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押絵の奇蹟 の商品レビュー

3.5

18件のお客様レビュー

  1. 5つ

    2

  2. 4つ

    7

  3. 3つ

    6

  4. 2つ

    2

  5. 1つ

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2026/03/04

ナンダカ、切ナクテ、ウツクシイ──
 そんな感想が、読み終えたあとに静かに残る一編。 ここ最近、夢野久作作品を続けて読んでいて思うのは、
彼の得意とする書簡体や独白文の小説には、少なからず語り手のナルシズムが滲み出る、ということだ。 それは作者自身の陶酔ではない。 
あくまで...

ナンダカ、切ナクテ、ウツクシイ──
 そんな感想が、読み終えたあとに静かに残る一編。 ここ最近、夢野久作作品を続けて読んでいて思うのは、
彼の得意とする書簡体や独白文の小説には、少なからず語り手のナルシズムが滲み出る、ということだ。 それは作者自身の陶酔ではない。 
あくまで、手紙を書いている登場人物の嗜好や自己陶酔であり、
だからこそ、語り手に高尚な人物や清廉な女性が選ばれると、
その文章で形作られる物語世界もまた、幻想的で妖艶な魅力を帯びてくる。 この感覚こそが、夢野久作という作家の人気の一端なのではないだろうか。
因縁や死といった題材を、陰惨でも恐怖でもなく、
どこか厳かで華美なものとして描き出すその趣向は、
谷崎潤一郎に近いものを感じさせる。 美貌のピアニストが舞台で吐血し、
女嫌いの名歌舞伎役者の兄がそれをそっと見守る。
故郷でも名高い別嬪嫁をはじめ、錚々たる人物たちが配された物語は、
まるで歌舞伎の舞台そのものを押絵に封じ込めたように、
ドラマチックなフィナーレへと進んでいく。 そしてラスト。これも、久作の得意技だ。 
──その後のことは、誰も知らない。
真実は、闇の中へ。 映画タイタニックのラストのように、読み終わった後に 冷たい水の底に沈んでいくような感じがする。 同じ「押絵」を題材にした作品なら、
私は 江戸川乱歩の
『押絵と旅する男』の方が好みではある。
展開が、圧倒的に早い!

Posted byブクログ

2026/02/12

ずっと読みたかった中編3編が収録されて最後までわくわくしながら読んだ。 全て手紙形式で描かれているものだが、途中からは手紙ということも忘れて読み込んでいてポツポツ顔を出す手紙形式の文章にそういえばそうだったと気付かされるのが楽しかった。 表題作の「押絵の奇蹟」は精神学的要素が入っ...

ずっと読みたかった中編3編が収録されて最後までわくわくしながら読んだ。 全て手紙形式で描かれているものだが、途中からは手紙ということも忘れて読み込んでいてポツポツ顔を出す手紙形式の文章にそういえばそうだったと気付かされるのが楽しかった。 表題作の「押絵の奇蹟」は精神学的要素が入っていて、改めて夢野久作が描きたかった物語の造形を捉えられた気がする。 また作家生活に入るきっかけとなった「あやかしの鼓」が期待以上に面白くて読む手が止まらなかった。

Posted byブクログ

2026/01/25

夢野久作の中篇ミステリ作品集『押絵の奇蹟』を読みました。 夢野久作の作品は、13年前に読んだアンソロジー作品『恐怖特急』に収録されていた『人の顔』以来なので久しぶりですね。 -----story------------- 江戸川乱歩が激賞した表題作をはじめ、中篇3篇を収録。 ...

夢野久作の中篇ミステリ作品集『押絵の奇蹟』を読みました。 夢野久作の作品は、13年前に読んだアンソロジー作品『恐怖特急』に収録されていた『人の顔』以来なので久しぶりですね。 -----story------------- 江戸川乱歩が激賞した表題作をはじめ、中篇3篇を収録。 明治30年代、美貌のピアニスト・井ノ口トシ子が演奏中倒れる。 死を悟った彼女が綴る手紙には出生の秘密が……。(「押絵の奇跡」) 江戸川乱歩に激賞された表題作の他「氷の涯」「あやかしの鼓」を収録。 イラスト・米倉斉加年 ----------------------- 1926年(大正15年)から1933年(昭和8年)に雑誌『新青年』に発表された以下の3篇が収録されています。  ■氷の涯  ■押絵の奇跡  ■あやかしの鼓  ■解説 中島河太郎 夢野久作の怪奇・幻想ミステリの魅力を凝縮した中篇3作を収めた作品集……いずれも手記・書簡形式の一人称で語られ、語り手の主観が物語の不気味さを増幅させる構造になっているのが特徴、、、 江戸川乱歩が激賞した表題作を中心に、妖艶さと恐怖が同居する独特の読後感が残る。 妖艶で不気味、しかしどこか甘美という夢野久作らしい世界観が3篇に共通している印象でしtね……いずれも手記・書簡形式で語られるため、語り手の主観が強く、語りの信頼性を常に揺さぶられながら読み進める感じです、、、 そんな中でイチバン好みだったのは、ロシア在住の日本兵が、スパイ事件に巻き込まれていく『氷の涯』、 極寒の地での孤立、疑心暗鬼、そして語り手自身の弱さが、事件の真相をさらに混迷させる展開……冒険譚の要素が強く愉しめましたね。 『押絵の奇蹟』と『あやかしの鼓』は、夢野久作らしい雰囲気は感じられましたが……物語に入り込めなかった感じでした。

Posted byブクログ

2024/07/27

高校時代に熱愛した怪奇幻想小説。 米倉斉加年の色っぽい表紙が魅力的だった。 久作の「押絵の奇蹟」、「ドグラマグラ」、乱歩の「押絵と旅する男」、正史の「かいやぐら物語」「真珠郎」がとストライクの趣向だった。 これらの作品で、自分の嗜好の方向性が決定付けられた。 「不義密通!」と叫...

高校時代に熱愛した怪奇幻想小説。 米倉斉加年の色っぽい表紙が魅力的だった。 久作の「押絵の奇蹟」、「ドグラマグラ」、乱歩の「押絵と旅する男」、正史の「かいやぐら物語」「真珠郎」がとストライクの趣向だった。 これらの作品で、自分の嗜好の方向性が決定付けられた。 「不義密通!」と叫んで妻と娘を斬り殺すところに江戸時代の残滓を感じたが、本当に不義密通があったのか、それとも胎教による影響なのか、結論を宙吊りにしたまま物語は終わる。 夢野は一人称語りを得意としているが、本作も手紙体の一人称語りだ。 夢野はこのスタイルをエドガー•アラン•ポーからの学び、多くの一人称小説を生み出していく。

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2023/03/04

『氷の涯』 正直よくわからなかった。ただ、ラストがよかった。 『押絵の奇蹟』 最後の最後まで真相が明かされない所が良くもあり悪くもある。話の内容はとてもよかった。運命・神秘・可能性みたいなものを感じた。 心の中の想い人ににてしまうというのはあり得るように思う。女独自の感覚かもし...

『氷の涯』 正直よくわからなかった。ただ、ラストがよかった。 『押絵の奇蹟』 最後の最後まで真相が明かされない所が良くもあり悪くもある。話の内容はとてもよかった。運命・神秘・可能性みたいなものを感じた。 心の中の想い人ににてしまうというのはあり得るように思う。女独自の感覚かもしれないが。一種のテレゴニーのようなものか。 『あやかしの鼓』 まず強く感じたのは“因果”。 あらすじは割とよくある感じではあるが、作者らしいしつこさが素晴らしく出ていた。 しつこさも体良く全てが繋がりだすと退屈な話になり得るのだなと感じた。

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2020/05/06

デビュー作といわれる「あやかしの鼓」も収録された一冊。 「氷の涯」を読んでいるときは、それこそ中島河太郎の解説にあるような「大衆読物視された作品」にすぎないような気がしていたけれど、表題作「押絵の奇蹟」を読んでからはもう全然違って、やはりロマンと推理の複合的怪作を描かせたら夢野久...

デビュー作といわれる「あやかしの鼓」も収録された一冊。 「氷の涯」を読んでいるときは、それこそ中島河太郎の解説にあるような「大衆読物視された作品」にすぎないような気がしていたけれど、表題作「押絵の奇蹟」を読んでからはもう全然違って、やはりロマンと推理の複合的怪作を描かせたら夢野久作が一番、という感を新たにせざるをえない。 「押絵の奇蹟」にせよ、「あやかしの鼓」にせよ、それは『ドクラ・マグラ』に通ずる「出生の秘密」×「言い伝えの秘密」×「自我の秘密」をめぐる推理と夢想の境地であり、これを頭脳明晰、あるいは技能随一の登場人物が喝破看破しまくるところがたまらない。もちろん彼ら彼女らは終局的に、左記の「三密」にうなされ、惑わされ、自らの揺らぎに耐えられなくなるのだけれど・・・。 夢野久作文学に多い手記調の魅力は「語り手への信ぴょう性」をめぐる文学的「信頼」のおきどころだと思う。果たして主人公は、あるいは手記の書き手は、あるいは「神の視点」までも・・・、誰しもが本当のことを言っている(書いている)とは限らないから、自分の読みが正しいかどうかを終始疑わなければならない。そのことが敷衍していくと、自らの記憶、自らの思考体系、ひいては自らの存在意義までもが揺さぶられてくるというのが、夢野久作文学の醍醐味といえよう。 「『ドクラ・マグラ』を読むと精神に異常をきたす」というのは左記のような揺らぎから考えると至極当然のことで、僕たちはこの文学的ダイナミズムの対流に、そして人類が永劫のかなたに抱える「大記憶」のロマンに、全身全霊でぶちあたっていかなければならないのだ。「読み」という行為の髄の髄までためされるようなスリルと覚悟。それこそが、夢野久作を読むということなのだ。

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2018/08/22

夢野久作の中篇3作が収められた本書は、 全て書簡形式で遺書という面白い組み合わせでした。 時代背景や地域は様々ながら全作を通して死際に打ち明ける秘密であり、様々な愛の形が散りばめられていました。 「氷の涯」は戦時下の露西亜を舞台にしており様々な思想や主義などの背景が描かれる中、所...

夢野久作の中篇3作が収められた本書は、 全て書簡形式で遺書という面白い組み合わせでした。 時代背景や地域は様々ながら全作を通して死際に打ち明ける秘密であり、様々な愛の形が散りばめられていました。 「氷の涯」は戦時下の露西亜を舞台にしており様々な思想や主義などの背景が描かれる中、所謂ヒロイン的でも悪女でもなく(今時の表現で大変失礼かとは思いますが)まさにキルビルの如く強く生き生きとしたニーナはとても格好良かったです。 夢野久作の作品に登場する女性はどこか妖艶で陰のある人物像が多いので、意外に感じつつとても好きになりました。 「押絵の奇蹟」は押絵そのものの繊細な描写が非常に美しく純愛を彩っていました。 探偵小説のような事件のトリックはないのですが、今現在に於いて昔の出来事がどのように関係してくるかというトリックを美しく仕上げる手腕は見事だと改めて感じました。

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2015/09/08

氷の涯は、最後がすごくいい。恐ろしいんだけど、幻想的で綺麗な最期。 押絵の奇跡は純愛で、何がほんとかわからないけど、綺麗な愛だった。 どの話も描写がおどろおどろしくて綺麗。

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2015/07/26

「氷の涯」 日本陸軍歩兵二等卒、上村作次郎がハルビンで起こした事件とは。舞台もわかるし話もドラマチック。だが、上村と一緒に逃げたニーナという娘の独白みたいなものが10数ページも切れ目なく。さすがに読み疲れた。 「押絵の奇蹟」 ピアニストの娘が自分の母と、ある歌舞伎役者にまつわる...

「氷の涯」 日本陸軍歩兵二等卒、上村作次郎がハルビンで起こした事件とは。舞台もわかるし話もドラマチック。だが、上村と一緒に逃げたニーナという娘の独白みたいなものが10数ページも切れ目なく。さすがに読み疲れた。 「押絵の奇蹟」 ピアニストの娘が自分の母と、ある歌舞伎役者にまつわる話を手紙に書き送る。なんという純愛、そう言ってもいいのかな。しかしこちらもかなり回りくどい。 「あやかしの鼓」 こちらも「あやかしの鼓」について書いた手紙。いわゆる呪われた鼓というものだろう。わかっているのにこの鼓に惹かれる周囲の人々とは。

Posted byブクログ

2015/11/16

また読むのに時間がかかってしまった。ふるい本だから今と言葉遣いもちがうし、漢字も難しい。でも内容は素晴らしい。今では書けない、言ってはいけない言葉をバンバン使うのも現代だからこそ楽しめる。

Posted byブクログ