原発ホワイトアウト の商品レビュー
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現役キャリア官僚の覆面作家、若杉冽のデビュー作。 基本的にはフィクションなのだが、とてもフィクションとは思えない、 危険な内容。作者本人はこれをフィクションとは捉えておらず、内部 告発本として扱って貰いたいらしい。 原発の再稼働に関しては、少しばかり胸の内にモヤっとした感情があ った。おそらく普通の人よりもかなり電気を使う生活をしている僕か らすると、「原発が動かなければ電力の安定供給が出来ない」と言わ れてしまった場合、コレに対して返す言葉が無いと思っていた。 ところが・・・。 ・・・この本に書いてあるように、もし本当に原発が金を生むための アイテムであり、それさえ放棄すれば稼働させる必要が無い施設で あるとするのなら、話は全然違う。政・官・財が総出で僕らを騙し、 金を吸い上げられているのだとすると、もう我慢ならない。 うがった見方をして申し訳無いが、この作品が「金儲けのための何か」 で無い事を切に願う。もちろん、読後にはそんな感情は殆ど持てなか ったのだけど、敢えて書いておく。本当に現役の官僚が現状に心を痛 めた上での「告発」であるのなら、僕は若杉冽という覆面作家を強力 に支持したい。 騙されるのは、やっぱりごめんだ・・・。
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現役官僚が書いて当時犯人捜しが始まったって聞いたけど、犯人捜しされたってことは、かなりの程度真実を含んでいたのでしょうね…。後半はかなりのフィクションを含むけれど、前半に書かれたような世の中であり続けるならばこうなるであろうという未来なので、現実に起こり得るだろうと納得させられてしまう。怖くなりました。いや、半ば諦めの気持ちか…。 政権交代した民○党は当時「なにも公約を実現できないじゃないか」とかなり叩かれましたけど、その前の政権が、仕組みを変えることができないようながんじがらめのモンスターシステム(どこかを変えれば必ずどこかでほころびが起きるような)を作っていたという本書の内容が本当であるならば、政権交代をして改革をしようとすれば必ず既得権を持っている人からは叩かれるという構図になっているわけで、民○党さんもお気の毒だったなという感じがします。政権交代前の自○党が、自分たちの党でなければ運営できないように国の仕組みを作り上げてしまってるんだなって。
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記憶が定かじゃないほど、半年ほど前だったけ?ようやく図書館で予約した本の順番が回ってきた。 現役キャリア官僚が描く電力業界と政治家や経済界の内部告発本として売れている。これがリアルであるなら、いやきっとほとんどが真実なんだろうが日本の中枢でこんな動きがあるというのは悲しすぎる。自...
記憶が定かじゃないほど、半年ほど前だったけ?ようやく図書館で予約した本の順番が回ってきた。 現役キャリア官僚が描く電力業界と政治家や経済界の内部告発本として売れている。これがリアルであるなら、いやきっとほとんどが真実なんだろうが日本の中枢でこんな動きがあるというのは悲しすぎる。自分たちの利益しか考えていない。もっとも人間ってこんな生き物だから仕方がないのかもしれないが、取り返しのつかない愚行をいつまで繰り返すのか? 今度の日曜、どの政治家を信頼すればいいのだろうか? 最後はどうオチをつけるのかと思ったら冒頭に戻って来るんだね。 先日、この作家の新刊が本屋に並んでいた。「東京ブラックアウト」はどうやらこの本の続編みたいだね。
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現役官僚が素性を隠して書いた、フクシマの原発事故後の仮想日本を舞台としたフィクション。フィクションとは言え、ほぼ実在の人物から派生したキャラであることがわかる人物も何名か登場する。フクシマの事故後、電力業界、経産省がどのように巧妙に原発を復活させるかがリアルに描かれており、ほぼ告...
現役官僚が素性を隠して書いた、フクシマの原発事故後の仮想日本を舞台としたフィクション。フィクションとは言え、ほぼ実在の人物から派生したキャラであることがわかる人物も何名か登場する。フクシマの事故後、電力業界、経産省がどのように巧妙に原発を復活させるかがリアルに描かれており、ほぼ告発本と言っても過言ではない内容。ここに書かれている内容は、実際にあってもおかしくない話ばかりだろう。民主主義というものは一般大衆のために存在するわけではない。そのシステムの中で巧妙に力を持ったものだけが得をするという構図になっているのがよくわかる。テレビやネットで仕入れた情報で物事を知った気になっている我々は、実は巧妙に操作された情報の中で踊らされているにすぎない。こうして日本の実力者たちは、己の欲望のままに、第二、第三の「フクシマ」への道を歩き出そうとしている。
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2014/11 小説としてはあまり面白くないが、原発を取り巻くパワーゲームの解説書として読むと興味深い。
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「現役キャリア官僚のリアル告発ノベル!!」という衝撃的な作品で、この本の中にどのような真実が詰められているのかとても興味が出た。 形式としては小説のため、正直、どこまでが実際に起きたことで、どこからがフィクションであるかは判断ができなかった。登場人物の中には実際にいる人達を名前を変えて登場させており、真実味のでるものもあったが全体的な部分はカバーできていないように思った。 内容は原発推進派・反対派の思惑が生々しく記されており、これがノンフィクションであるのならば気持ちいいものではない。人間の傲慢さが表されている。 最後の展開は少々やりすぎな演出にも思えるが、実際にその状況になればこの書のような対応がなされるように思えて何ともいえない悲しさがこみあげてきた。 最初にも述べたようにどこまでが実際に起きたことかは分からないが、原発について考える良い機会になった。
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どこまでが本当なのだろう。 どのあたりが真実に近いのか。あるいはどのあたりが遠いのか。 原子力ムラという利権の深さの一端を知ることができたような気がします。
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よかった点 1:見たくなくても知りたくなくても原発問題に 関心を払い、世論の圧力を持つことが重要であると 感じさせたところ。 よくなかった点 1:読み物としては文章が読みにくく人物像が薄い。 例えば横山秀雄に書かせたら男たちの欲望や執着を 抉って倍は面白く書くだろうに残念。 ...
よかった点 1:見たくなくても知りたくなくても原発問題に 関心を払い、世論の圧力を持つことが重要であると 感じさせたところ。 よくなかった点 1:読み物としては文章が読みにくく人物像が薄い。 例えば横山秀雄に書かせたら男たちの欲望や執着を 抉って倍は面白く書くだろうに残念。 2:「歴史は繰り返す」だけで作者の意図が分からない。 原発勢力の不気味さと汚さは分かるが懲りない奴らに どうすりゃいいのよ?というラスト。 総評: 「出版することに意義がある」って感じの半端な本。 ノンフィクションでもなくエンターテイメントでもなく プロバガンダでもなく、腐った業界の暴露本?? 練ればすごく面白くなっただろうにつくづく残念。
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面白かった。 小説という形をとったのは、現状の問題点を広める、という意味ではいい方法であると思う。 逆に、実在人物の名と仮名とが入りまじり、どこまでが事実かどこからがフィクションか不明で、作者が主張したい原発のシステムについても、どこを事実として受け取ればいいのかわからない点がマ...
面白かった。 小説という形をとったのは、現状の問題点を広める、という意味ではいい方法であると思う。 逆に、実在人物の名と仮名とが入りまじり、どこまでが事実かどこからがフィクションか不明で、作者が主張したい原発のシステムについても、どこを事実として受け取ればいいのかわからない点がマイナス。 こういうこともありうる、というスタンスで受け取ればいいのか。 デモ封じの方法とかはちょっと怖いし、ありえそうだ。 実在組織が出ているのに「これはフィクションです」の注意書きがない。けれど小説。 出来れば、小説部分と別に事実部分(たとえば、欧州・米と日本の原子炉危機対策の違いなど)を巻末にまとめて欲しかったけど、そうしたら事実部分についてはきちんとした監修が必要になるかな難しいのかな? 告発本、という体裁からか、全体的に原子力村および政権側が時代劇の悪代官のような書かれ方で、その批判側に読者が感情移入出来るような表現だったのが気になった(「○○は怯まない」とか)。 原子力の危険対策は現状ではまだまだ対策が足りないらしい。危険度は出来る限り下げるべきだと思う。欧米のシステムで対策していたら見習うべきだし。 でも100%安全なシステムなどない。電力発電なのに電源が必要、とか、ヒューマンエラーとかあるから。 リスクは出来る限り減らすべきだ。 一方、この本では原発推進は既得権益がらみ、ということだが、今の経済政策上の必要性、という論点の言及が薄い。経済政策上や、エネルギー自給による安全保障のリスクという観点も無視出来ない論点だと思う。 現実問題としては、原発の危険度を出来うる限り下げていき、その上で、その危険に対する損失と、今の経済成長をトレードオフする、多角的に物事を捉えるバランス感覚が私達にも求められているのではないか?
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フィクションなので、ところどころ違和感はあるものの、全体的にはよくできている小説。テロの内容は小生が考えていた内容と同じだったので、少しびっくり。 関係者なら、ダレでも考えつくトリックだけどね。 本書のどこにもフィクションであるという、断りがないのが気になるね。
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