ロスト・ケア の商品レビュー
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ミステリーと括るべきなのか? 「なぜ人を殺してはいけないのか」というテーマや諸々の問題をミステリーという手法で突き詰めたような小説。 ①「法律で禁じられている」のはそういう法律を人間が定めたからに過ぎない。では何故いけないのか。残された家族(遺族)が悲しむから? ではその遺族が悲しまず、むしろ許容した場合、殺人は罪となるのか。犯人は罰せられるべきなのか。 ②社会通念とは人間の意識の進化とともに作り上げられた概念に過ぎない。よって、状況によって変化していくものである。根源的な「善性」というものを認めるかどうか。 ③直接的に手を下した人物は検討(裁判)の対象になるとしても、それでは「間接的に」関与した人物は対象にならないのか。どこまでが関与なのか。殺人が起きる状況を作り上げた人物は、あるいは状況を放置した人物は罪に問われないのか。「未必の故意」「不作為」という言葉はどう解釈すべきか。 ④国家としての殺人行為は罪に問われないのか。仮に大義があったとしても、その大義とは何なのか。自分の、あるいは自分たちの命を守るためなら、単なる潜在的なリスク排除のための戦争は正当化されるのか。その施政者を支持した人物は、ミサイルの発射スィッチを押したことにならないのか。 ⑤戦争ではなくても、多くの人命を危険に陥れるリスクのある施設を建設することは、そのメリットが大きければ許されるのか。 考えさせられる内容だった。
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ミステリーとしての面白さはもちろん、介護現場からの社会派小説としても面白いし、深く考えさせられる。42人を殺した犯人の言葉には、聖書からの引用も含めて、どう生きるかとかどう人と係わるかとか、根元的な意味で自分の今を顧みさせられた。
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現代日本が抱える社会の「穴」、介護問題、介護ビジネスに焦点をあて、抉る。 問題の周辺に付き纏う、偽善、欺瞞、立場の違う正義感が次々に晒されていく。 犯人の思考に完全に異を唱えられない自分が確かにいた。 クライマックスに近づく中で明らかになる真相も、思わず読み返さずにはいられなくな...
現代日本が抱える社会の「穴」、介護問題、介護ビジネスに焦点をあて、抉る。 問題の周辺に付き纏う、偽善、欺瞞、立場の違う正義感が次々に晒されていく。 犯人の思考に完全に異を唱えられない自分が確かにいた。 クライマックスに近づく中で明らかになる真相も、思わず読み返さずにはいられなくなる上手さ。 これは面白い。
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介護の現場を描いたミステリー。 検事の正論より42人の老人を殺した犯人の言い分のほうが納得させられる。 それくらい介護の大変さがわかる。 ミステリーとしてはなかなか。途中まですっかり犯人を取り違えていた。
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介護問題。自分がそれなりに大人になったからでしょうか...とても他人事とは思えず、現実をつきつけられた感じです。でも読んでよかった。 介護を受ける金銭的余裕のない羽田親子 1億以上の金をかけ高級老人ホームへ入居した大友の父 そして介護する側、斯波の厳しすぎる勤務体系 介護保障制...
介護問題。自分がそれなりに大人になったからでしょうか...とても他人事とは思えず、現実をつきつけられた感じです。でも読んでよかった。 介護を受ける金銭的余裕のない羽田親子 1億以上の金をかけ高級老人ホームへ入居した大友の父 そして介護する側、斯波の厳しすぎる勤務体系 介護保障制度。理不尽づくしです。 そしてまだまだ序の口だという少子高齢化。将来の不安。 考えても考えても堂々巡りで、なにが正しいのかもわからず、犯人にすら同情してしまうこのやるせなさ。 「この社会には穴が空いている。」 「一見豊かなこの国では、その穴の存在に気づきにくい」 「未来に起こりうる災厄もすでに黙示されている」 希望なんて一ミリもない。だけどこれが現実。 受け止めてこれからどうしよう…とりあえず貯金!かな。
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最後にどんでん返しがあるのだろうと予測ができた。 映画『愛・アムール』を観た時期なので、介護のことを考えた。
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第16回日本ミステリー文学大賞新人賞受賞作。 デビュー作とは思えないほど堂々と、作品の 骨子が太くそしてグサリと突き刺さってきます。 ミステリの装丁を身に纏う事で自分のような 人間にも、見事にその重さと避けては絶対に 通れないこの先...を見事に提示してくれ、 自分自身が向かって...
第16回日本ミステリー文学大賞新人賞受賞作。 デビュー作とは思えないほど堂々と、作品の 骨子が太くそしてグサリと突き刺さってきます。 ミステリの装丁を身に纏う事で自分のような 人間にも、見事にその重さと避けては絶対に 通れないこの先...を見事に提示してくれ、 自分自身が向かって考えないといけない...という 当たり前の事実を認識させて貰えます。 社会派ミステリーなんて枠を越えてでも 多くの人が手にして欲しい...と思える作品。 所謂コムスンの事件をベースに現代の 介護が抱える(というか単に先伸ばしに している)問題、家族、高齢化...さらに 性善説、そして正義対正義と話は絵空事ではなく 確実に将来に待ち構えている事...について 淡々と抉るように展開されていく事に、 誰もが他人事...ではない現実と比べながら 身を削がれるような想いになってしまいます。 作中で犯人とされた「彼」がしてきた事の罪を 裁く現代社会と現代の法。「彼」の行ってきた 正義は一矢報いる事が出きるのか...。テーマが 重い...だけで済ませてしまうことが出来ない 痛烈な作品。 ちなみにミステリとしても犯人である「彼」 を追いつめる手法も見事でかなり面白い。 自分の今年のベスト3確実...っぽいです。
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読み終えたあと、しばらく茫然自失だった… 介護の問題。またまた自分は今、直面していないから、普段意識することもなく過ごしていたが、介護してない人にも読んでほしい一冊! そして日本がこのままいったら、現実にこんな事件もありそうやし、自分もいつかは親の介護をするときが来るかも知れ...
読み終えたあと、しばらく茫然自失だった… 介護の問題。またまた自分は今、直面していないから、普段意識することもなく過ごしていたが、介護してない人にも読んでほしい一冊! そして日本がこのままいったら、現実にこんな事件もありそうやし、自分もいつかは親の介護をするときが来るかも知れない… 親が我が子である私のことを忘れてしまったり、暴れたり、汚物を撒き散らしてしまったら… 理性を保つ自信がない でも、ベッドで寝たきりで意味もない延命治療だけ施され、回復の見込みも生きる楽しみもなく、だらだらと最期の時を待つなんて終わりかたは我が親にはしてほしくない…そりゃもちろん殺人はやっちゃいけないんですけどね(-o-;)
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スピード、展開、問題意識とすべてがすぐれた作品。「このミステリーがすごい!」とはこんな小説のためにある言葉です。
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未来の姿が見えていたら?それを変えたければ何か行動しなければならない。何が善であるかって人種、宗教によっても様々。煮え切らない悲しい話だけど、介護に関係ないと思っている人にこそ読んでもらいたい本です。
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