大栗先生の超弦理論入門 の商品レビュー
この本を読んで驚いたのは「数式を癒やす」という表現、この分野の科学が「哲学」「神学」などに近づく理由が垣間見れたこと。さらには、基本的なコンセプトは仕事にも活かせそうだというところ。 本書では数式はほとんど登場しないし、あってもかなり簡単なものに置き換えられている。実際には高度な...
この本を読んで驚いたのは「数式を癒やす」という表現、この分野の科学が「哲学」「神学」などに近づく理由が垣間見れたこと。さらには、基本的なコンセプトは仕事にも活かせそうだというところ。 本書では数式はほとんど登場しないし、あってもかなり簡単なものに置き換えられている。実際には高度な論理を解いているはずで、その抽象化は半端ない。逆に言うと、この抽象化スキルが現代の数学と物理を推し進めているのだと理解する。故に「癒す」となどの我々が知っている算数や数学ではあり得ない表現を使うのだ。 さらに驚くのは、何らかの基準や思い込みを捨てることで、この学問が発展しているという事実である。たまたま、マクロでは見えていた現象はミクロの確率の集まりでしかなく、量が多量だったために見えていたに過ぎないということらしい。 私が現在使える道具は中学生までの数学、主に四則演算、確率統計の基礎、そして、初等幾何である。とはいえ、これだけの道具でも、問いを正しく設定すれば解ける問題は多い。思考停止に陥らず、考え続けることはやはり大事だ。物事の本質を問い続けることはやはり我々の本能なのだ。
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また、ちょっと発作的に物理(数学)の本が読みたくなって、読めそうにない本を買ってしまった。量子論や相対論から始まり、弦理論そして2つの超弦理論革命、そして空間の話と続く。縦書きで数式をなるべく使わず、イメージしやすいように解説されているが、5章に入って、電磁場を金融市場に例えるあ...
また、ちょっと発作的に物理(数学)の本が読みたくなって、読めそうにない本を買ってしまった。量子論や相対論から始まり、弦理論そして2つの超弦理論革命、そして空間の話と続く。縦書きで数式をなるべく使わず、イメージしやすいように解説されているが、5章に入って、電磁場を金融市場に例えるあたりから置いて行かれた感じがする。それでも、なんとか超弦理論が9次元であるとかいう話が何を意味するのかは、なんとなく分かった気がする。しかし、あのオイラーの公式はどうなんだろう。1+2+3+・・・=-1/12 って。 ??? 確かに式の変形は(中学生では無理です)高校生で十分に理解できる。でも、キツネにつままれたような。そんな式で、超弦理論が10次元だとか、9次元だとか、そんな議論をしていたのか。数学的につじつまが合うかどうかが最優先のようだ。まあ、朝永先生のくり込みの話がなんとなく分かったし、超弦理論の雰囲気も分かったので、これは読んで正解としておこう。
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正直、半分も理解できていない。おすすめしている書評をみたので、読んでみたのですが… でも、著者の先生は本当にわかりやすく、噛み砕いて説明してくださっているので、何回もよんで、分からないところは前に戻ったりすればきっと理解できると思います。やっていないだけで。 ただ、分からないのに...
正直、半分も理解できていない。おすすめしている書評をみたので、読んでみたのですが… でも、著者の先生は本当にわかりやすく、噛み砕いて説明してくださっているので、何回もよんで、分からないところは前に戻ったりすればきっと理解できると思います。やっていないだけで。 ただ、分からないのに心をゆさぶられる内容でした。それは、今、私がいて、見て、感じている世界が、人間ならではの視点でしかとらえられていないということが分かったから。空間が3次元とか、時間は一定とか、それは当たり前ではないんだな、と。深すぎる内容で、自分がちっぽけな存在だと改めて実感。
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現代のキホーテにならないために、現代の(理論)物理学を簡単に知ることができる1冊です。超弦理論が必要とされた背景から、これからの課題までが、他の物に比べてわかりやすく書かれています。 ただ、最低限の常識と、量子力学周りのわかりやすい本が1冊ほしい感じかも。 空間の余剰次元って、...
現代のキホーテにならないために、現代の(理論)物理学を簡単に知ることができる1冊です。超弦理論が必要とされた背景から、これからの課題までが、他の物に比べてわかりやすく書かれています。 ただ、最低限の常識と、量子力学周りのわかりやすい本が1冊ほしい感じかも。 空間の余剰次元って、イメージしにくいと思うのですが、自然現象を説明するのに必要な項目と思っていいと思うのです。 例えば、普段の生活空間は、3次元的な広さだけを気にしているわけじゃないですよね? ここ暑いな~と感じたら、気温が高いとか、湿度が高いとか思うはずです。 その気温や湿度のような説明が、3次元的な広がり以外にも、空間に必要となっているということなのです。 また、気温が高いというのは、分子との衝突で受けるエネルギーとその頻度と言い換えれますよね。 同様に、余剰次元についても、自然現象の振る舞いの説明でしかないため、別の説明をするなら、次元も変わっていくよね?ということなのです。 あと、不思議な感じがするのは、次元の数の根拠となる ・1+2+3+…=-1/12 の導出です。 現代数学は、公理系…計算するための世界を定義することで、初めて成り立ちます。 算数のように、実数平面上だけの世界もあります。 ・1+2+3+…=∞(計算不可) 範囲を複素平面まで拡張して、実数からは無理でも、虚数側から収束させれる世界もあります。 ・1+2+3+…=ζ(-1)→-1/12 どっちの世界を当てはめたらいいの?と思うのですが、自然の公理系はわからないため、当てはめて問題なく振舞う方が、より自然に近い世界と言えるのです。 それで元の式を思い出してください。 ・光子エネルギー=2+(D-1)(1+2+3+…) → 0 元々、質量無限大の問題を解決するためのものと考えると、解の収束する世界が適切と推測できますよね? 当てずっぽうじゃない?と思うかもです。 だからこそ、証明がとっても大切な分野なのです。
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大栗先生による。とても分かりやすい。次元が確定する話とか、ゲージ対称性の話とか、単語や結果だけは聞いていたことが、中身のストーリーについても少しだけ理解が進んだのは嬉しい。
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超弦理論をわかりやすく解説してくれてはいるのだが、それでもわからないものはわからない。超弦理論と言うのは計算結果があうので都合よく使われた方便だと考えていいのだろう。この理論が正しいかどうかは何らかの実験的な証拠が得られないと何とも言えない。A→Bが正しいからといってB→Aは正し...
超弦理論をわかりやすく解説してくれてはいるのだが、それでもわからないものはわからない。超弦理論と言うのは計算結果があうので都合よく使われた方便だと考えていいのだろう。この理論が正しいかどうかは何らかの実験的な証拠が得られないと何とも言えない。A→Bが正しいからといってB→Aは正しいとは言えない、計算結果があうことは超弦理論の正しさを証明してはくれない。いまのところはだ。 電子が動くと電磁場へ変化を与える。これが電磁気力のしくみなのだが力の強さは距離の二乗に比例するとして電磁場は動いた電子自身へも影響を与えてしまう。こうすると距離はゼロなので自身に影響を与える電磁気力は無限大になってしまう。それをE=MC2にあてはめると電子の質量も無限大になってしまう。これは何かがおかしいということで原因は電子を大きさのない点だと考えたことから起こった。電子などの粒子を有限の大きさを持つ点だと考えることで無限大の問題を回避しようとしたのが超弦理論の発想の元となっている。 電磁場のエネルギーが無限に大きくなって行った際に計算上粒子の質量をマイナスにするアイデアが生まれ「くりこみ」というそのテクニックは機能したがよりミクロな世界を観察しようとすると理論上の限界が来てしまう。光学顕微鏡、電子顕微鏡とより小さな世界を見ようとするとより波長の短い光が必要になるのだが波長を短くするにはどんどんエネルギーを上げて行かざるを得ず、それだけの高エネルギーの光を粒子にぶつけるとブラックホールができてしまうようなのだ。 そこで粒子の基本を点ではなく「ひも」にしたのが弦理論でひもを振動させることで点粒子が色々なエネルギーを持つことができるようになる。弦理論と超弦理論の違いは対象となる粒子を光子や重力を伝えるヒッグス粒子の様な力を伝える粒子だけに限定するか、電子やクォークのような物質を作る粒子にも適用させるかで、だから何だといわれてもこれ以上の説明は手に余る。 よく分からないのだが超弦理論は9次元以外の空間では矛盾が出るそうだ。ちなみに弦理論では25次元になる。なるんだからしょうがない。余った次元はどうなってるかというと小さく丸め込まれているという話を聴いた様な聴かない様な。ともあれ目に見える大きさであれば3次元でことは足りる。 数学を扱った本では何度も出てくるオイラーがここでも出て来て(1+2+3+4+5+・・・・・)=−1/12というとんでもない式が出てくる。光子のエネルギーをあ求める式にこの公式を使うと弦理論では25次元でエネルギーがゼロに、超弦理論では9次元でゼロになるという。巻末にはこの式の証明もつけられてはいるのだが、やはりさっぱりわからない。 4次元自体が3次元空間にいると想像しがたいが、2次元と3次元であればまだわかる。平面状の2点は2次元区間では決まった距離を持つが、これを3次元的に折り畳んでやると接触させることができる。しかし2次元平面内では3次元的に折り畳まれたことは知覚できない。3次元空間も4次元的に折り畳んでやれば離れた場所に接触できる。ドラえもんの4次元ポケットやどこでもドアはこの応用だろう。ヤマトのワープも似た様なものだ。物理学では空間と時間を同じように取り扱うので時間も一つの次元として捉えられる。物理学の公式は次元を選ばないらしい。 この本はブルーバックスとしては初めて縦書きのタイトルで書かれており、「超弦理論の様な物理学の最先端でも、日本語の力で、ここまで深く解説できることを象徴したい」という編集部の意向だそうだが、縦書きになったからといって理解できるわけではない。数式は横書きの方が見やすいしね。それでもこの本が少なくとも手元にある第5刷まで増刷されているというのはすごいことだと感心するばかりだ。
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とてもわかりやすい文章で書かれていて、なんだか超弦理論について理解したような気分になれる。 また、議論の前提として述べられている、「電子」や「質量」等の基本的概念についての定義の簡潔さに感動した。
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自分達が存在している次元よりも、さらなる上位の次元が存在し、それらは重なりあうようにして存在している・・・。 ファンタジーやラノベの世界の話ではない。 最先端の量子力学や数学の世界では、もはや幾重にも重なり合う次元の存在が否定できないところまで来ているようだ。 近年、急速に進み...
自分達が存在している次元よりも、さらなる上位の次元が存在し、それらは重なりあうようにして存在している・・・。 ファンタジーやラノベの世界の話ではない。 最先端の量子力学や数学の世界では、もはや幾重にも重なり合う次元の存在が否定できないところまで来ているようだ。 近年、急速に進みつつある、物質の究極の単位である素粒子の解明と、宇宙の真の姿。 この本には最新の世界における宇宙物理学の研究と学説が、著者の考えを交えて説明されている。 数式を使ってある程度宇宙の姿を、理論上説明できるとのことではあるが、興味深いのは次元の話だ。 次元の違いを数学で表すことができるが、9次元や10次元、あるいはそれ以上の次元を設定しないと、今この世界で起きている様々な物理現象が説明できないらしい。 自分達が住んでいるこの宇宙は、実は確固としたものでなく、もしかすると一定期間現われている幻想なのかもしれない。 この宇宙は、人類に明かしていない秘密をまだまだ多く持っているようだ。
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日本のこの分野の第一人者である大栗教授の入門書。超弦理論は、物質を形づくっているのは粒子ではなく、多次元(10次元)の中でひものように一次元に拡がった何ものかであるというものであるという理論。この理論を採用することによってのみ、重力の理論と量子力学の理論が矛盾なく統合できるという...
日本のこの分野の第一人者である大栗教授の入門書。超弦理論は、物質を形づくっているのは粒子ではなく、多次元(10次元)の中でひものように一次元に拡がった何ものかであるというものであるという理論。この理論を採用することによってのみ、重力の理論と量子力学の理論が矛盾なく統合できるというものである。 この理論を宇宙論まで突き詰めると多宇宙論に行き着くというのが最近一般にも広がりつつある流行りの理論で、リサ・ランドールやブライアン・グリーンらの本がそこそこ売れているようだ。本書はそこまで振り切れずに、超弦理論の解説をきちんとやっている。 超弦理論の研究が進化発展する現場にいた研究者らしく、研究者でしかわからないようなエピソードを本の中で色々と入れてきている。この分野で同じくいくつか書籍を出している村山斉氏とも研究人生の中で絡んでいるようだ。この世界も狭い世界なんだろうな。 はっきりと理解できたと言うのは難しいが、少しづつそういうもんなんだなと思えるようになってきたのが不思議。 ブルーバックスシリーズって、安っぽいけど、昔からそんなに悪くない。
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やたらと評判の良いこの本、気になり読んでみました。さすが超弦理論の第一人者、かみくだいてうまく説明されています。特に超弦理論を第一線で研究してきた著者ならではのリアリティーが感じられます。著者は第一線の研究で忙しいと思うのですが、よくこんなに丁寧な本が書けるな、と感心です。片手間...
やたらと評判の良いこの本、気になり読んでみました。さすが超弦理論の第一人者、かみくだいてうまく説明されています。特に超弦理論を第一線で研究してきた著者ならではのリアリティーが感じられます。著者は第一線の研究で忙しいと思うのですが、よくこんなに丁寧な本が書けるな、と感心です。片手間で書いたという感じでは全くなく、本気が感じらせます。これに比べると世間ではいかに大学の先生が書いた手抜きないい加減な本が多いことか... 超弦理論に限らず、その基礎となる量子力学やゲージ理論の解説もわかりやすい。「量子ゆらぎのエネルギーはゼロではない」というのを振り子と不確定性原理で説明されている箇所が良かった。ゲージ理論を金融市場に例えて説明している箇所は秀逸。このゲージ原理を最初に考えたのは数学者のワイルとのことですが、”リーマン面”の著作のあるワイルなんですね。私のような数学を専攻したものにはおなじみの名前ですが、物理でこんな重要な業績があるとは知りませんした。 余談ですが、本書を読んで、世間では”超弦理論”、ということばと”超ひも理論”という言葉が使われていますが、正式には”超弦理論”だということがわかりました。 また、大栗先生と村山先生、よくごっちゃになってしまうのですが、大栗先生のが先輩なのだということがわかりました。大栗先生が東大の助手として赴任した年に村山先生が大学院1年生として入ってきたそうです。その後もカルフォルニア大学や東大でも一緒の長い付き合いとのことです。
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