日本文学史 古代・中世篇(3) の商品レビュー
中世の物語文学を、源氏物語との比較や影響関係をもとに説明されておりわかりやすい。あとは源氏物語が王朝文学のなかで最高峰であることの理由説明がもう少し詳しく欲しかった。
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六条御息所や弘徽殿女御に対しても愛情を持って読み解いています。「源氏物語」は同時代人に敬意を持って受け入れられて以降、一度もその評価が揺らいだことはない。現代においても色褪せないのは、紫式部が、物語の中の出来事より、出来事が登場人物の心に与える作用を描いたこと、多彩な人物を描き分...
六条御息所や弘徽殿女御に対しても愛情を持って読み解いています。「源氏物語」は同時代人に敬意を持って受け入れられて以降、一度もその評価が揺らいだことはない。現代においても色褪せないのは、紫式部が、物語の中の出来事より、出来事が登場人物の心に与える作用を描いたこと、多彩な人物を描き分け、その心が経年で変化する様を描いたことにあります。日本文学の独立峰ですね。ドナルド・キーンの指摘は非凡で、洞察力に富んでいます。
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いよいよ古代・中世篇のクライマックスともいえる「枕草子」と「源氏物語」が登場です。それにしても、1000年前が女性の才能をこれほど花開かせる社会だった、というのは、日本は女系社会だった、という証左でしょうか。 おもしろかったのは、「説話文学」の章で述べられている日本的ヒーロー論...
いよいよ古代・中世篇のクライマックスともいえる「枕草子」と「源氏物語」が登場です。それにしても、1000年前が女性の才能をこれほど花開かせる社会だった、というのは、日本は女系社会だった、という証左でしょうか。 おもしろかったのは、「説話文学」の章で述べられている日本的ヒーロー論。河合隼雄氏の浦島太郎論“このヒーローは英雄的な戦いで女性を獲得するのではなく、むしろ女性によって捕らえられる”を引用し、日本的ヒーローは受動的で、西洋人にとっては不完全と思われる、と述べています。これも、日本が女系社会だったということと関連していそう。 西洋の視点からみた日本文学史っていうのも、この本の面白さの一つです。
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