かわいそうだね? の商品レビュー
女性が普段表には出さない裏側の感情に焦点を充てた一冊。一作目の『かわいそうだね?』は、主人公の我慢や嫉妬心がリアルに描かれている。主人公は、恋人に嫌われないように物分りの良い彼女を演じるが、最終的に自分の気持ちに素直になり、感情を露わにする所が、人間味があって愛着が湧く。 もう一...
女性が普段表には出さない裏側の感情に焦点を充てた一冊。一作目の『かわいそうだね?』は、主人公の我慢や嫉妬心がリアルに描かれている。主人公は、恋人に嫌われないように物分りの良い彼女を演じるが、最終的に自分の気持ちに素直になり、感情を露わにする所が、人間味があって愛着が湧く。 もう一作の『亜美ちゃんは美人』も、主人公さかきちゃんが、美人の友人を持つが故に嫉妬心に苛まれる作品だ。様々な経験を通してさかきちゃんが亜美ちゃんに対する見方を変える所が良い。人間は誰でも心の奥底に妬みや恨みを抱えている。特に女性はそれを表に出さないようにする。だからこそ、私だけが辛い・苦しい目にあっていると思いがちになる。しかし、妬みや恨みは自分の余裕の無さから来るものだということが分かれば、人間関係はスムーズにいくのである。主観と客観、両方のバランスを取ることの大切さを教えてくれる一冊である。
Posted by
綿谷りさの魅力は、こんなに可愛らしい人なのに、さらっとこうした恐ろしい話を書けるところにあるんだろう。 「かわいそう」という言葉に隠された発言者と対象者との不可視の関係性を白日の下に曝け出しつつ、女性特有のドロドロした世界を描いたスラップスティックコメディー(だと僕には感じられ...
綿谷りさの魅力は、こんなに可愛らしい人なのに、さらっとこうした恐ろしい話を書けるところにあるんだろう。 「かわいそう」という言葉に隠された発言者と対象者との不可視の関係性を白日の下に曝け出しつつ、女性特有のドロドロした世界を描いたスラップスティックコメディー(だと僕には感じられた)。美人で人から愛されたことしかない友人が、自身を愛さず興味を持たない人と出会ったときにどう変貌するのかを冴えない友人の側から描いた「亜美ちゃんは美人」も良い。
Posted by
かわいそう、という言葉について。 対象があってのかわいそうな訳だがその言葉の対象になった人は自分をかわいそうだと思うのか?おそらくノーだろう。つまりは相手に対する優越感からくる完全に自己満足な言葉なわけで…。このお話の中で「かわいそう」なアキヨさんは彼氏の元カノ。そんな人間を同棲...
かわいそう、という言葉について。 対象があってのかわいそうな訳だがその言葉の対象になった人は自分をかわいそうだと思うのか?おそらくノーだろう。つまりは相手に対する優越感からくる完全に自己満足な言葉なわけで…。このお話の中で「かわいそう」なアキヨさんは彼氏の元カノ。そんな人間を同棲させる彼氏は最低だと思うし別れたらいいのに好きだからそんな簡単には割り切れない。わかるわーの連続でしたw ラスト主人公が関西弁で感情を爆発させる場面はスカッとしたしお見事w 「亜美ちゃんは美人」はさらにわかるわーの連続。 美人の特性というかちやほやされることに慣れた人間の嗜好はこうなるのか…と。本人が幸せならそれでいいと思うけど周りがあれこれ勝手なこと言うのが美人クオリティ。 2作とも女子の特性についてちょいブラックに表現してるとこがよかったです。
Posted by
どちらの話も好き。 アキヨさんみたいに甘えることもできない、亜美ちゃんみたいに可愛くもない私は、じゅりえ、さかきちゃん、どちらの主人公の気持ちも痛いくらいにわかる。 こうやって“一般的な”女の子はこの登場人物に惹かれていくんじゃないかと思います。 個人的には二話目の小林くんの...
どちらの話も好き。 アキヨさんみたいに甘えることもできない、亜美ちゃんみたいに可愛くもない私は、じゅりえ、さかきちゃん、どちらの主人公の気持ちも痛いくらいにわかる。 こうやって“一般的な”女の子はこの登場人物に惹かれていくんじゃないかと思います。 個人的には二話目の小林くんのキャラクターと発言が秀逸で、引用もしてしまいました。
Posted by
元カノと暮らす男と付き合う女の話。 この男はつまりはどうしたかったんだ。 女はしたたかなほうがいいのかな。 もうわからんよ。。
Posted by
作者の表現力が稀有すぎて面白い!私たちが経験する身近な経験を作者が書けばこんなにも豊かな経験と化する。 女の子の微妙な心情や描写を面白おかしく痛快に語ってる本。 何度、電車で吹き出しそうになったことかわからない。特にアキヨとじゅりえの修羅場シーンはアクション映画さながらの迫力と緊...
作者の表現力が稀有すぎて面白い!私たちが経験する身近な経験を作者が書けばこんなにも豊かな経験と化する。 女の子の微妙な心情や描写を面白おかしく痛快に語ってる本。 何度、電車で吹き出しそうになったことかわからない。特にアキヨとじゅりえの修羅場シーンはアクション映画さながらの迫力と緊張感がある!
Posted by
かわいそう、とは。自分より価値が下だという場合でしかない。 女は常に、女を自分と比べて価値付ける。 彼氏が元カノと同棲してても、かわいそうだから、許せるだろうか。 就職が決まってないから。 服だってチープな感じ。 顔だって、私の方が美人だ。 だから、かわいそうでしょ? でも、...
かわいそう、とは。自分より価値が下だという場合でしかない。 女は常に、女を自分と比べて価値付ける。 彼氏が元カノと同棲してても、かわいそうだから、許せるだろうか。 就職が決まってないから。 服だってチープな感じ。 顔だって、私の方が美人だ。 だから、かわいそうでしょ? でも、女の価値って違うんだなぁ。 アキヨからのメールは、腹立たしいとともに、自分が男だったら捨てられないという気持ちも分かる。 女って、こわい。
Posted by
どちらかというと亜美ちゃんは美人 の方が面白かった。 さかきちゃんが主語ではなく、第三者が「さかきちゃん」側から物語を進めている所がよかった。 さかきちゃんの主観だけの話で終わっていたら、ただの嫉妬物語に成り下がってしまっていると思う。 めんどくさい「女」の心理描写が、ブラック...
どちらかというと亜美ちゃんは美人 の方が面白かった。 さかきちゃんが主語ではなく、第三者が「さかきちゃん」側から物語を進めている所がよかった。 さかきちゃんの主観だけの話で終わっていたら、ただの嫉妬物語に成り下がってしまっていると思う。 めんどくさい「女」の心理描写が、ブラックでリアリティーがあってよい。 川上弘美とはまた違った「形はないけど、確かに存在する心理」のすくい方だと思う。
Posted by
「痛快!」綿矢りさを読むといつも思うけど、今作も例に漏れず。女子特有の視点。でもドロドロしたりしなくて、痛快。
Posted by
いやぁ~面白かった! 今年初めての小説で ひさびさに一気読みしたなぁ~(笑) 変幻自在の表現力で キャラクターに命を吹き込む綿矢マジックは健在! 奇妙な三角関係に揺れる1人の女性の苦悩を (妄想と言ってもいいのかな) ここまで面白く、最後まで読ませる技量はさすがという他ないで...
いやぁ~面白かった! 今年初めての小説で ひさびさに一気読みしたなぁ~(笑) 変幻自在の表現力で キャラクターに命を吹き込む綿矢マジックは健在! 奇妙な三角関係に揺れる1人の女性の苦悩を (妄想と言ってもいいのかな) ここまで面白く、最後まで読ませる技量はさすがという他ないですね(笑) (隠れた邦画の傑作「さんかく」のブラックさを楽しめた人なら、必ずハマります笑) 女性に質問します。 もし、あなたの彼氏が 元カノが家がなく困っているので その元カノを仕事が決まるまで 自分の家に住まわすと言ったら どうしますか? ゴキブリが出ても地震が起こっても、 悲鳴をあげてはいけない 「シッカリ者」という役割を宛てられた主人公の女性、樹理恵(じゅりえ)は、 アメリカ帰りで「ヒーロー肌」の彼氏、隆大(りゅうだい)の不可解な行動に仕事も手につかなくなり、 次第に心惑わされていきます。 樹理恵の恋敵で、隆大の家に居候するアキヨという元カノの だらしなくて頼りなさげなのに ズブとさ満開な(笑)KYキャラがまた、 読む者をイラっとさせると同時に どこか不気味で不安感を煽ってくれる強烈なモンスターぷり。 そして「もし大地震に巻き込まれたら…」に始まり、 「北欧風のお洒落なカフェで もしパフェのカロリーをアルバイトのウェイターに尋ねたなら…」 など、主人公・樹理恵の 妄想特急が暴走するシーンの痛々しさと可笑しさよ(笑) 自分も含めて普段から妄想家の人たちならニンマリしつつも 自分の姿をダブらせてドキッとしちゃうことでしょう(笑) 自分の正義を貫くため 彼女に無理難題を言う意味不明な男と 男と別れたくないがために 心を殺し、なんとかプライドを保とうとする女。 憐れで愚かしいそんな二人の攻防は 男の思考VS女の思考と見ることもできて、 男女どちらが読んでも 興味深いんじゃないかな。 それにしても 決して口には出さず樹理恵の脳内でだけ繰り広げられる 心の声の切実さと、 的を得た言葉のその切れ味の鋭さには ホント脱帽です(笑) 時に笑い、時に震撼し、 思いっきり共感してしまったし(汗)(°∇°;) (特に携帯メールを盗み見るシーンのリアルさと 痛快無比な怒涛のラストバトルと 後半、樹理恵が放つ含蓄深い名言の数々は特筆すべき点!) かわいそうは危険な言葉です。 かわいそうから出た行動は 人を貶め、優越感や自己満足しか生まない。 明日は我が身! 誰の中にも樹理恵や隆大やアキヨ的なモノは 存在するのかもなぁ~(汗)(・・;) 女の子同士の友情の「真理」を モテない女の子側の目線で鋭く描いた 同時収録の『亜美ちゃんは美人』も文句ナシに面白かった! (それにしても今作の綿谷さんの言葉って 、どれも確信に満ちていて名言に溢れてるし、大いに共感してしまったなぁ)
Posted by