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王妃の帰還 の商品レビュー

3.8

140件のお客様レビュー

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    23

  2. 4つ

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  3. 3つ

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2013/10/14

『終点のあの子』の学級内政治論に、『あまからカルテット』の親友論や、『けむたい後輩』の勧善懲悪論と、『私にふさわしいホテル』の戯画化された階級闘争論。それらぜんぶが盛られている感じ。 「教室」のなかで彼女たちがグループの構築作業を通じて生産したり流通させたりしている価値観。「学...

『終点のあの子』の学級内政治論に、『あまからカルテット』の親友論や、『けむたい後輩』の勧善懲悪論と、『私にふさわしいホテル』の戯画化された階級闘争論。それらぜんぶが盛られている感じ。 「教室」のなかで彼女たちがグループの構築作業を通じて生産したり流通させたりしている価値観。「学校」の中から観たときの彼女たちの世界の「閉塞感」だとか、それと矛盾するようだけれど、その内側と外側とに提示されている(あるいは提示されているものと誤認されている)「可能性」。 そういう要素々々を一旦明確化させた上で、今度は「見応えある劇」の脚本として再構築している。そんな印象を受ける作品だった。

Posted byブクログ

2017/02/28

舞台は中高一貫私立お嬢様女子校。クラスのトップに君臨していた“王妃"はある事件をきっかけに”姫グループ”から追放され、孤立してしまう。行き場を無くした“王妃"は主人公・範子(のりこ)が所属する仲良しグループに迎えられたが、彼女の傍若無人な態度に辟易した範子たち...

舞台は中高一貫私立お嬢様女子校。クラスのトップに君臨していた“王妃"はある事件をきっかけに”姫グループ”から追放され、孤立してしまう。行き場を無くした“王妃"は主人公・範子(のりこ)が所属する仲良しグループに迎えられたが、彼女の傍若無人な態度に辟易した範子たちは、穏やかな日常を取り戻すため、『プリンセス帰還作戦』を計画する。 クラス内に存在するスクールカースト。友人の言動一つで立場が揺れ、態度を翻す心の弱さはこの年齢特有のものかも。それくらい教室の世界が全てで、絶対だった。範子を始めクラスメイト達はそれぞれ周りの顔色を伺い、自分の立ち位置に怯え安堵する。 中学当時の私のいたクラスには“王妃"こそ居なかったが、グループが互いを牽制するような空気は常にあったような。思い出は美化されがちだけれど、あの時期にだけは正直戻りたくない(笑)。 ややドタバタ感はあるものの、思春期の女子特有の空気がうまく描かれた作品だった。

Posted byブクログ

2013/10/01

最近読んだ『終点のあの子』に内容としては似ているけどこちらの方が心理描写が緻密で断然好み。 私みたいな年齢で読んでも入り込ませてしまう筆力はさすが! しっかりと遥か昔の中学生女子に舞い戻された(笑) 中学校という狭い社会が彼女達の全てで友人関係の焦りとか嫉妬とかが渦巻く派閥の中で...

最近読んだ『終点のあの子』に内容としては似ているけどこちらの方が心理描写が緻密で断然好み。 私みたいな年齢で読んでも入り込ませてしまう筆力はさすが! しっかりと遥か昔の中学生女子に舞い戻された(笑) 中学校という狭い社会が彼女達の全てで友人関係の焦りとか嫉妬とかが渦巻く派閥の中で凌ぎを削る。 どの子も自分を上手く出せなくてもがいている様子があまりにも健気で駆け寄ってギュッとやってあげたくなった。

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2013/09/20
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

名門女子中学のクラス内闘争。地味女子四人が穏やかな日常を取り戻すために、高転びした王妃の復権に奮闘する。

Posted byブクログ

2013/09/13

久々に夢中になって読んだ本の1冊。子どもたちの考え方の在り様や学校という世界で生きる子どもたちの在り様とか、フィクションではあるけれどきっと共感をおおいによぶ話ではないかな。人って実際に会話したり触れあわなかったらわからない。女子校の女子特有の憧れ感もよくわかる。

Posted byブクログ

2015/12/29

女子中学校の内情というものを私はほとんど知らない。 こんな幼いときから、異性のいない学校生活を送ると、ものの見方や人との付き合い方、或いは恋愛感情が歪なものになるのでは、と心配になる。 中学が男だけだったら毎日つまらんだろうなあ、と高校が男子校の私などはしみじみ思ってしまう。 ま...

女子中学校の内情というものを私はほとんど知らない。 こんな幼いときから、異性のいない学校生活を送ると、ものの見方や人との付き合い方、或いは恋愛感情が歪なものになるのでは、と心配になる。 中学が男だけだったら毎日つまらんだろうなあ、と高校が男子校の私などはしみじみ思ってしまう。 まあ、そんな女子中学生による学園で、王妃を頂点としたヒエラルキーのお話である。 ある事件がもとで、王妃の座からすべり落ちた女子が別のグループに入ったことで、そのグループ自体が崩壊していく。 女の子のグループ意識というものはこの年齢でも凄まじい。 私なんか、誰のグループかなんて一度も考えたことなかった。 とにかく女子の自意識は煩わしいほど過剰だ。 でも、それはこの世代の女子にとっても大問題なのだろう。 この年代の女の子ってこんなことばかり考えているのかと勉強になるような、面白く練られたストーリーである。 現実の作者の柚木さんはアラサーの年齢らしいが、こんなのばかり(鋭い着眼点で)書いており、今はどういう大人の女性になっているのか、一度お会いしてみたいものである。

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2015/03/18

私は何者? 女性の気持ちを描くのが上手な著者。 今回の舞台はお嬢様学校の中学二年生。 スクールカーストということばが知られるようになり、それをもとにしたドラマや小説が目立つ。 しかしそのスクールカーストというものは決して最近始まったものではなく、徐々に姿を変えつつも心当たりが多く...

私は何者? 女性の気持ちを描くのが上手な著者。 今回の舞台はお嬢様学校の中学二年生。 スクールカーストということばが知られるようになり、それをもとにしたドラマや小説が目立つ。 しかしそのスクールカーストというものは決して最近始まったものではなく、徐々に姿を変えつつも心当たりが多くの人にはあるはずの古いものだ。 いや、古いというよりは学校という小さな世界における必然的なものかもしれない。 物語は、王妃として君臨していた滝沢という少女が転落することから始まる。 生まれもっての華やかな美貌とカリスマ性、堂々たる態度...... それが鬱陶しい、空気が読めない、わがままという言葉で罵倒される地位まで転がり落ちてしまうのだ。 初めは王妃の不遜な態度に辟易する主人公、ノリスケ。 同じグループのスーさん、リンダさん、チヨジの四人と作り上げた、目立たないけれど心地よい空間。 そこに入って来た異物に振り回されながら王妃を今度は皆に空かれる良き王妃に仕立て上げようと奮闘する。 それに至までにはグループ内の亀裂、標的変更など度重なる試練があり..... そうそう、と同意するところも多かった。 心情はもちろんだが、何よりお嬢様学校が外から見られる印象は中の人間とは異なるというところがその通り、なのだ。 私もいわゆるお嬢様学校を中高と過ごしたのでこの辺りの描写はよくわかる。 結末は爽やかなハッピーエンド。 リンダさんが思いのほか毒を吐かず、めそめそ泣いているのは少々意外だったが、人は一つの性格で表されるほど単純ではない、と思えば納得。 また、王妃が、仕事してる女なんて信じられない、という発言を撤回するのは、この年代特有の柔軟さの現れだ。 不幸になって初めて、人は本当の自分が何者であるかを知るものです。 処刑直前のマリー・アントワネットの言葉だ。 繰り返しでてくるこの言葉は本書の主題でもある。 実際には中学二年生では、まだ自らが何者であるかはわからないが、自分がどうありたいかを考え行動していく始まりの時期。 その姿を著者は軽やかに描き出している。

Posted byブクログ

2013/08/31
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

中学生。学校。教室。女子高。キリスト教。スクールカースト。同じモノに戻らなくても、違う形を愛していけばいい。希望が書かれてる。すごいな。柚木さんの書く女性はパワフルで元気出るなぁ。

Posted byブクログ

2013/08/17

クラスで一番地味で最下層グループに属する前原範子はスー、チヨジ、リンダの3人の仲間と平和な学校生活を送っていた。 しかし、腕時計事件をきっかけに、クラスのトップを君臨していた王妃こと滝沢美姫が失墜してからクラス内のヒエラルキーが崩壊する。 王妃が地味グループにきてから、範子たちの...

クラスで一番地味で最下層グループに属する前原範子はスー、チヨジ、リンダの3人の仲間と平和な学校生活を送っていた。 しかし、腕時計事件をきっかけに、クラスのトップを君臨していた王妃こと滝沢美姫が失墜してからクラス内のヒエラルキーが崩壊する。 王妃が地味グループにきてから、範子たちの関係がギクシャクしてくる。 多感な女子中学生たちが、自分の世界を守るために悩み、クラス内ヒエラルキーや他のグループと微妙な距離感を取りながら、自分なりの戦術を模索していく姿がヒリヒリして痛々しい。それでも現実を認め、自分の世界を守るために勇気を出して立ち向かっていく姿は内面の成長ぶりを感じさせる。 時折ハラハラさせるが、予想外のラストに安心して読める。

Posted byブクログ

2013/08/14

予備知識なしで読んだので、学園ものだったのか!と意外に思った。何人もの女生徒たちが登場するけれど、冒頭に受ける印象とみんなどんどん変わってゆくのがおもしろい。 学生当時の女の子独特の空気感が伝わってくる小説として、山田詠美の「放課後の音符(キイノート)」を思い出した。 プロットが...

予備知識なしで読んだので、学園ものだったのか!と意外に思った。何人もの女生徒たちが登場するけれど、冒頭に受ける印象とみんなどんどん変わってゆくのがおもしろい。 学生当時の女の子独特の空気感が伝わってくる小説として、山田詠美の「放課後の音符(キイノート)」を思い出した。 プロットがしっかりしていて、とてもよくできている物語だなあと思う。読後感も爽やか。

Posted byブクログ