KGBから来た男 の商品レビュー
旧ソ連のグラ-グ(強制労働収容所)で生まれ、語学力を買われてKGBに採用された経歴をもつ男(ターボ・ブロスト)が、妻子と別れて暮らすニュ-ヨ-クを舞台に、辛酸を嘗めたKGB時代の因縁を引きずる陰謀と対峙するハ-ドボイルド小説。 元KGB諜報員だったプーチン体制下のロシア、FSB(...
旧ソ連のグラ-グ(強制労働収容所)で生まれ、語学力を買われてKGBに採用された経歴をもつ男(ターボ・ブロスト)が、妻子と別れて暮らすニュ-ヨ-クを舞台に、辛酸を嘗めたKGB時代の因縁を引きずる陰謀と対峙するハ-ドボイルド小説。 元KGB諜報員だったプーチン体制下のロシア、FSB(ロシア連邦保安庁)、オルガリヒ(ロシア振興財閥)、ロシアマフィア、FBI特別捜査官が複雑に絡むロシアの深い闇に翻弄され、緊迫感の充満する本書は、社会主義の圧政から逃れて生きる男の痛ましくも切ない人生の物語。
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旧ソ連のグラーグ(強制労働収容所)で生まれ育った元KGB諜報員ターボ。ニューヨークで調査員として暮らす彼は、銀行の会長マルホランドから誘拐された娘の救出を依頼された。この時から因縁深い人物が次々と現われる。今はマルホランドと結婚している彼の別れた妻、KGB時代の同僚、彼をグラーグ...
旧ソ連のグラーグ(強制労働収容所)で生まれ育った元KGB諜報員ターボ。ニューヨークで調査員として暮らす彼は、銀行の会長マルホランドから誘拐された娘の救出を依頼された。この時から因縁深い人物が次々と現われる。今はマルホランドと結婚している彼の別れた妻、KGB時代の同僚、彼をグラーグから救い出しKGBに入れた恩人。誘拐事件を探るターボは、やがて恐るべき陰謀を知る。巧妙に練り上げたサスペンス巨篇。 スパイ小説ではなく、どちらかと言えば、ハードボイルドもの。とても狭い人間関係の中での物語。
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極論を述べれば、小説には二通りしかない。面白いか、面白くないか。あくまでも個人的な評価だが、本作は後者であり、しかも「圧倒的」にという形容詞も付け加えたい。 それほど長い分量ではなく、決して文章(無論、翻訳文だが)が下手な訳でも無い。だが、情報過多な割には構成力が貧弱で、謎の解...
極論を述べれば、小説には二通りしかない。面白いか、面白くないか。あくまでも個人的な評価だが、本作は後者であり、しかも「圧倒的」にという形容詞も付け加えたい。 それほど長い分量ではなく、決して文章(無論、翻訳文だが)が下手な訳でも無い。だが、情報過多な割には構成力が貧弱で、謎の解かれ方や伏線の張り方、結末に向けての盛り上げ方、旧ソ連/ロシアの時代背景の捉え方と歴史的事件の掘り下げ、主要人物の造形と関係性の整理……など、習作どまりといえる程の出来で、翻訳者述べるところの「類をみないほどの練り込まれた緻密なプロット」を読み取ることは出来ない。例え「衝撃的な陰謀」を巡るストーリーを構想していたとしても、エンターテイメント小説として完成させる技量が不足しているとしか思えない。何やら国際的な陰謀を主題としているらしいのだが、箱庭の中で魅力に乏しい人物らがちまちまと動き回っている印象しか残らなかった。 読後に某サイトのレビューを参照すれば、またしても私の評価とは真逆の絶賛の嵐で辟易したのだが、どこをどう読めばこの作品にハードボイルドのテイストやスケール感があるのだろうか。KGBを辞めニューヨークで「調査員」の仕事に就く主人公は、グラーグ(強制労働収容所)で生まれ育った「囚人(ゼーク)」であり、事あるごとに暗鬱な過去を語るのだが、資料をそのまま引用したかのような吐露に現実味は無く、その経験を経たのちの人生観も世界観も薄っぺらい。チェチェン紛争の火種などを画策したKGB暗躍の証拠隠滅を巡る謀略は、主人公の妻や子ども、元上司や旧友らの極めて狭い人間関係の中で展開/完結していく。だが、頓馬な人間らが自滅するだけで、最終的には何も解決せずに物語は閉じられる。勘の悪い読者でさえ、事件の黒幕や主人公の息子の正体は早々に分かるであろうし、終盤で「驚天動地」の事実を知って狼狽する主人公の愚鈍さに、逆に驚愕する。 冒頭で主人公は事件の鍵を握る元妻と偶然にも再会するのだが、そこに何の必然性も無い。あとに種明かしがある訳でもなく、単なる「プロット上の都合で」しかない。こういった不自然なご都合主義で大半の筋が出来上がっているため、面白くない「絵空事」が仕上がることとなる。いらぬお世話だが、作者にはトム・ロブ・スミスの「グラーグ57」を読めと進言したい。
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チャーリー・マフィンものの新作ではなく、ニューヨークに住む元KGBの調査員が自身の過去に深いかかわりを持った巨悪に挑むクライム・サスペンス。ただでさえ複雑な人物相関に加え、覚えづらいロシア人名の多さは難点だが、ユニークな人物設定と展開の速さが良い。
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600頁の長編。なかなか作中に入り込めなくて苦労した。事件の背景に巨大なモノが隠れているのは予想できるが、なんせ間口が狭いのだ。でも序盤を乗り越えた後はさくさく進む。 元KGBというキャラをどう活かすかという点に注目して読んでみた。ストーリーに大きく関わってくるというよりも、心...
600頁の長編。なかなか作中に入り込めなくて苦労した。事件の背景に巨大なモノが隠れているのは予想できるが、なんせ間口が狭いのだ。でも序盤を乗り越えた後はさくさく進む。 元KGBというキャラをどう活かすかという点に注目して読んでみた。ストーリーに大きく関わってくるというよりも、心理描写のひとつとして関連付けされてるように思う。事件は現在のNYで起こるが、その根っこは過去のロシアにある。旧ソ連からロシアへ、そしてKGBからFSBへと、国家組織が改変していく陰で、利権と権力の総取りを企む悪人はどこにでも存在する。その陰謀の性質がロシアっぽいような。重さと暗さ、陰惨さも含んでかなりヘビーな内容ではあるが、意外と軽く読めてしまう。 ページ数に見合うだけのサスペンスではある。伏線も効いており、よく練られたストーリーだと実感できる。主人公も脇役も個性的で面白い。次回作を期待してしまうのは、相性が悪くないってことかな。IT系アイテムを取り入れると、現代のハードボイルドってこうなるのね。
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本作は、“ターボ”という異色な感じの主人公を通じて、「“ソ連”とは何だったのか?」とか「“ソ連後”の1990年代のロシアとは何だったのか?」を問うような一面も在るように思う。他方で「“情報”と人々」というようなことも些か考えさせられる一面が在る…或いは“一作完結”な雰囲気では在る...
本作は、“ターボ”という異色な感じの主人公を通じて、「“ソ連”とは何だったのか?」とか「“ソ連後”の1990年代のロシアとは何だったのか?」を問うような一面も在るように思う。他方で「“情報”と人々」というようなことも些か考えさせられる一面が在る…或いは“一作完結”な雰囲気では在るのだが、何となくこの“ターボ”の「その後?」も気になる… なかなか渋い作品だ!!
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