ユーミンの罪 の商品レビュー
ユーミンの歌を時代とともに整理することで、女性の気持ちのあり方の変化を手際良く示してみせる、酒井さんの見事な手腕に感服。
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ユーミンは、私にとっては少し年上世代の音楽で、あまり好きではない。荒井由実はいいなって思う時もあるけど、松任谷由実はバブルの印象が強すぎるし・・・。っていうのが読む前の印象。 でも、読んでいてけっこうイメージ変わりました。彼女がいち早くスピリチュアル的なものに興味を持っていたこ...
ユーミンは、私にとっては少し年上世代の音楽で、あまり好きではない。荒井由実はいいなって思う時もあるけど、松任谷由実はバブルの印象が強すぎるし・・・。っていうのが読む前の印象。 でも、読んでいてけっこうイメージ変わりました。彼女がいち早くスピリチュアル的なものに興味を持っていたこと、バブルという言葉が存在しなかったバブルのまっただ中に、消えてなくなるシャンパンの泡とゴージャスで儚い恋とをかけて「ダイヤモンドダストが消えぬまに」を歌い、バブルの終焉を予期していたこと。彼女はバブル的消費をリードしたというより、時代を先取るセンスがすごい人なのね。派手なライフスタイルを提案してきたのではなく、いち早くその時代の女性の欲しがるものを察し、提示してきただけなんだと。 しかも毎年1枚アルバムを出すって、すごいパワーだなあ。 私がユーミンを真面目に聞いてたのは、小学5,6年生の頃。毎週末のユーミンのラジオ番組を録音しては、「大人の聞く音楽とはこういうものなのか」と塾に行く途中にウォークマンで聴いてたけど、それほど好きにはなれなくて、結局は久保田利伸みたいなメロディー重視の曲が好きだった。DOWN TOWN BOYなんかはビートの刻み方がユニークだから好きだった方の部類。ノーサイドは退屈な歌だなー、でもちょっと心地よいかも、って思っていたけどまさかラグビー部の彼氏の歌だとは思いもよらなかった。「Valentine's RADIO」の歌詞「うでで目覚めた夜明け」も、小学生の頃には全く意味わかんなかったな。「流行っているから、少し研究してみよう」と思ったけど、歌詞を重視しない私には全くささらないのでした。 私がそうして、塾に通って中学受験の勉強に勤しんでいたころ、当時のオトナ文化は「アッシー、メッシー」「ジュリアナ」などが隆盛で、私も大学生くらいになればアッシーの一人や二人はゲットできるのだろう、とメガネのくせに思っていた。 その後、私は中学受験に半分失敗して大学附属のお金持ち校に進学。当時はティーン雑誌でも10万以上するブランドものを平然と紹介している時代で、私もそれに興味があったりはしたけれど、周りの金持ちが難なくそれらを手に入れているのを観て、目を覚ますことができた、というか覚まさざるを得なかった。金持ちの中にいると、こっちが少し頑張ってブランドものを持っても、全く意味がなく、むしろ愚かにさえ見えてくるわけです。そんなこともあって、私はそれまで以上に勉強するようになり、付属校の中で必要以上に勉強し、違う大学への進学を志す私はとても浮いた存在だった。 もし、わたしが金銭的に同じようなレベルの子が集まる学校に行っていたら、その中で目立つ為にブランドものに執着していたかもしれず、ユーミン的な価値観にも、もう少し浸かっていたのかもしれない。 酒井さんが語る「ユーミンは私達を肯定し、まるごと受け入れてくれた。そして、私達の婚期は遅れた」という言葉を聞くと、「もう少し遅く生まれて、バブルを冷めた目で見つめるこっち側世代にくればよかったのに!」と思います。 向こうからしたらよけいなお世話&いい迷惑でしょうが・・・。 そういえば、先日、「ヨガフェス」というものをのぞく機会があったんだけど、「どうせ冷えとり靴下と布ナプキン信者がたくさんいるのだろう」と思って冷やかしてみたところ、やっぱりどちらのブースも出てました! オーガニック系はバブル消費とは真逆のベクトルとはいえ、あっさり冷えとり、布ナプ教にハマる人というのは、ひょっとしたらかつてバブル消費にどっぷりだった人なのでは・・・という意地悪い目で見てしまった私でした。
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ユーミンのアルバムを著者が聞いていたデビュー期からバブル期までを切り取って年代順に歌詞の表現と世相の変遷の関係を時代時代の女性の生き方を中心に論じられています。著者がリアルタイムで聞いたのは、松任谷以降で、ユーミンがプロジェクト化して、世相にマッチした一定水準以上の作品を毎年年末...
ユーミンのアルバムを著者が聞いていたデビュー期からバブル期までを切り取って年代順に歌詞の表現と世相の変遷の関係を時代時代の女性の生き方を中心に論じられています。著者がリアルタイムで聞いたのは、松任谷以降で、ユーミンがプロジェクト化して、世相にマッチした一定水準以上の作品を毎年年末にリリースする職人芸が光った時代、その作品がバブル期の世相と相まって、女性の恋愛観に必ずしも良いとはいえない影響を与えたことがユーミンの罪というのが著者の主張です。同時代を体験した著者ならではの評論が展開されています。
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ユーミンのアルバムを順を追って解説していくことで、70年代からバブルの終わりまで、時代の移り変わり、特に女性の立ち位置や考え方がどう変わっていったのかが語られる。確かにユーミンのオシャレさは、バブルのイメージと紐付いている。僕はユーミンはあんまり聞いていないが、当時の曲を聞けば、...
ユーミンのアルバムを順を追って解説していくことで、70年代からバブルの終わりまで、時代の移り変わり、特に女性の立ち位置や考え方がどう変わっていったのかが語られる。確かにユーミンのオシャレさは、バブルのイメージと紐付いている。僕はユーミンはあんまり聞いていないが、当時の曲を聞けば、その時代の日本、特に東京の想像がつくだろう。そうでありながら普遍的であるのが、ユーミンのすごいところだ。
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酒井順子さん。「激昂」という言葉から最も遠いところにいる人という印象。 他の人が言うと、嫌みに感じるようなことも、酒井さんが淡々と言うと、それもそうだな。と素直に思える。 だいたい、「負け犬」だって、「女性論者」「リベラル派」の皆さんからどんなにぶっ叩かれても不思議ない言葉な...
酒井順子さん。「激昂」という言葉から最も遠いところにいる人という印象。 他の人が言うと、嫌みに感じるようなことも、酒井さんが淡々と言うと、それもそうだな。と素直に思える。 だいたい、「負け犬」だって、「女性論者」「リベラル派」の皆さんからどんなにぶっ叩かれても不思議ない言葉なのに、世の中にすんなり受け入れさせた。 「ユーミンの歌とは女の業の肯定である」という帯が、内容をよく表している。 松任谷由実さんは、酒井さんと同じ立教女子中高出身だということ。 酒井さんの指摘では、松任谷さんは「湿度の低い」歌を歌う。 「湿度の低さ」でいえば、酒井さんもなかなかなもの。 今回の本では、あまり触れられていなかったが、ユーミンの歌、と松任谷正隆氏の関連も気になるところ。 しかし、この本を読んで久しぶりに、ユーミンの歌を聞いた。懐かしくはあったが、僕はそんなに好きじゃなかったな。
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ユーミンをそれほど好んで聞く機会がなかったからなぁ。 少し上の世代の女性が、ユーミンを絶賛しているのが 何となくわかりました。 曲と、時代感をうまくとらえて表現しているので、 その部分は面白く読めた。他のミュージシャンでは、 何かできないかしらん?とふと読んでみたくなりました。
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アルバムを全部聴いている訳ではないし、コンサートも行った事がないのに、人生の節目節目にはこの人の歌が聴こえていたような気がします。 改めて、この本を読んでその事に気付かされました。
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ユーミンがデビューして2012年で40周年、私の青春と共に今も第一線で歌を作り、歌い続けるユーミンの歌と社会の変遷を分析している。酒井順子という女性の心と社会を分析する達人によるユーミンとユーミンの歌の解説は「なるほど」と思わせるもの。 私の青春と共に常にBGMとしてユーミンの音...
ユーミンがデビューして2012年で40周年、私の青春と共に今も第一線で歌を作り、歌い続けるユーミンの歌と社会の変遷を分析している。酒井順子という女性の心と社会を分析する達人によるユーミンとユーミンの歌の解説は「なるほど」と思わせるもの。 私の青春と共に常にBGMとしてユーミンの音楽は今も奏でられ続けている。この本で改めてユーミンの歌詞を読み直してみると、快いポップなメロディーで包み込まれているが、詩が書かれたその時代の女性の心理と行動を鋭く短い言葉の中に表現し、奥が深いことを始めて知った。その時代時代の女性の心を掴んで離さない共感と彼女たちの憧れを常に作品に載せてくる技は天才といっていいものだろう。 今、2014年になっても未だユーミンは若い女性もまた我々ユーミンと同世代の女性の「こころと行動」を表現し続けるあこがれの女性なのだ。
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ユーミンの歌とその歌に反映されるそれぞれの時代の色彩。いや、それぞれの時代の色彩をユーミンが絶妙にキャッチして歌にしていると言うべきか。ユーミンが発表した73年から91年のアルバムと共に、それぞれの時代に生きる女性たちが抱いていたその時代特有の事情や想いなどと絡めながら振り返って...
ユーミンの歌とその歌に反映されるそれぞれの時代の色彩。いや、それぞれの時代の色彩をユーミンが絶妙にキャッチして歌にしていると言うべきか。ユーミンが発表した73年から91年のアルバムと共に、それぞれの時代に生きる女性たちが抱いていたその時代特有の事情や想いなどと絡めながら振り返っていくのが本書。 86年生まれの自分からしたら、この本で描かれる各時代の悩みなんかもう別世界の出来事だ。軽い!軽すぎる!なんとお気楽な時代だろう!…とは言うものの、実を言えば羨ましいのである。もちろん自分と同年代の若い人たちの中にも、バブル世代の人のように、もしくはそれ以上に派手で煌びやかな生活を送っている人もいるだろうが、でも今はその煌びやかさがかえって「ダサい」と捉えかねない時代。自分の意志より他人の目。そういう時代からすると、ユーミンの歌と共に時代を駆け抜けてきた世代の人々の自由奔放さがなんとも魅力的に映るのだ。 ユーミンの歌はなんでもお洒落に変えてしまう。悩みや悲しみ、失恋や離別など本来であればマイナスに捉えられる感情や思いも、彼女の手にかかれば人生を彩る輝かしい1ページに化ける。それってどうよ?とも確かに思う。愛だの恋だの、勝ち組負け組といった言葉にいちいちイライラさせられる。もっと真面目に生きろよとすら思ってしまう。でもその実、もし生まれ変わるならこの時代のイケてる奴として生まれ変わりたいな、なんても思っているのだ。結局のところ、ユーミンの歌に描かれるような時代っていい時代だったんだな、きっと。
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※このレビューにはネタバレを含みます
ひこうき雲からはじまって、MISSLIM、COBALT HOUR、 14番目の月、流線形’80 OLIVE、悲しいほどお天気、 SURF & SNOW、昨晩お会いしましょう、PEARL PIERCE, RE INCANATION, VOYAGER, NO SIDE, DA・DI・DA, ALARM 'alamode ダイアモンドが消えぬまに、 ここまでのユーミンのアルバムはほとんど聴いて知ってた。 Delight Slight Light Kiss, LOVE WARS, 天国のドア、 DAWN PURPLE この辺になるとちょっとあやしい。 本の感想にはなっていませんでした。
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