世界は宗教で動いてる の商品レビュー
ざっくりとキリスト、イスラム、ヒンドゥー、儒教、仏教等とそれぞれ歴史的な背景や聖書?思想の根幹から説明してくれたため、初心者でも分かりやすい内容になっている。 これから知っていきたいな、よく知らないけど興味あるといった人にオススメか。
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深い悲しみや大きな喜びを感じた時、多くの人はカミサマに感謝する。またスポーツの大会や受験の前にも神社を訪れてお守りを買ったりする。宝くじを買うと昔の人なら神棚によく供えただろう。人は自身の努力以上の何か大きな力を必要とする時、カミサマに祈る。だが多くの日本人に質問したらきっと無宗...
深い悲しみや大きな喜びを感じた時、多くの人はカミサマに感謝する。またスポーツの大会や受験の前にも神社を訪れてお守りを買ったりする。宝くじを買うと昔の人なら神棚によく供えただろう。人は自身の努力以上の何か大きな力を必要とする時、カミサマに祈る。だが多くの日本人に質問したらきっと無宗教だと答えるし、身内や親族が亡くなった際に初めて、自分の家が仏教の何宗派であったことを知る、なんて事もごく普通の話だ。 以前読んだ本に外国人の友人やビジネスパートナーに宗教について質問されたら、無宗教という回答は避けた方が良いと書かれていた。最悪アナーキストの様に感じられるかもしれないと。外国ではそれほど宗教と生活、人々の考え方、そして政治の分野にまで宗教は深く影響するし、時には宗教が原因で戦争が起こったりもする。政教分離の原則を掲げる民主主義国家でさえ、政治家の思想や言動の背景には宗教に根ざした考え方があるのはごく普通だし、日本でも政治家が宗教団体の強力な影響力を借りて選挙に勝つというのも良くある話だ。イスラム教になるとそもそも聖典クルアーンとムハンマドの言行録であるハディースに従う事が必要なため、政治と宗教は切っても切り離せない。 本書のタイトル「世界は宗教で動いている」とはまさにその様な宗教が原理的に持っている考え方や行動の規範が人を動かし、またそうした人々の集まりである以上、国家も同様に宗教で動いているという。その通りである。 それぞれの宗教の成り立ちを聖典の言葉を引きながら学生に講義するといった形で進められ、学生から上がってくる宗教に対する疑問や質問に、根拠を明らかにしながら応えるシーンもよく登場する。よって内容は非常に解りやすい上に、キリスト教、イスラム教、ヒンドゥー教、そして中華思想のベースになる儒教、我が国にも伝播してきた仏教、元々ある神道と、人口ベースであれば世界の主要な宗教を網羅して説明している。五大宗教で言えば、それらの原点となるユダヤ教についてはそれほど多くは触れられていないが、キリスト教の項目では旧約聖書を引く部分もあり、ある程度理解を高められる。 海外で発生している事件や紛争なども所詮は人が起こしたものであり、神の怒りや所業ではない。と言えるのも、私が(無宗教とは言わない)特定の宗教を信仰していないせいかもしれない。宗教によってはその多くを神の仕業と捉えるし、またそれが無かった時も、神が退けてくれた、だから神に感謝すると捉える。そう言えば、我々日本人は前述の通り無宗教と考える人が多いが、初詣に行き、七五三を祝い、夏祭りで大声を出し、秋の実りにお供物をして、クリスマスにはケーキを食べ、お葬式で親族が集まって悲しむ、こんな風に一年を通して宗教的な行事を行なっている。それだけでなく、大自然に神秘的なものを感じ取り、雷がなれば少しお腹をかくしてしまったりと。お分かりの通り、神道も仏教もキリスト教も混ざり合わさった良いとこどりとも言えるミクスチャー宗教、全ての宗教からの派生系とも取れる。 そしてそれら行事に一喜一憂し、日々の生きがいや経済効果に繋がっている点では、日本人も宗教に動かされた人々であり、国である。 911テロはイスラム原理主義的なテロ集団が起こしたこともあり、その後続く自爆テロなどを報道で見ても、初めて宗教という行動原理の大きさを学んだ人も多かったのではないか。本書ではイスラム教だけでなく、キリスト教や仏教、ヒンドゥー教についても原理的なものに触れてそれ自体は危険な思想であることを否定する。また常にそれに反する思想が生まれることから、様々な宗教内の思想の対立が生まれ、そのうちの一つまたは幾つかが本来あるべき姿を力を用いてでも回帰しようとする動きになっていく点にも触れている。原理的に人間の争いを是とする教えは無いだろうから、過激派組織は往々にして、自身に都合の良い様に拡大解釈しているか、利用しているうちに誤った思想が絶対であるかの如く過激に変化してしまったのだろう。 本書の表すとおり、宗教が世界を動かしていると言っても全く過言ではなく、今もこの瞬間も宗教を要因とする争いがどこかで人の血を流している。自分と異なるカミサマを受け容れ、または完全に否定しない心が無い限りは(永遠に訪れない気がする)まだまだ続くだろう。
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世界の主だった宗教を概観し、それらが、各エリアでどのように影響して、政治、経済、日々の暮らしを動かしているかを解説する。 儒教とは言うが、これは、宗教なのか、疑問は残るが、全体的に新たな視点を提供してくれる良書であった。
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たった250ページの文庫本サイズの本なのに、主要宗教の軸となる考え方、価値観が網羅されている。 読了後に「宗教って複雑」ってことが、ズシッと実感できる本。
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各宗教を通して、世界の国々の成り立ちや思想を講義形式で教えてくれます。 とてもわかりやすく読みやすかったです。 冒頭で、 「ビジネスマンなら、宗教を学びなさい。」 「人間なら、宗教を学びなさい。」 と言っている。納得できる内容です。
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世界の代表的な世界観を4つ紹介してくれる。唯一神・ヒンドゥー・中国・日本の4つだ。それぞれの歴史的背景について概要を知れる。内容をざっくり2つに分割すると、西洋思想と東洋思想に分けられる。
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宗教知識ほぼ0の私でも面白く読めた。 再読する。 イスラエルとアメリカの共通点とは?なぜ仲がいいのか。 お祭りの目的とは? 最近耳にする、立正安国論とは? 南無阿弥陀仏と南妙法蓮華経の違いとは?
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「宗教には、『自分とは何なのか』という問いが、凝縮されている。人間として生まれただれもが、避けて通ることのできない問いである」(「まえがき」より) ヨーロッパ文明とキリスト教。 宗教改革とアメリカの行動原理。 イスラム教は本来、平和のための宗教である。 カーストは本質的に...
「宗教には、『自分とは何なのか』という問いが、凝縮されている。人間として生まれただれもが、避けて通ることのできない問いである」(「まえがき」より) ヨーロッパ文明とキリスト教。 宗教改革とアメリカの行動原理。 イスラム教は本来、平和のための宗教である。 カーストは本質的に平等ーーヒンドゥー教とインド文明。 中国文明と儒教・仏教。 日本人と宗教ーー日本人はなぜ勤勉なのか。国家神道とはどのような考え方か。 ビジネスマンを相手に行った講義と質疑応答をまとめた新書に、目からウロコが落ち続ける。 本書を通じて実感したのは、自分自身が多くのことにまだまだ無知でいる事だった。 同じ地球の違う地域に住む人々が、どのような考えで行動し生活しているか。 相手を知らないことが、誤解や決めつけになり、あったことも無い人への憎悪に繋がってしまう。 「本書は新書にすぎない。つまり、ほんの『入り口』にすぎない。本書をきっかけに、その先に進んでいただけることを期待する。本書がその未知の世界への航海の羅針盤となるとよいと思う」(「まえがき」より) ほんの僅かではあるが、一歩前には進んだ。 小さな一歩だが、きっとこれはこれからー続く道の大きな出発になるはずだ。
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近年、とくに宗教社会学の分野で啓蒙的な著書を多く刊行している著者が、キリスト教、イスラム教、ヒンドゥー教、仏教、儒教、神道といった主な宗教と、それらの宗教を信仰してきた社会とのかかわりについて、わかりやすいことばで語っている本です。 主として社会人を対象にした著者の講義に基づい...
近年、とくに宗教社会学の分野で啓蒙的な著書を多く刊行している著者が、キリスト教、イスラム教、ヒンドゥー教、仏教、儒教、神道といった主な宗教と、それらの宗教を信仰してきた社会とのかかわりについて、わかりやすいことばで語っている本です。 主として社会人を対象にした著者の講義に基づいているので、ごく基本的な事柄の解説にとどまっています。もっとも、単なる通説の紹介ではなく、著者自身の見解が随所に示されているのですが、『世界がわかる宗教社会学入門』(ちくま文庫)などの著者の他の本にくらべると、通り一遍の説明にとどまっているような印象は否めません。 もっとも著者の意図は、おそらく日本人がよく知らない、世界のさまざまな国や地域と宗教との関係に、読者の多くが目を向けるきっかけを与えることにあったのかもしれません。そうであれば、本書はその目的を十分に果たしえているといってよいのではないかと思います。
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橋爪らしくとても読みやすい。かつ社会学的な見地から宗教の影響を見つめているので、ドライで分かりやすい。いろいろと整理されました。僕の専門がキリスト教なので、キリスト教にたいする細かい部分はちょっと違うんじゃないかな、と思うところもなくはないですが、まあそれも重箱の隅みたいなもので...
橋爪らしくとても読みやすい。かつ社会学的な見地から宗教の影響を見つめているので、ドライで分かりやすい。いろいろと整理されました。僕の専門がキリスト教なので、キリスト教にたいする細かい部分はちょっと違うんじゃないかな、と思うところもなくはないですが、まあそれも重箱の隅みたいなものでそんなに気にはなりません。仏教、ヒンドゥー教、イスラム、儒教、日本教など、新しい気づきと学びも多くありました。勉強になった。 17.8.8
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