命のビザを繋いだ男 の商品レビュー
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
母校の大先輩・杉原千畝さんの「命のビザ」の話はよく知っていたけれど、そのビザを持って日本にやってきたユダヤ人がその後どうなったかはあまり知らなかった。というより、日本を経由して何ごともなく安全に逃げ延びたのだろうと思いこんでいた。でもそうじゃなかった。 小辻さんは、杉原千畝の「命のビザ」を持って日本に来たユダヤ難民を助けるために奔走した人。アメリカで出版された小辻本人の自伝を訳し、丹念に取材をしてこの本を書いたのは、俳優の山田純大さん。その真摯な取材ぶりがすごい。
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杉原千畝によりヨーロッパから日本に逃げてきたユダヤ人を、日本出国まで面倒を見たのが一介の市民であった主人公の小辻節三である。官憲にいじめられながら、ビザ延長など親身に世話をした。小辻氏がいなければ、杉原ストーリーも成立しなかっただけに重要な人物である。信念に基づき行動する真の勇者...
杉原千畝によりヨーロッパから日本に逃げてきたユダヤ人を、日本出国まで面倒を見たのが一介の市民であった主人公の小辻節三である。官憲にいじめられながら、ビザ延長など親身に世話をした。小辻氏がいなければ、杉原ストーリーも成立しなかっただけに重要な人物である。信念に基づき行動する真の勇者であるこの人を探し出し、この本で作家としてデビューした著者は、実は俳優である。自らの関心、疑問をもとに調査した著者も立派である。もう少し行動が遅かったら、僅かに残っていた主人公を直に知る人々に出会えなかっただろう。それらを思えば、本章構成とか感情のこもった文章などが気になったという印象は些細なことだ。本書の関係者と一緒に写真に写っている著者がいい男だとは思っていたが、なんと杉良太郎の長男だそうだ。いろいろな驚きが詰まった本である。
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