日本SF短篇50(Ⅲ) の商品レビュー
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50周年記念アンソロ3冊目、1983年から1992年まで。 好みのお話は下記。 ・栗本薫「滅びの風」 「何という美しい一日だろう。胸のいたむ思いでリーは考えた。あまりに、美しい一日であったので、…」。世界の終わりが感じられてしまう、切なく美しい話でした。 ・中井紀夫「見果てぬ風」 途方もないことを始めるきっかけは案外こういうものかも。 選ばなかった道を思う事があったとしても、選ばなかったからこそ別の道を歩けたということはあります。 ・草野仁「ゆっくりと南へ」 よくわからない巨大生物、大事にしたい。 ・森岡浩之「夢の樹が接げたなら」 周りが個々に、彼らだけのオリジナル言語で喋っているのが当たり前だという世界が新鮮でした。不安な気がするけど…。 目に入るものを全て描写する言語か〜
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いつも通り好みじゃない作品はスキップしたけど、4作ほど当たりがあり、他も悪くなかったので、年代アンソロジーの中では豊作かなと。「見果てぬ風」のような独自性の高い設定のSF作品は好きです。 —— 「交差点の恋人」★☆☆☆☆ - サイバーパンク系。設定が難解で途中でめんどくさくなっちゃいました。 「戦場の夜想曲」★☆☆☆☆ - スペースオペラ系。好みじゃないのでスキップ。 「滅びの風」★★★★★ - 未来的な世界設定。幸せな日常生活の描写とそれを噛みしめるリーとは対象に、妻アンナは情緒が不安定で何かに怯えていて様子がおかしい。街では幽霊を見た、という人が多数。惑星全体の生態系を調整する仕事をするアンナは世界が間もなく滅びることを知っていた。 - 滅びる理由を明確には触れられず、またその後どうなるかは一切なく、ただただリーの心理描写だけで短篇が成り立っている点に拍手。 「火星甲殻団」★★★★☆ - 長篇のプロローグ的な短篇だけど面白かった。火星では人間とヴィートルという知能を搭載した乗り物が共生していた。 - ガラムとその相棒のヴィートル、ブリッツは盗賊に襲われ、ガラムはそこで死ぬ。ブリッツは復讐のため、別の相棒を探し、ノルドと出会う。 「見果てぬ風」★★★★★ - 巨大な2つの壁に挟まれて世界が分断されているという不思議設定の中、世界の端、壁の切れ目まで歩いていこうとする男テンズリの物語。おもろい。見たことないSF設定とスケールのでかさ。 - 途中でその壁が緩やかにカーブしており、渦巻いていると気づく。そして最後は旅路でできた仲間ユルトの助けを得て、壁にある穴を抜け、一番外側に到達。そこは断崖絶壁になっていたが、その下にはまた地平線まで続く大森林があった。 「黄昏郷」★☆☆☆☆ - 好みじゃないファンタジー系なのでスキップ。 「引綱軽便鉄道」★★★☆☆ - 魂を失った体と、浮遊魂が田舎にはまだ残っている。そんな現場を調査に来た安田も恐怖体験をすることになる。昔の田舎の怖さが漂う怪奇SF。 「ゆっくりと南へ」★★★☆☆ - ほのぼのヒューマンドラマ系SF。人類が開拓中の惑星に生息していたスロウリイはただひたすらゆっくりと南へ移動しているだけの巨大な不思議生物。高速道路建設を進めたい男と、スロウリイを守りたい祖母、それを見守る子供のわたし。 - まあこういう作品もあっていいね、と思いましたとさ。 「星殺し」★★★☆☆ - 地球文明を俯瞰する超文明が、他の超文明との戦争を繰り広げる中で、地球を利用し、最終的には破壊してしまうというスーパースケール短篇。悪くない。 「夢の樹が接げたなら」★★★★★ - 言語SFは面白い。 - たくさんの人工言語がデザインされ、学習装置を使って、誰もが新言語を自由に話せる世の中。婚約者の弟が新言語を脳に注入した後、元々話せた言語を話せなくなった。 - というところからその言語に関する調査が始まる。しかしそれを調査した知人は圧力をかけられる。背後に力を何者かがいる系の謎解きミステリーは止まらなくなる。 - ユメキというその人工言語は、従来の人類が使ってきたあらゆる言語と違い、はるかに多くの情報のやり取りや、物事の理解ができる。しかし、その言語に適応できる人とできない人がいて、将来的に大きな差格差を生み出すかもしれない。
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夢の樹が接げたなら 森岡浩之 天才を作る言語、発想がすごい ゆっくりと南へ 草上仁 謎の生物とそれを囲むひとびとの話。ハイラインのような語り口がいい。 見果てぬ風 中井紀夫 誰かの言った知ったかぶりの一言を信じて実行した人の話。 滅びの風 栗本薫 実態が何か分からないが、なんか怖...
夢の樹が接げたなら 森岡浩之 天才を作る言語、発想がすごい ゆっくりと南へ 草上仁 謎の生物とそれを囲むひとびとの話。ハイラインのような語り口がいい。 見果てぬ風 中井紀夫 誰かの言った知ったかぶりの一言を信じて実行した人の話。 滅びの風 栗本薫 実態が何か分からないが、なんか怖い話。
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シリーズ第3集。 私としては以下が良かった。 滅びの風by栗本薫。 火星甲殻団by川又千秋。 見果てぬ風by中井紀夫。 夢の樹が接げたならby森岡浩之。 この中ではこの夢の樹~が一番良かった。言語デザインという不思議なテーマと人間の進化をテーマにしています。
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どれも面白くて満足。 自分が83年うまれなので、リアルタイムよりちょっと上の世代なんだよね。森岡浩之「夢の樹が接げたなら」はずっと読みたかった作品で、期待に違わぬ傑作だった。あと、野阿梓「黄昏郷」がなんとも好みで、この人の他の作品読みたくなりました。
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第3弾となる本書は、1983年から1992年までに発表された全10篇を収録。 全体を通じて、一風変わった作品に目を見張るなか、かつての洗練さに磨きをかけたような作品もちらほら。ただ、これまでに見られた力強さは鳴りを潜めた印象です。落ち着いてきたのかな。 山田正紀著「交差点の恋人...
第3弾となる本書は、1983年から1992年までに発表された全10篇を収録。 全体を通じて、一風変わった作品に目を見張るなか、かつての洗練さに磨きをかけたような作品もちらほら。ただ、これまでに見られた力強さは鳴りを潜めた印象です。落ち着いてきたのかな。 山田正紀著「交差点の恋人」は、冒頭から難解な言葉が連なり、理解に苦しむ作品ですが、なんともSFらしい作品です。逆にSFらしさを雰囲気の中に留め、人情の機微に触れた栗本薫著「滅びの風」が印象に深いです。これはSFなのかと問われると、少し首を傾げてしまいがちですが、それとは関係なく読ませる筆致があります。 中井紀夫著「見果てぬ風」や草上仁著「ゆっくりと南へ」は、独特の世界観を有し、ユニークさに意味を含有させた作品。この2作品は面白かったなあ。前者は好奇心を高める良さがあり、後者は壮大なロマンに触れる味わいがあります。 一方、ユニークさを前面に押し出した作品といえば、椎名誠著「引綱軽便鉄道」と谷甲州著「星殺し」あたりでしょうか。とりわけ「引綱軽便鉄道」は、鉄道ならぬジェットコースターのようで、次々と出会う光景に感嘆の一言。 本書最後の森岡浩之著「夢の樹が接げたなら」は、なんだか本書を総括した作品の印象。オリジナル言語という発想は中々興味深いです。 ▼以下、収録作品 1983年:交差点の恋人 山田正紀 1984年:戦場の夜想曲 田中芳樹 1985年:滅びの風 栗本薫 1986年:火星甲殻団 川又千秋 1987年:見果てぬ風 中井紀夫 1988年:黄昏郷 El Dormido 野阿梓 1989年:引綱軽便鉄道 椎名誠 1990年:ゆっくりと南へ 草上仁 1991年:星殺し 谷甲州 1992年:夢の樹が接げたなら 森岡浩之
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日本特集! 最初の「交差点の恋人(山田正紀 )」でこけた。ダメだ。あわない。パスしよう。 「戦場の夜想曲(田中芳樹)」 はハードボイルド。でも SF 色が薄くて残念。 緩やかな「滅びの風(栗本薫 )」は意外といいなぁ。こんな手もあるんだなぁと感心。 火星が...
日本特集! 最初の「交差点の恋人(山田正紀 )」でこけた。ダメだ。あわない。パスしよう。 「戦場の夜想曲(田中芳樹)」 はハードボイルド。でも SF 色が薄くて残念。 緩やかな「滅びの風(栗本薫 )」は意外といいなぁ。こんな手もあるんだなぁと感心。 火星がリアルに迫る「火星甲殻団(川又千秋)」 はプロローグだな。続き読みたいなぁ。探してみようかな。 「見果てぬ風(中井紀夫)」はロマンチック。ただ、脱線が多い気がする。 なんかサッパリ乗らなかったのが「黄昏郷(野阿梓)」 。嫌い。 不思議な雰囲気の「引綱軽便鉄道(椎名誠)」 は破滅的近未来だが、雰囲気だけで、あまり面白くはない。 乗り切れないままだったからか「ゆっくりと南へ(草上仁 )」 もほぼパス状態。つぎに期待しよう。 既読の記憶がある「星殺し(谷甲州)」 は、ダークだけどすばらしい作品。淡々と語られる超知性体の物語はゾクゾクする。 ラストの「夢の樹が接げたなら(岡浩之)」はかなりユニーク。動ではなく静をとる言語という発想はいい。でも、わかりにくいのが難点だ。 総じて、粒ぞろいとは言わないものの、なかなかの力作揃いだな。
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自分がSFを読み始めたのが収録作品の年代からなので、なんというか前2冊と違った、同時代感のような感触がある。 収録作品の半分ぐらいは既読。中井紀夫「見果てぬ風」は、やっぱり独特の味わいがある。 今回初読でとくに面白かったのは椎名誠「引綱軽便鉄道」と森岡浩之「夢の樹が接げたなら」。 「引綱~」は作者ならではのネーミングセンスと、のどかに感じられる話から次第に深刻な状況が垣間見えてくるのが読みどころ。 「夢の樹が~」は収録中、もっともストレートにSFならではの楽しさが感じられる作品だった。まったく異質な言語を習得することで人間が進化する…という、テッド・チャンの「あなたの人生の物語」に先駆けたアイディアがすばらしい。
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第1巻から読み進めてきましたが、このあたりから、読んだことのない作家さんが増えてきますね。つくづく自分は古参のSF者になってしまったのだなぁ、としみじみする今日この頃。 「交差点の恋人」山田正紀 「戦場の夜想曲」田中芳樹 「滅びの風」栗本薫 「火星甲殻団」川又千秋 「見果てぬ風...
第1巻から読み進めてきましたが、このあたりから、読んだことのない作家さんが増えてきますね。つくづく自分は古参のSF者になってしまったのだなぁ、としみじみする今日この頃。 「交差点の恋人」山田正紀 「戦場の夜想曲」田中芳樹 「滅びの風」栗本薫 「火星甲殻団」川又千秋 「見果てぬ風」中井紀夫 「黄昏郷 El Dormido」野阿梓 「引綱軽便鉄道」椎名誠 「ゆっくりと南へ」草上仁 「星殺し」谷甲州 「夢の樹が接げたなら」森岡浩之 欧米のSFに肩を並べようとパワフルに貪欲に突き進んでいった60年代、日本人にしか描けない世界観をSFに取り込み始めた70年代ときて、SFというジャンルが日本の文化土壌に根付いてきたのでしょうね。80年代以降の作品は、良い意味で肩の力が抜けた気取らない作品が多いと感じました。おそらく、この時代になるとことさらに欧米SFを意識して書く作家はいないと思われるのですが、それでも欧米SFを彷彿とさせる筆致の作品が散見されるのは、日本SFが「こなれてきた」ということか?草上仁「ゆっくりと南へ」はフレドリック・ブラウンが書いたと言われても違和感のない作風ですし、栗本薫「滅びの風」はジョン・ヴァーリィあたりが書いていそうな感じ。森岡浩之「夢の樹が接げたなら」は「ヘタレ男と傲慢な女」の組み合わせが実にグレッグ・イーガンそのもの(笑)。 面白く読めたのは、山田正紀、川又千秋、中井紀夫、椎名誠の4編。いずれも独自の世界観を前面に押し出し、詳細な説明抜きでぐいぐいと、あるいは淡々とストーリーを押し進めていくタイプの作品ですが、受けるイメージは4編全て異なります。 山田正紀「交差点の恋人」は、猥雑にして先鋭的な「ボーイ・ミーツ・ガール」の物語。ワイドスクリーン・バロックといって差し支えのない作風かと。川又千秋「火星甲殻団」は、80年代にもなって西部劇ですか!?と突っ込みたくなる、ある意味チャレンジングな作品(笑)でも一周してきて面白いんだなぁこれが。中井紀夫「見果てぬ風」は、筒井康隆「旅のラゴス」を思い起こさせる、異世界を舞台にした爽やかな成長譚です。 インパクトがあったのが、椎名誠「引綱軽便鉄道」。この世界観は、ワン・アンド・オンリーですね。ほのぼのしたエッセイを書く人、というイメージだったので、情感を一切排したドライな筆致にも驚きました。 それから、ある意味興味深いのは、この第3巻から、どうしても「合わない」作品が出てきたことです(笑) 第1巻・第2巻は、イマイチかなぁと思いつつもそれなりに楽しく読み進められたのですが、第3巻は読んでるうちから「うわー、ダメだわこれ」と思ってしまう作品がぼちぼち登場。それだけ、作家の個性が強く打ち出される時代になってきた、ということなんでしょうね。因みに、鴨がダメだったのは田中芳樹と野阿梓です(^_^; 第4巻以降の「合わない作品」数が増加しないことを願いつつ、続刊も楽しみにしてます!
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航宙刺激ホルモンの分泌によって何百光年も跳躍する宇宙船と現代のめまいがするリンクを描いてみせる山田正紀の「交差点の恋人」(ギャップどころではなく、もう、題名からはまったくわかりません。汗)を始めとして80年代の第3世代の作家が活躍。 川又 千秋の「火星甲殻団」も今読むと大分印象...
航宙刺激ホルモンの分泌によって何百光年も跳躍する宇宙船と現代のめまいがするリンクを描いてみせる山田正紀の「交差点の恋人」(ギャップどころではなく、もう、題名からはまったくわかりません。汗)を始めとして80年代の第3世代の作家が活躍。 川又 千秋の「火星甲殻団」も今読むと大分印象が違ってます。椎名 誠「引綱軽便鉄道」、谷 甲州「星殺し」と印象深い作品が並びますが、だんだん、タイプにあわない作品も出てきているのもこの時代から・・・やっぱり野阿 梓はあわなかった。 森岡浩之「夢の樹が接げたなら」は、そのラノベ的装丁とタイトルで敬遠してたのですが傑作です。オリジナル言語を作って脳にアップロードすることが流行している近未来。先天性言語機能不全者の治療用に開発された言語セットを移植すると・・・言語をテーマになかなか刺激的な作品。
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