非社交的社交性 の商品レビュー
後半、著者の主宰する塾に通う若者達の生態が事細かに紹介されるが、そこが本書の読みどころだろう。おそらく発達障害と絡めて語られることが多そうな人々であるが、この本では一切そのフレーズは出てこない。「哲学に取り組むにふさわしい生きづらさを抱えた(今どき珍しい)若者たち」ととらえ、著者...
後半、著者の主宰する塾に通う若者達の生態が事細かに紹介されるが、そこが本書の読みどころだろう。おそらく発達障害と絡めて語られることが多そうな人々であるが、この本では一切そのフレーズは出てこない。「哲学に取り組むにふさわしい生きづらさを抱えた(今どき珍しい)若者たち」ととらえ、著者自身半ば呆れつつも正面から向き合う姿はユーモラスでありながら、少し崇高さを感じもした。
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中島義道さんの著作を読むのはこれで3,4冊目だと思います(うろ覚えですが)。 「非社交的社交性」という題名に惹かれて読みましたが、これ、カントの言葉だったんですね。不勉強の極みでした。 しかしながら、哲学について基礎知識がなくても、この本は十分に楽しめる内容ですので、不勉強でも...
中島義道さんの著作を読むのはこれで3,4冊目だと思います(うろ覚えですが)。 「非社交的社交性」という題名に惹かれて読みましたが、これ、カントの言葉だったんですね。不勉強の極みでした。 しかしながら、哲学について基礎知識がなくても、この本は十分に楽しめる内容ですので、不勉強でも大丈夫です(私がいうのもオカシイですが)。 前半は著者の過去の暮らしぶりや思想について語っており、後半は著者が開いた勉強会で出会った、「社交性」という意味において一風変わった(?)人々のエピソード集、のような形になっています。 著者の本を何冊か読んでいると一度は出会ったことのある内容が前半に詰め込まれていて、(うーん?)となるのですが、それもそのはず、この本は新聞連載されていた記事をまとめたものだからです。 ですから、著者の本を何冊か読んでいる人は前半を飛ばして、後半の面白い(?)内容を読んでもいいと思います。 自分の言った(著作の中で書いた)事を言葉面だけ理解して対応してくる人々に著者が辟易させられるシーンでは、気の毒に思いながらも笑ってしまいました。 極端なことを言うと、その極端につられてくる人たちがいる、ということなんでしょうか。 今あらためて読んでみると、このエピソードに挙げられた人の中には、発達障害などのハンディを持つ人がいるのかもしれないなと思いました。 しかしまぁ、世の中には様々な人がいるものだなあ、と考えさせられた一冊でした。
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後半がずっと筆者が開設する私塾に通う、社会的未熟な「使い物になるかと聞かれたら絶対にノーと言うし、職場に来たら面接官をなじらなければならい」段階にいる若者の愚痴になっている。ええい勝手にしろ
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『差別感情の哲学』で著者について興味を持ったため、手に取った作品。 前半は著者の人生を振り返りつつ、非社交的社交性(カントの言葉、「人間嫌い」ではない)について著している。 後半は著者が主催する「哲学塾」での、現代若者(中高年も一部含むが)の生きにくさを多数のエピソードを使って著...
『差別感情の哲学』で著者について興味を持ったため、手に取った作品。 前半は著者の人生を振り返りつつ、非社交的社交性(カントの言葉、「人間嫌い」ではない)について著している。 後半は著者が主催する「哲学塾」での、現代若者(中高年も一部含むが)の生きにくさを多数のエピソードを使って著している。 全体的に意外と取っつきにくさがなく、エッセイのような感じでスラスラと読み進めることができる。 面白いのは後半であり、20代の自分と随所に比較して読み進めた。登場人物の言動に対して奇怪だなと思う一方、自分としてもこのレベルではなくとも人との関わりで同様の行為をしてきたのではないかと省みた。自分勝手というよりも、自分が真に正しいと思うからこそ、彼らは奇怪な言動を起こしている。それがズレていることを学ぶのは、日々の日常生活における人間関係の中である。自分が正しいと思うだけでなく、人間関係を通じた自己批判の精神をもつことが社会で生きることに必要不可欠である。一人で生きるにはこの社会は難しい、割りきった人間関係を構築することが必要なのではないか。
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前半は新聞の連載などをまとめた内容。後半は自身の哲学塾で出会った変わった立ち振る舞いの人たちについての話。 環境と自己についてのエセー集といった感じではあるのだけど「哲学するのに向いている人向いていない人」といった経験をもとに「困った人たち」について語っていて一気に読めてしまっ...
前半は新聞の連載などをまとめた内容。後半は自身の哲学塾で出会った変わった立ち振る舞いの人たちについての話。 環境と自己についてのエセー集といった感じではあるのだけど「哲学するのに向いている人向いていない人」といった経験をもとに「困った人たち」について語っていて一気に読めてしまった。 いわゆる哲学についての話は第1部で語られているのだけど、「絶望に陥らない不幸」として、悩むことの前提条件が欠けている点を突いた第2部が圧倒的におもしろい。 ここでは「悩んでいる人=病人」といった捉え方を拒絶して「悩んでいる人は治せない」という当たり前のことを言っているだけなのだけど、なぜ世間一般ではそう捉えていないのかは気になった。
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【由来】 ・確か図書館の講談社アラート 【期待したもの】 ・「大人になるということ」というサブタイトルの通り、「社交」ということについての「大人」な考え方、ライフハック的な視点が提供されているのかと。 【ノート】 ・前半は「何だ、この屁理屈親父?」という印象。自分の世間への視...
【由来】 ・確か図書館の講談社アラート 【期待したもの】 ・「大人になるということ」というサブタイトルの通り、「社交」ということについての「大人」な考え方、ライフハック的な視点が提供されているのかと。 【ノート】 ・前半は「何だ、この屁理屈親父?」という印象。自分の世間への視線を、自分の経歴に即して偏屈に赤裸々に、そこそこ愉しく語っている。笑いの取り方にかすかに内田樹的な匂いもするが、あざとさも見え隠れしている印象。 後半は、屁理屈(哲学?)をこねてる本人が主宰している塾の生徒達の抱腹絶倒なトンデモエピソード集。これはもう、笑いながら読んでいい、しかも大笑い。著者が塾生達の奇行を「ええい、バカの標本め!」とツッコんでいるのがまた面白い。オーケンのエッセイに出没する電波な人々のエピソードに通じるものもあり、滑稽だったり、実はちょっと怖かったり。 哲学者である著者が、そんな「生きにくさ」を抱えてる塾生達に注ぐ眼差しは、しかし意外と優しかったりする。それは、著者が、辛くて放り出してしまいたい「問い」を抱え続けて、生きにくい人生を歩んでいる人達にこそ共感しているからだし、また、そんな抱え続ける姿勢こそが哲学だと考えているから。だから、大いに笑い飛ばしながら読んでると、そんな言動の中に、かつての、もしかしたら現在の自分と重なる部分を見つけてドキリとさせられたりもする。
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タイトルと直接関係のない著者のウィーン体験など、いつもの中島ネタが挿入される。 自分の私塾に集まる不器用な若者たちを、著者は一見肯定しているようでありながら、そのコミュニケーション力のなさをネタとして茶化しているようでもあり、アンビバレンツな感情がのぞく。 人生の早い時期に人間的な深いかかわりをしてこなかった人間の末路が塾に集まる人間たちから見えてくる。
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前半と後半のカラーがやけに違うなという印象。著者と生徒のやり取りは真剣なんだろうとは思うけど 笑ってしまった。後半は軽いエッセーのような感じ?でも実は深い内容かも。 期待していた内容とは違っていたので星3つ。
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中島義道の自叙伝的な要素もある。 日本独特の変な空気。 変な人々。 でもそれを変だと思ってしまう自分も, 日本の空気にしみこんでしまっているんだろう。 2017/10/13
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哲学塾を訪れる若者たちに自分を重ねてしまう。同じ状況で同じことをやらかしてしまいそう。 状況が読めない、言われたことを字義通り受け取ってしまう、叱られてもその意味がわからない、等。 それって発達障害なのでは?と思うけれど…どうなんでしょう。
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