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星が吸う水 の商品レビュー

3.1

43件のお客様レビュー

  1. 5つ

    3

  2. 4つ

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  3. 3つ

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  4. 2つ

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2020/11/12

◯星が吸う水  ラストの砂利でのシーンに関する友人の感想が、悲しくなりました。どうしても理解の範囲外にある意見に対して歩み寄るのは難しいと痛感しました。鶴子の、自分が人と違う考えを持つからこそなのか、相手の考えをいつも尊重しようとしている姿勢を私ももっと持ちたいと思います。 ...

◯星が吸う水  ラストの砂利でのシーンに関する友人の感想が、悲しくなりました。どうしても理解の範囲外にある意見に対して歩み寄るのは難しいと痛感しました。鶴子の、自分が人と違う考えを持つからこそなのか、相手の考えをいつも尊重しようとしている姿勢を私ももっと持ちたいと思います。 ◯ガマズミ航海  文庫本でいくつか話が収録している場合、似たテーマを合わせることがほとんどだと思います。ガマズミ航海を読み始めたとき、ああまた性についてかあと多少のまんねりを感じました。何となく、ほかの(まだ読んでいないものも多くあるので偉そうな考えだとは思うのですが)村田沙耶香作品でも性に関する描写が似ている気がして同じようなの読んだのになあ、と。村田沙耶香さんは読みやすい、まわりくどくない直接的な表現が多いように思うのですが性描写もそれで余計にワンパターンに感じてしまいました。  ただガマズミが星吸うと異なるのは性に疑問を持つ主人公に共鳴してくれる人が現れることです。村田沙耶香作品では主人公が突出して奇抜なイメージがあったので、2人が同じ方向に向かう本作は新鮮でした。

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2020/10/26

「星が吸う水」 性や恋愛への考え方の違う3人が、お互いがお互いをそれぞれの方法で思いやりながら、分かって欲しくてすれ違う。30代女性3人の友情物語のような。分かってもらいたくて、近づこうとすればする程、分からない相手は遠ざかっていく。それぐらい違うなら、多少ムキになってでもぶち...

「星が吸う水」 性や恋愛への考え方の違う3人が、お互いがお互いをそれぞれの方法で思いやりながら、分かって欲しくてすれ違う。30代女性3人の友情物語のような。分かってもらいたくて、近づこうとすればする程、分からない相手は遠ざかっていく。それぐらい違うなら、多少ムキになってでもぶち壊すなにかが必要なんだろうなぁ、なんて思う友情的な?ラストが村田さんの作品の中では新鮮にも感じた。わざわざ作ったオーダーメイドの性の形を隠さなくてはならないのには、私も納得できない。 「ガマズミ航海」 性行為じゃない肉体関係をしたい。それってなんなの?と思う反面、気持ちは分からんでもないとも思う。セックスをすれば深い関係になっただとか、煩わしいと思う。結局のところ、性行為じゃない肉体関係=ガマズミを実際にするのは難しそうだけれど、そういうものを必要とする人ってきっと増えてきてるんじゃないかなぁ、なんてのは空想だろうか。 村田さんの書く「死」には生の熱がすごく詰まっているのに、性はなんだかいつも中立というか無機質というか。あまり熱っぽさを感じない。これだけ「性」を押し出した作品だからこそ、村田さんの他の作品ほどの狂気や熱量を感じなかったのかなぁ。

Posted byブクログ

2020/07/25

   私たちは性欲=性行為(セックス)と愛(親密性)を否応なく結びつけてしまう。愛がなければ性行為をしてはいけないし,性行為をするならば愛がなければいけない,と。それこそが「本物」であり,それ以外は存在しないと考えてしまう。  でも,果たして,そうなのであろうか。「本物」とは「...

   私たちは性欲=性行為(セックス)と愛(親密性)を否応なく結びつけてしまう。愛がなければ性行為をしてはいけないし,性行為をするならば愛がなければいけない,と。それこそが「本物」であり,それ以外は存在しないと考えてしまう。  でも,果たして,そうなのであろうか。「本物」とは「偽物」があるから存在しうる。いや,「偽物」を「本物」だとみなすから「偽物」が存在するし,その意味で「本物」も存在する。たとえば,グッチの鞄の模造品を「グッチの鞄」とみなすから,「偽物」と「本物」があるように,性行為without愛を性行為with愛とみなすから,性行為without愛が偽物,性行為with愛が本物になる。本来は異なるものをあるモノと同じとみなすから,本物と偽物が生まれる。  それらは本来異なるものである。ただ,似ているだけである。グッチの鞄であれば,細く見ると,似ている部分と似ていない部分が目に見えるので,それらが本来異なるモノであることがわかる。しかし,性行為with愛と性行為without愛では,目に見える部分(性行為)が似ていて,目に見えない部分(愛)が似ていない。だからそれらは切り分けがつかない。ここに両者の難しさがある。  それらが本来異なることを知るためには,目に見えるようにするしかない。あるいは,身をもって体験するしかない。でも,どうやって?それがまた難しい。この点がそれらの切り離しがたさをさらに難しくしている。目に見えない部分が似ていないという難しさに加えて,目に見えるようにする,あるいは,体験することの難しさという二重の困難。  本書はこの二重の困難に正面から向き合う。性欲と愛の分かちがたさという自明のつながりを改めて問い直す。あるいは,人と人との親密なつながりについて,親密とは何かについて。あるいは,性欲について,愛について。  「本物」とはいったい何なのだろう。  

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2020/06/08

表題作含む2作品 いずれも性のお話 著者の独特な世界の性を堪能できます この著者は性に関係する作品が多いですね

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2020/05/15

面白かったです。 村田さんの本を読んでると、いつもぐるぐると考え始めてしまいます。今回は「性」について、というより「性行為」について。 鶴子、梓、志保、結真、美紀子…どの人物の考え方に近いかと言われれば、わたしは鶴子です。女性だからといつでも被害者にはならないだろうし……と。でも...

面白かったです。 村田さんの本を読んでると、いつもぐるぐると考え始めてしまいます。今回は「性」について、というより「性行為」について。 鶴子、梓、志保、結真、美紀子…どの人物の考え方に近いかと言われれば、わたしは鶴子です。女性だからといつでも被害者にはならないだろうし……と。でも、説教してしまいがちの鶴子が、それでも友人の恋愛観は尊重しようと言わないでいいことは言わないでおく、というのはとても良いなと思いました。 梓が一番分からないし、苦手。女の幸せは「結婚、出産」の人なんだろうな。 結真の瞬いた「ガマズミ」。「自分も皮膚に区切られた漆黒の空間だ」というのはとても素敵。自分の中に暗闇が、というのはいい気分です。生暖かい闇。 村田さんはとことん、思考実験の過程を描いてくださる。どこへ辿り着くのか、今回も興味深く読みました。

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2020/05/09
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

どちらも男女の性の非対称性に疑問を持つ女が主人公 『星が吸う水』 性とは男が興奮して女が受け入れるものだという規範を見せられすぎたせいで、主体的に性を求める自己を正しく表現出来ずにもがく主人公 鶴子ほど捌けてないにしてもわかる、わかるよ〜おかしいよね、非対称だよね、って共感して読んでたら友達の梓から「綺麗事だ」と突き放される 梓も正しいからやってるわけじゃない、生き抜くためにやってると。それもわかるのだけど、でも… 志保が不完全燃焼な気がするなあ。 『ガマズミ航海』 男女のセックス描写を読んで悲しくて涙が流れたのは初めてだわ。肉の袋という表現がとても生々しく残酷で真実だ。そして男も肉の棒であると感じる時もある。セックスは2人でやるもの。 美紀子も梓もタイプは違うけど2人ともまじめに「女」をやっているのだと思う

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2020/04/25

村田さんが描く性的描写(この作品に関しては性的だけど、性的じゃない描写も含め)は、嫌悪感がなく、綺麗だ。 セックスを題材にする作品は、性的描写が付き物。その性的描写は綺麗なものと汚いものがあると思っている。綺麗な描写は、登場人物が綺麗。人として変わっていたり、クソみたいな人間だと...

村田さんが描く性的描写(この作品に関しては性的だけど、性的じゃない描写も含め)は、嫌悪感がなく、綺麗だ。 セックスを題材にする作品は、性的描写が付き物。その性的描写は綺麗なものと汚いものがあると思っている。綺麗な描写は、登場人物が綺麗。人として変わっていたり、クソみたいな人間だとしても、どこか感情移入できるんだと思う。 この作品は2つのストーリがあり、どちらもアラサーの女性が主人公。自分は男だが、年代は重なる。 独身のアラサー。この作品を読むと、もっと自由に開放的になりたいなと思う。

Posted byブクログ

2019/11/16

この作家は、はじめて読んだが、なかなかに面白い。女性がこんな風に思うのだな、と言うより性別を超えている、ザ・村田沙耶香という感じ。クセがつよいんじゃ、か。

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2019/10/12

自分の性の在り方を模索する二部作。 世界にはこと恋愛や性に関して強い強迫性が渦巻いているけれど、この小説に出会えたことで少し楽になれるような気がする。

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2019/06/22

村田沙耶香さんの小説は、「社会からの模範的価値観への違和感を持ちつつもそれに反抗するというより合わせられない自分を責める」といった部分に、話は女性視点であっても性別を超えた普遍性があり非常に共感するが、本作はとてもその「性別を超えた普遍性」をあまり感じず入り込むことができなかった...

村田沙耶香さんの小説は、「社会からの模範的価値観への違和感を持ちつつもそれに反抗するというより合わせられない自分を責める」といった部分に、話は女性視点であっても性別を超えた普遍性があり非常に共感するが、本作はとてもその「性別を超えた普遍性」をあまり感じず入り込むことができなかった。 また、女性の勃起や本当のセックス、男は射精しなきゃいけないプレッシャーなど、いつもながらのユニークな視点はあるものの、文章表現はいつもよりおとなしめだったかも。 村田沙耶香さんの文章で、綺麗な文章にグロテスクな言葉を混ぜるような表現が個人的には椎名林檎のイメージと重なる部分があってとても好きなのだけど、そういうところは本作ではあまり感じなかったからかもしれない。

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