1,800円以上の注文で送料無料

TRIP TRAP の商品レビュー

3.2

23件のお客様レビュー

  1. 5つ

    3

  2. 4つ

    3

  3. 3つ

    9

  4. 2つ

    3

  5. 1つ

    1

レビューを投稿

2013/02/06

読んでいるとき、ずっと黒板に爪を立てる音を聞かされているような気持ちだった。それが読み進めるにつれて徐々におさまってきた。 それは、十五歳で男と同棲する不良少女のマユが、徐々に普通の女性に変わっていく過程とリンクしていたと思う。彼女の達観したような、世界をはすに眺めているような感...

読んでいるとき、ずっと黒板に爪を立てる音を聞かされているような気持ちだった。それが読み進めるにつれて徐々におさまってきた。 それは、十五歳で男と同棲する不良少女のマユが、徐々に普通の女性に変わっていく過程とリンクしていたと思う。彼女の達観したような、世界をはすに眺めているような感じがだんだん薄れてきて、感情を爆発させ、まわりと折り合いをつけ、仕事をし、子育てまでするようになる。 これを成長したととらえるか、平凡になってしまったと思うのかは人によって違うのだろう。

Posted byブクログ

2013/02/04

あれ?短編? と思いきや、「女の過程」と いう15歳の主人公マユの話から始まり、同じ 人の世代を跨いだ6編の小説です。 金原さんの作品は追いかけて読んでないの で、芥川賞を取った『蛇にピアス』とかその 後の『アッシュベイビー』に比べるとグロさ が無くなったんだなあ・・と思いつつ...

あれ?短編? と思いきや、「女の過程」と いう15歳の主人公マユの話から始まり、同じ 人の世代を跨いだ6編の小説です。 金原さんの作品は追いかけて読んでないの で、芥川賞を取った『蛇にピアス』とかその 後の『アッシュベイビー』に比べるとグロさ が無くなったんだなあ・・と思いつつ、 相変わらずムカッとくる・・物言いとか、男 を道具的に扱う酷い表現が独特ですね。 破天荒というか、家庭環境から来るやんちゃ な少女の荒くれぶりから、ギャル的な目を覆 いたくなるようなわがままぶり。 大人になって、作家として世界的に成功した 割りに、男に対するちょっと異常な程の依存 症とか、優柔不断で自分本位な生き方は直ら ない・・ 結局25歳になってもあまり成長しない訳です が、自分の子供を持つことで、荒くれ時代の 自分を投影するかのような、赤ん坊の暴れっ ぷりに翻弄される姿が描かれます。 母になることで微妙に忍耐とか羞恥心が芽生 えるのに対して、本来の自分の世界を失うこ とへの恐怖心に戸惑い、葛藤する姿は理解で きないわけではないですが、 同情心を煽られてる気がしてしまい、何とな く読んでても虚しくて、すっきりしない作品でした。

Posted byブクログ

2013/02/02

金原ひとみがこんな小説を書くなんて、芥川賞を取った時は誰も想像できなかっただろうなぁと思う。6本の短編集だけど、「フリウリ」の為だけに他の5本があるような気もする(個人的に好きなのは「女の過程」と「夏旅」)。最後の最後でtripの意味がすり替わってしまうけれどほとんどは旅の話で、...

金原ひとみがこんな小説を書くなんて、芥川賞を取った時は誰も想像できなかっただろうなぁと思う。6本の短編集だけど、「フリウリ」の為だけに他の5本があるような気もする(個人的に好きなのは「女の過程」と「夏旅」)。最後の最後でtripの意味がすり替わってしまうけれどほとんどは旅の話で、恋人と一緒に別世界と呼べるような地へ行っても、最後には必ず日常へ帰る描写があって、ほら、あれ、「家に着くまでが遠足です」的な。後半になると、完全に主人公に名前がなくなって、「彼」と「私」になるのが面白い(彼と私以外の人物にはしっかり名前がついてるのに)。特に「彼」は匿名性が高い。子どもは、赤ちゃんの時は名前はなくて、会話できるまで成長するとユキちゃんになる。なんか意味あるよなぁ、きっと。 / おおかみこどもの雨と雪を観た時も思ったけど、僕が母親の視点で読んで考えるのは、やはりちょっと難しい。相変わらず僕は子どもで、自分の母親もこういう苦労を乗り越えてきたんだろうなぁと想像して申し訳なくなるばかり。あと、赤ちゃんのうんちとカストロプレイ云々とでは同じものであっても受ける印象が全然違うなって、すごく当たり前な事を思ったり。

Posted byブクログ