さようなら、オレンジ の商品レビュー
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
外国から移住してきた3人の女性の話。言葉の壁、そして異国での孤独感‥‥読んでいて苦しかったです。初めは相容れなかった3人が最後には友情を感じ、お互い助け合っていく、現地の人たちからも受け入れられていく、そういうラストで良かった! 余韻に浸れる、良い作品でした。
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海外で暮らしたことがある人にはしみるのだろうな。 移民の受け入れとか外国人との共生とか言われるようになってきたタイミングで読めてよかった。 二つ目の言語は二つ目の人生を送るチャンスというフレーズにぐっと来た。そうだよなあ。移民でなくても同じ。もっと言えば、言語に限らず新しいことを...
海外で暮らしたことがある人にはしみるのだろうな。 移民の受け入れとか外国人との共生とか言われるようになってきたタイミングで読めてよかった。 二つ目の言語は二つ目の人生を送るチャンスというフレーズにぐっと来た。そうだよなあ。移民でなくても同じ。もっと言えば、言語に限らず新しいことを始めるのは新しい人生をはじめるチャンス。
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母国以外の国で暮らすためにその言語を覚えることは絶対条件。これに人種の差別が絡むとどれだけ生きにくいことか。決してフィクションではなくきっとどこにでも同じような人達がいて戦っています。どんな状況でも子供を守るためだったら女は何でもします。どれだけ打たれても悲しいことがあっても強く...
母国以外の国で暮らすためにその言語を覚えることは絶対条件。これに人種の差別が絡むとどれだけ生きにくいことか。決してフィクションではなくきっとどこにでも同じような人達がいて戦っています。どんな状況でも子供を守るためだったら女は何でもします。どれだけ打たれても悲しいことがあっても強くなければならない。近い現実を知っていると簡単に共感したり感動したりできるものではなかったけれど、ちゃんと前向きに歩ける彼女たちと理解してくれる人達にほっとしました。この物語にオレンジを持ってきたのが印象的ですごく上手いと思います。
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舞台はオーストラリア 一人はアフリカ難民の女性 一人は夫の仕事でやってきた日本人女性 交互に語られるが、日本人側は恩師への手紙形式
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“私たちが自分の母語が一番美しい言葉だと信じきることができるのは、その表現がその国の文化や土壌から抽出されるからです。第一言語への絶対の信頼なしに、二番目の言語を養うことはできません。”(p.77)
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生後半年ほどのわが子が突然死したときの、大学に通う母親の罪悪感と後悔がひしひしと伝わってきて、そのシーンだけは読み進めるのがきつくていったん本を閉じてしまった。二度と読みたくない。心臓をわしづかみにされる。 新聞書評を読んで、興味がわいたので借りた本。 書評にも書いてあったが...
生後半年ほどのわが子が突然死したときの、大学に通う母親の罪悪感と後悔がひしひしと伝わってきて、そのシーンだけは読み進めるのがきつくていったん本を閉じてしまった。二度と読みたくない。心臓をわしづかみにされる。 新聞書評を読んで、興味がわいたので借りた本。 書評にも書いてあったが、どうしてこれを日本人が書くのか、日本語で書くのか、疑問だ。英語で書かれた外国人の作者の本を翻訳したものではない。れっきとした日本人が日本語で書いた本。でも主人公はアフリカの難民の女性。オーストラリアに避難してきて、子どもと生活している。 そう、舞台はオーストラリアなのだ。日本じゃない。 かろうじて、主人公の友人が日本人というだけ。この友人も、途中までアジア人としか書いてなかったので、私は中国人だと信じて疑わなかった。なぜなら、生後間もない赤ちゃんを英語教室に連れてきてまで学習するほどのガッツがある若い母親が、どちらかというとひ弱なイメージのある日本人だとは思えなかったから。なんとなくたくましいイメージのある大陸人(中国人)だと思い込んでしまった。 作者も在豪20年のバイリンガルらしい。 それだけ日本がグローバル化してきたということなのかなあ?
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心が震えた。 かたや難民、かたや夫の転勤という自分の意志とは関係ない理由によって、オーストラリアの片田舎にやってきた二人の女性。このアフリカ人と日本人が心を通わせつつ、自分が何者であるかを自覚して前へ進んでいく。母語ではない言語という意味での「言葉」の力、自分が母親であることを自...
心が震えた。 かたや難民、かたや夫の転勤という自分の意志とは関係ない理由によって、オーストラリアの片田舎にやってきた二人の女性。このアフリカ人と日本人が心を通わせつつ、自分が何者であるかを自覚して前へ進んでいく。母語ではない言語という意味での「言葉」の力、自分が母親であることを自覚させる「子ども」の力、そして人と共に学び、労働することで生まれる「交流」の力。こうした力を全身で受けながら、前へ前へと進んでいく。 わずか160ページのこの単行本には、とんでもない魂が込められていた。
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オーストラリアを舞台にした、女性が生きていくとはどういうことかを淡淡と描いた作品。 途中辛いだけに、最後はすこしだけ幸せになれます。
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母親の、女性の強さを教えてくれる作品。日々を普通に生きていく、そんな日常を過ごす事の素晴らしさを改めて教えてもらった。人の心の優しさ、善意の無垢な美しさに触れること、自分の生活でもそう言った一日一日の中の小さな喜びをしっかり噛みしめて生きていきたいと思った。
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戦乱のアフリカからオーストラリアにやってきたが、夫に逃げられ、英語の話せないアフリカ人女性ナキチ。日本から夫婦で来たもと大学生で体の弱い女性さゆり。イタリアから来た老夫婦。それぞれに理由と悩みを抱えながら、語学学校で交友を深める。そしてオーストラリアで新しい人生を力強く歩みだす。...
戦乱のアフリカからオーストラリアにやってきたが、夫に逃げられ、英語の話せないアフリカ人女性ナキチ。日本から夫婦で来たもと大学生で体の弱い女性さゆり。イタリアから来た老夫婦。それぞれに理由と悩みを抱えながら、語学学校で交友を深める。そしてオーストラリアで新しい人生を力強く歩みだす。短い小説ですが、生きるとはなにか、死とはなにか、を考えさせてくれます。アフリカ女性ナキチ(サリマ)が息子の小学校で、アフリカで過ごした厳しい「生」を短く、たどたどしく語る場面は感動的です。息子は母の「話し」を聞いて、変わります。「ことば」が「心」を伝える術であることを教える本でもあります。
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