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ベンスン殺人事件 S・S・ヴァン・ダイン全集 の商品レビュー

3.3

23件のお客様レビュー

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2026/04/10

個人的に極めて好きな作品。 ■ファイロ・ヴァンスの考え方 一流の美術家は20人に同じ題材で絵を描かせても、どれが誰が描いた絵かを見極められる。それは、その人物の特徴が絵画には現れるもので、二人として同じものはないから、という理由による。同様に、犯罪にもその人物の(心理学的)特徴...

個人的に極めて好きな作品。 ■ファイロ・ヴァンスの考え方 一流の美術家は20人に同じ題材で絵を描かせても、どれが誰が描いた絵かを見極められる。それは、その人物の特徴が絵画には現れるもので、二人として同じものはないから、という理由による。同様に、犯罪にもその人物の(心理学的)特徴が現れる。つまり、唯一無二の「その人だ」という痕跡が残る。 故に、それを追えば犯人は特定できる。逆に、それを追わずに物的証拠や状況証拠を追っても意味がないどころか誤った方向に向かい冤罪を生みまくることになり危険。 ただし一方で、 「裁判で有罪とするための確たる証拠」という意味では「心理学的根拠」では意味がない。かと言って物的証拠ではヴァンスが述べるように「物的証拠なんかでは犯人を特定できない」のだから、それも意味がない。 やるなら、心理学的根拠、手法を用い犯人を特定した後、「やっぱりね」という物的証拠を見つけ出す、という順になる。 という、この考え方とそれを踏まえた作品の作りになっていること自体が非常に好み。 「誰が犯人か」とか「ヴァンスの考え方は本当に正しいのか?」とかは別にどうでもよく、この発想の仕方が非常に好み。 ■アントニイ・バークリー 自分の最も好きな作家の一人にアントニイ・バークリーがいる。 バークリーも同様に「心理的要素が重要」と考え、『毒入りチョコレート事件』を境に後期になるにつれて本格を捨て心理的側面を重視するスタイルになる。 一方でS・S・ヴァン・ダインは初期の方が心理的側面を重視し、後期になるにつれてその特徴がなくなってしまう、とのこと。(ヴァン・ダインの後期はまだ読んでない) S・S・ヴァン・ダインもアントニイ・バークリーも他の同時代作家とは異なるベクトル(心理的側面)から推理小説を捉え、それが作品に見事に反映されている、という部分が共通していて、その作風が自分に合っている、と感じた作家。

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2026/01/29
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※このレビューにはネタバレを含みます

先にグリーン家を読んでいたが、話がつながっているわけではないものの、こちらを先に読んだ方がヴァンスを始めとする登場人物たちにより馴染めたのではないかという気がする。 物的証拠を信じず心理的な面から犯人を特定するという考えは独特で面白いと思った。ヴァンスには初めから犯人が分かっているが、それを逮捕につなげる(マーカムやヒースが納得できる形で説明つける)ためにどう動いていたのかが解決編で明かされる。マーカムがおちょくられすぎててかわいそうな気もするけど、読者としては親しみが持てた。 とはいえヴァンスがそうやって動いたのもマーカムのためであり、エピグラフの内容がまさにぴったりだと感じた。

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2025/10/18
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※このレビューにはネタバレを含みます

もったいぶりすぎ。常にマーカムが感じている焦ったさに共感しながら読んだ。犯人を最後まで明かさなかった理由も膝を打つようなものではない。 心理学的に犯人を特定する論理に納得いかない。そんなものは物的証拠よりも簡単にでっち上げられる、危ういものだろう。 そんで散々心理学的推論の存在を仄めかしときながら、最後は物的証拠に頼るんかい、しかも違法な捜査で。 推理小説ではなく物的証拠に拘泥しすぎるミステリへのアンチテーゼ、一種のメタミステリとして読むべきか。それぐらい納得いかない。 あと「私」ことヴァン・ダインが空気すぎる

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2025/09/27

綿密に計画された犯罪は個の心理から構築される唯一無二の芸術品…心理の追跡は物的証拠や状況証拠よりも尊い… なんと心理探偵は1926年に既に誕生していたのか。ポアロが心理云々を重視するようになったのは確か中期あたりから(?)だし、ロジャー・シェリンガムとはどっちが先なのだろう。 黄...

綿密に計画された犯罪は個の心理から構築される唯一無二の芸術品…心理の追跡は物的証拠や状況証拠よりも尊い… なんと心理探偵は1926年に既に誕生していたのか。ポアロが心理云々を重視するようになったのは確か中期あたりから(?)だし、ロジャー・シェリンガムとはどっちが先なのだろう。 黄金時代の幕開けと称されているが、幕開けから既にこんなに皮肉られまくってるのジャンルとして煮詰まりすぎだろう。やや弱めの多重解決要素まであるし。今や英国のバークリーと共に米国では忘れ去られた悲しき作家らしいが、いまだに本格が根強い孤高の島国ではいつまでも読まれ続けられるのではないか。

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2025/02/23

先に僧正を読んだが、このベンスンはデビュー作ということで主人公の紹介もあり、こちらを先に読んだ方が読みやすかったかも。 結果的に殺害理由は単純なものだったが、最初から消去法でヴァンスには犯人が分かっていたとあり、それにしては話が長すぎないかと思った笑 分かりきった説明というか...

先に僧正を読んだが、このベンスンはデビュー作ということで主人公の紹介もあり、こちらを先に読んだ方が読みやすかったかも。 結果的に殺害理由は単純なものだったが、最初から消去法でヴァンスには犯人が分かっていたとあり、それにしては話が長すぎないかと思った笑 分かりきった説明というか、言い回しの発言が長文で多くて途中が退屈だった。

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2024/10/23

ヴァン・ダインのデビュー作。 好きな順に読んでしまうので、シリーズものなのにデビュー作が最後になってしまった(^_^;) でも「最初はこんな感じだったんだ!」と後から知るのも結構楽しい。 〈名探偵ファイロ・ヴァンス〉が好きになったのは心理学的推理をするところ。 バークリーの〈名...

ヴァン・ダインのデビュー作。 好きな順に読んでしまうので、シリーズものなのにデビュー作が最後になってしまった(^_^;) でも「最初はこんな感じだったんだ!」と後から知るのも結構楽しい。 〈名探偵ファイロ・ヴァンス〉が好きになったのは心理学的推理をするところ。 バークリーの〈名探偵シェリンガム〉も同じく心理学的推理。 バークリー作品の解説によると、アメリカでベストセラーになっていた同じ心理を扱うヴァン・ダインを意識していたのではと書いてあった。 次第に心理的なものを扱わなくなったヴァン・ダインに対して、バークリーはとことん心理的なものを追求していったらしい。 物的証拠にこだわる地方検事マーカムとヴァンスのやり取りが面白い。 「人の性質はみんな違うものだよ。時としてどんなによく似た人間がいるように思えたとしてもね。」 ヴァンスは犯人の心理についてわかりやすく説明してくれる。 初回なので紹介が長いのと、他と比べて事件が地味に感じた。 これで創元推理文庫のヴァン・ダイン新訳版4冊は読み終わってしまった。 1番好きなのは『カナリア殺人事件』かな。

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2024/03/28
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ヴァンスが最後まで犯人や推理を明かさない、まあ推理小説でよくある探偵の沈黙とも言うべきことに、しっかりと理由があるのが好ましい。物語として成立する推理小説であり、ただの謎解き小説ではない。 フーダニットにおいては、絞り込むことは容易いものの自分では犯人を当てられず、しかし無理のない筋立てになっていて良い。 厳しめに☆3としたのは「また読みたい!」と思うほどにはのめり込めなかったためであり、引っかかった点はなかった。ヴァンスという探偵が私にとってやや魅力に欠けるせいもあるかもしれない。また長編小説特有の中だるみはあまりないが、集中して読み切れるほどではない。ミステリ史に残る名作とまではいかないが、読んで損はない作品だろう。

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2023/06/18

著者と相性が良いのか、ここまで読んだ長編3冊はいずれも意外なほど期待値を上回る読後感(そもそも期待値があまり高くないということもあるかもしれないが)。ファイロ・ヴァンスとDAマーカム、ヒース部長刑事などの丁々発止ながら品位を保とうとする掛け合いの好感度が高いのは、透明人間スマート...

著者と相性が良いのか、ここまで読んだ長編3冊はいずれも意外なほど期待値を上回る読後感(そもそも期待値があまり高くないということもあるかもしれないが)。ファイロ・ヴァンスとDAマーカム、ヒース部長刑事などの丁々発止ながら品位を保とうとする掛け合いの好感度が高いのは、透明人間スマート・セット(笑)ヴァン・ダインがちょこちょこ挟む個人的感想によるところが大きい気がする。あまりに黒子すぎて不自然という感想ももっともだがが、ワトソン役が2人以上いる中でさらにもう1人となると収拾つかなさそうなのでこの異様な沈黙が都合良いのでは。後日談で、ちょい役の気の良いミセス・バニングを「私はなぜか、いつ見てもあの女性を好ましいと思う。」と評し裁判に巻き込まれなかったことを喜ぶ優しい性格が好き。ファイロ・ヴァンスについては、1990年代頃の有名なミステリ評「夜明けの睡魔」で、あからさまにやっかみながら一回転して作品は褒めていたようだが自分は結構この衒学キャラクターを楽しんでいる。「高潔な人物てのは、いわば自分の欠陥をさらけ出す勇気がない人間のことだ。」(P123)など、強引だし当然異論はあろうが、見落としがちな真理の一部を突いていて感心させられる。またマーカムの概ね大人エレガントなツッコミや受け答えは勉強になり、真似してみたいと思う。容疑者や刑事の姓名が変化に富んで面白い。 本文の引用が長いが思い入れが感じられるあとがきの充実度に星を1つ増やした。ガーデン殺人事件を読んで、今まで古い翻訳は敬遠していたけれど味があっていいなと思っていたところで「全長編を個人全訳された井上勇氏」の経歴にじんと来るものがある。この新訳も可読性向上させつつ、カジュアルになりすぎず一世紀前の雰囲気を損なわないようで好感が持てる。

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2023/01/20

先に後発のグリーン家・僧正を読んでしまってからの、原点回帰。 登場人物の関係性や、ヴァンスが事件解決に乗り出すようになったきっかけがわかって、すっきり。 作者の、美術を語りたいんだー!という思いが溢れている。 大きな展開や波はなくとも、文章の表現や感情の描写が豊かで、推理だけでな...

先に後発のグリーン家・僧正を読んでしまってからの、原点回帰。 登場人物の関係性や、ヴァンスが事件解決に乗り出すようになったきっかけがわかって、すっきり。 作者の、美術を語りたいんだー!という思いが溢れている。 大きな展開や波はなくとも、文章の表現や感情の描写が豊かで、推理だけでなく物語としてもじっくり楽しめる作品でした。

Posted byブクログ

2022/11/14

【読書】なかなかに面白かったね。あと犯人は意外だったかな。そこにもっていくのも、それほど途中で引っかかることなく、結構すらすら読めたかな。まあマーカム地方検事もファイロ・ヴァンスに振り回されて酷い目に遭わされてるけど、よく我慢してるよなあとは思った。次のカナリア殺人事件は楽しみに...

【読書】なかなかに面白かったね。あと犯人は意外だったかな。そこにもっていくのも、それほど途中で引っかかることなく、結構すらすら読めたかな。まあマーカム地方検事もファイロ・ヴァンスに振り回されて酷い目に遭わされてるけど、よく我慢してるよなあとは思った。次のカナリア殺人事件は楽しみになってきたな。

Posted byブクログ