いじめと探偵 の商品レビュー
ここまで悪質ないじめがあらゆる 学校で横行しているとは思わなかった。 殴る蹴るなどのフィジカル的な暴行が多かった昔に比べ、現代では言葉の暴力や支配など心理的に追い詰めていく類のいじめが増えている。 「仲間の証だ」と脅し万引きをさせるのには驚いた。 大人だったら逮捕されるレベルのい...
ここまで悪質ないじめがあらゆる 学校で横行しているとは思わなかった。 殴る蹴るなどのフィジカル的な暴行が多かった昔に比べ、現代では言葉の暴力や支配など心理的に追い詰めていく類のいじめが増えている。 「仲間の証だ」と脅し万引きをさせるのには驚いた。 大人だったら逮捕されるレベルのいじめが子供の間で少なからず行われている。 被害者は周りに助けを求めるどころか必死に隠そうとするケースがほとんど。 勇気を出して学校に相談したとしても「証拠がないと対応できない」と見捨てられる。 証拠をおさえるには現場をカメラで撮影したり音声を録音する必要があり、子供にとってあまりに ハードルが高い。 この悪循環がいじめの増加につながっている。 学校の機能不全や声を上げられない子供たちに探偵が介入することで解決の糸口が見えてくる場合もある。 ほとんどの場合いじめに探偵は必要ないみたいだが、選択肢の一つとして知っておくのに損はないなと思った。
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いじめの現状とそれを取り巻く環境について、現場で子や親、学校と接している探偵の目から簡潔でわかりやすく描かれていると感じた
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以前、テレビで著者である阿部さんを取材した、いじめに探偵がなぜ関わっているのか?というような特集番組を、途中からだったが偶然観たことがあり、本も書かれていると知り図書館で予約。蔵書が少ないため半年待ち。 正直、読んでいて途中でやめたくなるような凄惨な話もあった。特に性やお金がら...
以前、テレビで著者である阿部さんを取材した、いじめに探偵がなぜ関わっているのか?というような特集番組を、途中からだったが偶然観たことがあり、本も書かれていると知り図書館で予約。蔵書が少ないため半年待ち。 正直、読んでいて途中でやめたくなるような凄惨な話もあった。特に性やお金がらみのいじめは、読むに耐えない。それは既にいじめではなく、犯罪だ。 阿部さんは、今の学校は機能不全だというが、確かにその側面は否めない。特に教育レベルの高い地域では、過酷ないじめは想定外で、そんな事案に対応出来る先生は少ないのではないだろうか。 家庭の問題も無視できない。どの家庭でも親は忙しく(実際に忙しい人も多いだろうが、親もスマホなどで自分の空間を閉じてしまっている例もあるだろう)、子どもは迷惑をかけられないと思ってしまう。 いじめはなくならい、今の大人社会が変わらなければ…という意見は全くごもっともだと思う。 大人が大人力を失っている現代、せめて、見守る目を持つ大人でありたいし、生徒にもそう伝えたい。 以下に印象に残った部分をあげる。 *私がみたかぎりですが、子どもたちのいじめは、大人たちの模倣です。バラエティ番組で、芸の無い芸人が内輪話をして、世間的に劣っている様子の1人を面白おかしく馬鹿にする。嫌がる後輩芸人を斜面に突き落としたり、叩いたりしてみんなで笑う。一部の大人が、この世はお金がすべてと言う。そして、ある場面では、強い者が弱い者を踏みつけて平気な顔をしている。そんな大人たちの振る舞いを真似た結果、子供たちのいじめは凶悪化しているのです。 218ページ あとがきより *日本語は便利なもので、「窃盗」と言う犯罪を「万引き」という言葉で言い換えて、罪悪感を薄れさせるように、「いじめ」という言葉は「恐喝」「強要」「暴行」「傷害」「売春」「損壊」「強盗」の言い換えにすぎません。 219ページ あとがきより 2019.11.16
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残酷ないじめの現実が、これでもかというほどリアルな描写で書かれている。著者が、探偵ということで書き方にも一切の容赦がない。事例を知っておくという意味において、一読する価値がある。 ただ、描写は凄絶ながらもどうやってこの問題を解決するかという論にはまるで力が無い。探偵の仕事は大変で...
残酷ないじめの現実が、これでもかというほどリアルな描写で書かれている。著者が、探偵ということで書き方にも一切の容赦がない。事例を知っておくという意味において、一読する価値がある。 ただ、描写は凄絶ながらもどうやってこの問題を解決するかという論にはまるで力が無い。探偵の仕事は大変で、教員の質は下がっている。それ自体は事実だが、そこからどうやっていくのかは、とても曖昧に書かれていた。事例と同じくらい切れ味鋭く、解決策にも持論を展開したらいい。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
すごくよかった。最初は全くどんな話なのか想像がつかなかったけど、物語みたいに進んでとても面白かった! 題材になってるいじめを受けているのが、ほとんど同じ世代の人たちで、身近に感じたし怖かった。いじめを探偵が解決する、解決の糸口を見つけるというのは意外だったけど、本を読み終わって、もしかしたら1番信頼性があって大事な方法の一つなんじゃないかと思う。 いかに今の世の中がおかしいか、少なくともいじめとか親子関係とか教師と生徒の関係とかがいかにおかしいかがわかり、このままじゃいけないと思った。なぜ親が子の危険に気づけないのか。教師も同じ。ただ、私自身子供なので、なにか難しいわけがあるのかどうかはわからない。でも、それでも大人が気づいてくれなかったら子供はどうしようもないじゃないか。 思わず探偵になりたいと思ってしまった一冊だった。
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地べたを這い尽くし、いじめと向き合ってきた生の奇跡がある。言葉に真実味、すごみがある。私が陥り、また、関わってきたいじめも全く同じだ。昔はこうだった、という著者の語りのみ少し違和感があるが、それ以外は全面的に同意できる。 ・いじめが理由の転校は簡単。 ・父親の存在感の薄さといじ...
地べたを這い尽くし、いじめと向き合ってきた生の奇跡がある。言葉に真実味、すごみがある。私が陥り、また、関わってきたいじめも全く同じだ。昔はこうだった、という著者の語りのみ少し違和感があるが、それ以外は全面的に同意できる。 ・いじめが理由の転校は簡単。 ・父親の存在感の薄さといじめ事案は強い相関がある。 ・子どもの価値観と大人の価値観は違う。 ・外部の業者にいきなり丸投げでは、親子関係が心配。 ・一つの新しいルール(法)を作るよりも、先生の世界、大人の世界をまともな人間関係があると言える世界にしていくのが先決。 ・子どものいじめの材料は大人世界に揃っている。
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最近のいじめには探偵も絡むらしい…というニュースを見て、読んでみたくなった本です。 たけしが、「いじめって言葉を使うから勘違いするけど、ふつうに暴行とか恐喝とかだから。ちゃんと言葉にしないと」的なことを言って(書いて)たけど、ほんと、その通りだな、と。 自分が中学や高校の時、...
最近のいじめには探偵も絡むらしい…というニュースを見て、読んでみたくなった本です。 たけしが、「いじめって言葉を使うから勘違いするけど、ふつうに暴行とか恐喝とかだから。ちゃんと言葉にしないと」的なことを言って(書いて)たけど、ほんと、その通りだな、と。 自分が中学や高校の時、大人はどうして「子ども」とカテゴライズした人間に甘いのか。 分別も、我慢も未成熟な分、「大人」よりも子どもは残酷なのに、と思っていた。 自分たちのイメージする「子ども」でいてほしいのが大人で、そのイメージの色眼鏡で見ている間は、結局、変わらないんだろう。 私には子どもはいないけれど、子どもを学校に行かせるのが怖くなる。
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いじめと向き合う いじめと探偵。 この二つがどう結びつくのか、不思議に思う人もいるかもしれない。 しかし、残念ながらこれが結びついてしまうのが今の社会なのである。 著者は私立探偵として、いじめ問題と関わることとなった。 教育の専門家ではないし、「不良」な職業と罵られることもあっ...
いじめと向き合う いじめと探偵。 この二つがどう結びつくのか、不思議に思う人もいるかもしれない。 しかし、残念ながらこれが結びついてしまうのが今の社会なのである。 著者は私立探偵として、いじめ問題と関わることとなった。 教育の専門家ではないし、「不良」な職業と罵られることもあったようだが、ごく当たり前の、探偵という以前に社会人であり、大人であり、人間としていじめと向き合っている。 著者は何度も言う。 探偵に相談する前に、親や学校、教師、周囲の大人が子供にきちんと向き合ってください。 私たちは証拠を掴むことはできても、根本的な解決はできないのだ、と。 学校ばかりに責任を押し付けている論調ではない。 多くの仕事に忙殺され、子供と向き合えない教師の立場も理解しようとしている。 しかし、現場では真っ当な教師や大人が排除され、事なかれ主義が蔓延していることに疑問を投げかけている。 相談にくる内容には信じられないようなものもある。 カツアゲ、暴力のようなものや猥褻行為までも。 信じられないが、「子供だから」手ぬるいということはない。 より、残酷な方法を思いつくこともあるのだ。 こういったことがある、ということを知らないと問題の本質は見えてこない。 あえて本書の欠点をあげるなら、報道でもあるように、SNSなどを使ったものが語られていないこと。 直接の相談を受けることがないのかもしれないし、インターネット上のいじめは証拠をとることが難しいということもあるかもしれないが、触れておいてもよかったのではないだろうか。 いじめ相談を受ける探偵社が増加しているそうだ。 それは子供ときちんと向き合わない大人の怠慢ともとれるが、もし利用するなら、という前提で良識的な探偵者を見極める方法を伝授している。 結局自社の広告か?いや、そうとも限らない。 できれば探偵なんか利用するな、と著者は述べているのだから。 子供の問題はそのまま大人の問題である。 神聖な教育の場、とか、子供同士のことだから、とかそういうことでは解決にならない。 何が、課題で、どうすれば解決に結びつくのか、第三者の視点は的を射ている。
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