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フード左翼とフード右翼 の商品レビュー

3.5

62件のお客様レビュー

  1. 5つ

    6

  2. 4つ

    23

  3. 3つ

    22

  4. 2つ

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  5. 1つ

    1

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2014/01/27

著者の最初の立ち位置は「フード左翼に興味を持ったフード右翼」であり、私も同じ目線で本書に入ることができました。 インタビューや、知らなかった事実の掘り下げが中心で、ニュースのようにスイスイ読み進められます。 食を選ぶことでファッションのように語られるイデオロギーは、一見面倒くさい...

著者の最初の立ち位置は「フード左翼に興味を持ったフード右翼」であり、私も同じ目線で本書に入ることができました。 インタビューや、知らなかった事実の掘り下げが中心で、ニュースのようにスイスイ読み進められます。 食を選ぶことでファッションのように語られるイデオロギーは、一見面倒くさいけど掘り下げると結構面白いぞーっていう良書。 消費ほど正直な活動はないよね。

Posted byブクログ

2014/01/24
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

食の選択は政治的行動である。 という前提のもと、工業製品と化した資本主義に根差した現代の食へ反旗を翻す“自然回帰”を「フード左翼」と定義した今作。 速水さんの著作は身近にあるものの意味を違った角度から切り込むという特徴があって、その斜に構えたカッコよさに嫉妬するほどだが、この作品もそれに違わぬ嫉妬を抱いた。 「有機野菜」とは本来とてもクリーンなイメージがある。しかし、この有機野菜が世界にとっては害毒かもしれないという「フード左翼のジレンマ」の章は白眉である。世界を荒らしているに違いない大量生産の食が逆に食の「民主化」を達成し、世界に貧困に歯止めをかけるかもしれないという仮説も読めば読むほどうなずいてしまう。 まるで、愛国を訴えるネトウヨが逆に国益を損ない、本来ボーダレスであるべき左翼が沖縄で愛郷心溢れる反基地運動をしているような。。そんなねじれが食においても起こっているような・・・そんなジレンマがより政治に見えるという面白さ。 そして最後は・・・最期は自分はどんな食生活を送っているだろうか。そんな問題意識を喚起してこの作品は終わる。 これからの自分の食を見つめさせてくれる作品である。 そしてそれが政治であり、それが面白い。それに気付かせてくれた。

Posted byブクログ

2014/01/23

食へのこだわりは、単なるこだわりを超えた理念(イデオロギー)である――。 食の嗜好を実地調査も踏まえ分類していきますが、どちらかをバカにする目的ではないので、悪意のない冷静なまとめに仕上がっています。 文章の書き方も、炎上目的の挑発的な書き方ではなく、フラットで嫌みがない感じ。...

食へのこだわりは、単なるこだわりを超えた理念(イデオロギー)である――。 食の嗜好を実地調査も踏まえ分類していきますが、どちらかをバカにする目的ではないので、悪意のない冷静なまとめに仕上がっています。 文章の書き方も、炎上目的の挑発的な書き方ではなく、フラットで嫌みがない感じ。 雑誌についても言及されていて、本書で触れられているオリーブ女子、服部みれい、うかたまに対して自分が感じていたモヤモヤ不思議な感じが、見事に整理されていました。 タイトルこそ「フード左翼とフード右翼」ですが、メインは「フード左翼」の方。 彼らのなかにはらんでいる矛盾や真面目すぎるがゆえの分裂など冷静にそのまま書かれています。 調査をしているうちに著者も左に寄っていくというオチ尽きで(笑) 日本人は政治を熱く語り合うことは本当に少ないですが、日常の延長の政治として、食から切り込んでいくアプローチが面白かったです。

Posted byブクログ

2014/02/03

同時期に発売された、ちくま新書の『1995年』と平行して読んだが、やはり速水さんはこういったワンテーマを鋭く切り取った著作の方が圧倒的に面白い。反グローバル的な「フード左翼」の食のススメは、一見すると大衆に味方しているように見えるが、極めて生産効率の悪い「全ての地球人口を食わせて...

同時期に発売された、ちくま新書の『1995年』と平行して読んだが、やはり速水さんはこういったワンテーマを鋭く切り取った著作の方が圧倒的に面白い。反グローバル的な「フード左翼」の食のススメは、一見すると大衆に味方しているように見えるが、極めて生産効率の悪い「全ての地球人口を食わせていくことのできない『金持ちの道楽』」に留まっているという指摘が興味深い。個人的には、避けられない食の工業化の中で、最低限健康に暮らしていけるだけの食の在り方という「落としどころ」がどこかにあるんじゃないかと思ってるんだけど・・・。

Posted byブクログ

2014/01/12

自然食品指向を「フード左翼」、安価・お手軽な既製食品指向を「フード右翼」と位置づけ、日米での両者の所属階層や価値観、これらに基づく政治志向を分析している本で、なかなかおもしろかったです。 これに当てはめて自分自身を考えると、ちょうど真ん中か、ちょっとだけ右といったところでしょうか...

自然食品指向を「フード左翼」、安価・お手軽な既製食品指向を「フード右翼」と位置づけ、日米での両者の所属階層や価値観、これらに基づく政治志向を分析している本で、なかなかおもしろかったです。 これに当てはめて自分自身を考えると、ちょうど真ん中か、ちょっとだけ右といったところでしょうか。油たっぷりのばりばりのジャンクフードは避けがちですが、カップ麺やコンビニ弁当は普通に食べますし、有機野菜やマクロビオティックなどへのこだわりは全くありません。放射能や遺伝子組み換え食品も全くきになりません。でも、栄養のバランスには気をつけ、肉類よりも野菜をできるだけ多く取るようにし、旬の地元食材での料理には非常にそそられますから。 ともあれこの本を読んで、「自然食品指向」の人たちの中にも、実にいろいろな価値観でそのスタイルを取っている人たちがいるんだということがよくわかりましたし、また、現代の日本でも、特に青山など東京都心などでヨーロッパでよく見かけたファーマーズマーケットが結構はやっているというのを知ることができてためになりました。

Posted byブクログ

2014/01/08

食と政治をつなげて論じた本。 着眼点が、ありそうでなかったなあと思った。 筆者の定義にあるような傾向は、確かにあるなあと思うけど、どっちかというとそこまで考えているひとは少数派な気がしないでもないけど。 自身の思想を表明する方法が政治運動から食に移り変わってきたっていうのはおもし...

食と政治をつなげて論じた本。 着眼点が、ありそうでなかったなあと思った。 筆者の定義にあるような傾向は、確かにあるなあと思うけど、どっちかというとそこまで考えているひとは少数派な気がしないでもないけど。 自身の思想を表明する方法が政治運動から食に移り変わってきたっていうのはおもしろい。

Posted byブクログ

2014/01/11

アメリカでは主流になりつつある「食」という観点からの政治への参加を 日本の歴史、現代の流れからの切り口で書いた本書。 冒頭は多少、フード左翼を馬鹿にしていたような作者であったが、自らもおいしいし楽しい、という理由でフード左翼の側に変化していく作者の様子がおもしろかった。 ピー...

アメリカでは主流になりつつある「食」という観点からの政治への参加を 日本の歴史、現代の流れからの切り口で書いた本書。 冒頭は多少、フード左翼を馬鹿にしていたような作者であったが、自らもおいしいし楽しい、という理由でフード左翼の側に変化していく作者の様子がおもしろかった。 ピーター・シンガーの引用にあるように、「現実的な左翼になる為には、旧来の左翼が抱いていた理想主義を弱め、代わりに「競争」と「強力」を深めていくべきだ、という指摘には激しくうなずいた。

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2013/12/31

評論家の速水健朗さんの本。 タイトルがぱっと目につく、そして、帯も目につく本。 フード左翼とフード右翼という概念は面白いな。 自然食系が左翼、チェーン・がっつり系が右翼だが、その左翼と右翼という言葉がしっくりくる。 ただ、タイトル倒れの面があって残念だな。 途中で四象限の図と...

評論家の速水健朗さんの本。 タイトルがぱっと目につく、そして、帯も目につく本。 フード左翼とフード右翼という概念は面白いな。 自然食系が左翼、チェーン・がっつり系が右翼だが、その左翼と右翼という言葉がしっくりくる。 ただ、タイトル倒れの面があって残念だな。 途中で四象限の図とかあるが、実際に使っているのは二象限だけだったりな。 着想は面白いので、もう少しこのような分類を使った深堀りがあってらよかったな。

Posted byブクログ

2014/01/01

入院中に読了。 本書では、食べ物・食べ方の嗜好(志向、思考)と政治的な志向(思考、意識)の関連性を試みている。政治的というより、経済的な階層や「地域差」といった方が適当か。 「左」なボブは感覚として感じ取っていたが、改めて考えてみると、なるほど…とうなずくことも多い。 科学的に...

入院中に読了。 本書では、食べ物・食べ方の嗜好(志向、思考)と政治的な志向(思考、意識)の関連性を試みている。政治的というより、経済的な階層や「地域差」といった方が適当か。 「左」なボブは感覚として感じ取っていたが、改めて考えてみると、なるほど…とうなずくことも多い。 科学的に正しくても、否定もしくは拒否されることは多く、多くを学んでいる(はずの)学生(教官もにいる!)にもそういった傾向は強かった。 参考になったのは補章「高齢者の未来食と共産主義キッチン」。脳梗塞の影響で嚥下障害になり、とろみ食を経験したことと、同じ病棟にいる老人たちの食事風景を目の当たりにして、すごく共感した。 「フード左翼」がメインだったので、「フード右翼」についてももう少し言及して欲しかった…

Posted byブクログ

2013/12/30

刺激的なタイトルであるが、フード右翼のことはほとんど出てこない。 著者本人はフード右翼だったものが、本書の制作を通じて不完全ながらフード左翼に転向したといい、その方向での転向はあっても、逆はないのだ、という。僕は若かりし頃明らかにフード右翼であったが、いまは確かにずいぶん左傾化し...

刺激的なタイトルであるが、フード右翼のことはほとんど出てこない。 著者本人はフード右翼だったものが、本書の制作を通じて不完全ながらフード左翼に転向したといい、その方向での転向はあっても、逆はないのだ、という。僕は若かりし頃明らかにフード右翼であったが、いまは確かにずいぶん左傾化した(ちょっとまた右下に落ちてきている気もするけど)。それが政治思想とどう結びつくだろうか。周辺の人を見てみる。たしかに関連性があるような気もするが…。 セックスは共に出来ても食事は共に出来ない、という分断例はインパクトもある一方で理解も出来る。しかしそれを政治思想にむすびつけるのはどうよ、と思いつつも、そういう飛躍と単純化が楽しさでも有る。 フード左翼はオリーブ少女的政治意識の持ち主であり、「うかたま」とかがそれを引き継いでいるのだ、と言われると、なるほどそうか、と。

Posted byブクログ