命のビザを繋いだ男 の商品レビュー
日本人で初めてユダヤ教に改宗し、多くのユダヤ人を救った人。見返りを求めず、素晴らしいことをされたことに、深く感動した。それを調べあげた著者の情熱もとても素晴らしいと感じた一冊だった。
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[命の査証、その繋ぎ手]リトアニアのカウナスにおいてユダヤ人難民たちに査証を発給し、その命を救った杉原千畝のエピソードに心惹かれた著者は、「では日本において彼等を迎えたのは誰だったのか」という疑問を抱く。残された情報が乏しい中、彼は小辻節三というユダヤ教学者に行き当たるのであるが...
[命の査証、その繋ぎ手]リトアニアのカウナスにおいてユダヤ人難民たちに査証を発給し、その命を救った杉原千畝のエピソードに心惹かれた著者は、「では日本において彼等を迎えたのは誰だったのか」という疑問を抱く。残された情報が乏しい中、彼は小辻節三というユダヤ教学者に行き当たるのであるが、さらに調査を進めていくと、実は小辻は難民の生死をも左右する決定的な役割を果たしていたことが明らかになり......。歴史に埋もれていた日本史と世界史の隣接点を明らかにした作品です。著者は、俳優として活躍し、『水戸黄門』や『男たちの大和』などに出演されている山田純大。 小辻節三氏については本書を読むまで、恥ずかしながら聞いたこともなかったのですが、その功績と信念に「こんな人がいたのか...」と正直驚かされました。「杉原千畝が査証を発給してめでたしめでたし...」となってしまいがちなところをさらに一歩進めた著者の関心の置き所にも感心しましたし、なによりも困難な調査や取材を成し遂げたその思いに頭が下がります。歴史の貴重な一側面を明らかにした、これまた貴重な一冊ではないかと。 また、本書の序盤に松岡洋右が携わった「河豚計画」なるものが紹介されているのですが、それがまた実に興味深い。日独の連携を深め、結果として対米戦へと舵を切る原動力の一つになったと見なされている松岡ですが、本書で明らかにされる構想(それは結果として松岡が今日から振り返ったとしても成功したとは評し得ないのですが)から、その複雑な思いの丈や彼の人間性が浮かび上がってきます。 〜小辻は日本人に対して、ユダヤ人の習慣や精神などを説明し、見方を変える努力をした。そして、このことはもう一つの意味を持つ。それは日本人にユダヤ人の正しい姿を知らせただけではなく、ユダヤ難民たちにも日本という国をきちんと紹介したことである。〜 著者の情熱というか執念がすごい☆5つ
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※このレビューにはネタバレを含みます
すごい人が居たものだ。 日本人初のユダヤ人。 平時であっても正しいことをするのは難しいのに、戦時中に正しいことをすることがどれほど困難であったか。
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この本は本当に素晴らしい本だった。俳優とは思えないくらいよく勉強、調査していた。 小辻節三が杉原のビザで日本に来たユダヤ人のビザの延長期間を延ばすために日本政府とかけあったり、神戸でのトラブル解決に疾走していた。凄い人だ。 満鉄の顧問をしていた時に、「河豚計画」というユダヤ人...
この本は本当に素晴らしい本だった。俳優とは思えないくらいよく勉強、調査していた。 小辻節三が杉原のビザで日本に来たユダヤ人のビザの延長期間を延ばすために日本政府とかけあったり、神戸でのトラブル解決に疾走していた。凄い人だ。 満鉄の顧問をしていた時に、「河豚計画」というユダヤ人を救う計画があった。でも当時の日本はドイツとの関係を考えて大変だった。 松岡はアメリカで生活していたから、アメリカと戦争しても敵わないとわかっていたが、ナチスとの関係も悪くはしたくないと思っていた。松岡が小辻にユダヤ人を救うアイディアを示唆していた。 小辻は最後はユダヤ教に改宗するのも、人生波乱万丈。 ユダヤ人との関係も本当に絆である。 ユダヤ人にも小辻は助けられていた。満州で小辻らを助けてくれたのもユダヤ人。 こういうイスラエル、ユダヤ人との関係をもっと日本は大切にすべきだろうな。
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俳優の山田純大によってまとめられている小辻節三は、有名な杉原千畝が許可した日本へのユダヤ人渡航を受け、日本側で受け入れるために奔走した人物。 何故受け入れに奔走が必要なのか? 当時日本はドイツと同盟してアメリカと戦っていた。ユダヤ人はアメリカで大きな影響力を持っていた。だから、特...
俳優の山田純大によってまとめられている小辻節三は、有名な杉原千畝が許可した日本へのユダヤ人渡航を受け、日本側で受け入れるために奔走した人物。 何故受け入れに奔走が必要なのか? 当時日本はドイツと同盟してアメリカと戦っていた。ユダヤ人はアメリカで大きな影響力を持っていた。だから、特高もドイツもスパイ容疑やユダヤ国民全体の陰謀を疑って、日本でもユダヤ人を虐殺しようとしていたのだ。 後から小辻の生きざまを追ったので、そのあたりの事情は淡々と描かれている。しかし、杉原、小辻といった人たちが居なければ、日本はホロコーストに加担していたかも知れなかったのだ。 今ではそんな事情は忘れられてしまったけれど。 小辻は賀茂神社の神官の家系に生まれ、青年時キリスト教を学び晩年にユダヤ教に改宗した。 彼はヘブライの文化を教養として日本で根付かせようとしたが、高度成長の頃世間の反応は薄かった。反応が芳しかったアメリカに拠点を移すが、軌道に乗る前に末期の胃癌で日本に戻る。 日本に残していた家族の元で息を引き取った。 彼は「エルサレムで眠りたい」という遺言を残しており、第四次中東戦争の最中で空港が閉鎖されている中だったが、彼によって命を救われていたイスラエル要人の手でその願いはかなえられた。 彼は何を求めていて、日本に、家族に、ユダヤに、神に、何を見出したのだろうか。 例えば海が見える丘に、一本の木の下に、育った故郷に眠りたいというのは、分かる気がするのだけれど、エルサレムに眠りたいというのはユダヤ民族に眠りたいと言っているように思う。その心境は探りがたいと感じる。 著者の山田はハワイで育ち、学校の校外学習でパールハーバーのアリゾナ記念館に行ったという。 「俺のおじいちゃんはここでジャップに殺されたんだぜ」と言われて、悪気は感じないが、暗いとげがずっと刺さっていた。それが彼に小辻を追って、エルサレムの墓まで行かせる。 山田の言うように、人間は複雑である。ユダヤ人の自分の生徒と共にガス室に入ったドイツ人の先生もいたのだ。だが人類はホロコーストを起こしてしまった。ドイツ人の先生の例から分かるようにそれは、ドイツ人と言う人種の問題では無くて人間の、人類自体の問題である。国が、制度が、組織が非人道に走るとき個人は何ができるのか。そこで自分や、家族の命を危険に晒すことができる人間は、やはり少ないのだと思う。 小辻の戦後の失意と、エルサレムに眠りたいと言って死んだその遺言から、そのように思った。
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ユダヤ人に日本への渡航ビザを発行した杉原 千畝さんは有名だが、ビザを使って渡航した後のユダヤ人とユダヤ人をほかの国へ渡らせた(ビザを延長した)日本人の事が知りたいと思った筆者。調査量はすごいと思ったし興味深い内容であったが、筆者が俳優なだけに、余談も多く読みづらい部分もあった。日...
ユダヤ人に日本への渡航ビザを発行した杉原 千畝さんは有名だが、ビザを使って渡航した後のユダヤ人とユダヤ人をほかの国へ渡らせた(ビザを延長した)日本人の事が知りたいと思った筆者。調査量はすごいと思ったし興味深い内容であったが、筆者が俳優なだけに、余談も多く読みづらい部分もあった。日本に入国してからのユダヤ人を助けたた小辻節三の家族について、もっと知りたかった。
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6,000人の「命のビザ」を手にして日本に逃げ延びてきたユダヤ人たちを助けてあげた人がいることを知りました。 小辻節三さんというヘブライ語学者です。 彼は1899年に京都の神主の家で生まれ、クリスチャンになって牧師になります。旭川の教会で牧師をしている時、結婚した奥さんが着物を売...
6,000人の「命のビザ」を手にして日本に逃げ延びてきたユダヤ人たちを助けてあげた人がいることを知りました。 小辻節三さんというヘブライ語学者です。 彼は1899年に京都の神主の家で生まれ、クリスチャンになって牧師になります。旭川の教会で牧師をしている時、結婚した奥さんが着物を売って作ったお金でアメリカに留学、ニューヨークの神学校を卒業した後車で大陸を横断してカリフォルニアへ行きヘブライ語を勉強します。 帰国後は満州鉄道の仕事で、退職後豊かな暮らしをしていたにもかかわらず、ユダヤ人を助けるために警察を買収したり、投稿警察に拷問を受けたりしながら命がけで奔走、無事にアメリカとの開戦までに神戸に滞在するそのユダヤ人たちを上海やアメリカなどに逃がしてあげることができたのです。 彼を始め、逃げてきたユダヤ人を助けた敦賀港の人々など、日本人は情け深く、勇気があるなあと感動しました。 また獄死した松岡洋右はアメリカで教育を受けたクリスチャンの政治家ですが、彼もまたアメリカとの戦争を避けることを願っていたことを知りました。 誇りに思うのは日独伊三国同盟だったにもかかわらず、日本政府がホロコーストを助けなかったことです。日本人は虐殺者では無い、人の命を助けようとする民族なのです。 最後に、読後感なのですが、素晴らしいテーマなのにかかわらずこの本は編集者によって書かれたのではないかと思いました。本人の本で書いて欲しかった。あまりにも上手な文だったからです。
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文章にやや気になる点はあるものの、「この人のことを伝えたい」という著者の熱い思いが伝わってきます。 「命のビザ」の杉原千畝氏は有名ですが、ビザの発給を受けたユダヤの方が来日された後、どうなったかというのは指摘されてみれば確かに欠けていた視点でした。 大変な時代に素晴らしい日本人...
文章にやや気になる点はあるものの、「この人のことを伝えたい」という著者の熱い思いが伝わってきます。 「命のビザ」の杉原千畝氏は有名ですが、ビザの発給を受けたユダヤの方が来日された後、どうなったかというのは指摘されてみれば確かに欠けていた視点でした。 大変な時代に素晴らしい日本人が存在したことを教えてくれる良著です。 松岡洋右の印象も変わりました。
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俳優さんが非常に労力を注ぎ込んで書き上げたものだと思うのだけど、事実を淡々と並べている感じで、読むのに疲れる。せっかくいい材料なのにもったいない。
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日本のシンドラー、杉原千畝氏が命のビザを発行した、ことは知っていましたが、 そのビザを手にした人々は、 その後どのようにして日本に来て、希望する地へ向かったのか。 小辻節三氏という、一人の学者のとった行動が記されていました。 全く知らない事実だったので、 そうなのか、そうなのか...
日本のシンドラー、杉原千畝氏が命のビザを発行した、ことは知っていましたが、 そのビザを手にした人々は、 その後どのようにして日本に来て、希望する地へ向かったのか。 小辻節三氏という、一人の学者のとった行動が記されていました。 全く知らない事実だったので、 そうなのか、そうなのか、と読んでしまいました。 日本にいる私よりも、ユダヤの人々の方が彼について知っているのでしょう。 とても勉強になりました。
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