刑事マルティン・ベック 笑う警官 の商品レビュー
警察小説の金字塔と呼ばれるだけあって、純粋に面白かった! この地味で渋い感じ、たまりませんなぁ……。 そもそもこの『笑う警官』、手に入れるのに相当苦労した一冊でして……。 以前、ハヤカワの『海外ミステリ・ハンドブック』の【北欧ミステリ】群に挙げられていて、興味を持ったのが始まり...
警察小説の金字塔と呼ばれるだけあって、純粋に面白かった! この地味で渋い感じ、たまりませんなぁ……。 そもそもこの『笑う警官』、手に入れるのに相当苦労した一冊でして……。 以前、ハヤカワの『海外ミステリ・ハンドブック』の【北欧ミステリ】群に挙げられていて、興味を持ったのが始まり。 発行は1960年代と半世紀以上前なのですが、十数年前に新訳が発売されたとのことで、それを探すも……ない。なんで?と思うくらい、見つからない。 新品はまず手に入らず、ブック◯フの「入荷お知らせ登録」をするものの、入荷すると30分足らずで売り切れに……。 それでも運に恵まれ、やっと手に入れられた次第なのです〜( ˊᵕˋ ;) でも苦労した甲斐があって、満足の一冊! ストックホルム市内を走るバスの車内で、9人が銃殺されるというショッキングな事件が起きます。 マルティン・ベック率いる捜査課に所属する若い捜査官も犠牲になっており、捜査を開始するものの手がかりはなく……といった展開。 時々タイプライターが出てきて「時代」を思い出すも、古臭さはまったくなく、いま読んでもスルスルと読みやすい印象でしたね。それにしても煙草、吸いすぎです。笑 読み終えて感じるのは、「誰が犯人か?」ではなく、「なぜ彼はそこにいたのか?」という視点で読んだらさらに面白かっただろうなということです。 この疑問はマルティン・ベックが何度も口にするのですが、どうしてもセンセーショナルな事件の方に注意がいってしまい、「誰がどんなふうにやったのか?」ばかり気になってしまったんですよね。 しかし、点と点が結びつく中での「あぁ、そういうことだったのか……」という言いようのない気持ち。 再読する機会があれば、ぜひその視点で読んでみたいなと思います。そして、杉江松恋さんが解説で書かれていた第12章の「仕掛け」よ! また、ずっと地味な展開が続く本書なのですが、まったく飽きないのはマルティン・ベックチームの魅力のおかげ。これに尽きますね〜。 本書はシリーズものの第4作目ということで、初読みの人間からすると「誰?」な人がたくさん出てきます。スウェーデンのお話なので、名前も耳馴染みがない……。 それでも、細かな人物描写が繰り返されるので、読み終わる頃にはすっかり”くたびれた中年のおじさん達”の虜になっていました。 私が感動したのは、モンソンという他の地方から応援にやってきた刑事について。 彼は長年、「ミント味の爪楊枝」を探し続けているらしいのですが、ある章でそれが回収されるんです。 本当になんてことない数行の描写なのですが、私はそれがやたら印象に残ってしまって。たぶん、別の作品で彼が再登場したら「ミント味の爪楊枝、見つかったんだよね」と思い出すことでしょう。 ……と、これはあくまで一例で。 こんなふうに、口癖や仕草、習慣などがさりげなくしかし抜け目なく描かれていて、どんどん人物の輪郭がクリアになっていくんです。私、すっかりグンヴァルド・ラーソンのファンですもん。 同じ北欧ミステリでも、アイスランドが舞台の『湿地』とはまた違った雰囲気なのも興味深かったです。 個人的に、出張してきた刑事さん達がストックホルムのよそよそしさを毛嫌いするあまり、「帰りたい」と郷愁に駆られる”ノルランド”がどんな場所なのか気になっちゃいました。絵に描いたような牧歌的な地方なんだろうなぁ……。 こうなるとシリーズの他の作品も読みたい……! マルティン・ベックシリーズ、追いかけていきたいと思います!
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冒頭の雨のシーンのように、暗くて陰気。それでも読まずにはいられない。 反米デモの夜に起きた、市バスでの大事件。犠牲者の警察官は何故バスに乗っていたのか。謎が謎を呼び、結末に辿り着くまでの描写が巧い。 悪の元凶や、人間の業について考えさせられる。
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10作あるうちの4作まできました。 主人公はもとより、家族や同僚のこともだんだんと愛着が湧いてきています。 最初から4作目までは読もうと決めていたので、とりあえずはひと段落。 この先も読むかは気分次第です。 でも世界中で読まれている本らしいので、いつか海外から来たゲストと 「マル...
10作あるうちの4作まできました。 主人公はもとより、家族や同僚のこともだんだんと愛着が湧いてきています。 最初から4作目までは読もうと決めていたので、とりあえずはひと段落。 この先も読むかは気分次第です。 でも世界中で読まれている本らしいので、いつか海外から来たゲストと 「マルティン•ベックっていうスウェーデンの小説読んだ?」 「別れる決心っていう韓国の映画観た?」 とか言っちゃって盛り上がれたら、 その時はきっと夜中の3時まで乾杯コースです
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大雨の夜にバスで起こった大量殺人事件。手がかりがないまま、マルティン・ベックと個性豊かな仲間たちによる地道な捜査が展開される。読みながら、一緒に捜査をしているような臨場感があり、最後、見事な解決に爽快感さえ感じる。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
なぜこうも北欧ミステリというのは陰鬱な雰囲気が似通ってくるのか。 ヘニング・マンケルといいアーナルデュル・インドリダソンといい。 もう何かお家芸のようにすら感じる。 なので、仕事熱心でも家庭面、生活面ではいささか不完全な男マルティン・ベックを冠する本シリーズだが、その辺もなんか他の北欧作品に似ているようで、どちらかというとグンヴァルド・ラーソンという無頼漢を置いているところにむしろ茶目っ気を感じ、自分としては他の北欧作品にはない魅力を感じた。 『阿津川辰海 読書日記』から手に取った本書。 原作は1968年刊で、1972年に英語版から訳された旧訳版がそれまでの日本国内での『笑う警官』だったが、2013年に原著であるスウェーデン語からの新訳が企画されたとのこと。 いわゆる警察ものの型。 強烈なひらめき・洞察力を持つ名探偵、名刑事が牽引するではなく、個性を持ったメンバー達それぞれの地道な捜査を通じ、真相に辿り着くボトムアップ型の物語。 奇をてらったところがないだけに、何年経っても褪せぬ読み心地を保有し、名作と謳われ続けるのだろう。 シリーズ全10作中、4作目の本書が新訳一発目。 次は1作目の『ロセアンナ』になるという。 このまま10作目まで新訳で読めるのかとわくわくしていたのだが、なんと6作目以降は新訳企画がストップしてしまったとのこと。 残念すぎる。 是非再開して欲しいものだけど、高い、売れない海外ミステリ。 なかなか難しい希望だろうな。 買わない自分が言うのもなんだけど。
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「マイ・シューヴァル」、「ペール・ヴァールー」共著の長篇ミステリー作品『刑事マルティン・ベック 笑う警官(原題:Den skrattande polisenn、英語題:The Laughing Policeman)』を読みました。 ミステリ作品は「カミラ・レックバリ」、「ラーシ...
「マイ・シューヴァル」、「ペール・ヴァールー」共著の長篇ミステリー作品『刑事マルティン・ベック 笑う警官(原題:Den skrattande polisenn、英語題:The Laughing Policeman)』を読みました。 ミステリ作品は「カミラ・レックバリ」、「ラーシュ・ケプレル」、「カーリン・イェルハルドセン」に続きスウェーデン作家の作品… 北欧ミステリの魅力にどっぷり浸かっていますね。 -----story------------- アメリカ探偵作家クラブ賞最優秀長篇賞、警察小説の金字塔を新訳で! 反米デモの夜、ストックホルムの市バスで八人が銃殺された。 大量殺人事件。 被害者の中には、右手に拳銃を握りしめた殺人捜査課の刑事が。 警察本庁殺人捜査課主任捜査官「マルティン・ベック」は、後輩の死に衝撃を受けた。 若き刑事はなぜバスに乗っていたのか? デスクに残された写真は何を意味するのか? 唯一の生き証人は、謎の言葉を残し亡くなった。 捜査官による被害者一人一人をめぐる、地道な聞き込み捜査が始まる―。 ---------------------- 1968年に発表されたスウェーデンの警察小説「マルティン・ベックシリーズ」の第4作… これまでは英語版からの訳出だったようですが、本作はスウェーデン語から翻訳された新訳版です。 ストックホルムの市バス… 2階建てのバス・ダブルデッカーで何者かがマシンガンを乱射し、乗客全員が銃撃され、8人が死亡、1人が重体となる事件が発生、、、 死者の中に「マルティン・ベック」の後輩で若き刑事「オーケ・ステントルム」が被害者の一人として発見された。 最初に現場へ到着したソルナの警官「クリスチャンソン」と「クヴァント」が車内を踏み荒し、犯人の証拠が消されてしまったこともあり、捜査は難航、、、 若き刑事はなぜバスに乗っていたのか? デスクに残された写真は何を意味するのか? 唯一の生き証人が死の間際に残した謎の言葉の意味は? 中盤くらいまでは新たな謎ばかりが提示され、この事件は解決するんだろうか… と登場人物の刑事のように不安になりましたが、、、 「マルティン・ベック」は、「ステントルム」が容疑者を尾行しているうちに事件に巻き込まれ、この事件が「ステントルム」が捜査していた事件と関わっていると推理し、「ステントルム」が単独で調査していた過去の未解決事件(10数年前の娼婦殺人事件)の真相を探ろうとします。 そして、娼婦殺人事件での新事実(犯行に使用されたクルマがルノー4CVではなくモリス・マイナーだった等)が判明することで、一気に解決に向かいます、、、 これって、「ステントルム」は既に気付いていたことなので、キチンと上司に報告していれば、こんなに捜査が難航することもなかったんでしょうけどね。 本作品、被害者が9名と多いことや、過去の娼婦殺人事件では29人もの男性が関わっていたりして、その周辺の人物も加えると、非常に多くの人物が登場… しかも、スウェーデンの地名、人名は覚えにくい、、、 ということで、理解しながら読むのに苦労しました。 最後はスッキリしましたけどね。 以下、主な登場人物です。 「マルティン・ベック」 警察本庁殺人捜査課主任捜査官 「レンナート・コルベリ」 警察本庁殺人捜査課捜査官 「グンヴァルド・ラーソン」 警察本庁暴力犯罪課捜査官 「フレドリック・メランダー」 ストックホルム警察暴力犯罪課捜査官 「エイナール・ルン」 警察本庁暴力犯罪課捜査官 「エーク」 警察本庁殺人捜査課捜査官 「イェルム」 ストックホルム警察鑑識課主任 「オーケ・ステントルム」 警察本庁殺人捜査課捜査官 「ペール・モンソン」 マルメ警察捜査官 「ウルフ・ノルディン」 スンズヴァル警察捜査官 「オーサ・トレル」 ステンストルムの恋人 「アルフォンス・シュヴェリン」 被害者中唯一の生存者
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警察小説はこのような淡々と進む感じが好き。淡々と進むけど、感情はとても伝わるし、展開も緩急あってとても良い。
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雰囲気は色で言うと灰色かな ちょうど表紙も灰色になってる バスの中で起きた大量銃殺事件。なんの変哲もない凡庸な刑事たちが、この陰惨な事件を追っていく 捜査するにつれていくつかの事実が浮かび上がってくるが、それらの関連が分からず、なかなか霧は晴れない 終盤になってやっと点がつながり...
雰囲気は色で言うと灰色かな ちょうど表紙も灰色になってる バスの中で起きた大量銃殺事件。なんの変哲もない凡庸な刑事たちが、この陰惨な事件を追っていく 捜査するにつれていくつかの事実が浮かび上がってくるが、それらの関連が分からず、なかなか霧は晴れない 終盤になってやっと点がつながりひとつの線になったとき、読んでるほうにはある種の感動がある 派手さを抑えた地味な作品だが、非常に面白かった
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ストックホルム郊外で起きた市バス乗客皆殺し事件。被害者の中に殺人課の刑事が!犯人は誰なのか、なぜこんな事件が起きたのか、マルティン・ベックをはじめとする捜査官は地道な捜査を始めます。シリーズ初読ですが、全く問題ありませんでした。個性の強い刑事たちに惹かれ、ぐいぐいと読み進めました...
ストックホルム郊外で起きた市バス乗客皆殺し事件。被害者の中に殺人課の刑事が!犯人は誰なのか、なぜこんな事件が起きたのか、マルティン・ベックをはじめとする捜査官は地道な捜査を始めます。シリーズ初読ですが、全く問題ありませんでした。個性の強い刑事たちに惹かれ、ぐいぐいと読み進めました。警察小説の金字塔と言われるだけのことはあります。謎解きよりも、それぞれの専門性を活かして地道に当たった捜査員の捜査が組み上げられていく…それを追いかけることが、そして彼ら自身が、本当に愛おしかったです。楽しい読書タイムでした。
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なぜだか以前から、タイトルだけは知っていました。どうしてでしょう?とくにミステリーや警察小説が好きというわけでもないのに・・・。無意識のうちに頭の中にタイトルが刷り込まれているというのは、それだけ人気を博した本だったのでしょうね。 調べてみると、1968年に刊行され、1970年に...
なぜだか以前から、タイトルだけは知っていました。どうしてでしょう?とくにミステリーや警察小説が好きというわけでもないのに・・・。無意識のうちに頭の中にタイトルが刷り込まれているというのは、それだけ人気を博した本だったのでしょうね。 調べてみると、1968年に刊行され、1970年にエドガー賞長編賞を受賞となっていたので、50年ほど前の作品だということがわかり驚きました。どうしてそんな昔の小説のタイトルが頭ン中に刷り込まれていたのか、いまもってよくわかりません。北欧の作家ですぐに思い浮かぶ名前といえば、トーベ・ヤンソンくらいなものなのに。 んで、読んでみると、警察小説の金字塔といわれるだけあって、やっぱり面白かったです。ずいぶん後半になるまで捜査に進展がないものの、まったく飽きさせられることがないのは、事件にかかわる警官たちの個性がよく描かれているからでしょうネ。それと、当時のスエーデンが抱えていた問題、世相などが、それとなく散りばめられているからではないでしょうか。 本作は、シリーズ4作目だそうです。シリーズの初めから読んでみたいと思いました。 べそかきアルルカンの詩的日常 http://blog.goo.ne.jp/b-arlequin/ べそかきアルルカンの“スケッチブックを小脇に抱え” http://blog.goo.ne.jp/besokaki-a べそかきアルルカンの“銀幕の向こうがわ” http://booklog.jp/users/besokaki-arlequin2
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