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地図と領土 の商品レビュー

4.2

34件のお客様レビュー

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2014/11/24

前半の現代美術成功譚がディテールに凝っていただけに、以後の急展開には突飛な筋書きを粗筋のままざっくり語られているような印象を覚えた。

Posted byブクログ

2014/11/17

ジェドという架空のアーティストの半生を描いた作品。アーティストが作品を生み出す苦悩、作品を世に出す際の商業的な手法などがうまく表現されている。後半のサスペンス的な展開も面白く読めた。 ただし、海外文学をあまり読まないせいか、文章の途中に書かれている説明文の度に内容が頭から抜けてい...

ジェドという架空のアーティストの半生を描いた作品。アーティストが作品を生み出す苦悩、作品を世に出す際の商業的な手法などがうまく表現されている。後半のサスペンス的な展開も面白く読めた。 ただし、海外文学をあまり読まないせいか、文章の途中に書かれている説明文の度に内容が頭から抜けていく感じがして読むのに苦労した。

Posted byブクログ

2014/10/28

ジェド・マルタンという人の生涯を描いた作品。 何が面白かったかというと、作者自身が物語の中で死ぬこと。 本当にうまく描くなあと思った。

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2019/10/15

帯では〈惨劇〉にまつわる誇大なクエスチョンマークをあらすじとして示してるけど、惨劇そのものがストーリーのコアとかテーマというより、物語の大部分は芸術とは何かという思索とジェドの素朴な生活とのアンバランスな交錯。とても静かで悲しく美しい小説でした。

Posted byブクログ

2014/07/02

作者の死を唱えたのはフランスの批評家ブランショであったが、ウェルベックは本作において見事に自分自身を殺し切ることに成功した。無様なまでに性を追い求めた旧来の主人公と異なり、ジェドの生涯はもはやそうした過剰なコミュニケーション願望すら存在しない。彼の職業たる現代アートは物質と経済で...

作者の死を唱えたのはフランスの批評家ブランショであったが、ウェルベックは本作において見事に自分自身を殺し切ることに成功した。無様なまでに性を追い求めた旧来の主人公と異なり、ジェドの生涯はもはやそうした過剰なコミュニケーション願望すら存在しない。彼の職業たる現代アートは物質と経済で塗り潰された20世紀後半における資本主義社会の仇花であり、関係性と貨幣との交換可能性は世界と個人を静かにに切り離している。孤独と諦観が支え合いながら世界を明晰に論述する美しさを引き立たせる本作は、現代アートの先を描き出している。

Posted byブクログ

2014/05/25

タイトルだけ読むと社会科学の本のようだけど、かなり重厚な小説。久しぶりに文学を堪能する楽しさを味合わせてくれた。アーティストである主人公の描く作品が、目の前にあるかのように豊かに描写される。その筆力とともに、実在する人物が登場したり、アート市場への皮肉が込められたり、衒学的であっ...

タイトルだけ読むと社会科学の本のようだけど、かなり重厚な小説。久しぶりに文学を堪能する楽しさを味合わせてくれた。アーティストである主人公の描く作品が、目の前にあるかのように豊かに描写される。その筆力とともに、実在する人物が登場したり、アート市場への皮肉が込められたり、衒学的であったり、明らかに物語であると分かっているのに、どこかでリアリティがある、不思議な小説。とにかく世界観に圧倒された。

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2014/05/19

面白かった。性に対するオブセッションの強度、ハイブラウな芸術観、父子関係の味わい深さといった文学的な様々な要素と、テレビ文化に代表される俗な世界観がミックスされ、ポリフォニックな力強さに満ちた小説を読んだ感じ。

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2014/03/26

(文学まで含めて)アートとは何か?という問いかけに、諦めと皮肉と資本主義と殺人を織り交ぜつつ、孤独のしっとり感もあって、気難しそうで抑鬱的で、映画的で、警察官が変でフランスっぽい。少し前に読んだ短めウェルベックに較べると、想ったよりちゃんと「物語」でちょっと拍子抜けしてしまった。...

(文学まで含めて)アートとは何か?という問いかけに、諦めと皮肉と資本主義と殺人を織り交ぜつつ、孤独のしっとり感もあって、気難しそうで抑鬱的で、映画的で、警察官が変でフランスっぽい。少し前に読んだ短めウェルベックに較べると、想ったよりちゃんと「物語」でちょっと拍子抜けしてしまった。モテなくて死にそうになってると噂の『素粒子』も読んでみたい。

Posted byブクログ

2014/03/12
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

相変わらず海外文学に疎いので読むのに少し苦労したのですが、中盤を過ぎて以降の加速度的な面白さは久しぶりに味わう感覚でした。 一介の芸術家の自伝的小説かと思いきや、ウェルベック本人は出てくるは、その本人はものすごく退廃的な人物として描かれているや、挙げ句の果てには“あんなこと”になってしまうやで、もうこの初体験の読書感覚にゾクゾクしました。 「重層的な物語」とはよく使われる言葉ですが、本書こそまさしくその言葉にふさわしいのではないかと思います。「芸術と資本主義」の話であり、「生と死」の話であり、「愛について」の話であり、「親と子」の話でもある。凡庸な作家であれば、それらが散逸してしまうところですが、ウェルベックはそれらを見事にまとめ上げ、読者を心地よく小説の世界へ誘う。非常に優れた作家だと思います。 僕なんかの拙い日本語では説明することができないほどに、豊潤で深みのある小説だと思いました。

Posted byブクログ

2014/03/10

休日の職場でこれを読んでいたら「遊びに来てるんですか」と後輩に突っ込まれたが、個人的にはすごく勉強してるなぁくらいのつもりでいた。“自作自演”という手法、地図・アートという題材。こういうのを読むと、自分如きにモノなんか作れない気がする。「愛というのは<めったにない>ものですよ。知...

休日の職場でこれを読んでいたら「遊びに来てるんですか」と後輩に突っ込まれたが、個人的にはすごく勉強してるなぁくらいのつもりでいた。“自作自演”という手法、地図・アートという題材。こういうのを読むと、自分如きにモノなんか作れない気がする。「愛というのは<めったにない>ものですよ。知らなかった?誰もそう教えてはくれなかった?」という、物語の途中で若い主人公に投げかけられる台詞と、最終章にある彼の最後の作品についての描写がかけあいのように思い出される。ないということが、あるということ。

Posted byブクログ