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脊梁山脈 の商品レビュー

3.5

26件のお客様レビュー

  1. 5つ

    2

  2. 4つ

    11

  3. 3つ

    8

  4. 2つ

    3

  5. 1つ

    0

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2023/12/01
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

 復員した矢田部信幸は列車内で腹痛に襲われ、同じ復員兵の小椋康造に介抱される。その名前と住所をたよりに、御礼を言うため15年間探し続ける物語。その間、木地師の世界が丁寧に描かれていく。また、女性2人が花を添えている。1人は上野のガード下、後に湯島に店を出す佳江、もともと画家で、欧州に絵の修行に飛び立つ。もう1人は、木地師の家で育ち、後に芸者、身体を壊して入院する小倉多希子。乙川優三郎「脊梁山脈」、連作6話、353頁、2013.4発行。一気に読了。信幸と退院後の多希子の2人に、幸福と希望が~!

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2021/02/07

せきりょうさんみゃく ある地域の背骨に相当するような大山脈で、分水界となるもの。 付箋 ・運よく生き残った者がさらに生きてゆくためにする苦労は、代わりに不運を背負って死んだ人への償いかもしれない。 ・画家の場合、普通の神経の持主であることが却って障害になるときもありますから ・密...

せきりょうさんみゃく ある地域の背骨に相当するような大山脈で、分水界となるもの。 付箋 ・運よく生き残った者がさらに生きてゆくためにする苦労は、代わりに不運を背負って死んだ人への償いかもしれない。 ・画家の場合、普通の神経の持主であることが却って障害になるときもありますから ・密やかな葦の群落が地下水の浅いことを知らせてくれるように、寡黙な、しかし淳良なものこそ実生活の中に浸透してゆくべきであった ・そのお友達のお父さまは息子さんの青春を知って喜ばれたでしょうか、わたしがその人なら充たされることはないと思います ・おのころと比べたら天国ですけれど、ケセラセラも悪くありませんね ・専門書に人生の正体や深層の世界はかかれていないし、隣人の苦悩や真因も教えてくれない

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2018/10/11
  • ネタバレ

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木地師の歴史は韓国渡来人ではないか、という説の探求でもある小説。説の探求にしても、小説の出来としても、実に中途半端。

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2018/03/23
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

福島県費生として上海に学び、その地で入営した矢田部信幸が、大陸からの復員列車で助けられた男・小椋康造を探し深山を巡るうち木工に魅せられ、木地師の源流を探す旅を始める。それは、23歳で終戦を迎え、世の中に放り出された男が生きるということを見つめなおす、再生の旅でっあった。 「ロゴスの市」でその文章の美しさにひかれた乙川さんが大佛次郎賞を受賞した話題作ということで手に取った。 信幸、信幸の母、画家の佳江、芸妓の多希子、それぞれの戦後は女は強くたくましく、男は・・・。 期せずして伯父の遺産を引き継ぎ、戦後の苦労も知らず働かずして生きていける信幸の人生が定まらないことには鼻白む思いもあったが、木地師の源流を明らかにする10余年にわたる旅は生活の心配がない人間にしか出来なかった仕業で、それはそれなりに価値があったのかなとも思う。 途中、大化の改新あたりの史実とされている説に大胆に異論を呈するあたりは、本作における壮大な寄り道ととって、読み飛ばしたりしたけれど、歴史好きにはたまらない部分であるかもしれない。 近江を起点に、良木を求め深山を転々としていく流浪の民、木地師が各地に流れ着いた歴史のくだりは胸を打つものがあり、一本の木に対する敬意や木目へのこだわりなど、お仕事小説の面も併せ持ち、木工品への見る目が変わったように思う。 戦後15年を経ても未だ終戦はこないという康造。彼は決して稀有な存在ではないのだろう。 ーー自ら作りえなかった民主国家を謳い、発展に酔い、戦争を忘れていくのは国で、その実態は権力欲と利己心に冒された野心家の群れであろう。・・・康造のような人は大勢いて、彼らは戦地の惨劇を自身の過ちとして悩み続けるーー 美しい言葉で多くのものを盛り込んだ壮大な物語でした。

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2015/01/11

みうらしおん氏絶賛。 読みづらい内容・文体・ことばなのに なぜか惹かれてしまう内容。 人生観・歴史観・恋愛観・芸術観など多岐にわたって影響をうけた。 この内容が面白いと思うのは、私が年を取ってきた証拠かもしれないと思うと少し悲しい。 硬派な小説なので、時間を空けてもう一度...

みうらしおん氏絶賛。 読みづらい内容・文体・ことばなのに なぜか惹かれてしまう内容。 人生観・歴史観・恋愛観・芸術観など多岐にわたって影響をうけた。 この内容が面白いと思うのは、私が年を取ってきた証拠かもしれないと思うと少し悲しい。 硬派な小説なので、時間を空けてもう一度読んでみたい。

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2014/11/28

大佛次郎賞,という感じ。私には難しかったけど,理解できるところがあるのが有り難かった。読後感も良い。 こんな風にして生活していける人がいるんだなぁと嫌みじゃなく思いながら読んだけど,最後,そういう人に存在してもらうことも重要なんだろうなと思った。

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2014/10/19

大陸からの復員列車での出会いが信幸の人生に大きな影響を与えていく。 本地師を探し深山を巡り木工に魅せられ、そしてこの国の成り立ちを紐解いてゆく。

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2014/09/21
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

文章が上手い。それがあるからこそ最後まで読めた感。 話題があちこちに飛びすぎて散漫になりすぎてると思うねんなぁ。終戦後の日本の風景を陰惨に描いているかと思ったら、木地師の丁寧な木工の仕事を評価して、その延長で日本人のルーツを大化の改新というテロ事件に遡って探ってみたり、そうかと思ったら飲み屋の女とゴニョゴニョ、芸者とゴニョゴニョ、おかんに家を買ってやったり、コンクリート企業の社長ときったはった… なんで、終戦直後の兵隊引き揚げ列車で世話になった人を探す小説でここまで無造作な寄り道をしまくるのか?それが一本につながる快感はなく、最後にちょっとだけ種明かしして寄り道は寄り道のままでは、読後のイメージは散漫なまま。 カラオケがない時代のスナックの会話ってこんな風に迷走する感を楽しんでたのだろうか?なんとなくそういう懐かしさ(っちゅうても俺はほとんどそういうスナック知らないけど)を思い出させる小説だった。 さすが、時代小説家の書いた現代小説というべきなのかも知れないな

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2014/09/13

戦後の混乱は、経験した者しか分からない何かがあるだろう。その空気が感じられる良い作品であった。自由を手にしたら、何をやっていくか。生き甲斐とは、何か。一気に読ませてくれた。

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2014/08/12

正月に義理の父に借りて、なかなか手が伸びなかった一冊。 読み出すと、文章は魅力的なんだけど、イマイチ主人公には共感できず。。 主人公を通して著者の想いは伝わってくるんだけど、いかんせん歴史あり、男女の話あり、旅あり、と、いわゆる「ブンガク」なのかなあ、と。 それでも最後までちゃ...

正月に義理の父に借りて、なかなか手が伸びなかった一冊。 読み出すと、文章は魅力的なんだけど、イマイチ主人公には共感できず。。 主人公を通して著者の想いは伝わってくるんだけど、いかんせん歴史あり、男女の話あり、旅あり、と、いわゆる「ブンガク」なのかなあ、と。 それでも最後までちゃんと読ませるのだから、面白かったんだと思います。 が、ちょっと世代的な問題はあるかなー。

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