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紅葉街駅前自殺センター の商品レビュー

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23件のお客様レビュー

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2013/02/14

自殺センターが合法化された社会。主人公に自殺を決意させた過去の出来事とは何か?白い夢は何を意味するのか?連続切断魔の正体は?主人公は5回の面接で自殺を思いとどまれるのか?という疑問で最後まで興味深く読めた。人は何のために生きるのかという永遠のテーマの斬新な切り方に脱帽。主人公が切...

自殺センターが合法化された社会。主人公に自殺を決意させた過去の出来事とは何か?白い夢は何を意味するのか?連続切断魔の正体は?主人公は5回の面接で自殺を思いとどまれるのか?という疑問で最後まで興味深く読めた。人は何のために生きるのかという永遠のテーマの斬新な切り方に脱帽。主人公が切断魔の被害者の夢を何故見たのかはいまだに分からない。思いとどまる理由は予想通り。 p.109 「自分に、子供がいて、動いて、成長して。それを見ても実感がわかないし、自分に子供がいるということがどういうことなのか、本当にわからなかったんだ。信子も出て行ったしーー」 電話の向こうから嗚咽が聴こえた。 p.155 幼いころから家族というものがどういうものなのか理解出来なかった僕は、息子が生まれたことで何もかもを取り戻したような気持ちになっていた。僕を愛さない父のことも、記憶にもない母のことも、僕を置いて死んだ兄のことも、何もかもを許せると思った。僕は全てを取り戻し、やり直せるのだと、家族と幸せになれるのだと、確信していた。

Posted byブクログ

2013/01/24

国が自殺の幇助をすることを認めたという設定は面白いのだが、登場人物一人一人の個性をまとめきてれいない感じがした。ミステリーサスペンスにSF風味を足した作品。伏線が回収されたらもっと良かったし、特に本屋の下りはもっと掘り下げても良いのではと思った。

Posted byブクログ

2013/01/22

この本のタイトルを新聞広告で見た時、買うしかないと思った。 「自殺センター」というアイデアは、自殺という問題を「国家が管理する」という方向で考えた時にはわりとすぐに思いつくものだ。 以前、「KAGEROU」(齋藤智裕著)を読んだ時にも、「自殺センター」という発想が書かれていた。こ...

この本のタイトルを新聞広告で見た時、買うしかないと思った。 「自殺センター」というアイデアは、自殺という問題を「国家が管理する」という方向で考えた時にはわりとすぐに思いつくものだ。 以前、「KAGEROU」(齋藤智裕著)を読んだ時にも、「自殺センター」という発想が書かれていた。この作品では臓器移植と関連させていたので、非常に興味深く読んだのだが、本作では、臓器移植の問題は「反対者がいるからね」という非常に現実的な理由であっさり否定されていた。 そう、本作はとてもリアリティがある。もし本当にこういう施設があったら、やっぱりものすごく反対運動が巻き起こるだろうし、宗教関係者もいろいろ活動しようとするだろう。当然、臓器移植だって拒否されるに違いない。 5回、という設定も絶妙だと思った。短すぎず長すぎず、でもいざとなるととても短く感じてしまう。 主人公の絶望とか諦観がじわじわと伝わってきて、この世界に引き込まれてしまった。 もう少し、夢の処理や、切断魔の存在する意味が書き込まれていたらもっとよかったかなあとも思う。ラストはどうなったのかがちょっとわかりづらい気がする。そこだけ急にファンタジーな感じになってしまったように思う。 本作も、「KAGEROU」もラストは生きる方向に向かっていた。そこが、私が書いたものと違うところだ。 私が書いたのはショートショートだったので、ほんとにワンアイデアとして書いた。そしてラストは、清々しく死んでいくのだ。 そういうところに、作者の意向がにじみ出るものなんだろうか。 それでも、ここまできっちり世界を構築してあると、やはりラストは希望の方向へ行く。 「なんだよ~」と思いながらも、ほんの少しホッとしている部分もある。 キャラクターの扱い方がときどき腑に落ちないところもあったが、とても読み応えがあって、小説世界に魅了された。

Posted byブクログ