あんじゅう の商品レビュー
一作めの『おそろし』がとてもよかったので読みました。 一話めの『逃げ水』は、人に裏切られたことを恨みに思うあまりに妖になってしまった、「お旱(ひでり)さん」という神様の話。女の子の姿をしている、という設定のせいもあってか、人を恨みながらも、心を許した染松を守ろうとする姿がいじらし...
一作めの『おそろし』がとてもよかったので読みました。 一話めの『逃げ水』は、人に裏切られたことを恨みに思うあまりに妖になってしまった、「お旱(ひでり)さん」という神様の話。女の子の姿をしている、という設定のせいもあってか、人を恨みながらも、心を許した染松を守ろうとする姿がいじらしい。あれだけ強く人を恨むのは、それだけ強く人を信じていたからに他ならないことを思うと切なくなるお話。 二話めの『藪から千本』はミステリーのような趣もあって、人の心の闇が怖いお話。 三話めに出てくる、家に取り憑いた、というより家の化身のような存在だった「くろすけ」は可愛くて、どんなに心を通わせても決して一緒に暮らしてはいかれない人間と妖との関係が切ない。でもちょっとお話が長すぎるな、と感じました。 四話めも冗長に感じました。しかも最後に読んだのに印象が薄い。なぜだろう。 最後の余録的なお話は明るくてよかったです。次の『泣き童子』も、文庫になったら読もうと思います。
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くろすけ…(;_;) やっぱり宮部みゆきの時代小説はいい!!!すき!!! P497 「おまえは孤独だが、独りぼっちではない。おまえがここにいることを、おまえを想う者は知っている。離れてはいても、仰ぐ月は同じだ。眺める花は同じだ。離ればなれになっても、それを支えと慰めに、生きていこ...
くろすけ…(;_;) やっぱり宮部みゆきの時代小説はいい!!!すき!!! P497 「おまえは孤独だが、独りぼっちではない。おまえがここにいることを、おまえを想う者は知っている。離れてはいても、仰ぐ月は同じだ。眺める花は同じだ。離ればなれになっても、それを支えと慰めに、生きていこう。」
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「おそろし」続編。 今回は「逃げ水」「藪から千本」「暗獣」「吼える仏」の四部構成。 「逃げ水」はとある村の守り神と子供の話。信仰を忘れられ怨みを抱きながらも誰かに必要とされたい神とそんな神と心を交わすことができた子供の話。 「藪から千本は」怪奇な話ではなく、生みの親と育ての親そして姑による子供をめぐった生々しい話。 「暗獣」は光と人の元では生きられない屋敷の思念が作り出した愛くるしい獣と老夫婦の心温まる話。 「吼える仏」は隠れ里に住む人々の里を思う気持ちが産んだ悲劇とそれに立ち合った偽坊主の話。 どれも読みごたえのある話ですが、暗獣が個人的には気に入りました。 全体を通しても、おちかが心を取り戻しつつ恋もし始めているのがなんともいいですね。 出来れば、「おそろし」の後に読んで欲しい一冊です
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三島屋シリーズ第2弾。 どのお話も良かった。切なく哀しいのもあれば、ぞわっと鳥肌がたつようなもの、ほっこりするものあり、読み終わるのがもったいなかった。「お白様」と「あんじゅう」が特に○。 登場人物も増えたけど、みんなキャラが良く、これからも楽しみ。
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5編それぞれ味わいがあったけれど、やはり「あんじゅう」が一番よかったな くろすけが切ない 三島屋変調百物語の第2巻 おちかさんにもすこし安らぎがみえてきたかな 次作が楽しみです ≪ あんじゅうと 心かよわせ 闇の中 ≫
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人を恋いながら人のそばで生きられない暗獣(くろすけ)にまつわる切ない話をはじめとする百物語もさることながら、深考塾の若先生や、偽坊主の行然坊、疱瘡神の嫁御となり魔を払う縁起物として働いてきたお勝など、魅力的な登場人物たちが次々と加わり、百物語の聞き役おちかの今後が気になります。
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人の世の縁の妙・・・。 人を大切に思い,尊重することこそが, 「信じる」ことへつながるのだろう。
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三島屋百物語の二巻目。表題作「暗獣」の出来が良すぎて他三作が霞んでしまった。お旱さんもよかったんだけれどなぁ。 「暗獣」のままだと江戸川乱歩的な雰囲気だったのをひらがなに「あんじゅう」としたのは宮部さんっぽい仕上がりになったなと。
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「とりわけ深い理由もなく、私が師匠に尋ねたのです。先生はどういうきっかけで手習所を始められたのですか、と」 その返答のために、加登新左衛門は〈くろすけ〉のことを語った。 ー昔、儂は人嫌いでな。偏屈で孤独を好み、ひたすら学問に打ち込もうとすることを、胸の奥で誇っておった。この世には...
「とりわけ深い理由もなく、私が師匠に尋ねたのです。先生はどういうきっかけで手習所を始められたのですか、と」 その返答のために、加登新左衛門は〈くろすけ〉のことを語った。 ー昔、儂は人嫌いでな。偏屈で孤独を好み、ひたすら学問に打ち込もうとすることを、胸の奥で誇っておった。この世には愚か者ばかりが多い。儂は己の貴重な時をさき、愚か者が泳ぐ俗世という池につかる気はない、と。 とんでもない思い上がりであった。 「世間に交じり、良きにつけ悪しきにつけ人の情に触れなくては、何の学問ぞ、何の知識ぞ。くろすけはそれを教えてくれた。人を恋ながら人のそばでは生きることのできぬあの奇矯な命が、儂の傲慢を諌めてくれたのだよ」 だから加登新左衛門は、子どもたちに交じって暮らす晩年を選んだのだ。 人は変わる。いくつになっても変わることができる。おちかは強く、心に思った。(502p) いわゆる長屋怪談小説第二弾である。とはいっても、ほとんど怖くはない。人の心が1番怖い、という基本点は守りながらも、かなり人情味あふれる小説である。ましてや、くろすけ(暗獣)は「切なく可愛い」生き物だ。 基本設定はほとんど「となりのトトロ」の真っ黒クロスケの親玉版みたいである。むしろ、あの暗闇を好み家に巣食う「不思議な生き物」の正体を突き詰めようとしてこの物語が出来たようにさえ思う。 そういう意味では、第四話の「吼える仏」は「指輪物語」のゴクリを江戸時代に蘇らせようとしているかのように思えた。しかも、ゴクリが指輪を存分に使えばどうなるか、ということまで描いてしまった。 宮部みゆきはホラーも好きなのだが、ファンタジーも好きなのだ。今回はかなりその色が濃かった。 2013年6月28日読了
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人の心は、めんようである 不思議な話?なんだけどなぜかせつない 寂しい気持ちが生き物になって、人と馴染んで寂しく無くなれば、寂しさで出来ていた体は弱る…………(;_;)/~~~ 人を恨む気持ちが里を滅ぼす 表面上は仲良し家族のそれぞれの胸の内にある妬み 全部の話が胸の奥に...
人の心は、めんようである 不思議な話?なんだけどなぜかせつない 寂しい気持ちが生き物になって、人と馴染んで寂しく無くなれば、寂しさで出来ていた体は弱る…………(;_;)/~~~ 人を恨む気持ちが里を滅ぼす 表面上は仲良し家族のそれぞれの胸の内にある妬み 全部の話が胸の奥に響いてこだましそうです すくいは、おちかの廻りの人たちが味のあるいい人たちばかり 若先生との仲は…………次に期待します
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