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ルポ虐待 の商品レビュー

4.2

86件のお客様レビュー

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    32

  2. 4つ

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  3. 3つ

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2013/11/21

数年前に実際にあった事件について書かれた本。事件について記憶がある方もいるのでは? まず、ここまで取材をした著者の取材力を評価したい。事件が起こり、犯人が逮捕されるとそれで一件落着となってしまい、「その後」がどうなったのか分からないことがほとんどであるので、報道されない「その後...

数年前に実際にあった事件について書かれた本。事件について記憶がある方もいるのでは? まず、ここまで取材をした著者の取材力を評価したい。事件が起こり、犯人が逮捕されるとそれで一件落着となってしまい、「その後」がどうなったのか分からないことがほとんどであるので、報道されない「その後」について知ることが出来る一冊。 全てを家族や行政などの責任にすることはできないけれど、本人だけに責任があるとの報道にも違和感を感じてしまう。 どこかで何かが変わればここんなことにはならなかったのでは…と感じざるを得ません。 「母なるもの」とは一体なんなのか。 個人的にはいろいろと感じるところもあるけど、子育て中の女性の感想を聞きたいところです。

Posted byブクログ

2013/11/17

女性が、いったん母となったが最後、社会からはたくさんの規範が押し付けられる。その規範は、本人の心の中にも内面化されていて、逃れることが困難だ。この本に出てくる人には、生い立ちの影響で社会を全く信じられない状況もあって、最悪の結末となった。 けれど、読了して思うのは、ここまではい...

女性が、いったん母となったが最後、社会からはたくさんの規範が押し付けられる。その規範は、本人の心の中にも内面化されていて、逃れることが困難だ。この本に出てくる人には、生い立ちの影響で社会を全く信じられない状況もあって、最悪の結末となった。 けれど、読了して思うのは、ここまではいかない母と子の「ヒヤリ・ハッと」はたくさんあり得て、誰でも当事者や家族や友人、同僚などとして関わる可能性があるということだ。 「ヒヤリ・ハッと」で済まなくなってしまうと、途端に、母が女性労働者であることから、貧困の問題が立ち現れ、その貧困が社会的繋がりの希薄さとマッチポンプ状態で加速する。 これは、個人の資質や努力を超えた社会の問題で、少しずつ手を変え品を変えながら誰にも降りかかることなのだろう。運の悪さの組み合わせ、いかんによって。

Posted byブクログ

2013/11/11
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

友人Nちんのレビューを見て読んでみました。 第3者の視点からの偏りのないルポでとても読みやすかった。 この事件はセンセーショナルに取り上げられ、風俗店勤務の母親がさんざん糾弾されたので3年経った今も覚えている人は多いでしょう。 事件の背景を読み解いていくと、裁かれるべきなのは本当にこの母親だけなのか切ない気持ちが残ります。 世の中には救いを求めたくても、声をあげることも知らないままに貧困や孤独と戦っているシングルマザーたちがたくさんいます。 彼女たちを愚かだと非難するのではなく、寄り添い導ける社会にするために何ができるのだろう? そんなことが重く心に響いた一冊でした。

Posted byブクログ

2013/11/08

 大阪二児置き去り死事件の母親について,社会的そして臨床的視点から掘り下げたもの。  カテゴリカルな診断の弊害を強く感じた。  裁判というのは個々人の事情を十分に酌んだ上でなされていくものであるべきで,他者視点から見ていっても何も分からない。  そういう意味で,診断至上主義は国...

 大阪二児置き去り死事件の母親について,社会的そして臨床的視点から掘り下げたもの。  カテゴリカルな診断の弊害を強く感じた。  裁判というのは個々人の事情を十分に酌んだ上でなされていくものであるべきで,他者視点から見ていっても何も分からない。  そういう意味で,診断至上主義は国の維持には寄与するかもしれないけれど,何の解決にもならないんだろうなあ。  人を批判するのは容易。  でも,他人がそうせざるをえなかった状況や状態を考えていくのが,「生きる」ってことなんじゃないだろうか。

Posted byブクログ

2013/11/04

子供を置き去りにして遊びまわるヘルス嬢.彼女を取り巻く人達を入念に取材している著者とは面識があるが、それにしてもほんとうの意味でのシングルマザーの支援体制が行政も家族にも出来上がっていない感じがする.シングルマザーが増えているのは事実であり、第二第三の事件が発生する可能性は大なの...

子供を置き去りにして遊びまわるヘルス嬢.彼女を取り巻く人達を入念に取材している著者とは面識があるが、それにしてもほんとうの意味でのシングルマザーの支援体制が行政も家族にも出来上がっていない感じがする.シングルマザーが増えているのは事実であり、第二第三の事件が発生する可能性は大なので、特に家族を含めた周りの人たちが声をかけるのがスタートラインになるような気がしている.

Posted byブクログ

2013/11/03

大阪で起きた2人の子供に対するネグレクト事件を扱っている。丁寧な裏づけ取材を元にかかれた良書。 子供が餓死してしまった要因は色々なところにあるのはわかるけど、子供の無念さを考えると、懲役30年は軽すぎると思う。

Posted byブクログ

2013/10/24

未だ記憶に新しい「大阪2児置き去り事件」の核心に迫るノンフィクション。若い母親が何故ワンルームマンションに2人の小さな子どもを置き去りにして死なせることになってしまったのか、その要因はあまりにも深く重いが、決して他人事とは思えない。

Posted byブクログ

2013/10/23

幼い子供二人の置き去り餓死事件。母親の生育環境が詳しい。「遺族の処罰感情」を加味して懲役30年が確定したことには目を疑った。無力な母親に押し付けたのは自分たちではないか…。報道を詳しく追ってたわけではないけど,周囲の責任が大きいと感じた。母親の嘘言癖もその結果であり,行政介入の余...

幼い子供二人の置き去り餓死事件。母親の生育環境が詳しい。「遺族の処罰感情」を加味して懲役30年が確定したことには目を疑った。無力な母親に押し付けたのは自分たちではないか…。報道を詳しく追ってたわけではないけど,周囲の責任が大きいと感じた。母親の嘘言癖もその結果であり,行政介入の余地は乏しかったようだ。

Posted byブクログ

2013/10/19
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

2010年に幼児二人が大阪のマンションに50日間置き去りにされて死亡した事件のルポルタージュ。 丁寧にいろんな人に取材していて、筆者の仕事のよさに感激したのと、 幼児を育てる母親の自分にとって、筆者の「母親を降りても良いのではないか」という問題提起は強烈で、読書中の3日間は、仕事中でも考えているほどでした。 何より、子育てが辛かったら、無理だと思ったら、積極的に助けを求めようと思いました。あんまり、できる母親を着飾らず、仕事も家事もできない自分を受け入れようと思いました。 虐待で子供がもう亡くならないためには、行政も、警察も、地域つながりも、いろんな人たちがそれぞれに対処する方法があるけれど、 母親が助けを求められないといけないし、母親一人が子供を育てられて当たり前という考えはもう捨てないと、ということを学びました。 今年は育児休暇明けで全然本は読めていないから、母数はかなり少ないけど、今年読んだ中では最も忘れられない一冊。虐待について、もう少し調べたり、勉強したりしてみたくなりました。

Posted byブクログ

2013/10/17

2010年7月、大阪のマンションで3歳の女の子と 1歳の男の子が置き去りにされて餓死した事件を覚えていますか? 食べもを探して空っぽの冷蔵庫の中に、汚物まみれの手形を あちこちに残して、そして内臓まで腐敗して、 白骨化した状態で発見された、こうして書いているだけでも 泣けてくるあ...

2010年7月、大阪のマンションで3歳の女の子と 1歳の男の子が置き去りにされて餓死した事件を覚えていますか? 食べもを探して空っぽの冷蔵庫の中に、汚物まみれの手形を あちこちに残して、そして内臓まで腐敗して、 白骨化した状態で発見された、こうして書いているだけでも 泣けてくるあの事件です。 ご存知のようにこの母親は、室内の扉をテープで留めて 置き去りにしたうえ、友達たちと遊び放題、そして帰宅後に 子供たちの死体をみたあとにも男友達を呼び出して、 性行為をしていた女性です。 「鬼畜」「同じ目に合わせて、死んでしまえばいい」「絶対死刑だ」 誰しもが感じた思い、そしてもちろん自分もその気持ちに近いものは あります。 しかし、この本を読むと・・・・、違った視点、違った感情が 出てきてしまいます。 この悲劇のきっかけは、最初の離婚のとき。 思い切り簡単に言うと”自分をうまく語ることのできない、そして 明らかに子育てが出来ない女性”に対しての彼女の周囲の 態度、でしょうか。 《子供たちは誰のものなのか》、ただこの観点のみでことが 進んで行ってしまい、それに逆らう生活力や意志力のない この母親はただただ、流されていくだけとなっていきます。 判決文にもあった「子供を引き取ると決めたのだから(実際は 彼女の意思は反映されていない)、責任を持って養育すべき。 あきらめずに周囲の助けを求めるべきであった」 もちろん、これは正論で、人として親として全うすべきことです。 しかし、母親が子育てから降りることが出来る、という選択が 出来る社会であってもいいのでは、という著者の意見に 私は賛成でした。 (本書で取り上げられている風俗しながら子育てをしている 女性たちの生活を読むと、何とも言えなくなります) もちろん、彼女が行った行為は許されるものではありません。 幼い命を、苦しみを与えながら消し去った行為は 死をもってしても償えないものがあるとも思います。 ただ・・、懲役30年という確定した判決。 これに自分は、この本を読んで違和感を感じてもしまっています。

Posted byブクログ