逆説の日本史(19) の商品レビュー
筆者自身があとがきで書いている通り当時の常識を元に歴史の前後関係を考察し幕末から維新に至る変遷が語られる書籍は珍しいのではないか。特に興味深いのが幕末の誰しもが何らかの信念を持って国や組織の為に善かれと思い行動した事が裏目に出、結果維新が実現されたという逆説となっている点だ。例え...
筆者自身があとがきで書いている通り当時の常識を元に歴史の前後関係を考察し幕末から維新に至る変遷が語られる書籍は珍しいのではないか。特に興味深いのが幕末の誰しもが何らかの信念を持って国や組織の為に善かれと思い行動した事が裏目に出、結果維新が実現されたという逆説となっている点だ。例えば井伊直弼の信念と独善的権力志向が歴史的転換点となった桜田門外の変を招いている。詰まる所全員尊皇攘夷派であるのだがそのエッセンスに至るまでの国民的コンセンサスが明治維新であると言えよう。 また西郷隆盛の自害未遂や自らクーデターを自白する吉田松陰など、是非は置いといて、現代にはない日本国への強い憂いと焦燥感、そして使命感を豪傑たちに感じる。 もちろん「逆説の日本史」の十八番である大胆な仮説も忘れていない。島津斉彬暗殺説は非常に腑に落ちる説でもある。 第1章 幕末激動の十五年 一八五八年編 第2章 幕末激動の十五年 一八五九年編 第3章 幕末激動の十五年 一八六〇・六一年編 第4章 特別編
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安政の大獄がなぜ起こったかが、よくわかりました。 この時期の複雑な政治環境、国内外の環境、人間関係などが、手に取るように分かります。 今までの疑問が氷解しました。
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幕末。 この前二冊くらい読んでないので、やや繋がらないところもあったけど。 相変わらず、面白いなぁと思ってサクッと読了。 攘夷をせまる孝明天皇は、個人的な好き嫌いではなく…という説明は、このシリーズ読者なら納得できるけど、 幕末好きな人とかには受け入れられないんだろうなーと思...
幕末。 この前二冊くらい読んでないので、やや繋がらないところもあったけど。 相変わらず、面白いなぁと思ってサクッと読了。 攘夷をせまる孝明天皇は、個人的な好き嫌いではなく…という説明は、このシリーズ読者なら納得できるけど、 幕末好きな人とかには受け入れられないんだろうなーと思ってしまう。 この巻だけでなく、シリーズで読まれることをオススメします。
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井伊大老の考えは当時の幕府の観点からは正義でも世の潮流から見ると弾圧であったということ。 桜田門外の変の実行犯の生き残りは僅か2名で一人は警視庁に奉公という奇縁。
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気づけば幕末編がはじまっていました。久しぶりの井沢元彦だったので流して読みましたが、改めて井沢歴史観は面白いと思いました。 「既に述べましたが」という表現に出くわせば、やはりシリーズものは順を追って読むべしと痛感しました。 本書は安政の大獄から桜田門外の変までの約2年間が納め...
気づけば幕末編がはじまっていました。久しぶりの井沢元彦だったので流して読みましたが、改めて井沢歴史観は面白いと思いました。 「既に述べましたが」という表現に出くわせば、やはりシリーズものは順を追って読むべしと痛感しました。 本書は安政の大獄から桜田門外の変までの約2年間が納められています。龍馬が出てくるのはもう少し先ですが、幕末の複雑さを理解するにはこの数年をしっかりと理解することが重要なのだと思いました。
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幕末は、平安末期や戦国末期と同様に大きな歴史の転換点ですが、時代が新しく資料が豊富であったり、出来事の記憶が生々しく真実を述べるのに差しさわりがあったりということで、私にとっては非常に分かりづらい複雑な時代ですが、このシリーズのこの時代はクロニクルという形式で丹念に記述されている...
幕末は、平安末期や戦国末期と同様に大きな歴史の転換点ですが、時代が新しく資料が豊富であったり、出来事の記憶が生々しく真実を述べるのに差しさわりがあったりということで、私にとっては非常に分かりづらい複雑な時代ですが、このシリーズのこの時代はクロニクルという形式で丹念に記述されているので非常に助かります。ここで浮き彫りにされる井伊大老の人物像は、近代の独裁者に近く、安政の大獄で無くなった人たちのことが悔やまれてなりませんでした。
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長いつきあいのシリーズ、今回は図書館から借りてきた本がたまって しまっているので一日で読み終えた。 なぜか私は幕末にそれほど興味が無く、今までちゃんと触れたことが なかった。最初にしっかりと触れる本がこの逆説の日本史シリーズだ というのは幸せなのだろうか不幸せなのだろうか。少な...
長いつきあいのシリーズ、今回は図書館から借りてきた本がたまって しまっているので一日で読み終えた。 なぜか私は幕末にそれほど興味が無く、今までちゃんと触れたことが なかった。最初にしっかりと触れる本がこの逆説の日本史シリーズだ というのは幸せなのだろうか不幸せなのだろうか。少なくとも周りの 幕末好きとは意見が相容れないことが多くなりそうな、そんな感じ である。もちろん個人的には大歓迎であり、とても幸せなことだとは 思うのだが。
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毎年、最新刊が出るのを楽しみにしています。 分かりにくい幕末の歴史をこれほど分かり易く教えてくれる歴史本はないと思います。 井伊直弼と安政の大獄について深いところを教えてくれます。 これからの展開が楽しみです。
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逆説の日本史シリーズの最新刊です。とうとう江戸時代の末期となり、井伊直弼が活躍した時代について解説されています。この当時、日本は攘夷から開国へ国の方針が180度変わったような時代の背景が解説されていました。 攘夷の実行の原因として、幕末の地震以上に死者の出た、開国によるコレラの...
逆説の日本史シリーズの最新刊です。とうとう江戸時代の末期となり、井伊直弼が活躍した時代について解説されています。この当時、日本は攘夷から開国へ国の方針が180度変わったような時代の背景が解説されていました。 攘夷の実行の原因として、幕末の地震以上に死者の出た、開国によるコレラの発生である(p110)ということ、下級武士を追い詰めたのが通貨政策によるインフレ(p221)にあるというのは、新しい知見でした。 振り返れば太平洋戦争の前後でも、国の方針(国民の価値観)が180度変わった時代でした、これからも起きる可能性があると思いながらこの本を読み終えました。価値観が変わるような時代に活躍するのがそれまでの主流ではない人達です。今の日本に当てはめたら、どのような人達になるのか考えてみる良い機会となりました。 以下は気になったポイントです。 ・関白とは、藤原氏が天皇の権力を奪うために作った地位、別名ともいえる「内覧」という言葉が示すように、朝廷で決定される事項について関白は天皇以前にチェックできた(p22) ・公家が全部で137家しかない時に、6割以上の88人が連判状を作った極めて異例な事件がおきた(p31) ・関税自主権の侵害は、ハリスとの和親条約の8年後(1866)の英米仏蘭の圧力によって結ばされた江戸協約で、不当な関税率を押し付けられた(p62) ・慶喜が将軍になるのは、御三家を創設した家康の想定外であったはず、水戸家の当主は天皇に絶対に逆らわない人物であれば徳川家は滅びないという家康の深謀遠慮を壊したのは吉宗(p80) ・井伊直弼の評価が低いのは、自分に反対する勢力を徹底的に粛清したこと(p104) ・コレラの流行による死者は3万人とも言われ、大地震の死者の4倍と上回った(p107) ・開国により、未知の伝染病が入ってきたので、攘夷の実行となった(p110) ・江戸幕府とは、結果的に幕府に悪影響を及ぼすと予測されることでも「慣例なら許す」というところがあった、これは信長・秀吉の「新し物好き」からの反動(p130) ・徳川家基が謎の死を遂げたため、豊千代(11代家斉)が将軍になることが決まった、このため外様大名の娘が将軍家御台所になるかもしれなかった、結局、近衛家の養女という形にした(p131) ・天皇の下では将軍も浪人も農民も平等な臣下、これが民主主義を生み出す条件であり、中国の皇帝とは異なる(p177) ・第15代の応神天皇に受け継がれるときに、初代の神武とは別系統のものに交替している可能性あり(p183) ・幕府は1ドル=1分を確立しようとした、日本では銀が高く、1分銀という銀貨は現代の1万円札と同じで、それ自体には1万円の価値はなく政府がその価値を保証していたが、アメリカのハリスはこの「信用貨幣」を理解できず、1ドル=3分のレートを押し付けた(p215) ・金の流出を抑えるために金含有量を3分の1にした小判(万延小判)を発行して金銀レートは国際基準となった。しかし一挙に通貨供給量を3倍にしたので、大インフレとなった、最も困窮したのは固定俸給を得ている武士階級(p219) ・辛酉(しんゆう)の年=1861は、辛酉革命という言葉がある通り、このエトには何かしら社会が不安定になりやすく、この年には改元する習慣があった、実際に文久と改元されている(p233) ・安政7年(1860)、日本人初の太平洋横断が咸臨丸によって行われた、日本人の操船によってという意味(p280) ・咸臨丸は外洋でも蒸気機関で進むアメリカ軍艦ポーパタン号の6分の1の排水量でスピードは半分だが、サンフランシスコ港にほぼ同時に出発した軍艦よりも先に到着、石炭補給が不要だったため(p287) ・対馬がロシアにもイギリスにも租借されず「香港」にならなかったのは幸運である、ロシアを追い出したイギリスが居座る可能性もあった(p323) ・幕末の日本人は、三連続地震・テロ・戦争・伝染病・超物価高に負けずに明治維新をやりとげた(p361) 2013年6月16日作成
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いつものように表面に現れた行動や歴史的な事実の裏側を、解き明かしてくれている。 幕府、朝廷、薩摩、長州及び水戸の各藩及び井伊直弼や孝明天皇等の主要人物の考え方や行動がわかりやすく述べられており、個人的には非常に分かりづらい幕末における日本の情勢がわかった気になった。
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