど食生活と政治思想は強く結びついていません、はい。 で、本書の場合はフード左翼(革新=左派という程度の意味ね)に大部分が割かれています。有機農法やマクロビ、スローフードに地産地消。。。どういう人がそこに惹かれ、何が問題であるかがわかりやすく解説されています。もちろん、矛盾や問題を含んでいるからと言ってそのすべてが否定されるわけではなく、ある意味で注意深く中立・公正を保とうとしているのがわかります。あえて注文を付ければ、フード右翼ももっと深くつっこんで欲しかった。 さて、意地の悪いところだけを大胆に要約すれば、フード左翼は『都市民(都市派/リベラリスト)』で『アッパーミドル』に包括され、人口全体の1%でしかなく、現代農法を否定して世界中の人に有機農法野菜を食べさせようとすれば、現在の倍以上の耕地面積が必要となり環境破壊が進むけど?というところか(笑) 結局、フード左翼に連なる農業生産は『従来農法=近代農業』には交わることはなく、土着することのない一過性の(「短期的な」という意味ではない)ものでしかないというところが私はイヤなのかな。よく『都会生活に疲れて脱サラして田舎で就農しました』的な人がいて、毎日野菜をもらったり畑仕事を手伝ってもらったりして『田舎の人はみんな親切でよくしてくれます』というけれど、そういっている本人は今後において近所の人たちを物心両面でどのように支えて行くのだろうか?それをしない限り、『お客さん』だよね。

Posted byブクログ

2013/12/12

どちらかと言えば「フード左翼」を中心とした解説であるが、食をめぐるポリティクスを解き明かす本書は、現在の社会運動、特に「反原発」運動やニセ科学を考える上でも非常に有用な視座を与えてくれるだろう。 自然食やマクロビオティックに代表されるような「フード左翼」的な試みが、消費社会の動...

どちらかと言えば「フード左翼」を中心とした解説であるが、食をめぐるポリティクスを解き明かす本書は、現在の社会運動、特に「反原発」運動やニセ科学を考える上でも非常に有用な視座を与えてくれるだろう。 自然食やマクロビオティックに代表されるような「フード左翼」的な試みが、消費社会の動きの中で発展し、いろいろとちぐはぐな政治思想を生み出してしまったという点は、現在の「ノンベクレル」関係の動きと切り離すことはできないだろう。感情保守的(!)な新左翼運動と結びついた社会運動を見直す上で、本書は極めて優れた試みと言える。

Posted byブクログ