隅の風景 の商品レビュー
恩田陸の旅エッセイ。刊行は平成23年、文庫化は平成25年。積読の結果令和5年に読むという。 どんなタイミングでも、自分が読んだ時がその本との出会いなので、気にはしてないのですが、エッセイとかは共感できる部分が変わってくるのかなあ、と思う。 あとあと読むことで、著者が感じたことが未...
恩田陸の旅エッセイ。刊行は平成23年、文庫化は平成25年。積読の結果令和5年に読むという。 どんなタイミングでも、自分が読んだ時がその本との出会いなので、気にはしてないのですが、エッセイとかは共感できる部分が変わってくるのかなあ、と思う。 あとあと読むことで、著者が感じたことが未来にどんな影響を与えたのか、と楽しめるというのはあるけど。連載もしくは、刊行当時の読者である自分の生の感情とたらし和すことができないかな、と思う一面もある。 なんにしろ、楽しめればいいのだけど。変なところで変な理屈こねてしまうのはやめたいですな。 郡上八幡の回は「愚かな薔薇」じゃないか、ということがすぐにわかったので、わくわくしました。まだ書き上げてない作品、いつか出るであろう作品のきっかけになった場所を巡ったエッセイ。「愚かな薔薇」のあの異様な熱気の原点はここだったのか、と楽しく読みました。 結果を知っているからこその喜びでしたね、この回は。 こんな楽しみもあるのだから、読むタイミングなんて人それぞれでいいんだよなあ、と再確認です。自分に都合よく。
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飛行機恐怖症を克服した恩田さんの旅エッセイ。文章がユーモラスで出先でニヤニヤしながら読んでた。 グレーゴム・ザムザ「変身」の解釈からプラハのビール、伊勢神宮の話まで、恩田陸ファン必読!文庫版の書き下ろしが最高!「闇の絵本」読みたいー!(未刊)
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「のんびり旅ができるというのは、なんてありがたいことなんだろう。確かな日常があって、明日も当たり前に世界があるからと思えるからこそ、旅に出ることができるのだ」(文庫版あとがきより) 旅に出ることが容易ではない今日、旅エッセイや写真集をめくりながら少しでも旅気分を味わおうとしてい...
「のんびり旅ができるというのは、なんてありがたいことなんだろう。確かな日常があって、明日も当たり前に世界があるからと思えるからこそ、旅に出ることができるのだ」(文庫版あとがきより) 旅に出ることが容易ではない今日、旅エッセイや写真集をめくりながら少しでも旅気分を味わおうとしている。恩田さんのエッセイ、あまり読んだことなかったなあと思い、『隅の風景』を初読。 小説でも、実在する場所であれ、実在しない場所であれ、情景描写が素晴らしく、いつも惹きこまれてしまうが、そんな恩田さんが書く旅のつれづれは、旅の発見・ハプニングなどなど自分も追体験しているようで面白い。 情景と同じ位、お酒と料理の描写も。私もチェコに行って清冽なビールを飲みたい…!間々に挟まれるセピアがかった写真たちも素敵。 巻末にある「ゲニウス=ロキ覚書」、これまでの作品のインスピレーションを受けた場所についての言及は、ファンには嬉しい。
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恩田さんの旅エッセイです。少し前に「EPITAPH東京」を読みましたが、あれはこの本の東京版だったんだと思いました。読み味もほぼ同じ。一方この本の舞台は日本各地、そして世界。面白いと思ったのは「EPI東京」と同じ視点が登場したことです。『日本の街や道路は…人が歩くこと自体全く想定...
恩田さんの旅エッセイです。少し前に「EPITAPH東京」を読みましたが、あれはこの本の東京版だったんだと思いました。読み味もほぼ同じ。一方この本の舞台は日本各地、そして世界。面白いと思ったのは「EPI東京」と同じ視点が登場したことです。『日本の街や道路は…人が歩くこと自体全く想定していない』という指摘です。点から点への車での移動前提で考えられているからという視点。確かにこんなにスリムな人っているのかなと思うくらいの細い歩道の線引きがあちこちにあるように思います。つまり実際には車道にはみ出さずには誰も歩けない。そういえば観光地でも途中の道を歩く人が少ない気がします。数を巡る事を優先する観光の仕方が主流だからかもしれませんね。 国内、国外色々な旅の記載がありますが世界旅ではチェコが気に入りました。私も行ったことがありますが、見る視点がこうも違うのかと驚きました。恩田さんの視点で一緒に旅をすると色々な発見ができそうです。また、これを読んでプラハでビールを飲み損ねたことをとても後悔しています。恩田さん食レポというか呑レポもとても上手いです。あと、「祝祭と予感」の〈鈴蘭と階段〉のチェコフィルはここ繋がりでしょうか。 また、読み物として一番面白かったのは九州の旅。リアルなグダグダの旅の風景が小説のグダグダな旅のシーンと区別がつかなくなるこの違和感のなさ。恩田さんの小説のリアルさは巣のまま書かれている部分が混じっているからなのかもしれません。 楽しく気軽に読め、また、恩田さんの気持ちの浮き沈みまでリアルに感じられて、ちょっと自分も旅をしたくなる、そんな作品でした。
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恩田陸さんの本は、以前よく読んでいたのだが、「夜のピクニック」以来読んでいなかった。久しぶりに手に取った本がこれ。気楽に読めて、それぞれの土地の雰囲気や人の気質が何となくだけど、分かるような感じ。ちょっと行ってみたいなと思わされるのは、著者の人柄の良さが文章に表れているからだろう...
恩田陸さんの本は、以前よく読んでいたのだが、「夜のピクニック」以来読んでいなかった。久しぶりに手に取った本がこれ。気楽に読めて、それぞれの土地の雰囲気や人の気質が何となくだけど、分かるような感じ。ちょっと行ってみたいなと思わされるのは、著者の人柄の良さが文章に表れているからだろうと思う。時々挟まれる写真も、茫洋としていていい感じ。ロンドン、チェコ、郡上八幡、伊勢、日光、台湾、韓国雪嶽山・ソウル、阿蘇、熊本、奈良、北京、上海を旅する。それにしても、著者は酒ばかり飲んでる。
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恩田陸の隅の風景を読みました。 恩田陸が雑誌の取材などのためにいろいろな場所を訪ねたときの旅行記でした。 恩田陸らしい視点での旅行記になっていて面白く読みました。 阿蘇でお酒をたらふく飲んで山ほど肉料理を楽しんだ「阿蘇酒池肉林」は大うけしてしまいました。
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世の中の旅行記の大半は、「これがきれいだった」「感動した」というもので埋まっていると思う。 けれどこの本では、多くのものが「不気味な」とか「怖い」という言葉で語られる。そのことが印象的だった。 見て、満足するための旅ではなく、何かを感じ取るための旅なんだなあ、と。
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『月の裏側』(福岡県・柳川) 『六番目の小夜子』(茨城県・水戸) 「ノスタルジア」(長野県・松本) 『ユージニア』(石川県・金沢) 『クレオパトラの夢』(北海道・函館) 『まひるの月を追いかけて』『夢違』(奈良県・奈良) 「幻影キネマ」(広島県・尾道) 「砂丘ピクニック」(鳥取県...
『月の裏側』(福岡県・柳川) 『六番目の小夜子』(茨城県・水戸) 「ノスタルジア」(長野県・松本) 『ユージニア』(石川県・金沢) 『クレオパトラの夢』(北海道・函館) 『まひるの月を追いかけて』『夢違』(奈良県・奈良) 「幻影キネマ」(広島県・尾道) 「砂丘ピクニック」(鳥取県) 『球形の季節』(岩手県・一関) 「魔術師」(宮城県・仙台) 『愚かな薔薇』『闇の絵本』『太陽の末裔』は刊行されたのかしら……。
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個人的にはネクロポリスよりも、気取った感じがなく好き。しかし全編を通してビールを飲んでいたように思える。わたしも九州で馬刺しが食べたい。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
旅エッセイの短編集といった趣。 国内・海外様々な所を訪れた全13編。 飛行機嫌いな割には結構いろんなとこ行ってるんだなと感心。 まあ韓国なんかは船で行ったみたいだけど。 恩田さんのエッセイ、やっぱり面白いんだが、このエッセイも小説も含めて思うのは短編がどうも消化不良であること。 「それでそれで!」と思ってるうちにフェードアウトで終わっていくのはどうも収まりがつかない。 できれば中編以上でがっぷり四つに向き合いたい。 恩田作品は中編以上が性に合っているなぁと改めて実感した作品だった。
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