検察側の罪人 の商品レビュー
読み応えのある、一級のリーガルサスペンスといってよいだろう。一時問題になった特捜部の恣意的捜査。冤罪問題。そして時効の課題が重く迫る。 時効の壁に、まんまと逃げおおせる犯罪者。その時の被害者および関係者の心中如何やと。 法律が改正され、時効の廃止された現在では、こういった問題は起...
読み応えのある、一級のリーガルサスペンスといってよいだろう。一時問題になった特捜部の恣意的捜査。冤罪問題。そして時効の課題が重く迫る。 時効の壁に、まんまと逃げおおせる犯罪者。その時の被害者および関係者の心中如何やと。 法律が改正され、時効の廃止された現在では、こういった問題は起こらないといえるだろうか。しかし、特捜部の体質、冤罪は、今後の課題としてまだ残っている。
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重い内容で、読後まで引きずり、考えさせられる。 動機が弱い気もするが、身内での犯行ならばすぐバレちゃうわな。
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面白かった。面白かったけど、読み終わって、事件が解決して「あー、スッキリ」って感じではない。 最後の沖野に対する松倉の態度が不愉快。 最上と沖野、正義というのは主観に寄って変わってくるのだなと。
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道を外すのはまずいと思いつつも、何ともやりきれない話しでした。でも、最終的には正義は沖野にありなんじゃないのかな。
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このミス8位なので読んでみた。なかなか考えさせられる問題であり、かなり重い内容だったが、殺意の動機、経過にはあまり共感できなかった。
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はい!!おもしろかったでーす!!! 時効となった殺人事件 この殺人事件の被害者と親しい関係にあったベテラン検事 そんな彼の目の前にあの時の、あの事件の容疑者が、新たな事件の重要参考人として現れる 復讐に燃えるベテラン検事 ベテラン検事を理想の検事と憧れ、慕ってきた若手検事 異...
はい!!おもしろかったでーす!!! 時効となった殺人事件 この殺人事件の被害者と親しい関係にあったベテラン検事 そんな彼の目の前にあの時の、あの事件の容疑者が、新たな事件の重要参考人として現れる 復讐に燃えるベテラン検事 ベテラン検事を理想の検事と憧れ、慕ってきた若手検事 異様なまでに執念を燃やし、無茶な捜査と尋問で犯人に仕立て上げようとする上司に疑問を持ち始める 二人の対決です!! 二人それぞれの目線で物語は進んで行きますが・・・ 互いを認め合っている二人 志も同じであるはずの二人 志が同じであるのに求める結末が異なる二人の検事 志は違うのに求める結末を共有する弁護士、雑誌記者・・・・・ いやーワクワクした!! でも、でも、この物語の一番の醍醐味は、事件解決後の人間関係なのです!!! 親友 恋人 師弟 親子 そして、正義とは・・・・・ 司法では解決できない正義と悪の境、そして、司法によって分断される人間個々の感情 やるせない結末に胸が締め付けられます 題名でもある【検察側の罪人】 二つの意味がありまして 一つ目は、検察内部にいる【罪人】という固有の人物 二つ目は、検察機構そのものにある【罪人】という側面 二つの【罪人】から共に犠牲者を生み出すことになるのですが・・・ これは、作者からの問いかけでもあります どうぞ あなたなりの想いを感じつつ あなたなりの答えを見つけてみて下さいね!!
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なんともやるせない後味のミステリです。 ストーリー展開の旨さや、登場人物の描写など、秀逸です。 検察と警察のシステムがよくわかります。 現代の司法制度の問題、罪に対する考え方など、いろいろな示唆を与えてくれます。
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ミステリとして読んでしまうと、謎解きやトリック等の楽しみ方はないです。 罪を裁く側の人間が罪を犯す。正義として… 正義ってなに?そもそも存在するのだろうか?正義として行った事が罪で、その罪を裁く事が正義と信じた人が心に傷を負う。 矛盾なのか?そうではないのか?グルグルと頭の中で答...
ミステリとして読んでしまうと、謎解きやトリック等の楽しみ方はないです。 罪を裁く側の人間が罪を犯す。正義として… 正義ってなに?そもそも存在するのだろうか?正義として行った事が罪で、その罪を裁く事が正義と信じた人が心に傷を負う。 矛盾なのか?そうではないのか?グルグルと頭の中で答えが見つからない。
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正義とはと何なのかと考えされられた。 犯人とわかりながらも時効という壁に阻まれ、のうのうと逃げ延びてしまう人物を目の前にして、最上の気持ちももわからなくはないが、冤罪は許されられるものではない。 沖野は理想に燃えるがために、反発してしまうのだが、最上と対立するにはどうも弱い。沙穂...
正義とはと何なのかと考えされられた。 犯人とわかりながらも時効という壁に阻まれ、のうのうと逃げ延びてしまう人物を目の前にして、最上の気持ちももわからなくはないが、冤罪は許されられるものではない。 沖野は理想に燃えるがために、反発してしまうのだが、最上と対立するにはどうも弱い。沙穂との関係も安直すぎて、安っぽいドラマのようだ。 最後の20ページを読むまでは★3かなと思っていたが、最後に最上と家族・友人との関係が切なくて、プラス評価。 最上の刑期がどうなるのか、沖野がどんな弁護士となっていくのか、続きが気になった。
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雫井脩介は筆力もあり、その作品からは全力で執筆するという気迫も感じられる。 『犯人に告ぐ』『犯罪小説家』など、ミステリ作家として注目されながら、『クローズド・ノート』という女性小説で凄腕を発揮、その後、『つばさものがたり』『銀色の絆』など、どちらかと言えばミステリよりも女性...
雫井脩介は筆力もあり、その作品からは全力で執筆するという気迫も感じられる。 『犯人に告ぐ』『犯罪小説家』など、ミステリ作家として注目されながら、『クローズド・ノート』という女性小説で凄腕を発揮、その後、『つばさものがたり』『銀色の絆』など、どちらかと言えばミステリよりも女性小説のような題材で味のある仕事をしてくれているこの作家は、ミステリ作家とだけでは言い切れないばかりか、ジャンルをシフトさせてかに見える。そしてそのシフトもあながち間違っていないという印象がうかがえるほどに、優良品質な作風で定着しているかに見える最近であった。 久々のミステリと言えるのかどうか、本書はタイトル通り、検事という職業の人たちを通して描いた犯罪の側面。まさしく本書の風景は、いずれも側面と言える視界で見られたものであり、敢えて検事という公正なる職業ながら孤立した人間個人の、感情に左右された眼線を通して、この困難な事件がどう見えるのか、というところに着目点がある。そんな少し屈曲したレンズから見える景色、対して屈曲のない正義感という客観のレンズで見た景色との、決して重なり合うことのない違和感が、老若の検事の対立構図を作り出す。 過去にどうしても裁けなかった容疑者が、現在の事件に関与した。今度の事件では何としてもこの容疑者を追い込みたい、過去の亡霊のために払わなねばならなかった幾多もの犠牲への贖罪の意識もある、そうして徐々に自分を追い詰めてゆく検察官の胸中と、それゆえに陥ってゆく闇の深さが描かれる本書は、危うく駄作の謗りを逃れられないほどに非現実的で有り得そうにない経緯を辿る。だからこそ納得感のゆく筆致というものが作家には問われるのだろうが、その高きハードルを見事にクリアしてゆくところに雫井節の見事な畝、作り出される陰影の深さが見えてくる。 作品としてミステリという娯楽なのだろうかと疑問が残るのは、ストーリー展開に謎解き部分や意外性が。あまりないからなのだが、それ以上に蒙昧さに満ちて泥沼に陥ってゆく高邁なる知性の行方こそがドラマチックで痛みに満ちている。ラストシーンは、乾いた心を持て余す若き検察官の心の爆発が凄まじく、印象的である。どんでん返しなどは期待すべきでないゆえに、じっくり確かに描かれたストーリーテリングをこそお楽しみ頂きたい。
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