空の冒険 の商品レビュー
本作は前半が短編小説、後半はエッセイという2部構成の作りになっている。エッセイが特に興味深かった。世界各国を訪れて感じた事が作者の作品に影響しており、作風の原点を垣間見るような新たな発見があった。
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吉田さんの小説は、『横道世之介』しか読んだことがない。 本書は、短編+エッセイ集。 ANAの機内誌『翼の王国』が初出とのこと。 世之介とはまた違う側面が見えると期待して手に取る。 超短編小説なので、どうしても説明部分が目立って見える。 最初の二、三作は、そんな感じが否めなかった...
吉田さんの小説は、『横道世之介』しか読んだことがない。 本書は、短編+エッセイ集。 ANAの機内誌『翼の王国』が初出とのこと。 世之介とはまた違う側面が見えると期待して手に取る。 超短編小説なので、どうしても説明部分が目立って見える。 最初の二、三作は、そんな感じが否めなかったが、「居酒屋」あたりから、だんだん作品との波長が合ってくるのがわかる。 そうすると、やはり展開の鮮やかさに心を奪われる。 エッセイは… 以前NHKのネコメンタリーという番組で、吉田さんと飼い猫との日々が取り上げられていたのを見たことがある。 マンションの様子なども映り、作家の日常生活がほんの少し垣間見えたりする番組だ。 そこで見た印象は、ずいぶんスタイリッシュな生活をしている人、ということだった。 抑制的で、悪く言えばとっつきにくい感じさえあったのだ。 しかし、このエッセイから見える吉田さんは、ぎっくり腰に苦しみ、外国の映画館で、言葉もわからない映画に号泣する人物。 印象がだいぶ違って、自分にとっては面白かった。
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こんなにも解説がついてないことを悔やんだ本はない! そう思ったくらい、読み終わった後、自分の思ったことの答え合わせを誰かとしたくなった。 旅の本っていいなあ。 心の声ではなく、なにをしたかがたくさん書かれているんだもん。 100の思想より、1の行動の方が読み応えも説得力もあるか...
こんなにも解説がついてないことを悔やんだ本はない! そう思ったくらい、読み終わった後、自分の思ったことの答え合わせを誰かとしたくなった。 旅の本っていいなあ。 心の声ではなく、なにをしたかがたくさん書かれているんだもん。 100の思想より、1の行動の方が読み応えも説得力もあるからなあ。 桜桃の味が特に好きだった。 2回目を読む未来の自分はどうだろう?
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「パーク・ライフ」を読んだ時に感じた、なんかいいな〜という感覚を確かめたくて読んだ。 前半はANAの機内誌に1年間連載された短編を集めたもの、後半は吉田修一さんのエッセイ集。 短編は、何か大きな出来事があるわけでもなく、様々な背景を持つ人物の日常の一片を描いている。 走馬灯どこ...
「パーク・ライフ」を読んだ時に感じた、なんかいいな〜という感覚を確かめたくて読んだ。 前半はANAの機内誌に1年間連載された短編を集めたもの、後半は吉田修一さんのエッセイ集。 短編は、何か大きな出来事があるわけでもなく、様々な背景を持つ人物の日常の一片を描いている。 走馬灯どころかその日の日記にも出てこないであろうささやかな時間。 飛行機に乗りどこかに向かっている人に対して投げかける話として、「日常の祝福」をテーマにするのはかなり良いと思う。 視点を変えれば誰もが主人公になり得るというメッセージは機内で不安や期待や倦怠の中にいるひとにまっすぐ届いたことだろう。 それぞれの話に繋がりがあるわけではないが、なぜか脇役の名前や、家族構成や、仕事などが同じだったり、そうかと思えば少しだけ変えてあったりと、奇妙な交錯をする。 パラレルワールドの世界を神の視点から見ているようで、今まで味わったことのない体験だった。 吉田修一さんは格言めいたものをご自身ではたくさん持っているがそれを物語の中では言葉でスパッと言い切らないのがなんか、いいな…。
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吉田修一さんのエッセイは初めてだったため、どんな人なのか人となりが少しだけ垣間見られたのがよかった。短編小説は短すぎるため、盛り上がってきたところで終わってしまうところに物足りなさを感じた。また月刊連載のため、小説によっておもしろさにばらつきがあると思った。
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20180218読了 2013年発行。ANAグループ機内誌「翼の王国」の連載をまとめた文庫。短編12本。エッセイは旅での出来事中心で、11篇のうち末尾の2篇は「悪人」のロケ地を訪ねたときのもの。すべて、国内線フライトの中で軽くさらっと読める。飛行機でなくとも移動中の読み物としては...
20180218読了 2013年発行。ANAグループ機内誌「翼の王国」の連載をまとめた文庫。短編12本。エッセイは旅での出来事中心で、11篇のうち末尾の2篇は「悪人」のロケ地を訪ねたときのもの。すべて、国内線フライトの中で軽くさらっと読める。飛行機でなくとも移動中の読み物としては最適なのか、JR東京駅の本屋さんのレシートがはさまっていた。 20180102蔵書 古本屋で発見。ANAの人だ、と思って買った。
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ANA「翼の王国」での連載の第2集。前作「あの空の下で」については、毒にも薬にもならない程度の口当たりのよい短編集という印象だったんだけど、同じはずなのにこの本の作品の何作かには余韻の深さを感じた。機内で読むということは、閉じ込められた何時間かの間に、無目的的に読むことが多くの前...
ANA「翼の王国」での連載の第2集。前作「あの空の下で」については、毒にも薬にもならない程度の口当たりのよい短編集という印象だったんだけど、同じはずなのにこの本の作品の何作かには余韻の深さを感じた。機内で読むということは、閉じ込められた何時間かの間に、無目的的に読むことが多くの前提だと思われ、そういうときに短編ならではの「結」がはっきりしない終わり方というのは、なかなかよいものかも。閉じ込められた、空を飛んでいるという若干非日常の間を使って、読後に思いを巡らしたりできる。そういう読み方に合う短編たちという感じ。
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短編小説とエッセイ集。小説は「女が階段を上る時」が短いのにドラマがあって良い。エッセイのほうが印象に残る良い話が多かった印象。
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ANAグループ機内誌「翼の王国」に連載された短編小説とエッセイ。 小気味の良い短編小説。 エッセイを読んだのは恐らく初めて。新鮮だった。 軽い感じで一気に読み切った。
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新規開拓を銘打って読んだことのない小説家を探していたところ、表現が綺麗だという評価を見て吉田さんに出逢う。 本作はANAの機内に設置されてる雑誌に連載された短編集らしい。旅行好きで飛行機によく乗る機会は多いが、雑誌なんか見たこともなく試しに読んでみた。 まず、プロローグから惹...
新規開拓を銘打って読んだことのない小説家を探していたところ、表現が綺麗だという評価を見て吉田さんに出逢う。 本作はANAの機内に設置されてる雑誌に連載された短編集らしい。旅行好きで飛行機によく乗る機会は多いが、雑誌なんか見たこともなく試しに読んでみた。 まず、プロローグから惹き込まれる。日記というのはわたしも時々つけていて、その時の感情や小さな出来事も自身の文字により表現されているため、後々に見ると面白い。この本編とは関係ないことプロローグから吉田さんの魅力に取り憑かれた気がする。 短編12作とエッセイが含まれており、1つは非常に短いためすぐ読み終わる。短編は短いながらも引き込まれる分かり易さと、場面の選択となっている。また情景も想像できるような表現が成されてる。タイトルの意味はよくわからないものが多いが、すぐ読んでしまう。 エッセイは海外に行ったときの日記みたいな形式だが、海外文化との小さな違いや感じた一瞬を取り上げており、旅行好きとしては引き込まれて共感する。 吉田さんという面白い人に出逢えてよかった、そんな作品。
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