なぜ人と組織は変われないのか の商品レビュー
人が変わりたくても変われないのはなぜか? という原因を、アクセルとブレーキを同時に踏んでいるという表現で表されたのが「免疫機能」というもの。 何かを変えるという時に、「変えたくない」という心理状態がある。 個人だけではなく、組織となると、組織は複数人の集合体であるため、一人一人そ...
人が変わりたくても変われないのはなぜか? という原因を、アクセルとブレーキを同時に踏んでいるという表現で表されたのが「免疫機能」というもの。 何かを変えるという時に、「変えたくない」という心理状態がある。 個人だけではなく、組織となると、組織は複数人の集合体であるため、一人一人それぞれの免疫機能があり、その存在を自認する必要が謳われている。 それとともに、「組織としての目標はなにか?」に対する全員の免疫マップを作るワークショップと一人一人の免疫マップを公表する営みから、信頼関係が構築され、組織変革につながっていく… という事例を複数取り扱っていた。
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「学習する組織」に続けて読むべき本。免疫機能という表現を使っているが、なぜ変われないかを良くえぐっていると思う。ここに書かれていることは理解できるが、実践するのは相当の覚悟と努力が必要。
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本書の原題は『Immunity to Change - How to Overcome It and Unlock the Potential in Yourself and Your Organization』であり、直訳すれば『変化に対する免疫 - どのようにしてあなた自身や...
本書の原題は『Immunity to Change - How to Overcome It and Unlock the Potential in Yourself and Your Organization』であり、直訳すれば『変化に対する免疫 - どのようにしてあなた自身やあなたの組織の免疫を乗り越え、潜在的な能力を引き出すか』といった内容になるだろう。 本書は根本的に方法論であり、Why には答えていないので意図的であれ相当なミスリードだと感じる。とはいえ、題の和訳は内容には影響を与えないので、レビューの点数には勘定していない。 本書の主なコンテンツは、人が行動を変えるために用いられる「免疫マップ」と呼ばれるフレームワークであり、免疫マップは 1. 改善目標:もっとこうなりたいという願望 2. 阻害行動:改善目標を阻害している行動 3. 裏の目標:阻害行動をしてしまう本当の理由 4. 強力な固定観念:裏の目標を求めてしまう、自分が本当に正しいと感じている固定観念 を要素とする。人や組織のポテンシャルは改善目標と裏の目標が拮抗することにより抑圧されており、固定観念を自認して行動を変えることによって、ポテンシャルを解放することを目指すフレームワークである。 話は理解できるしたしかに有用だろうと感じるが、冒頭では著者の学会への敵対心が見て取れる。 > 私たちが自分たちの研究結果を発表しはじめたのは、一九八〇年代。...権威ある学会のパネルディスカッションで同席した脳科学者たちは、侮蔑を込めたほほ笑みを浮かべたものだった。「長期の聞き取り調査によってそのような推論を導けるとお考えなのでしょうが」と。...(Kindle版 p.25 より) つまり、議論が客観的な判断に基づいているわけではないという自覚をしている。さらに、強力な固定観念の真実性については以下のように書いている。 > 実際には、私たちの自己認識と世界認識は一つの仮説にすぎない。それは真実の場合もあれば、そうでない場合もある。そのような仮説をあたかも確定的な真実であるかのように扱えば、それは強力な固定観念になる。(Kindle版 p.377 より) これはフレームワークの中で扱う内容が事実だろうが事実でなかろうが、本人の行動を変えるために役立つのであれば活用すべきだと言っている。さらに「対象者が大卒中流層に偏っていることは事実(Kindle版 p.77 より)」とも書いている。 この態度はマズローが『人間性の心理学』の冒頭で書いていた「科学的な方法のみによって正当性が判断されるべきではなく、病人以外にも心理学の門戸を開いていくべきだ(表現はうろ覚え)」に通じるものがあり、自己啓発やコンサルティングのツールとしては有用な場合もあるだろうしおもしろいと感じた。
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当該観点については非常に思うところがあり、手に取った本。 知性の話に始まり、とても幅広く研究解釈されている名著 自己変容型知性と仕事能力との相関関係性は強く共感 深い洞察が多く盛り込まれている。 組織と人の変革に関するバイブル的名著 メモ ・自分を変えられない人は7人に6人 ・人は何歳になっても世界を認識する方法を変えられる可能性 ・月並みなリーダーと傑出したリーダーの違い、それはチーム全体の能力を高められるかどうか ・大人の知性の三段階 環境順応型知性 周囲に合わせる、忠実、順応する 自己主導型知性 環境を客観把握し内的判断基準に基づき、判断選択する。自身の価値観に基づく自我。 自己変容型知性 自身の価値基準の限界を検討できる。システム秩序の不完全性を理解。矛盾や反対を受け入れられる。複数システムの保持を考えられる。矛盾を統合しつつ自我を形成する ・変革を実現できないのは二つの相反する目標の両方を本気で達成したいから。人間は矛盾が服を着て歩いているようなもの 強力な阻害行動の裏の目標を明らかにする必要がある ・問題は同じでも本当の動機は人それぞれ ・裏の目標に加え、強力な固定観念の存在 この真偽を試す行動をとれれば、固定観念修正の道が大きく開ける ・権限移譲できない人の例 裏の目標 他人に依存せず万能でありたい、自己犠牲の持ち主でありたい、問題の解決策を見出したい 固定観念 頼って上手くできなければ自尊心を失う、自分を最優先させると薄っぺらで自分が嫌いなタイプに、課題できないと価値がなくなってしまう 給料泥棒になりたくない ・変わるために必要な三つの要素 心の底 変革を起こすやる気の源 頭脳とハート 思考と感情の両方に働きかける 手 思考と行動を同時に変える ・自己変革成功者の共通要因 思考様式と行動の両方を変えることに成功 思考と感情を鋭く観察し、結果を情報として活用したこと 明確な意図を持って行動し、データに基づいた基本認識をつくり新たな力と評価基準を獲得したこと ・免疫マップ 一枠 改善目標 自分にとって重要なものであること 周りの誰かにとっても重要であること 目標達成のために自分自身の努力が必要だと認識できていること 二枠 阻害行動 目標達成の足を引っ張るもの 要素多く、率直なほど免疫マップの診断効果高まる 三枠 裏の目標 二枠の反対行動を取った際の不安を考える。 不愉快な感情が生まれないか?感情を引っ張り出す。不安ボックスに書き込んでみる 第一枠と衝突する裏の目標の候補を明らかにする 自己防衛という目的との関わりが明確なものであるはず。裏の目標達成のために阻害行動が重要な役割を果たしているもの。 四枠 強力な固定観念 裏の目標の根底にありそうな固定観念。 事実だと確信しているもの 裏の目標の少なくとも一つを必然的な生み出すもの ・序盤 舞台を作る 免疫マップを練り上げる 事前調査を行う 周りに意見を聞く 中盤 掘り下げる 目標への道のりを作成する 自己観察をおこなう いつ固定観念は猛威をふるうか。覆す機会はないか 固定観念の履歴書をつくる、検証する 終盤 学習の成果を定着させる 事後調査をおこなう まわりにきく 落とし穴と脱出ルートを発見する ・発達思考の姿勢 大人になっても成長できるという前提にたつ 組織学習を業務と完全に切り離したものとしない 自分を成長させる良い問題に取り組んでいるか 感情が重要な役割になっていることを理解する 考え方と行動のどちらも変えるべきと理解する メンバーにとって安全な場を用意する
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べらぼうに面白い!心が湧き立つネ! 通常の読書とは別に,教科書として,読み直しながら実践してみようと思う…いや,実践する!
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職場の上司に勧められた1冊。 この手の本は、自分自身の人生を振り返りつつ、読むのが大切だと考えます。 個人的な解釈を交えつつ、内容紹介に移ります。 〇「知性」とは? ⇒自分自身の価値基準の限界を理解しつつ、複数のシステムを場面毎に使い分け、批判を受け入れる能力 〇不安管理システ...
職場の上司に勧められた1冊。 この手の本は、自分自身の人生を振り返りつつ、読むのが大切だと考えます。 個人的な解釈を交えつつ、内容紹介に移ります。 〇「知性」とは? ⇒自分自身の価値基準の限界を理解しつつ、複数のシステムを場面毎に使い分け、批判を受け入れる能力 〇不安管理システム(裏の目標)を理解 ⇒人は不安を避ける生き物であり、自身の不安管理システムを緩やかにする 〇人間の「知性」を高めるために必要なのは「適度の葛藤」 ⇒挫折を味わうこと且つ適度な支援を受けることが重要 総括すると、①人の話をよく聞き、②日々振り返り、③3歩進んで2歩下がる・・かな? 当たり前の大切さに気付く(体系的に理解する)ために、この手の本は需要がある気がしました!
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免疫マップは、なかなか目的を達成できない人にはドキっとするフレームワークだと思う。 本にはたくさんの免疫マップ例が紹介されている。大切なのは、一番最後に書かれた7つの「リーダーはどのように道を示すべきか」。人が変われないのにイライラするのではなくて、時間がかかることも変われない悔...
免疫マップは、なかなか目的を達成できない人にはドキっとするフレームワークだと思う。 本にはたくさんの免疫マップ例が紹介されている。大切なのは、一番最後に書かれた7つの「リーダーはどのように道を示すべきか」。人が変われないのにイライラするのではなくて、時間がかかることも変われない悔しさも受け入れられると一緒に歩いていけそう。
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ロバートキーガン先生の発達の5段階の知識はあったけれど、それがアップデートされていてより理解しやすくなっていた。 今回は大人の知性の発達は3段階で、 環境順応型知性 自己主導型知性 自己変容型知性 となっている。 3段階目はいわゆる構造主義を受け入れられていることとも捉えられる...
ロバートキーガン先生の発達の5段階の知識はあったけれど、それがアップデートされていてより理解しやすくなっていた。 今回は大人の知性の発達は3段階で、 環境順応型知性 自己主導型知性 自己変容型知性 となっている。 3段階目はいわゆる構造主義を受け入れられていることとも捉えられる気がした。 結局一人ひとりがそこに辿り着かないと組織は変わることができないが、その具体的方法について本書では詳細に書かれていた。 ただ、実践するにはなかなか難しく、覚悟と時間が必要で、最後には認知行動療法や精神分析療法のようなことまでやっており、なかなか簡単には導入できないと感じた。 とはいえ、まなびはたくさんあった。 やはり組織を変えられるのはリーダーなのだ。
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変わりたい、変わろうと努力している。なのに全然改善できない。そんな思いを抱いたことはないでしょうか。 痩せたいけど、甘いもの・脂っこいものを食べちゃう。勉強しなければいけないけど、携帯見ちゃう。話を聞けるよい父親になりたいのに、また怒鳴ってしまった等々。 本書はそうした変わりたいけど変われない人の心理に潜む構造を明らかにし、人は幾つになっても変わることができる、と主張する作品です。 ・・・ では変革を阻む原因とは何か。それは、自己に潜む「強力な固定概念」です。 人は矛盾を抱える生き物です。向上したい・自分を変えたいという気持ちに偽りはないものの、その裏には自分の変革を阻む固定概念が巣食っていることを認知せよ、と説きます。 例えば、とある若き部長の目標。彼は自分がやるべきことに集中し、権限移譲をすすめる目標があった。でもそうできなかった。すぐに新しいことに手を出し仕事を増やし、大量の仕事を抱え込み、他人に助けを求めない旧来のスタイルから抜け出れない。そこで自らを振り返り、自己の底に潜んでいる、「他人に依存せず万能でありたい」「自己犠牲の精神の持ち主でありたい」「課題をやり遂げる方法を見出せなければ、価値ある人材でなくなる」等の当初目標とは相反する想いを抱いていたことを発見する。 本書ではこのような状況を「ブレーキを踏みながらアクセルを踏む」と呼んでいました。 確かに、人は往々にしてそうした潜在的な自己保存的欲求に気づかないことが多いと思います。 その点本書が促すのは、問題に対するテクニカルな(ある意味表面的な)ソリューションではなく、むしろ一段深層の自分の欲求に気づくよう省察することです。 本書では、筆者が提唱する「免疫マップ」という手法を駆使して深層の欲求を認知し変化のきっかけをつかむ事例がこれほどかというほど載っています(読んでいて途中でだるくなるくらい載っています)。 ・・・ なお組織の変革についても書かれています。こちらはあくまでリーダーやトップが出張らないと組織は変わらないというのが結論。やり方は個人のものと同じで個々人の持つ変革目標とそれを阻む固定概念を組織ぐるみで作成し回し読みするような感じ。 因みに、私「この腐った会社をどうにか変えてやりたい」という思いを胸に本書(タイトルに注目!)を買いましたが、この点では肩透かしでした。窓際平社員のボトムアップによる組織変革は流石に無理っぽいです笑 まあ地道に自己の能力向上を目指します。 ・・・ もともと教育系学部で教鞭をとる筆者の研究のメインは、人の行動の可塑性、のような話。その点で「人は幾つになっても変われる」という結論は、本人だけではなく、私のような中年のおっさんにも福音のようなメッセージでありました。 自分を変えたいという真摯な方が自己省察を行うのにはとても良い本かと思います。私も自分でも試してみて、自分の底に潜む強い固定概念を知ることができました。 ただ、自分を変えるという意味では今私が並行して読んでいるレイ・ダリオ「プリンシプル」の方が包括的なように感じております笑。極端に行きたい方は「プリンシプル」の方がお勧めです。
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読み込むのは少し難しいですが、原理も分かりやすく、事例も多く、とても実用的な内容です。私はこれをベースに約200人に対して1on1コーチングを実践しました。今も進行中です。1人で考えても不安を避けようとするので、深い固定観念に到達するにはコーチの伴走が必要です。アレンジも必要です...
読み込むのは少し難しいですが、原理も分かりやすく、事例も多く、とても実用的な内容です。私はこれをベースに約200人に対して1on1コーチングを実践しました。今も進行中です。1人で考えても不安を避けようとするので、深い固定観念に到達するにはコーチの伴走が必要です。アレンジも必要ですが、とても効果を感じています。この本に感謝してます。A4サイズで履歴を残せるあたりも企業向けとしてもちょうどよいです。
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